「保護者の絆」ラクシャーバンダンにみるインドの歴史

こんにちは。田澤ともきです。

モンスーンが例年より長引き、満月の日と歴史的祝日が重なるなど、占星術や天文学的に今年はすごい年、なんだそうです。インドの占星術はヴェーダという古代叡智に基づいたものです。数々のお祭りやしきたりがこのヴェーダの時代から続いているものです。

今回はその中でもラクシャーバンダンというお祭りについてお伝えします。

目次

ラクシャーバンダンとは

ヒンディー語で保護者の絆を意味します。姉妹は兄弟の右手首にラーキー(吉祥の紐)を結びつけ、兄弟は返礼として贈り物を姉妹に与え、姉妹を保護することを誓う、兄弟の儀式なのです。姉妹はラクシャー(保護)を兄弟に求めるという現代の男女平等が叫ばれるずっと前の時代のお話。この話については後で触れたいと思います。

季節は、シュラーヴァナ又はサーワン月の満月に行う、ということで今年は8月15日。今でもこの日は田舎などではお休みをもらうサラリーマンも少なくありません。それぐらいヒンズー教の人にとっては大事な儀式なのです。インド人の旦那さんは、毎年この日になると妹達のいる実家に赴き、ラーキーを結びます。

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たくさんあるラーキー(飾り紐)。これを姉妹が兄弟に結ぶ儀式なのです。私は長男の嫁ということで、同じように義妹達から結んでもらいます。

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デザインは様々です。これは、サンダルウッドの実が付いたラーキー、ほかにもキャラクターものや派手な腕輪など様々です。

ちなみに、ヒンズー教のお寺にお参りにいくとお坊さんが赤い紐をつけてくれますが、これもお守り的なモノ。これが切れると、自分の代わりに身を守ってくれたといわれるのだとか。

現代のラーキー

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現代では、この昔ながらの習慣がある意味「お祭り」チックになっているのは、日本とあまりかわりません。というのも、若い世代の人たちはヒンズー教のしきたりや歴史をあまり知らない人が多いのも事実。白い布を被る習慣があるそうで、にっこり笑っていますが、旦那さんはどうしてこの白い布をかぶらなくてはいけないのか、聞いても実はあまりわかりません。

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決して姉妹、兄弟ではなく、この親族の結束(必ずしも血のつながった兄弟とは限らない)を示すため、特別な場合にも使われることがあります。たとえば、侵略から逃れるために、義兄にあたる王様へラーキーを送り助けを求めたという神話があります。親族の絆、とは派閥の絆でもあり、一族として存続するための一つの証でもありました。

現代のラーキーはラーキー+プレゼントが一般的

インドが独立し、平和になってからラーキーの本来の意味もどんどん薄れていったのでしょう。お祭り好きなインド人にとって、ラーキーは兄弟がプレゼントをもらえる嬉しい日でもありますが、今年は8月15日という事もあり、独立記念日の日にも重なりました。(独立記念日は国民の祝日にもあたります)。月の満ち欠けで記念日が変わるヒンズー暦は、毎年お祭りの日が変わるのです。

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みてください!このナショナルフラッグファッション!(国旗スタイル)インドの旗はこのオレンジ、白、緑で構成されています。独立記念日はインド人がインド人になった記念日ということもあり、宗教関係なくお祭りムード。インドという国ができたことをお祝いします。

今年はラクシャバンダンとこの独立記念日が一緒の日で、さらにめでたい日となったわけです。

植民地という背景

実際にまだ独立して71年。それまではイギリスの植民地やムガール帝国(イスラム教)の支配下にあったインドという国で80%を占めるヒンズー教のお祭りが復活するまで約一世代ほどです。

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私達の40代のインド人は植民地時代を知りません。それは、私達が戦争を知らないように、今のインドが当たり前となっています。が、その歴史は非常に様々な出来事が起こっており、それに伴ってお祭りや儀式が行われていましたが、その意味が薄れつつあるのだなぁと感じます。

ラクシャバンダンがインドの都心部であまり行われなくなっているように、どんどん時代は変わっていきます。文化に根付いた植民地支配という恐ろしさや契りを交わす事で保護されることを約束する儀式が今でも残っているなど、生き残るための一族の必死さが実はこうした昔からのお祭りの背景には存在します。

まとめ

インドに住んで6年。この国の歴史、文化が一つ一つ意味を持って今でも語り継がれています。それを大事にする人々によって継続するのです。それを自分達の代でないがしろにはできません。

文化とは、こうして作られていくもので、私達はその担い手の一人として存在するのだと気づかされます。インドの文化やお祭りの意味が分かると非常に切ない気持ちになるのはなぜかわからないけれど、歴史に触れる一瞬だからかもしれません。

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田澤ともき

アーユルヴェーダがきっかけでインド在住。ハイテクから古代伝統まで、100人100色楽しめますよ。インドならではの出来事や、インド生活についてお届けします。

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