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あなたが知らないフィレンツェの顔。夜景散策のススメ
古都フィレンツェが見せるもうひとつの顔。ドゥオモやヴェッキオ橋などの名所をあえて夜に訪ねる楽しさを、コラムでご紹介します。
※一部写真はクリエイティブコモンズライセンスに基づき掲載しています。
参考:クリエイティブコモンズ公式サイト(外部サイトに遷移します)
フィレンツェが見せる「夜の顔」を訪ねて
フィレンツェの夜は、また違った魅力が。
フィレンツェはルネサンス誕生の地。そしてメディチ家による保護の元、数々の芸術が育った芸術の古都です。
フィレンツェ観光の王道といえば、ドゥオモなどの素晴らしい建築に触れ、メディチ家縁の宮殿や礼拝堂を巡り、美術館で芸術鑑賞、といったところでしょうか。もちろん、フィレンツェを味わうためにこれらは欠かせないでしょう。
しかしこれに満足せず、フィレンツェの隠された魅力をもっと知りたいと願う通の方にオススメしたいのが、夜の散策です。
派手なライトアップなんて無い、それがかえって良いのです
そう、美術館やショップが一日の営業を終え、観光地としての機能がストップした後こそ、フィレンツェのもうひとつの顔に出会えるチャンスです。
フィレンツェの街は、実はそこまでライトアップで華美に照らされているわけではありません。どちらかと言うと、光は控えめで薄暗いのです。しかし、この古都にはそれが絶妙にマッチしており、まるで異空間にいるかのような感覚になります。
ただ、観光客である私達は、治安を懸念して夜に出歩くのをためらいがち。もちろん、あまりに辺鄙な場所はできるだけ避けた方が良いですが、フィレンツェの旧市街は比較的安全。複数人で歩く、信頼できる友人にガイドを頼むなど、身の回りに十分注意して歩いていれば、犯罪に巻き込まれる可能性は低いエリアです。
それでは、夜のフィレンツェに繰り出してとっておきの夜景を楽しんでみましょう。
静謐のドゥオモ
人ごみを避けて眺める、夜のドゥオモも美しいもの。
まずは、日中絶大な人気を誇るドゥオモの夜の姿から。日中はとにかく人が多く、うんざりとした気分になってしまうこともしばしば。しかし、夜の帳が降りた後のドゥオモには得も言われぬ静謐さが漂い、闇夜に浮き上がるようなその姿に思わず溜息が漏れてしまいます。
不思議空間、レプッブリカ広場
「Carrousel」Photo by Leandro Neumann Ciuffo(CC BY 2.0)
ドゥオモから少し歩くと、レプッブリカ広場があります。日中はカフェやホテルが建ち並んでいることから、人通りが多い観光の起点地として賑わっています。しかし夜になると、たむろしていた人や車がまばらになり、辺りには静けさが漂い始めます。
そこではメリーゴーランドだけがオレンジ色の光を放っていて、背景にある大アーチの風格漂う門との対比が、なんだかとても不思議な光景。まるで夢の世界に来たかのような感覚となるのです。
中世にタイムスリップ、ヴェッキオ宮
「statua equestre di cosimo i de' medici」Photo by mararie(CC BY-SA 2.0)
さて、シニョーリア広場までやってくると、有名なウフィッツィ美術館とヴェッキオ宮が並んでいます。日中は館内の美術鑑賞がメインとなるため、ひょっとすると外観にはあまり注目されていないかもしれません。しかし夜にここを通りかかると、その美しさにハッと気付かされることになるでしょう。
最低限の光で照らされたヴェッキオ宮は、だからこそ余計な光を反射せず、その力強く優美な影を闇夜に向かって伸ばしています。とりわけ月の無い夜には、古の姿をそのまま留めているようで、この場だけタイムスリップしたかのような感覚になれるのです。
関連記事:要塞のような市役所?フィレンツェの「ヴェッキオ宮殿」
麗らかなアルノ川
「Arno nocturno」Photo by Ricardo Samaniego(CC BY-SA 2.0)
フィレンツェのシンボルでもあるアルノ川は、いつだって豊かな水を湛えてフィレンツェの街を優雅に流れています。日中もアルノ川沿いの散歩はとても気持ち良いものですが、ぜひ夜にも訪れてみてください。
黄色味のあるオレンジに統一された光が川辺を包み、その様子は日中に比べより麗らかに。夜風にあたりながらの散策は、ロマンチックなひとときを約束してくれることでしょう。
関連記事:フィレンツェを流れる「アルノ川」で、すばらしい夕暮れを
歴史を語る、ポンテヴェッキオ
「Ponte Vecchio reflection in Arno river - Florence, Italy」Photo by Jason Parrish(CC BY 2.0)
アルノ川沿いからポンテヴェッキオ、ヴァザーリの回廊を眺めるのもまた風情たっぷり。仄かな光の中に浮き立つような橋のシルエットが、暗いアルノ川に映りこみ、なんとも言えない趣を感じさせます。
日中大変なにぎわいを見せる橋の上も、夜は静まり返っています。橋に並ぶショップもすっかり閉まり、そこにあるのはフィレンツェ最古の橋にある、歴史の重みだけ。
にぎやかな日中と静かな夜のコントラストを楽しめます。
最後はミケランジェロ広場に足を伸ばして
「dsc_4534」Photo by Francesco Crippa(CC BY 2.0)
夜景散策の最後には、できることならミケランジェロ広場まで足を伸ばしてみてください。ここからの眺めは、日中にも劣らぬ絶景です。
柔らかで控えめな光に包まれたフィレンツェの夜は、歴史と芸術の香り漂う古都の風格。ニューヨークのマンハッタンや、香港の摩天楼のような煌びやかさはありませんが、歴史あるものの良さを再確認させてくれる眺めです。
うっとりとロマンチックな気分に浸った後は、きっと良い夢が見られることでしょう。
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※編集部注:本記事はライターの主観によるものとなります。旅行中の移動については、必ず旅行会社やガイドなど信頼できる方に確認を取り、十分に注意された上で判断頂きますようお願いいたします。
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