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ところ変われば、こんなに違う。エクアドル国内に住む民族を紹介!
エクアドルは多民族国家。色々な文化様式を持った人々が住んでいます。今回はエクアドルの原住民族についてご紹介します。
目次
エクアドルの風土について
エクアドル国。国名の由来は「赤道」を通っているから。「エクアドル(ECUADOR)」とはスペイン語で「赤道」を意味します。そのままですね。
しかし、風土は多様性豊か。国内は下記の3つの地域・風土に分けられます。
海岸地域(コスタ)
【地図】左、緑部分。
高温多湿。じめじめと汗をかく。
山岳地域(シエラ)
【地図】中央、茶色部分。
六千メートルを越える山がある。過ごしやすいが朝夕冷え込む。高地の為、乾燥する。
熱帯雨林地域(オリエンテ または セルバ)
【地図】右、緑部分。
アマゾン川が流れる。高温多湿。雨がよく降る。
地域により原住民族も様々。今回は、私が訪れた各地方の3民族を紹介します。
海岸地域民族「サチラ族(Tsa'chila)」
首都キトがあるピチンチャ県の隣、サント・ドミンゴ県には「サチラ族」という先住民族が暮らしています。
今回は、街の中心からタクシーで30分弱に位置するサチラ民族ミュージアムを訪問しました。
サチラ族の「サチラ」とは【真実の】又は、【誠実な】という意味があります。彼らの言葉サフィキ語の「サフィキ」も、【真実又は誠実な言葉】という意味があります。
サチラ族は、服装が非常に特徴的です。
男性はサイドの髪の毛を剃り、残りの頭髪を「アチョーテ」という木の実で真っ赤に染めます。その頭上には「ミシィリー」という綿の輪を飾ります。衣服について、男性は白と濃紺から成る横縞模様の布を腰に巻き、上半身はベストのみを着用します。
女性は、反対に沢山の色が使われた布を腰に巻き、背中の開いた服を身に着けます。この色彩は虹を表しています。
サチラ族には、韓国のヨモギ蒸しの様な文化があります。十分に煮た薬草を、煮た湯と共に地面へ掘った穴へ流し込みます。そして、服を脱ぎマントを被った状態で穴の上に座り、身体を蒸し温めます。この蒸し風呂は、病気が良くなるよう治療として行われます。
ここではアナグマをペットとして飼っていました。人懐こく可愛いのですが、流石にアナグマという名の通り、顔の穴という穴に興味を示してきました。
このスペースは、月による儀式を行う特別な場所です。月のエネルギーを得る為、頭上中央には屋根がなくオープンになっています。床の中心には花が十字型に飾られております。十字型の四方はそれぞれ【空気】、【火】、【大地】、【水】を表しています。このワラ小屋では、木琴や太鼓の音色に合わせたダンスを披露してくれました。
サチラ ミュージアムでは、天然素材で作られたブランコ、やり投げ等を体験出来ます。更に追加代金で食事を頂く事も可能です。
サチラ ミュージアム(Museo Etnografico Tsáchila)
山岳地域民族「キチュア族(Kichwa または Quichua)」
お次は「キチュア族」。実は国内で一番人口が多く、最も知られている民族です。その為、キチュア語はエクアドルの第二公用語とされています。違う民族の人でも、ケチュア語の「アチャチャイ(寒い)」、「アラライ(暑い)」等の簡単な言葉はエクアドル全土で使われています。
上記の写真はイバラ県の「オタバロ」。オタバロは民族衣装や民芸品で有名な町です。毎週土曜日には町全体が市場と化し、民芸品を買いに人々が訪れる観光スポットとなっております。
しかし、今回は同県内の「アンゴチャグア」という小地区を紹介します。アンゴチャグアは県都イバラから約15kmに位置します。
このアンゴチャグアの広場、川と山の斜面が交差しエネルギーと知恵が集まる場所と考えられています。ここに村人たちは集まり、結婚や新築のお祓いの儀式を行います。
儀式では、円の周辺に様々なフルーツが置かれます。キチュア族では大地の神を【パチャママ(母なる大地)】として崇めます。この場所は複数の目的を持っています。【神々を崇める時】、【悪い力を回避する時】、そして【お祭りなど楽しい時を祝う時】に利用します。
訪問者達に、"リンピエサ(お祓い)"を施してくれました。儀式は植民地化される前から存在し、現代に受け継がれています。
アンゴチャグアに住むキチュア族の衣装について。男性は、白色のシャツと同色のズボンを着用します。女性は、その土地ならではの可愛い刺しゅうが入ったブラウスと、暗色の長い巻きスカートを着用します。同様に黒、もしくは暗色の帽子を被ります。(帽子の高さは、流行により変化するそうです。現在は低めがおしゃれのようです。)
村から歩いて1時間弱、展望台からは緑豊かな辺り一面の大地が見渡せます。
アンゴチャグア(Angochagua)
オタバロ(Otavalo)
アマゾン地域民族「シュワル族(Shuar)」
3番目の民族「シュアル族」は、アマゾン地域の民族です。昔は、首狩りの風習があった為「首狩り民族」として知られていました。
今回は、モロナサンティアゴ県都の隣、スクア郡の町から7kmに位置する「キンティア・パンキ」という場所に訪れました。
「キンティア・パンキ」とはシュアル語で【暗色の毒ヘビ】という意味。昔、暗色の毒ヘビが滝に住んでおり、人々は近づかずにいました。しかし大規模な地滑りが起こり、毒ヘビの住処である水たまりや洞窟が埋没しました。おかげで人々が訪れられる場所になりました。現在は、滝で神への感謝を表す儀式を行うと共に、その静かな聖地を皆が訪れられるよう観光地として開放しています。
「キンティア・パンキ」を訪れると、まずは、歓迎のダンスと儀式を披露してくれます。そして、観光客の顔へ赤い実「アチョーテ」を使いペインティングを施してくれます。
滝へ向かう道中、自生する植物をガイドが説明をしてくれます。スクア郡名の由来になったスクー(SUKU)の木、オジギソウ(DORMILONA)の効用など教えてくれました。
2つの滝を案内してくれます。同時に、草タバコやほら貝を使いながら、神に対し浄化とエネルギーを受け取る儀式を行います。
最後はお別れの儀式。観光客も一緒にダンスを参加します。「ヌピ」という木の実で作ったアクセサリーが、踊る際に音を奏で打楽器の役目をはたします。
別途追加代金で、食事も頂くことも可能。今回は鳥の「アヤンパコ(葉で包んだ鳥の蒸し焼き料理)」と「グアユサ茶(アマゾン地域伝統のお茶)」が振舞われました。
キンティア・パンキ(Kintia Panki)
まとめ
エクアドル人の多くはヨーロッパ人とアメリカ先住民の混血「メスティーソ」です。しかし、紹介した3民族を例に、エクアドルでは15の民族が暮らしております。
民族のなかには、国土の奥地に住んでおり文明との接触を避ける部族や、服を着用しない部族も存在します。
文化・習慣が数多く存在する多民族国家「エクアドル」。その多様性こそが、この国の魅力の一つなのだと思いました♪。
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KITAMUCHO
- 南米 エクアドルのアマゾン地域に在住。元旅行会社スタッフ。昔バックパッカーで中南米やアジアを旅した経験をもつ30代女性です。