アンデス文明の歴史が一目で分かる「インカリ博物館」

クスコからマチュピチュ遺跡へ向かう途中に広がる「Valle de Urbamba(ウルバンバの谷)」。「聖なる谷」の名でも知られるこの温暖な渓谷地帯は、標高がクスコより数百メートル低く、鉄道駅のあるオリャンタイタンボ村にも近いことから近年観光開発が進んでいます。

そのウルバンバの谷に2014年にオープンしたのが、「Museo Inkariy(インカリ博物館)」。5,000年前に栄えたカラルからインカに至るアンデスの壮大な歴史を、"見て"理解できるよう工夫された新しい博物館です。

聖なる谷にそびえる巨大モニュメントを目指そう

クスコから車で約1時間。カルカ村の郊外にある「インカリ博物館」は、この巨大モニュメントが目印です。インカの創造神ヴィラコチャに似ていますが、どうやらこちらはインカリ博物館オリジナルの神様のようですね。本物のヴィラコチャ神よりちょっと怖い顔をしたこの神様は、先端がトウモロコシの形になった杖を持っています。ここウルバンバの谷は、白くて粒の大きなトウモロコシの産地として有名です。

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インカの石造建築をイメージした受付。その両側にはお土産屋さんがあります。

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緑豊かなパティオには、赤や黄色のカントゥータの花が咲き乱れていました。カントゥータは「インカの花」とも呼ばれ、ペルーの国花にもなっています。このカントゥータのパティオを囲むように展示室が並び、一番奥にはレストランとトイレが設置されています。

8つの展示室は写真撮影OK!

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「Caral(カラル)」「Chavin(チャビン)」「Paracas(パラカス)」「Moche(モチェ)」「Nazca(ナスカ)」「Wari(ワリ)」「Lambayeque・Chimu(ランバイエケとチムー)」、そして「Inka(インカ)」の8つに分かれた展示室では、各文化を代表する土器や黄金製品を展示しています。インカリ博物館の展示物はすべてレプリカなので、写真撮影はOK!ペルー人考古学者とアーティストグループが共同で製作活動にあたっただけあって、どれも大変よくできています。

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ナスカの地上絵での儀式を再現したマネキン人形たち。このリアリティあふれる表情をご覧ください!今にも動き出しそうなほど、躍動感にあふれています。

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これはインカ皇帝が何かを宣言しているシーンでしょうか。皇帝の周りには、さまざまな衣装を身にまとった神官や戦士たちが集まっています。建物にもご注目ください。神殿の壁の石組はカミソリ一枚通さないほどぴったりと組み合わされ、一枚岩を掘って作った皇帝の椅子もあります。石壁のニッチ(壁龕)に置かれた黄金の壺には、神への捧げものであるチチャ酒が入っているのかもしれません。またインカの建物の屋根が茅葺(かやぶき)であったことも、この模型から一目で分かります。こういう"見て"楽しめる展示は分かりやすいと評判です。

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インカリ博物館では、ランチと博物館の入場券がセットになったお得なチケットを販売。ランチは鶏料理とクスコ風ロコト・レジェーノ、サラダ、スープなどが付いたクスコ風ピクニック弁当だそうです。

ペルーには各文化を専門的に取り上げる、素晴らしい博物館がたくさんあります。しかし限られた日程の中で、すべての博物館を回ることはできません。また予備知識のない状態で多数の出土品を見ても、「よく分からなかった」「あまり印象に残らなかった」という結果になりがちです。その点、ペルーを代表する8つの文化を簡潔にまとめ、精巧な模型とマネキンを使って見るものに強いインパクトを与えてくれるインカリ博物館は、数千年に及ぶアンデス文明をざっくりと知るのに打ってつけ。

ウルバンバの谷に宿泊したら、ぜひインカリ博物館に足を運んでみてくださいね。

★Museo Inkariy/インカリ博物館★
住所:Km.53 Carretera Cusco - Calca, Urubamba
開館時間:9:00~17:30(無休)
入館料:35ソレス/ランチ付きは55ソレス
公式サイト:www.museoinkariy.com/en

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原田慶子

ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。

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