ウィーンはワインの季節!オーストリア特有のワイン用語解説【中級編】

日本での知名度は低いながら、ワイン通の間では評価の高いオーストリアワイン。フランスやイタリア、ドイツワインとも全く異なる独自の魅力は、世界中から注目されています。

そんな隠れた人気のオーストリアワインですが、現地の人は、家庭で気軽に楽しんだり、ワインの造り酒屋に飲みに行ったり、ワインバーで大人の時間を楽しんだりと、場所と季節に合った様々な楽しみ方をします。

今回は、そんなワインの楽しみ方や種類の違いをご紹介します。レストランのメニューからワインを選ぶだけでなく、自分で好みのワインを探しに行ってみませんか?

目次

ワインはどこで飲む?

オーストリアのワイン居酒屋と言えば、「ホイリゲ」。ウィーン郊外に広がるワイン畑のそばに、ワイン農家自身が経営している、自家製ワインと軽食を出してくれる店です。

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このほかにも、田舎の方に行けば、「ブッシェンシャンク」(Buschenshank)という種類のワイン居酒屋があります。こちらは、ホイリゲに比べると制限が厳しく、年間営業日数や、食事の種類が法律で決まっています。ブッシェンシャンクに登録されているワイン農家は、近隣の同業者との競合を避け、ワイン作りにもしっかり時間を割くため、年間営業日数が決まっています。お目当てのブッシェンシャンクが閉まっていた、なんてことがよくありますので、事前に村のワインカレンダーなどを参照していくのがオススメです。

そんな営業日をわかりやすくするのに使われるのが、ツヴァイク(Zweig)やブッシェン(Buschen)と呼ばれる、木の枝。この枝が入り口にさしてあると、アウスゲシュテックト・イス!(ausg'steckt is'! 直訳は「枝が刺さっている!」)という呼ばれ、この言葉が、ワインを楽しむ人たちの合言葉となっています。

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<ウィーン郊外の老舗ホイリゲの入り口に、枝が掲げられている>

また、ブッシェンシャンクは、いわゆる「コールドプレート」(ハムやベーコンやパテとパンなどの、火を通さない料理)しか出すことができません。しかし、地元の農家でとれたベーコンや、女将さんが作った煮凝りやパテなど、都会では食べられない豊かな味わいが楽しめます。

ぜひ、ワイン畑を見下ろしながら、美味しいパンにハムやチーズをのせ、地元のワインを味わってみてください。

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<シュタイヤーマルク州のブッシェンシャンクのコールドプレート>

なお、ウィーン近郊のホイリゲは、ブッシェンシャンクよりは緩いルールとなっていて、暖かい料理がメニューに並び、年中営業となっていますので、観光で訪れる人には便利です。

また、ウィーン市内にはおしゃれなワインバーもあります。ここでは、オーストリア国内だけではなく、海外のワインも楽しむことができますし、ショップ併設の場合は、お店で買ったボトルを持ち込み料(Stoppelgeld)を払って店内で飲むこともできます。

ワインはどこで買う?

オーストリアはスーパーでもワインコーナーを大きくとってあり、テーブルワインから少し良いワイン程度なら、手軽に購入することができます。

専門店をお探しの場合、ウィーン市内には、観光ルート上に気軽に入れるワインショップも多数あり、メジャーどころのワイン生産者のボトルが並んでいます。

もっとこだわる方は、自ら郊外にあるホイリゲやワイン生産者を訪ね、お気に入りの一本を見つけることも可能です。ホイリゲなどで出会って気に入ったワインは、農家の中庭の直売(Ab-Hof Verkauf)で、箱買いすることもできますよ。ホイリゲやブッシェンシャンクは、生産者自身が経営しているので、「このワインが気に入ったので、2,3本買って帰りたい」と伝えるだけで、お会計も一緒にしてもらえます。

ブドウ品種と選び方

オーストリアのブドウ品種は、白が22種類、赤が14種類あります。その中でも、オーストリアに来たら飲みたい品種と、特有の表現をまとめます。

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オーストリアワインと言えば白ですが、この白ワインの中でも最もメジャーで、オーストリアらしいと言えるのが、グリューナー・ヴェルトリーナー(Grüner Veltliner)という品種。オーストリア固有品種で、全白ワインの47%を占めます。名前に「緑(Grün)」という単語が入っている通り、薄い緑色をしたワインです。さっぱりとしたフルーティーな飲み口が特徴で、さまざまな料理によく合います。

赤ワインの場合、「ツヴァイゲルト」という品種が最もメジャーで、全赤ワインの40以上を占めます。チェリーの香りとタンニンが強めな、この国独自の品種です。

ロゼワインは、シュタイヤーマルク州のシルヒャーワインが有名です。

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<白ワインとシルヒャーのロゼワイン>

また、ウィーン近郊でよく見かける「ゲミシュター・サッツ」(Gemischter Satz)という表現があります。これは、同じワイン畑に植えられた複数の品種を混ぜて作られたワインで、キュヴェ(生産者が独自に配合したワイン)とは異なり、テロワールの特徴がよく表れていると言われています。

甘いワインがお好きな方は・・・。

オーストリアは、甘いワインも種類が豊富で、お値段もお手頃。

甘さが低い順に、以下のようになっています。

  • シュペートレーゼ:Spätlese(完熟ブドウ使用。糖度94)
  • アウスセーゼ:Auslese(厳選された完熟ブドウ使用。105)
  • アイスヴァイン:Eiswein(アイスワイン。127)
  • シュトローヴァイン:Strohwein(完熟ブドウを藁の上で乾燥させ、糖度を濃縮させたワイン。糖度127)
  • ベーレンアウスレーゼ:Berrenauslese(貴腐ワイン。127)
  • アウスブルッフ:Ausbruch(完熟乾燥貴腐ワイン。糖度138で、Rust近郊のもの)
  • トロッケンベーレンアウスレーゼ:Trockenberrenauslese(完熟乾燥の貴腐ワイン。糖度150)

また、貴腐ワインやアイスワインなどでなくても、甘いワインはあります。

ワインの品種としては、Muskattが付いているものが一般的に甘く、デザートワインとしても好まれます。

また、シュタインフェーダー・フェーダーシュピール・スマラクト(Steinfeder, Federspiel, Smaragt)という、ヴァッハウ地方特有の区分がありますが、このスマラクトの区分のものは、甘い傾向が強いです。

この、甘いワインの見つけ方を知っていると、適材適所で飲みたいワインが見つけやすくなりますよ。

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まとめ

美味しいオーストリアワインとの出会い方、いかがだったでしょうか?生産地に足を運び、生産者のワイン居酒屋で、ブドウ畑に囲まれて味わう、その土地のワイン。気に入ったら直接生産者から買い、思い出と共に後でゆっくりと楽しむのも、旅の一つの楽しみ方ですね。

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ひょろ

オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。

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