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日本でバスクの味を堪能しよう。家で作れるバスク料理4選

記事投稿日:2020/11/09最終更新日:2020/11/09

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スペインの北側とフランス・ピレネーの一部に広がるバスク地方。この地域には、独自の言語と文化を持つ人々が住んでいます。 特にスペイン側のバスク地方は近年日本でもグルメの地として有名になり、多くの人がピンチョ(もともとは串に刺さった一口サイズのおつまみを現す言葉。いまではおつまみ全般をピンチョということも多いです)を味わいにバスクを訪れています。

多くのグルメな人々が注目するバスク地方の味を日本でも体験したい、と考える人は多いのではないでしょうか。そうした方々の願いをかなえるべく、10年以上スペインのバスク地方に通い続ける筆者が、現地バスクの友人たちから教わったバスク料理をご紹介いたします。本場の味とはいえ、レシピはみんな簡単なものばかり。どうぞご安心ください。

※編集部註:記事中で紹介しているバスクの地名や食材は、スペイン語、バスク語、フランス語の表記いずれかで確認できたものをカッコ内に記載しています

目次

<1. スペインとフランスにまたがるバスク地方の料理とは>

<2. 日本で作るバスク料理簡単レシピ:チョリソーのシードラあえ>

<3. 日本で作れるバスク料理簡単レシピ:ムール貝のチャコリ蒸し>

<4. 日本で作れるバスク料理簡単レシピ:バカラオのコロッケ>

<5. 日本で作れるバスク料理簡単レシピ:パチャランのシャンパン割り>

1. スペインとフランスにまたがるバスク地方の料理とは

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<バカラオと呼ばれる、乾燥させた塩鱈を生産中の様子。※写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

冒頭で説明した通り、バスク地方の食は近年日本でも有名になってきていますが、主な定義についてはご存じでしょうか。日本の家庭で作る前に、まずはバスク地方料理の特徴を簡単に見ておきましょう。

1.1 バスク地方はスペインとフランスの間にある

地理的には、ヨーロッパの西にあるピレネー山脈とその北側のビスケー湾に面した、スペインおよびフランスの地域が「バスク地方」と呼ばれます。スペイン側(スペインバスク)には、バスク州(スペイン語:El Pais Vasco)と呼ばれるアラバ・ビスカヤ・ギプスコアの3県とナバラ州(スペイン語:Navarra)が位置していおり、バスク州とナバラ州は自治州として行政機関が設置されています。

ちなみに参加者が牛に追われるものでありながら、「牛追い」の名称で有名なサン・フェルミン祭はナバラ地方の州都であるパンプローナのお祭り。この「牛追い」で参加者が着る赤と白の服は、バスク地方の一般的な民族衣装です。一方フランス側にはフランス領バスク(あるいはフランスバスク、フランス語:Pays Basque Français)があり、ピレネー・アトランティック県の一地方となっています。

1.2 バスク地方ならではの食材や文化

バスク地方は海の幸と山の幸の両方に恵まれた地域であり、こうした環境がバスク地方の食を支える原動力となっています。 バスク地方の食材として有名なのものの一つが、塩鱈(しおだら)です。現地ではバカラオと呼ばれるこの食材は、かつてビスケー湾でとれた鱈を塩漬けにして乾燥させる保存食品でした。今ではバスク地方だけではなく、スペインの北部全体からポルトガルまでの各地域でバカラオが食べられていますが、それでもバスク料理というと反射的にバカラオの料理をイメージするスペイン人は少なくありません。

また、バスクにおける山の幸として有名なものが唐辛子や黒豆です。唐辛子はフレンチバスクのエスペレット(またはエスプレット)、黒豆はスペインバスクのトローサが有名な産地とされています。

また、バスク地方で生産されるお酒も、この地方を有名にしているものの一つ。リンゴの発泡酒であるシードル(スペイン語:Sidra、バスク語:Sagardo)やブドウの発泡酒のチャコリ(スペイン語:Chacolí、バスク語:Txakoli)、そしてエンドリーノというスピノサスモモ(スモモ属の一種)から生産される蒸留酒のパチャラン(スペイン語:Pacharán、バスク語:Patxaran)もこの地方で味わうことができるお酒です。こうしたお酒は、バスク地方の料理にもよく利用されています。

1.3 バスク地方の食習慣

豊かな食を楽しむため、バスク地方にはユニークな食習慣が数多くあります。たとえば、日本でも有名なピンチョ(バスク語:Pintxo)は、シードルやチャコリを飲みながら(もちろんビールやソフトドリンクでもOK)おつまみを食べる習慣です。ちなみに、近年バスクの街によっては週末にピンチョ・ポテ(Pintxo Pote)というイベントを開催することがあります。これは、その地域で営業するバールがビールなどの飲み物と、何らかのおつまみを格安なセットで提供するイベントです。

もうひとつの食習慣がチョコ(バスク語:Txoko)と呼ばれる美食クラブ。現地ではソシエダ・ガストロノミカ(スペイン語:sociedad gastronómica)と呼ばれることもあるこのクラブは、会員たちが新鮮な食材を持ち寄りクラブが所有する台所で調理し、味わうための集まりです。昔は男性だけの集まりでしたが、今では女性が参加できるチョコがほとんどです。

1.4 バスク料理は日本でも作れる?

おそらくバスク料理を日本で作る際に心配事として考えるものの一つは、「食材が手に入るかどうか」ということではないでしょうか。幸い、ほとんどのバスク料理で使う食材は日本のスーパーマーケットで購入できるものでも代用できますので、どうぞご安心ください。とはいえ、チャコリやパチャランといったお酒は輸入食品店の方が手に入りやすいかもしれません。

また、中には「バスク地方の料理なんて全く味や質感をイメージできないよ!」という方もいるかもしれません。そうした方は、日本にあるバスク料理店でお食事を楽しんでから、ご家庭で料理してみるのもよいかもしれませんね。

2. 日本で作るバスク料理簡単レシピ:チョリソーのシードラあえ

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<写真中央下がチョリソーのシードラあえ。※写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

まずは本当に簡単な、こちらのレシピから。チョリソーは味も濃く香辛料も入っているため、苦手とする日本人もいらっしゃるかもしれません。ですが、沸騰したシードラ(シードル)とあえることで、味や香りがマイルドになり食べやすくなります。バスク地方のバールのカウンターに並ぶ、定番ピンチョの一つです。

2.1 チョリソーのシードラあえの簡単な作り方

チョリソーのシードラあえは、材料さえあれば本当に簡単!チョリソーを1kg用意するレシピのため4人以上向けの分量です。食べる人数に応じて調節してください。また、日本で本場スペインのチョリソーを見つけるのは少々難しいかもしれません。その場合は、少し塩気と香りが強いソーセージ(またはチョリソーと呼ばれて売られているもの)を購入して、作ってみましょう。

【材料】

  • チョリソー(1kg)
  • シードラ(砂糖なしのものを250ml)

【作り方】

  1. チョリソーを幅2cmほどの輪切りにして、深めのお皿に並べる。
  2. シードラを鍋に入れ、沸騰させる。
  3. シードラが沸騰したら火を弱めて10分ほど煮て、アルコールを飛ばす。
  4. 「3」を「1」で用意したチョリソーにかけてできあがり。

2.2 シードラ(シードル)は砂糖の入っていないものを

日本で「シードル」として販売されているアルコール飲料の中には、砂糖が加えられているものが少なくありません。しかし、このピンチョを作る時には、砂糖の入っていないものを選んでください。ちなみに、バスクに限らずスペインで飲むことができるシードラには、砂糖は加えられていません。100%リンゴだけでできている飲み物なのです。

非常にチョリソーの塩味が効いているこのピンチョは、ビールや赤ワインと一緒に食べることをお勧めします。もちろん、料理に使ったものとは別に冷たいシードルを用意して合わせてもおいしいですよ。

3. 日本で作れるバスク料理簡単レシピ:ムール貝のチャコリ蒸し

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<※写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

ムール貝のうまみが凝縮したこの料理は、バスク地方のお酒であるチャコリを使用します。貝の酒蒸しは日本人には見慣れていると言える調理法なので、バスク料理初心者の人が取り組みやすい料理なのではないでしょうか。パーティーの時などは、大皿にこのムール貝のチャコリ蒸しをドーンと盛り付けてテーブルの上に置くと、その場が一気に盛り上がります。意外と手間もかからないので、おすすめの料理です。

「1_2. バスク地方ならではの食材や文化」の項目でも触れたチャコリですが、これは柑橘系の香りとさわやかな辛口が特徴。収穫後1年以内の、非常にフレッシュな状態で飲むことが多いです。チャコリのアルコール度数は、通常のワインと比べるとちょっと低めの9~11%。 バスク地方には数多くのチャコリのワイナリーがあり、現地ではワイナリーへのツアーも頻繁に組まれています。日本では輸入食材を扱うお店や通販で入手可能です。

3.1 ムール貝のチャコリ蒸しの簡単な作り方

調理工程は少し多いですが、いずれもシンプル。手順通りにやれば簡単に出来上がります。

【材料】

  • 玉ねぎ(1/2 個)
  • ムール貝(殻付き。約500g~600g)
  • チャコリ(1カップ。多少多めでもOK)
  • 黒コショウ(少々。なくてもOK)

【作り方】

  1. 殻付きムール貝を念入りに水洗いしたあと、水を切る。
  2. 玉ねぎをみじん切りにする。
  3. 深めの鍋にオリーブオイル(分量外)を熱し、「2」を炒める。
  4. 「3」の玉ねぎに火が通ったら、殻付きのムール貝とチャコリを投入する。
  5. 火を少し弱めて、鍋に蓋をする。
  6. 5分ほどしたらふたを開けて、ムール貝の殻が開いているか確認。
  7. ムール貝の口が開いていたら、できあがり。

3.2 ムール貝のチャコリ蒸しに関するTips

調味料らしい調味料を使っていないこの料理。しかし、チャコリによって蒸されたムール貝のうまみが凝縮されるため、意外と味が濃いのが特徴です。そのためほとんどの場合、塩などの調味料を使う必要はないでしょう。とはいえ、日本人としてはお醤油を少し垂らして食べると、白いご飯が欲しくなるおかずになるかもしれません。

3.3 ムール貝が手に入らないときは?

スペインでは値段が安くお手軽な海の幸であるムール貝ですが、日本で入手するのは予算の都合などで少し難しいことがあるかもしれません(※)。そうした時は、より手に入りやすいアサリなどの貝類に変えて、このレシピを試してみてもいいでしょう。スペインは貝類をよく食べる国で、魚屋さんの店頭にはさまざまな貝類が生で並びます。また、スーパーマーケットの缶詰コーナーでも、貝類の缶詰が売り場を大きく占領しています。

なお、このピンチョには白ワインが合うでしょう。チャコリも白ワインの発泡酒なので、ピンチョとワインの味がケンカすることもありません。もちろん、料理に使ったチャコリでもムール貝のおいしさを堪能することができます。

※編集部註:日本でムール貝を買う場合、冷凍やボイルされたものを通販や規模の大きいスーパーマーケット、業務用を扱うスーパーマーケットなどで探すのがオススメです。

4. 日本で作れるバスク料理簡単レシピ:バカラオのコロッケ

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<※写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

バスク料理を代表する食材であるバカラオを使った、コロッケをご紹介します。これもバスク地方のバールで日常的に見かける、定番のピンチョです。

4.1 バカラオのコロッケの簡単な作り方

【材料】

  • タネ:塩抜きしたバカラオ(約250g)
  • タネ:ジャガイモ(大1個)
  • タネ:レモン(小1個。皮の部分を使用)
  • タネ:生クリーム(50ml)
  • タネ:牛乳(500ml)
  • コロッケの衣:卵(Lサイズ1個)
  • コロッケの衣:パン粉(適量)
  • コロッケの衣:小麦粉(適量)
  • コロッケを揚げるためのオリーブオイル(揚げ物用の鍋に入る程度)

【作り方】

  1. 鍋に水を入れて沸騰させ、15分ほど塩抜きしたバカラオを茹でて冷ます。
  2. ジャガイモを4~6等分に切って茹でる。茹でたジャガイモはボールに入れてつぶす。
  3. 「1」で冷ましたバカラオを細かく切り、ジャガイモに混ぜる。
  4. 「3」に牛乳・生クリーム・みじん切りしたレモンの皮を投入し、混ぜてコロッケのタネが完成。
  5. コロッケのタネを俵形にまとめた後、冷蔵庫で1時間ほど寝かす。
  6. コロッケのタネに小麦粉・卵・パン粉の順に衣をつけ、高温に熱したオリーブオイルで揚げる。
  7. 大きさにもよるが、普通の大きさのコロッケなら3分から4分ほど。きつね色になったら鍋から取り出して出来上がり。

4.2 バカラオが手に入らないときはどうする?

「日本でバカラオなんて手に入らないよ!」という方、どうぞご安心ください。日本のスーパーなどで売られている「塩鱈」あるいは「甘塩鱈」をバカラオの代わりに使うことで、同じようなバカラオのコロッケを作ることができます。日本の塩鱈の方がしょっぱさは控えめだとは思いますが、必要であれば塩抜きすることをオススメします。

4.3 バカラオのコロッケを作るときのTips

もともとバカラオは保存食であるため、加工の過程で多量の塩を使っており、そのままでは非常に塩辛くてまず食べられません。そのため、バカラオを料理で使うときは必ず「塩抜き」が必要になります。 やり方は簡単。バカラオを料理に使う前の夜に、台所の蛇口の下に水とバカラオを入れたボールを置き、そのボールへ蛇口から細く水を出します。その状態で一晩放置すれば、翌日塩抜きしたバカラオを料理に使うことができます(※)。

※編集部註:冷凍食品を流水解凍するようなイメージで、一晩水を流し続けておくと良いでしょう

5. 日本で作れるバスク料理簡単レシピ:パチャランのシャンパン割り

ナバラ地方で有名なお酒ことパチャラン。このリキュールは赤い色が美しく、とてもフルーティーな味わいです。日本では、輸入食材を扱うお店やネット通販で手に入れることができます。ここでは、パチャランを使った本当にお手軽なカクテルをご紹介しましょう。

5.1 パチャランのシャンパン割りの簡単な作り方

【材料】

  • オレンジジュース(50ml)
  • パチャラン(50ml)
  • シャンパン(100ml)
  • 氷(適量)

【作り方】

  1. 氷とパチャランとオレンジジュースをミックスする。
  2. 氷ごと「1」をグラスに注ぐ。
  3. 「2」にシャンパンを注いでできあがり。

5.2 パチャランのシャンパン割りを作るときのTips

バスクの人がパチャランを飲むときは、ロックや水割り、あるいは炭酸水で飲むことが多いです。また、パチャランとオレンジジュースで割ったカクテルもポピュラーなもので、飲み方は複数あります。なお、パチャランとコーラはあまり相性が良くないのでご注意ください(筆者経験済)。

グルメの地として名高いバスク地方ですが、その料理を日本でも作れることに驚く方もいるかもしれません。いつもの食卓にバスク料理を1品加えれば、バスクへ旅行に行けないストレスが少しは軽減されるかもしれませんね。

でも、いつかは、ぜひバスクの地で本場の料理を味わってみてください。一見無愛想だけど心優しきバスクの人々が、きっと皆さんを歓迎してくれるはずです。

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對馬由佳理
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記事投稿日:2020/11/09最終更新日:2020/11/09

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