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フィレンツェからバスで行ける!中世を感じる町シエナの「マンジャの塔とカンポ広場」
イタリアにあるシエナと言う街は、フィレンツェからバスで1時間弱の場所にあります。人口は約5万3000人、フィレンツェの人口が約36万人であるということを考えると、知名度の割には人口が少ない町だということがわかります。
シエナで見るべきものは「カンポ広場」「マンジャの塔」「シエナ大聖堂」と、その内部にある「図書館」でしょう。では、実際に私がシエナへ行った時の経路に沿ってご紹介してみましょう。
目次:クリックで見出しに移動します
1.バスのチケットを買う
フィレンツェのターミナル駅「サンタマリア・ノヴェッラ駅」に向かって立って、左手に進んでいくとバスの停留所があります。一見わかりにくいので見落とさないように注意してくださいね。目印はこちら。
「ENTRATA(ENTRYの意味)」とSITA社(バス運行会社)のロゴです。もう少しわかりやすく「BUS」とか書いておいてくれたらいいのに......と思わずにはいられませんが、ここから入っていきます。
奥に進んでいくと、チケット売り場があります。人が集まっているのですぐにわかります。ここで並び、乗りたいバスの時間と行き先を選んで窓口で伝えます。窓口の方は外国人観光客慣れしていますので、イタリア語でなくとも英語で十分通じます。バスには快速と鈍行があり、片道8.5ユーロです。
こちらが今回、私の乗るバスです。さて、内部はどんな感じになっているのでしょうか。イタリアの長距離バスに乗るのは、実は初めての体験です。ドキドキしながら出発時刻を待ちますが、その間に絶対にしなければいけないことがあります。それは「刻印」です。
停まっているバスの前に黄色の小さいポストみたいなものがありますので、そこにチケットを差し込んで印字をする必要があります。これを忘れると大変なことになるので要注意です。
※註:チケットが刻印されていないことが発覚した場合、罰金が発生してしまいます。
参考:イタリアのバスの乗り方教えて!
無事に印字を済ませたチケットがこちらです。席は特に指定されていないので、好きな席を選んで座ることができます。
今回乗ったバスは2階建てで見晴らしも良く広々としており、快適。そして乗客も少なめです。電源コンセントなどはないので、つい道中ヒマでスマホを触ってしまう方は、充電器や予備のバッテリーをお忘れなく。 私は到着するまでにけっこうな量の充電を消費してしまい、見知らぬ土地で1日過ごすのにバッテリー残量が50%からスタートという、厳しい状況に自らを追い込んでしまいました。
のどかな風景が続きますが、ほんの1時間弱で到着します。なかなかパノラミックな風景を見ることができますので、2階の1番前は特等席ですね。早い者勝ちです。
ここがバス停です。たくさんのバスが停まっていますが、帰りのバスの時間は調べておかなければいけません。時刻表が貼ってあるのでチェックしておきましょう。 フィレンツェからシエナへは電車で行くこともできるのですが、電車で行った場合は町の中心部から少し離れたところに駅があるので、そこからの移動を考えるとバスがとても便利です。
2.世界一美しい広場、カンポ広場へ
バスを降りたら人通りに沿って歩いていきますが、まずは「世界一美しい広場」と称されるカンポ広場へ向かいます。
趣のある標識が並び、ついつい気になります。このレストランになんだか惹かれますが、まずは最初の目的地に向かいます。
ウワサには聞いていましたが、カンポ広場は独特の雰囲気と形状をしています。全体がすり鉢状になっているので中心部が低くなっています。これはシエナがある土地の形状が理由でもありますが、年に2回開催される地区対抗の競馬イベント「パリオ」の際に、重要な意味を持ちます。
ここが驚きなのですが、この広場がパリオの時期は競馬場に変わるのだとか。その時期に合わせてシエナに行く方も多い、世界的に有名なお祭りです。
※註:パリオ(il Palio)は、12世紀頃から続くシエナの伝統的なお祭り。地区ごとにコントラーダ(Contrada)と呼ばれるチームに分かれ、それぞれを代表する騎手と馬が競い合います。
3.トスカーナ地方を見下ろすマンジャの塔へ上ってみる
シエナに来たからには、このそびえ立つ塔に上ってみようと思います。これは「マンジャの塔」と呼ばれる塔で市庁舎の隣に建っています。トスカーナ地方でシエナ大聖堂と並び一番高い塔なのです。
高さは102メートル。建築されたのは1348年、今から669年前(取材時)のこと。その間ずっとこの塔はシエナの人々を見守ってきたのですね。
さて、「上ってみようっと」と気軽な気持ちで決めたものの、チケット売り場へ行ってみると集合時間を指定されました。そして、想像していた以上に色々なルールがあるようです。 たくさんあるので日本語の部分を撮影してきました。
カメラ、ビデオの持ち込みはOKなのですが、スマホに付けるセルフィースティック、望遠レンズ、3脚は禁止です。バッグを持ち込むことも禁止なので、塔の中のロッカーに預けなければいけません。
つまり、今から真夏の炎天下に階段を400段上って下りるのに、水を預けなければいけないということです。せっかく「準備万端にしなければ」と思って隣接しているカフェで水を買ったというのに......。「これなら下りてきたあとにバールで買った方が、より冷たい状態の水を飲めたのに....」というものです。
なんだか既に威圧感がある入り口。ここに並ぶように、と言われたので指定された時間にやってきました。
一回に塔に上れる人数は30名までなので、時間を指定されたのですね。確かに、あまりにも多くの人が集中してしまうと何かあったときに収集がつかなくなるのかもしれません。安全面にも配慮されていることで安心感が少しアップ。
このあたりの階段は広くて明るくてキレイ、そして私の気力と体力もまだあるので写真を撮っている余裕もあったところですね。こんな状態の階段は本当に最初の方だけです。
徐々に狭くて暗い階段になり、大人が一人通るのがやっとのような幅のところを上っていくことになります。ところどころに助けを呼ぶための非常ボタンのようなものが設置されていて、恐怖感を煽ります。
時々外の風景が見えるので爽快感はあるのですが、思っている以上に高さを感じるので恐怖感も同時に感じます。
恥ずかしい話ですが、私は普段あまり運動をしていないことと暑さに弱いので、フウフウ言って独り言で「暑い暑い」とブツブツ言っていたものですから、私の前を行っていたフランス人の老夫婦が「がんばれ、あとちょっとだよ」「大丈夫?暑いわね」と優しく声をかけてくれるという場面もありました。 絶対に彼らの方が足腰はしんどいでしょうに......と思うのに、軟弱な私を気にかけてくれるなんて。
そこには素晴らしい眺めが待っていました。風も地上にいるときに感じるものとは違って、力強さを感じます。そして、この塔が669年前(取材時)に建てられたという事実を頭の中で考えてみて、高さが102メートルあるということを認識すると、足元からゾワゾワしてきます。ちょっとした遊園地のアトラクションよりもスリルを味わえますよ。
100メートルは、だいたい現代のビルの25階〜30階ぐらいに相当するので600年以上前に建てられた建物に自分の足の力だけで上ってきた、というのは人生の中でもそうそう体験することができない珍しい体験なのではないでしょうか。
4.マンジャの塔を上るときは
世界中に「高い建物」はたくさんありますが、それらはエレベーターが設置されているなど、何かと安全対策がきちんとされているので、マンジャの塔のように完全なる人力によって建てられた建物とは、まったく安心感が違います。
また、貝殻を広げたようなカンポ広場を塔の上から眺めるときは、ちょっとした感動が起こるはずです。上から見るのが一番美しく見える広場なのではないでしょうか。
とにかく夏場はしんどいので歩きやすい靴、動きやすい服装で塔に挑むことをオススメいたします。数人のグループで上っている方はお互いに写真撮影などを楽しめるのですが、一人旅の方もけっこう多いので、写真を撮って欲しいときは気軽に頼みやすいはずです。 時間を決めてグループで上っていくので妙な仲間意識が芽生えているのです。
とはいえ、頼みにくいなぁ、という方も大丈夫。バッチリなキメ顔をしてセルフィーする外国人観光客もたくさんいます。せっかく上ってきたのですから記念撮影も忘れずに。
ちなみに、帰りは「階段は下りるときの方がキツいんだった......」ということを下りながら感じます。とはいえ、頂上から見てシエナ大聖堂の方向も確認したので、「地上に降り立ったら次はシエナ大聖堂に向かおう」とまた元気に歩き出すのでした。
カンポ広場/マンジャの塔 基本情報
名前:Piazza del Campo / Torre del Mangia
住所:Piazza del Campo, 1, 53100 Siena SI, イタリア
※情報は2017年取材時点のものです。
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yukaco
- 17歳のときに初めてフィレンツェ、ヴェネチアへ行ってからすっかりイタリア贔屓に。定期的にイタリアへ旅行。
食、ファッション、アートが得意分野。興味があればどこへでも行くフットワークの軽さでハードスケジュールな取材も敢行。
イタリアの中で一番好きな場所はミラノ・スカラ座。好きな食べ物はラヴィオリ。