おすすめレシピ付き!イタリアの食べるスープ「ズッパ」とは?

日本のイタリアンレストランでも見かけられる、イタリア家庭料理「ズッパ」をご存じでしょうか?ズッパとはイタリアで言うスープのことで、主に野菜や肉などの具がぎっしり、そしてパンに浸したり具として入ったりしています。 イタリアでは冬が近づくと、レストランやトラットリアに登場する定番メニューです。外食で野菜が不足しがちな旅行中や、冬場の旅行で体が冷えてしまった時にもおすすめですよ。 ほっこり暖まるイタリアの冬の一皿ズッパについて、日本でも作れる簡単メニューと一緒にご紹介します。

目次

<1. ズッパはパン入りのスープだった>

<2. ズッパの主な種類>

<3. お土産にもおすすめ!ズッパ用パスタ「パスティーナ」>

<4. ズッパの簡単レシピを紹介!>

1. ズッパはパン入りのスープだった

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<写真はイメージです。Photo by Navada Ra from Pexels

「ズッパ(Zuppa)」とは、イタリア語で「スープ」のこと。かつては古くなり硬くなったパンをふやかすために浸すスープを指していましたが、現在では水分が少なめの具入りスープを指すことが多く、パンはお皿の外に添えられていることがあります(一部のズッパでは今もパンが具の一つとなっています)。

1.1 ズッパは「食べるスープ」

日本で"スープ"と言うと、具が少なめかほぼ無いコンソメスープや、よく裏ごしされたポタージュなど、「飲む」料理を想像するかもしれません。 ですが、ズッパは先ほど述べたようにパンを浸して食べるための汁物として作られていたほか、現在でも具在をたっぷり入れているなど「食べる」料理として認識されています。具だくさんなお味噌汁や、ポトフに近い料理と言えるでしょう。 季節の野菜や余った食材をたっぷり加えて作られる栄養満点のズッパは、寒い季節にぴったりのメニュー。現在のイタリアでもお鍋で数種類の具をことこと煮込んで作られる、冬に欠かせない存在です。

1.2 ズッパに似てるけど違う「ブロード」と「ミネストラ」

ズッパに対して、「ブロード(Brodo)」はいわゆる"ブイヨン"のことで、ズッパのベースになるものです。英語では「ブロス」と呼ばれることもあり、最近では肉の切れ端や魚の骨、野菜クズなどを使い、栄養とうまみの詰まった洋風のだし汁として紹介されることも。 一方の「ミネストラ(Minestra)」はスープの総称を指し、ズッパよりも具が少なかったり、パスタやお米などを入れたりしているものです。ただし、現在ではズッパと呼ばれているのにパスタが入っているものもあり、ズッパとミネストラは厳密に違いがあるとは言いづらい傾向です。ミネストラのうち、具だくさんで汁気が少ないものがズッパ、ととらえておくと良いでしょう。

2. ズッパの主な種類

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<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

一口にズッパと言っても、その種類や名称はさまざま。もともとが古くからの家庭料理であるためか、家庭や地域によってさまざまなバリエーションがあります。この項目では、イタリアのレストランやトラットリアでよく見かける、主なズッパをご紹介します。どのズッパを頂くか悩んだときは、これらの中からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

2.1 ズッパ ディ ぺッシェ(Zuppa di pesce)

ぺシェは「魚」の意味。名前の通り、魚介を白ワインやトマトベースで煮込んだズッパです。近くの海で採れたムール貝やイカ、白身魚などを具にした、いわゆる漁師めしの一種。 ブイヤベースと似ていますが、あちらは南フランス・プロヴァンス地方の料理でフェンネルなどのハーブを用いるのに対し、ズッパ ディ ぺッシェはハーブが必須ではありません。スープをパンに染み込ませて食べると、旨味が口いっぱいに広がります。

2.2 ズッパ ディ ズッカ(Zuppa di zucca)

ズッカは「かぼちゃ」の意味。日本でもお馴染みのかぼちゃスープですが、バターナッツ・スクワッシュと呼ばれる、ひょうたん型で皮が黄色く、ナッツの風味と水気、なめらかな果肉が特徴の冬かぼちゃを使います。 かぼちゃの他にはニンジンやジャガイモ、玉ねぎなどを加えて煮込み、甘いだけでなく塩気やさまざまな野菜の風味が楽しめるものが多いです。

2.3 ズッパ ディ レグーミ(Zuppa di legumi)

レグーミは「豆」の意味。ミックス豆(Misto legumi)をじっくり煮込んだスープです。ひよこ豆(Ceci)や白いんげん豆(Fagioli)、レンズ豆(lenticchie)などが混ざったものですが、特定の豆のみを使ったズッパなどもあります。 豆以外には玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモといった根菜、ベーコンやサルシッチャ、パンチェッタなどの肉類も使われ、具は豆と同じぐらいの大きさに刻むのが基本です。

2.4 パッパ・コル(アル)・ポモドーロ(Pappa col / al pomodoro)

パッパは「離乳食やおかゆなどの柔らかい食べ物」、ポモドーロは「トマト」の意味。パンをトマトソースで煮込んだ、シンプルな家庭の味。トスカーナ州を代表するズッパです。 ズッパはもともと硬くなったパンを食べやすくする料理ですが、パッパ・コル(アル)・ポモドーロはその由来がよくわかるシンプルなレシピ。食欲がないときにもピッタリのズッパです。関連記事では現地での供され方と共にレシピも簡単に紹介していますので、ぜひご覧くださいね。

2.5 番外編:ズッパ・イングレーゼ

イングレーゼは「イギリス風の」という意味。これはスープではなく、甘いお菓子です。ズッパという言葉は「浸す、染み込ませる」という意味の動詞"zuppare"から来ているとされ、スポンジにたっぷりとシロップを染み込ませることから、こう呼ばれるようになったと言われています。

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3. お土産にもおすすめ!ズッパ用パスタ「パスティーナ」

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<左上は通常のパスタ、その下に敷かれた丸形がパスティーナ。ご覧の通り、とっても小さなパスタです。撮影:La luce del Sud>

ズッパはもともと、煮込んだ野菜スープにパンを浸して食べられていましたが、今はアレンジも多様。私が住んでいた南イタリアの町では、パンの代わりにミニパスタを入れている家庭やお店も多くありました。 ミニパスタは、イタリア語でパスティーナ(Pastina)。とても小さなパスタで、様々な形状があります。お米のような粒状のパスタから、星形や丸形など見た目にも可愛いパスタです。 イタリアではズッパやミネストローネ用にスーパーでもよく売られており、購入も500グラムで1ユーロ前後とお手頃。日本ではまだ見つけにくい種類のパスタであり、スパゲッティのように折れたり割れたりする可能性も低いので、お土産にもおすすめですよ。

4. ズッパの簡単レシピを紹介!

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<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)

ズッパの作り方は、とっても簡単。ニンジンやズッキーニ、玉ねぎやじゃがいもなど、季節野菜や冷蔵庫に余った野菜をお鍋でグツグツ煮込みます。味付けは塩とオリーブオイルだけ。余計なものを加えず、野菜の旨味だけでシンプルに仕上げます。冷蔵庫に入れておけば日持ちするので、作り置きにも便利ですよ。

4.1 基本的なズッパの作り方

  • ニンジン、プチトマト、玉ねぎ、セロリなどお好みの野菜とバゲットのような硬いパンを用意します
  • 具材を全てさいの目状にカットします
  • 水と具材を鍋に入れ、柔らかくなるまでコトコト煮込みます
  • 仕上げに塩とエクストラバージンオリーブオイルを適量入れて、味を調えます

パンは一緒に煮込まず、浸すために脇に添えるのも良いでしょう。パンが無い場合は野菜のみ、もしくは先ほど紹介したパスティーナや、短く折ったカペリーニなどの細いパスタを入れてもOK。お好みで、胡椒やすりおしたパルミジャーノチーズ(なければ粉チーズ)をかけても美味しいですよ。 素朴で栄養いっぱいのズッパ。日本にあるものでも簡単に作れるのも嬉しいですよね。もちろん、イタリアには日本だと珍しい素材や組み合わせのズッパもたくさんあります。 冬にイタリア旅行をされるときは体を温める一皿としてプラス、旅行時に食欲がないときはメインとしてオーダーしてはいかがでしょうか。

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人々の生活スタイルや風景に魅せられ、イタリアへ。現在は南イタリア・アマルフィ海岸にある小さな町に住んでいます。個人旅行のアテンド・各種視察のコーディネートや通訳をしています。

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