北条氏が城主の小田原城!新オープンのNINJA館や天守閣などその見どころに迫る

小田原城

江戸時代には幕府がおかれた東京ですが、近郊を見渡しても、大きな城はあまり多くありません。城を探して東京から西に向かってみると、最初に現れるのが小田原城です。小田原城は戦国時代最後の合戦の舞台となって以来、江戸を守る要の城となりました。今回は東京の歴史に深く関わり、重要な価値をもつ小田原城をご紹介します。

目次

1. 小田原城とは? その概要と歴史

2. 都心からアクセスもよい小田原城

3. 小田原城の見どころ

4. 小田原城をもっと楽しむヒント

5. 小田原城のグルメ情報

1. 小田原城とは? その概要と歴史

小田原城は戦国時代に関東一円を支配した、北条氏の城でした。後に北条早雲(ほうじょう そううん)として国内に名をとどろかせた伊勢宗瑞(いせ そうずい)が、15世紀末に支配下においたと伝わっています。早雲に続き、氏綱、氏康、氏政、氏直と、五代約100年にわたり、北条家の拠点となりました。

豊臣秀吉の来攻に備えた戦国時代末期の小田原城。八幡山から相模湾の全長9キロにわたって堀と土塁をめぐらせ、町を守りました。これにはかの豊臣秀吉も攻めあぐね、小田原城は「難攻不落の城」として知られるようになります。小田原市内の各所には、今でも様々な城跡が残っています。

小田原城の概要

小田原城の歴史

これに対して豊臣秀吉も黙ってはいません。色々と策を練り、最終的には小田原城の南西にそびえる石垣山に一夜城を築城。1590年、小田原城は秀吉の奇策により落城し、戦国時代に終わりを告げたのです。

小田原城の落城

江戸時代には、春日局(かすがのつぼね)の血を引く稲葉氏、そして、徳川家最古参の家臣である大久保氏が城主として小田原城に入城し、関東地方防御の要となった箱根の関所などを管理しました。明治維新後の1870年に廃城となり、その多くが解体されます。1923年9月の関東大震災の際には、石垣を含めてほぼ全壊してしまいました。

1960年には、小田原市民の強い希望によって天守閣が復興。廃城以来、90年ぶりのことでした。続いて1971年に「常盤木門(ときわぎもん)」、1997年には「銅門(あかがねもん)」、2009年には「馬出門(うまだしもん)」が復元され、歴史的な景観が次々に復活しつつあります。城内では一年を通じて様々なイベントが開催されており、小田原城址公園内であれば無料で自由に散策できるとあって、多くの人がこの地を訪れるようになりました。

2. 都心からアクセスもよい小田原城

都心から交通機関を利用して行く場合、小田原城の最寄り駅は小田原駅。東京駅から新幹線で約35分、新宿から小田急ロマンスカーで約1時間15分の近さです。

小田原城のアクセス

小田原駅

小田原駅東口

小田原駅の東口を出たら、錦通り入口の交差点を右折。お堀端(おほりばた)通りを南に歩いていると、小田原城「二の丸東堀」が目に入ります。小田原駅から徒歩約10分で到着です。

3. 小田原城の見どころ

小田原白の見どころは以下の通りです。

3.1 「正規登城ルート」が設定される小田原城址公園

小田原城「二の丸東堀」に沿ってお堀端通りを歩くと、小田原城の建築物として最初に見えるのは「学橋(まなびばし)」です。鮮やかな朱色の橋がとても印象的で、この橋を渡ると常盤木門に通じます。

学橋(まなびばし)

学橋の前

学橋から常盤木門を通っていけば天守閣への近道なのですが、「正規登城ルート」と記された観光ガイドに則って、小田原城を紹介していきます。

3.2 「正規登城ルート」では馬出門が公園の入口

学橋を通り過ぎ、「二の丸東堀」を横目に100メートルほど歩くと、城址公園に向かって「馬出門土橋」が架けられています。この橋を渡った先に建つ馬出門が、正規ルートでいう小田原城への入口です。

「馬出門」をくぐると正面は堀となっているため、直進することはできません。左右には土塀が築かれていますので、「馬屋曲輪(うまやくるわ)」「二の丸」へは「内冠木門(うちかぶきもん)」を通っていきましょう。

門や塀で四角い空間を作る門構えを「枡形門(ますがたもん)」と呼んでいます。戦国時代末期から江戸時代にかけて用いられた城郭建築の様式で、小田原城にはこの様式で築かれた門が多数あります。

枡形門(ますがたもん)

枡形門_アップ

3.3 二の丸の正門の役割を担う「銅門」

馬屋曲輪を堀に沿ってL字を描きながら進み、住吉橋を渡ると二の丸エリアに入ります。

二の丸エリア

内仕切門(うちじきりもん)

二の丸で正門の役割を担っている銅門。住吉橋の正面にある内仕切門(うちじきりもん)をくぐると、また土塀に囲まれた枡形の空間に出てきます。二の丸に行くには、左の方に直角に曲がり「渡櫓門(わたりやぐらもん)」をくぐります。渡櫓門には名前の由来となった、銅板の装飾が施されています。

渡櫓門(わたりやぐらもん)

櫓の中には敵の侵入を防ぐ「石落とし」のしかけが設けられています。ここから石を落とし、枡形の空間に閉じ込められた敵兵に攻撃を加えるという戦法です。土・日曜日および祝日には銅門内部の特別公開(10:00~15:00)が行われています。

銅門内部

小田原評定の模様がリアルに再現されている場所もあります。

小田原評定の模様

北条家五代にわたって家臣や国人の裏切りがほとんどなかったのは、北条氏に仕える「評定衆」らが自ら戦術などを練ったからだとされています。城主が一方的に命令を下すのではなく、人々の意思で策を決めたことが、裏切り行為を防いだのでしょう。

3.4 堅固な門構えで本丸、天守閣を守る「常盤木門」

二の丸広場跡を右手に見ながら少し進むと、小高い丘の上に堂々とした構えの門が見えてきます。

常盤木門

この常盤木門は本丸の正門にあたり、多聞櫓(たもんやぐら)と渡櫓門をもちます。

多聞櫓(たもんやぐら)

城の防衛において極めて重要な役割をもつため、場内の門の中では最も大きく、堅固に作られました。
多聞櫓は武器などを保管する場所として使われていたのだそうです。

渡櫓門(わたりやぐらもん)

常盤木門のそばには緑の葉がきれいな松が植えられています。松は緑の葉を一年中失うことなく力強く育つということで、その姿に永久不変に繁栄する小田原城を重ね、「常盤木門」と名づけられたと言われています。

常盤木門SAMURAI館

3.5 甲冑や刀剣などの武具が展示される「常盤木門SAMURAI館」

常盤木門の2階は「常盤木門SAMURAI館」として公開されています。2016年にリニューアルオープンした展示室では、甲冑や刀剣などの武具に絞った展示を行い、武具がもつ独特の芸術性や、武士の精神性を紹介しています。

展示_甲冑

展示_刀剣

3.6 3重4階の複合式天守閣

「常盤木門SAMURAI館」を出ると、本丸越しに小田原城のシンボル、天守閣が見えます。こちらの天守閣は3重4階の天守櫓(てんしゅやぐら)・付櫓(つけやぐら)、渡櫓(わたりやぐら) を付しており、複合式天守閣と呼ばれています。

江戸時代の雛型や、宝永年間に改修された際に作られた引き図をもとに、江戸時代の姿が復元されました。白壁が清々しさを感じさせる一方で、堂々とした風格を漂わせています。

複合式天守閣

鉄筋コンクリート造りで、地上38.7メートルの天守閣。1960年に約8千万円の総工費をかけ、市制20周年記念事業として復興されました。復興の実現に向け、「瓦一枚運動」という募金活動がはじまります。寄付をすると瓦に名前が記されるということで、数多くの市民から寄付がよせられました。

天守閣の内部は、歴史資料の展示施設として一般公開されています。甲冑、刀剣、絵図、古文書など、小田原の歴史を物語る資料や、武家の文化に関する資料などが多数展示されています。

天守閣の一般公開

1階では「江戸時代の小田原城」をテーマとし、江戸の西で幕府を支えた小田原城の役割や歴代城主の足跡を紹介しています。

小田原城の歴史

展示コーナーの一画に設けられたシアターでは、戦国時代の終盤に落城する前夜の小田原城内の様子がディスプレイに映し出され、とてもリアルに当時の様子を見ることができます。

fcd73cb658f3d7ec0862e8c792e2b874-thumb-700xauto-105511.jpg

2階では「戦国時代の小田原城」をテーマに、小田原城を拠点として関東の広い地域を治めた戦国大名、小田原北条氏の足跡が紹介されています。

戦国時代の小田原城

3階では小田原ゆかりの美術工芸品を展示。小田原城の発掘調査の成果を様々な角度から見ることができるのも、大変興味深いものです。

美術工芸品

4階のテーマは「その後の小田原城」。明治時代から現代までの小田原城の歴史を紹介しています。

その後の小田原城

5階は天守閣の最上階にあたり、江戸時代の天守に祀られていたと伝わる摩利支天像(まりしてんぞう)が安置されています。高欄(こうらん)付きの廻縁(まわりぶち)からは、相模湾が一望できるばかりでなく、天候がよければ房総半島まで望むことができます。

摩利支天像(まりしてんぞう)

廻縁(まわりぶち)

3.7 小田原の名産品が並ぶ天守閣内のミュージアムショップ

天守閣1Fにはミュージアムショップが併設されています。

ミュージアムショップ

店内には小田原城を模したグッズの他、提灯や寄木細工(よせぎざいく)など、小田原の名産品をお土産に購入すると喜ばれそうです。

グッズ_提灯

グッズ_寄木細工

3.8 風魔忍者(ふうまにんじゃ)をモチーフにした体験型ガイダンス施設の「小田原城歴史見聞館」

小田原城歴史見聞館は、2019年4月20日にリニューアルオープンします。戦国時代には、小田原城主であった北条氏を陰で支えた風魔忍者の歴史や文化を学ぶことができる、体験型のガイダンス施設(NINJA館)が登場します。一般的な映像や展示という手法だけではなく、触れたり動かしたりできる体験型の展示手法が採用され、子どもや外国の方でも楽しめるように工夫されています。

小田原城歴史見聞館

3.9 二の丸小峰曲輪の一画に社殿を構える「報徳二宮神社」

小田原城天守閣の南西の二の丸小峰曲輪(こみねぐるわ)の一画に、「報徳二宮神社(ほうとくにのみやじんじゃ)」が社殿を構えています。二宮尊徳の生誕地が小田原であったことから、1894年に報徳社の総意により、翁(おきな)を御祭神として建立されました。

報徳二宮神社

社殿には神明造りの様式が採用されています。

社殿_神明造り

拝殿の礎石には、江戸時代末期の天保年間に、米蔵の礎石となっていた石が用いられています。天保の大飢餓(てんぽうのだいききん)の際、藩主大久保公の指示により小田原城内の米蔵を開き、米を領民に配布しました。この判断により、小田原11万石の領内には、一人の餓死者も出さなかったと伝わっています。

天保の大飢餓

小田原11万石の領内

境内に設けられた「きんじろうカフェ」は自然の緑に溶け合いながら、おしゃれな雰囲気を漂わせています。

きんじろうカフェ

3.10 小さな子供の歓声がこだまする「こども遊園地」

報徳二宮神社の北側から城址公園内に進むと、左手に「こども遊園地」があります。

こども遊園地

園内には豆汽車やバッテリーカーなどの遊具を備え、小さな子どもの歓声がこだましています。

遊具_バッテリーカー

園内からは真正面に小田原城が。

園内の真正面

園内の様子

4. 小田原城をもっと楽しむヒント

小田原城をもっと楽しむヒントを紹介します。

4.1 城址公園内のガイドをお願いできる「二の丸観光案内所」

小田原城址公園内の南端に、二の丸観光案内所が設置されています。

二の丸観光案内所

城址公園や市内観光のガイドを依頼すれば、小田原の興味深い歴史を知ることができます。事前予約の場合は有料となりますが、当日空いている場合は無料でお願いできます。専門のガイドの案内を聞きながら城内をめぐると、小田原城に関するおもしろい歴史や逸話を知ることができ、見聞を広げることができます。

小田原城に関する逸話

4.2 武士やお姫様、忍者に変身できる「甲冑着付け体験」

常盤木門SAMURAI館の1階では、甲冑の着付け体験が可能です。

甲冑の着付け体験

甲冑の他にも打掛(うちかけ)、忍者衣装、陣羽織などを貸し出しているので、武士やお姫様、忍者に変身して、小田原城をバックに記念写真を撮影してみてください!

記念写真撮影

4.3 便利なレンタサイクル「ぐるりん小田原」

小田原市内には、「ぐるりん小田原」というレンタサイクルのサービスがあります。小田原城址公園内では小田原城歴史見聞館の横にレンタサイクル・スポットがあり、ここで自転車が借りられます。小田原駅東口にもスポットがあり、小田原城との往復や市内の観光スポット、名所・史跡めぐりに利用できます。普通自転車のレンタルであれば1日500円とリーズナブルで、効率よく観光することができます。

5. 小田原城のグルメ情報

小田原城のグルメ情報は以下の通りです。

5.1 北条五代にちなむメニューがあるお食事処「本丸茶屋」

本丸茶屋は小田原城址公園内で唯一のお食事処。本丸の北側に設置されています。

本丸茶屋

広々とした店内には10卓ほどのテーブルが。落ち着いてお食事が楽しめます。

本丸茶屋内の様子

1日10食限定の「小田原丼」は、小田原戦国武将の茶漬け丼。無農薬米を使った茶飯のおにぎりに、鰹の一番だしを使ったお茶漬け丼で、だしの中にはたっぷりのネギやミョウガがトッピングされています。幻の「杉田梅」という自家製の梅干は、一般的な梅に比べてクエン酸が数倍高いという健康食品です。
他にも北条うどん、早雲そばなど、北条五代にちなんだメニューを準備しています。

小田原丼

5.2 小田原の名産品が揃う本丸売店

本丸茶屋の東隣には本丸売店があります。店内には天守閣内のミュージアムショップ同様、小田原城に関するグッズや、提灯や寄木細工など、小田原の名産品が並びます。

本丸売店

小田原城は、北条五代の城として規模を拡張しました。戦国時代の最後を告げる舞台となり、歴史の流れの中で全壊したこともありますが、1960年に天守閣が復興され、往時の姿をとり戻しつつあります。
東京からのアクセスもよい小田原城。ぜひ現地を訪れて、歴史をしのんでみてください。

小田原城の基本情報

  • 住所
    • 神奈川県小田原市城内6-1
  • 営業時間
    • 【通常】9:00~17:00(入館は16:30まで)
    • 【桜まつり・ゴールデンウィーク・あじさい花菖蒲まつり・夏季の土日祝日などイベント開催時】9:00~19:00
  • 入館料
    • <天守閣>一般:500円、小中学生:200円
    • <常盤木門>一般:200円、小中学生:60円
    • <歴史見聞館>一般:300円、小中学生:100円
    • <天守閣・常盤木門2館共通券>一般:600円、小中学生:220円
  • 駐車場
    • 一般駐車場はありません。周辺の有料駐車場を利用。
  • 休館日
    • 12月第2水曜日(天守閣)、12月31日、1月1日
  • 車でのアクセス
    • 小田原厚木道路、荻窪ICより約10分
    • 西湘バイパス、小田原ICより約5分
    • 東名高速道路、大井松田ICより約40分
  • 電車のアクセス
    • JR・小田急小田原駅下車、徒歩約10分
  • HP:https://odawaracastle.com/

【神奈川一口メモ】

神奈川には小田原城以外にもさまざまな観光スポットがあります。みなとみらいや鎌倉、箱根など、見どころ満載です。下記に、格安ツアーからちょっとリッチなツアーまで、たくさんのプランが用意されているので、ぜひチェックしてみてください。

<日数と費用>(関東発目安)
●旅行日数:1~4日間
●ツアー費用:約5,000円~約120,000円

>>>神奈川のツアーを探す(外部サイトへリンクします)

関連記事

神奈川」に興味わいてきた?あなたにおすすめの『神奈川』旅行はこちら

※外部サイトに遷移します

Related postこの記事に関連する記事

【GREEN×EXPO 2027とは?】芦田愛菜さんが登壇したマスコットデザイン決定&名前募集の記者発表会から博覧会の情報まで、詳しく紹介します!

Ranking神奈川記事ランキング

ランキングをもっと見る

この記事に関連するエリア

この記事に関連するタグ

プロフィール画像

大林 等

空き時間を見つけては、全国各地、世界各国を旅しています。2009年から、各種雑誌やウェブなどで観光記事の執筆を行うようになりました。国内、海外を問わず訪れた地域の文化や歴史に鋭い視線を注ぎ、気づいたことを伝えることで、各々の地域やスポットの魅力を発信し続けています。

Pick upピックアップ特集

全国の動物園&水族館 徹底取材レポート特集!デートや家族のおでかけなど是非参考にしてみてください♪

特集をもっと見る

たびこふれメールマガジン「たびとどけ」
たびこふれサロン

たびこふれ公式アカウント
旬な情報を更新中!