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ベルギー旅行で注意することは?住んでいるから分かる治安事情を紹介します
世界遺産やグルメはもちろん、夏はテラスでビール、冬はロマンチックにクリスマスマーケットなど、四季折々のイベントも楽しいベルギー。フランスやオランダ、ドイツなどと隣接しているため、他国へは日帰り観光も可能。一度にたくさん楽しみたい日本人旅行者にとって、人気の観光地です。
そんな魅力あふれるベルギー旅行を安全に楽しむために、最近のベルギー治安状況について、現地在住の筆者が詳しくお伝えします。
目次
- 1. ベルギーの治安は悪い?旅行で注意することは?
- 2. 気を付けて!旅行者は行かない方がいいベルギーのエリア
- 3. ベルギーの治安レベルを判断するには?
- 4. ベルギー旅行で防犯レベルを高めるコツ
- 5. もしベルギーでトラブルに遭ってしまったときは?
- まとめ:トラブルが不安な場合、ベルギー旅行はツアーもおすすめ!
1. ベルギーの治安は悪い?旅行で注意することは?
2016年にブリュッセル空港で起こったテロ以降、空港や主要な駅には、銃を持った軍の人が必ず見回りを行っています。街中でも警察を見かけることが多く、治安に対しては国をあげて対策を取っているようです。ここでは街中から郊外まで、ベルギーの治安や気をつけるべき点などをみてみましょう。
首都ブリュッセル周辺の治安は?
<ブリュッセル ギャルリー・サンチュベール/写真:ヴァングァーサ彩乃>
ブリュッセル周辺の治安は場所によって変わります。まず目につくのが「物乞い」。駅の入り口やホーム、道端などで、フランス語や英語で話しかけられます。言葉が分からず怖い思いをする人も多いようですが、無視をしても大丈夫。相手にされないと分かると、次のターゲットに向かうことがほとんどです。
観光客が多い場所では、治安が悪いとは感じません。しかし、写真撮影で夢中になっているときやカバンから何かを取り出した直後など、ちょっと隙を見せるとスリに遭う危険があります。「ここは日本ではない」ということを忘れず常に緊張感を持ち、身の回りには注意をしてください。
トラム(路面電車)など公共交通機関を使うときの注意
<アントワープ中央駅/写真:ヴァングァーサ彩乃>
トラムや電車を使って観光を楽しむ際にも注意が必要です。日本人がついやってしまいがちなのが、公共交通機関での「居眠り」。私がベルギーに来た時、パートナーから最初に言われたのは「電車の中で寝るな」ということでした。
観光で歩き疲れた後などは特に、座席についてひと息つくとつい眠気に負けてしまいます。日本では電車やバスの中で寝るのは普通ですが、海外では寝てしまうと何が起こるか分かりません。特に一人旅の際には、疲れていても居眠りをしないように気を付けてください。どうしても眠りそうで危ないときにはカバンを抱きしめておくなど、最低限の対策をしてくださいね。
また、電車に乗っていると小さな紙きれを渡してくる人がいます。多くの場合、フランス語で「お金を恵んでください」という内容が書かれているのですが、これも無視で構いません。言葉が分からず不安な時は、周りの人がどういう対応を取っているのかを確認すると良いでしょう。
歩いているとき、観光しているとき、電車を待っているとき、電車に乗っているとき......「お金を恵んでくれ」と声をかけてくる人はどこにでもいます。中には子どもを使って声をかけさせる人もいますが、かわいそうだと思っても無視するのが一番。
「とはいっても、貧しい人を助けたい......。」という方は、道端でお金をあげるのではなく、正規の団体へ寄付するのがベストです。
ベルギーの郊外は治安が良い?それとも悪い?
<ブルージュ/写真:ヴァングァーサ彩乃>
ベルギーは都市ごとに独自の文化と雰囲気を持ち、「他の街では首都のブリュッセルと違った楽しみ方ができる」と郊外都市も人気です。九州よりも小さい国のため移動がしやすく、郊外までも気軽に足を伸ばすことができます。しかし郊外へ旅行する場合は、都市ごとに気を付けるべきポイントがありますので覚えておいてください。
まず、ブルージュやアントワープなど人気の観光地では、スリが多発しています。観光シーズンでは歩くのが大変なほど混みあう時もあり、気が付かないうちにポケットに入れていたスマートフォンがなくなっていた、なんてこともしばしば。
ゲントやルーヴェンなど、大きな大学があり学生が多い街は比較的治安が良いといえますが、夜遅くの暗い道や公園には近づかないようにしてください。ホームレスの溜まり場になっていたり、大麻の取引が行われていたりすることがあります。
2. 気を付けて!旅行者は行かない方がいいベルギーのエリア
ベルギーの素敵な建物を眺めながら歩いていると、いつの間にか路地に入ってしまっていた、なんて事もありますよね。似たような建物が多く、迷ってしまうこともあるでしょう。ですが、エリアによっては治安が良くないこともあります。観光地に来るときは、事前に危ないエリアをリサーチし、危険を回避してください。
ベルギーでは「通り」ごとに治安レベルが変わる?
通りごとと言うよりも、駅によって治安が変化すると言ったほうがいいかもしれません。ブリュッセルを例に挙げると、観光地が集中する「中央駅」、他国からの電車の主要駅である「南駅」、比較的安価にホテルが見つかる「北駅」があります。この中で一番気を付けてほしいのは「北駅」。
ブリュッセル北駅は出口によって全く雰囲気が変わる場所です。できることであればこの周辺は近づかないことをおすすめします。
北駅周辺で注意してほしいのは、西側と東側です。西側には多くの移民が集まり、雰囲気が違ってまるで別の国のよう。ホームレスも多くいます。また、東側には売春婦が多く存在する地域へとつながっています。ベルギーでホテルを探す場合はこうした場所のホテルではないかどうか、住所もチェックして下さいね。
- ブリュッセル北駅(Bruxelles-Nord)
ブリュッセル南駅は中央駅よりも大きく、旅行者も多くいます。しかし、少し歩くだけで薄暗い通りに入ってしまいますので、夜出歩く際は注意してください。観光するような場所もありませんので、南駅周辺に宿泊するときは、できるだけ中央駅周辺で食事や観光を楽しみ、南駅はなるべく歩き回らないようにするとよいでしょう。
ベルギーには小さい道がたくさんあります。一人の時は特に、薄暗く、人通りが少ない道は避けてください。
- ブリュッセル南駅(Gare de Bruxelles-Midi 仏/Brussel-Zuid 蘭)
興味本位で行ってはいけない場所がある
先ほどもあげたように、ベルギーには小道がたくさんあり、いつの間にか危ないエリアに繋がっていた、ということもあります。地元の人はその雰囲気で「ここは危ない通りだな」と分かるのですが、旅行者にとっては見分けがつきにくいもの。昼夜問わず、人通りが少なく薄暗い場所には近づかないでください。特に北駅、南駅周辺は、昼間でも気をつけていただきたいエリアです。
3. ベルギーの治安レベルを判断するには?
<ゲント/撮影:ヴァングァーサ彩乃>
日本国内でも毎日多くの事件、事故をニュースで目にします。それは世界各国、どこでも同じ。自然災害やテロなど、予測不可能な事態はいつでも身の回りに起こりえます。とはいえ、旅行中に災害や事件があるといつも以上に不安になるもの。万が一の際に正しい対応ができるように、最新の情報を入手するようにしてください。
外務省の案内などを読む
治安情報を事前に確認しておくことができれば、危険なエリアには近づかないように対策がとれます。情報を得るためにも、ぜひ「たびレジ」に登録してください。
「たびレジ」とは、外務省や大使館から最新情報が届く、メール配信サービスです。駅で不審物や爆発物が発見されたとき、日本人が絡む事件や事故、テロや自然災害などの緊急事態が起こったときなどにメールで知らせてくれます。事件の進行状況や規制の有無なども発信してくれるので、現地での行動を検討する際に、かなり役に立ちます。
「たびレジ」は無料で登録することができ、旅行が終わった後には簡単に登録を解除することが可能。旅行の日程が決まったらできるだけ早く登録し、出発前に現地の情報を仕入れてください。
また、旅行会社を利用する際は、緊急時のヘルプデスク情報や連絡先を確認しておきましょう。いざというときに日本語で状況を説明できる窓口があるのとないのとでは、安心感が違います。
ベルギーのニュースサイトなどを読む
現地のニュースサイトを読むのもおすすめです。ほとんどのニュースサイトは英語版も選択できます。ぜひ参考にしてください。
【flandersnews.be(VRT)】
フランダース地方メインのニュースサイト。
公式URL:flandersnews
【euronews】
ヨーロッパのニュースサイト。複数の国からベルギーを選択できます。
公式URL:euronews
【Brussels Express】
ブリュッセルの情報を中心に伝えるWebサイト。ニュースだけでなく、イベントや旅行に役立つ情報もあります。
公式URL:Brussels Eexpress
4. ベルギー旅行で防犯レベルを高めるコツ
<ブリュッセルのストリートアート/撮影:ヴァングァーサ彩乃>
旅行中にスリや盗難などのハプニングに遭ってしまうと、せっかくの旅行が台無しになってしまいます。そうならないためにも、事前にできる防犯をしっかりと行いましょう。この項目では、ベルギー旅行で具体的にどのような対策をすれば良いのかお伝えします。
服装や持ち物
旅行者は、とにかくスリや置き引きなどの被害に遭いやすいと言えます。土地勘があまりなく、観光に夢中で注意力が散漫になっている旅行者を狙うのは、犯罪者の心理を考えると納得はできるかもしれません。
被害を避けたいのであれば、旅行者と見られないような服装をすることです。旅行先だからといって着飾ったり、日本人の感覚でブランドもののカバンを持ち歩いたりするのはやめましょう。財布やスマートフォンをポケットに入れるのも危険です。
また、「小便小僧」や「グランプラス」のような有名な観光地は、いつでも多くの人でにぎわっており、スリに遭う危険性が高まります。持ち物は上着の内側に入れる、ふた(またはファスナー)の閉まるカバンの奥に入れておくなど、用心するようにしてください。
現金を多く持ち歩かない
現金を多く持ち歩くのも狙われやすいポイントです。ベルギーはカード社会で、現地の人は現金をあまり持ち歩きません。そのため、現金を多く持っていることが分かると狙われやすくなるのです。
これは個人の経験ではありますが、ときどき日本人の観光客で換金したお金を封筒に入れたままにしている人を見かけたことがあります。レストランやカフェで封筒から現金を出している様子をスリが見れば、狙われることは間違いありません。
スリはいつ、どこに潜み、どこから目を付けているかもわかりません。現金は最低限で持ち歩き、何かあった時のために上着やカバンの中など小分けにして持ち歩くのが良いでしょう。ワロン(ワロニア、ワローニア)地方など、郊外で車を借りる方は、人通りが少ないところに駐車しないこと。また、カバンなどを外から見えるところに放置しないことなどにも留意してください。
立ち振る舞い
経験上、物乞いや不審な人に声を掛けられやすいのは一人でいるときです。 一人旅行なら仕方がありませんが、旅行の同行者がいる場合には、できるだけ一緒に行動するとよいでしょう。また、周りをきょろきょろと見まわしたり、スマートフォンの地図アプリを見つめていたりすると狙われます。犯罪者はスキがあり、声をかけやすい人を狙っています。堂々とした立ち振る舞いを心掛けてください。
特に日本人には、「こんにちは」「ありがとう」などと日本語で声をかけてくることがあります。不用意に答えたり、笑いかけたりすると相手はどんどん近づいてきて、フランス語や英語でまくし立ててきます。そして自分でも気づかないうちに、スリや犯罪の被害に遭ってしまうのです。
知らない人や不審な人に話しかけられた場合は、無視をして立ち去るのが正解。中には本当に助けを求めて話しかけてくる人もいるかもしれませんが、英語が苦手な人は特に、「自分の身は自分で守る」という意味でも、不用意に相手にしないようにしてください。
5. もしベルギーでトラブルに遭ってしまったときは?
トラブルはどこにでも潜んでいます。トラブルに遭わないことが一番ですが、何かあったときのための対処法を知っておきましょう。迅速な対応がトラブルの拡大を防ぎ、早急な解決につながります。では、ベルギーでトラブルに遭ってしまった時はどうすればよいのでしょうか。
その場の対応
パニックにならず、冷静になる事が第一です。何が起こったのか自分で冷静に理解し、次の行動を考えましょう。スリなど相手がいるトラブルの場合、直接当事者同士で話すのは危険です。言葉の壁はもちろん、さらなるトラブルに発展することも。
そんなときは、近くのレストランやホテルの人、目撃者などに助けを求めましょう。いつでも連絡ができるように、滞在先のホテルの連絡先、利用した旅行会社の緊急連絡先などをカバンにいれて持ち歩いておくと、いざというときに役立ちます。
警察への連絡
事故に遭ったり何かの事件に巻き込まれたりした場合、警察への連絡が必要になります。すぐに最寄りの警察に届けてください。言葉に不安がある場合は大使館へ連絡し、対応方法を相談するのも良いでしょう。
ベルギーでの緊急連絡先
- 警察:101
- 救急:100
以下は、ベルギー旅行において「知っておくと便利な会話集」の一覧です。
<図表作成:たびこふれ編集部>
大使館への連絡
以下は、在ベルギー日本国大使館へのアクセスと連絡先です。パスポートを紛失してしまった際には直接出向く必要があるので、もしもの時のためにチェックしておくとよいでしょう。
【在ベルギー日本国大使館・領事部】
- 電話番号:02-500-0580
- 住所:Rue Van Maerlant/Van Maerlantstraat 1, 1040 Bruxelles/Brussel
- 公式サイト:在ベルギー日本国大使館
まとめ:トラブルが不安な場合、ベルギー旅行はツアーもおすすめ!
<ルーヴェン/撮影:ヴァングァーサ彩乃>
ここまでベルギー旅行をする際に気を付けたい、治安状況や対策についてご紹介しました。もし、対策に不安がある場合は、ツアーでの旅行も検討されると良いかもしれません。
もちろん個人旅行とツアー旅行では、それぞれにメリット・デメリットがあります。個人旅行は自由度が高く、自分の気になった場所に好きなタイミングで行けますね。しかしその反面、移動方法の下調べや、現地での臨機応変な対応が必要になります。言葉にある程度の自信があり、海外旅行の経験がある人向けと言えるでしょう。
一方、ツアーはスケジュールが決められ、団体行動が基本です。しかし、個人では少し行きづらい場所に行けるプランや、ガイドさんがいることによる安心感、日本語で観光スポットなどの説明が聞けるといったメリットもたくさん。「主要な観光地を回りたい」「言葉に不安があり移動も個人だと心配だ」という方には、ツアーがおすすめです。
ベルギーは小国ながらも魅力がたくさんあり、他の国とのアクセスが簡単なことから、リピーターになる人も多いようです。最初はツアーで参加し、二度目以降は穴場を個人で巡るというのもいいかもしれませんね。この記事でご紹介した電車で眠らない、カバンを手から離さない、危ないエリアには近づかないなど、基本的な対策をしていれば、トラブルに巻き込まれたり怖い思いをしたりすることはあまりないでしょう。
繰り返しになりますが、素敵な思い出をつくるためにも「自分の身は自分で守る」という意識を強く持って、ベルギーを楽しんで下さい!
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ヴァングァーサ彩乃
- 2017年9月から、ベルギー人との結婚を機に移住。ゲント在住、語学学校でオランダ語を勉強しながら、現地の個人ガイドとして活動しています。ベルギービールとチョコレートが大好きで、休みの日には自転車で地方を巡っています。