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「シエナのシンボル」とオオカミの伝説。シエナが誕生した由来とは?

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記事投稿日:2018/04/23
最終更新日:2018/04/23

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イタリアには、それぞれの街に古くから受け継がれているシンボルの動物がいます。旧市街が世界遺産として登録されているシエナのシンボルは「オオカミと双子」。サッカーが好きな方はピンと来るかもしれませんが、ローマのサッカーチーム「ASローマ」のシンボルも、オオカミと双子なのです。これは偶然の一致ではなく、ローマとシエナに深い関係性があることを示しています。シエナを歩いていると、あちこちにオオカミと双子のモチーフを見つけることができます。いずれもシエナ誕生の昔話にちなんでいるもので、「ロムルスとレムス」というオオカミに育てられた双子の兄弟をモデルに作られています。

シエナに伝わる「ロムルスとレムス」の伝説

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シエナで最初にオオカミの像を見かけたのは「マンジャの塔」のチケット売り場の横。女の子が見上げる様子がかわいらしいですね。さて、このシンボルの元となったロムルスとレムスの話に戻りましょう。なぜ彼らはオオカミに育てられたということになっているのでしょうか。

■ロムルスとレムスの伝説

時代はさらに遡り、古代イタリア中部のアルバ・ロンガというラテン人の都市国家の王国が舞台です。これはローマ建国の神話として語り継がれている昔話なのです。
アルバ・ロンガの国王プロカ王には「ヌミトル」と「アムリウス」という2人の息子がいました。王は兄のヌミトルには王位、弟のアムリウスには財宝を与えました。ところが、人間の残念なところは財宝を手にしてしまうと力を持っている、と勘違いしてしまうのですね......。弟のアムリウスは財宝を手に入れて調子に乗ってしまったようです。そして、兄のヌミトルから王位を奪ってしまいます。王位を失った兄ヌミトルには、2人の息子と1人の娘がいました。弟アムリウスは甥っ子2人が自分の王位をいずれ脅かすかもしれない、と恐れて殺してしまいます。自分も兄の王位を奪っておいて勝手な発想です。さらに、ヌミトルの血筋を引き継ぐ者がいてはならない、と思ったアムリウスは、兄ヌミトルの娘を子供を産むことができない「ウェスタの巫女」にしてしまいます。その娘が事態を壮大なドラマにしていきます。この娘は「レア」という名前で、とても美しかったそうです。ここで気になるのが「ウェスタの巫女」って何?ということ。その概要にも触れておきましょう。

■ウェスタの巫女(Vestalis)とは

ウェスタ(ヴェスタ、Vesta)というのはローマ神話の竃(かまど)の女神、転じて火を司る女神のことで、ウェスタの巫女はその女神に仕える者たちです。ウェスタの巫女は誰でもなれるものではなく、選ばれた者にしかその権利は与えられていませんでした。候補生は6歳から10歳の少女たち20人から6名が選ばれますが、さらに条件があり、ローマ自由市民の娘で心身ともに健康、そして両親が存命という、当時で考えるととても裕福または幸運な家の少女に限られていました。もっとも、途中からは解放奴隷の娘でもウェスタの巫女に選ばれる権利を持てるようになったそうですが。巫女としての任期は合計で30年、これを終えると現在でいうところの"引退"と見なされます。ただし、途中で死亡すると次の候補生が選考されます。なお、ウェスタの巫女には多大な特権が与えられ、生活は贅沢なものであったようです。しかし、ウェスタの巫女は任期が終わるまで結婚・出産は禁止されているので、当然子供ができることはウェスタの巫女にとっては罪。純潔を犯した場合は生き埋めにされるというのですから、恐ろしいことです。

■ウェスタの巫女となったレアが産んだ双子

さて、元王女様のレアは名誉あるウェスタの巫女となります。聖なる森の中にある泉に水を汲みに行くのも、巫女の仕事のうちのひとつです。あるときレアが水を汲みに行って、疲れて寝てしまったところをローマ神話の軍神マルスが見初めてしまいました。寝ているところを襲うなんて軍神と言えども、ダメ人間ですが......。軍神なので許されるのでしょう。そしてレアは、なんと双子の息子を宿してしまうのです。それが「ロムルス」と「レムス」です。

■川に流された双子を育てた雌オオカミ

レアは自分の叔父さんであるアムリウスに殺されてしまい、双子の息子たちは川に流されてしまいます。さすがに罪のない子供を殺さなかったのは、アムリウスの優しさなのでしょうか......。いや、川に流す時点で最低ですが。川に流された息子たちを不憫に思った軍神マルスは、自分の遣いとして双子のもとに雌オオカミを送り出します。 色々突っ込みどころがありますね。息子たちのことを不憫に思ったのなら、なぜ自分が行かないのでしょうか。軍神でしょう?自分の息子たちでしょう?助けに行かないの?と思ってしまいますが、古代ローマ神話上での話ですので、現代とは色々と事情が違うのでしょう。雌オオカミは自分の子供のように双子ロムルスとレムスを可愛がり、パラティヌスの丘(パラティーノの丘)で大切に育てていきます。やがて羊飼いに引き取られたロムルスとレムスは、自分たちの出自を知ることとなります。青年になった2人は羊飼いたちを率いて諸悪の根源、アムリウスが王位についているアルバに攻め入り、アムリウスを倒して、元々の王だったヌミトルを復位させることに成功したそうです。伝説の冒頭を振り返ると、ヌミトルは双子のおじいちゃんにあたりますね。

■双子の仲違いから生まれたローマとシエナ

おじいちゃんの復権に成功した双子たちはアルバを去り、2人で新しい都市を造ろうじゃないか、と勢いづくのですが......どこに建設するか、どっちが王になるのか、などで喧嘩になってしまいます。双子の代でも結局、兄弟喧嘩が始まってしまうのですね。権力や財産が絡むとややこしいことになるのは、今も古代ローマも同じことなのかもしれません。双子ロムルスとレムスは2人でひとつの都市を造ることはできませんでしたが、それぞれが別の丘に都市を造ることになりました。レムスはその都市の境界線に納得がいかず、城壁を飛び越えて訴えを起こそうとしたところをロムルスとその部下によって殺されてしまったそうです。兄弟と言えども都市の城壁を越えることは当時の社会では許される行為でなかったのですね。レムスは殺されてしまいましたが、レムスには2人の息子がいました。セニウスとアスキウスです。父を殺されてしまったセニウスとアスキウスは北部へ逃れていき、そこで建設した都市がシエナであると言われています。ロムルスの統治していた都市は、その後ローマとして発展しました。つまり、ロムルスの名がローマの由来だと言われ、レムスの息子セニウスの名がシエナの由来だと言われています。このように2つの都市は、同じルーツを持っているのです。

*編集部註:この伝説の詳細は諸説ありますが、大筋はこのようになっています。また、ロムルスのその後については古代ローマの歴史にも繋がっていきます。以下の外部リンクもご参考いただき、ぜひ古代ローマ史と神話の奥深さに触れてみてください。

参考文献1:Wikipediaーウェスタの処女(外部サイトに移動します)
参考文献2:国立民族学博物館-創世神話(1)─ローマ建国神話─(外部サイトに移動します)
参考文献3:世界史の窓(1)ローマの建国神話(外部サイトに移動します)

シエナの伝説を感じられる、おすすめのスポット

ずいぶん歴史と神話の世界まで遡りましたが、シエナとローマのルーツをたどっていくと、オオカミと双子の伝説に行き当たるのです。

■カンポ広場の「歓喜の泉」

そんなワケでシエナの街にはオオカミと双子があちらこちらに。売店でもステッカーやワッペン、置物などを見つけることができます。 気軽に見つけることができるのはカンポ広場の「歓喜の泉」でしょうか。

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シエナを訪れる人ならきっと誰もが通るカンポ広場にある泉なので、ぜひチェックしてみてくださいね。

■シエナ大聖堂(ドゥオモ)のモザイク画

続いてオオカミを発見できるのは、シエナ大聖堂(ドゥオモ)に向かう途中にある小さな広場。

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そして、見逃せないのがドゥオモの中にある美しいモザイク画に描かれるオオカミと双子です。

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<モザイクの全体図>

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<ローマはなぜか象が描かれています。>

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<シエナにはオオカミと双子が...>

このモザイク画は近隣都市のシンボルを美しく配備したデザインになっています。ここで気になるのが、ローマのシンボルがオオカミではなく象になっていること。因縁めいたものを感じますね。「同じシンボルというのもナンだから象にしておこう」というようなノリではないと思うのです。古代ローマに限らず歴史や神話を知っていると、旅先で見かけたシンボルなどをもっと面白く感じられるかもしれません。オオカミモチーフは他にもたくさんいるので、オオカミをキーワードに街歩きをしてみるのも楽しいですよ。歩いて巡れる素敵な街ですので、ぜひシエナに足を運んでみてください。

撮影:yukaco

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