名水「うちぬき」が育む街、絶品グルメと文化に触れる観光スポット|愛媛県・西条

愛媛県東部に位置する西条市。西日本最高峰の石鎚山を望むこのまちは、豊かな自然に恵まれ、良質な地下水が湧き出る「水のまち」として知られています。

伊予西条駅にある石鎚山登山下車駅の立て看板
<伊予西条駅にある石鎚山登山下車駅の看板>

西条市を訪れたら、ぜひ注目したいのが「うちぬき」と呼ばれる地下水です。市民の暮らしに身近な存在であるとともに、地域の産業や食文化を支えてきました。

今回は、名水「うちぬき」をはじめ、ご当地グルメの「西条てっぱんナポリタン」、地域の文化に触れられる「愛媛民藝館」、新しいまちの交流拠点「いとまち」や建築家が設計を手がけたホテルまで、西条市の魅力を感じられるスポットを巡ります。

目次

西条市を訪れたらまず知っておきたい!名水「うちぬき」

西条市を語るうえで欠かせないのが、名水「うちぬき」です。「うちぬき」とは、地下水が自然に湧き出す井戸のこと。

【愛媛 西条】名水「うちぬき」が育む街の魅力ある川の景色

西条市内には約3,000か所の自噴井があり、地下から湧き出る水は、昔から人々の生活用水や農業用水などに利用されてきました。その豊かな水量と良質な水は全国的にも知られ、環境省の名水百選にも選ばれています。

西条市の川沿いの自噴井
<西条市内には約3,000箇所の自噴井があります>

「うちぬき」の名前は、地面に鉄棒を打ち込んで穴を開け、地下水をくみ上げていたことに由来します。西条では特別な場所へ出かけなくても、まちの中で水の恵みを身近に感じられるのが魅力です。

海沿いにある「弘法水」では海底の水源から真水を汲み上げている

岩からわきでるうちぬきの様子
<海沿いにある「弘法水」では海底の水源から真水を汲み上げている>

「うちぬき」は市内各所にあるため、巡るなら車の利用がおすすめです。伊予西条駅近くの西条市観光交流センターでレンタサイクルを借りて、まちを巡るのもよいでしょう。

うちぬきの水を使用したコーヒーのカップを手にしている
<うちぬきの水を使用したコーヒーも楽しめます>

私も3か所ほど巡ってみました。地元の方がペットボトルやタンクを持って水を汲みに来ている場所もあり、うちぬきの水を使ったコーヒー店やクラフトビールのお店もあります。

実際に飲んでみると、うちぬきの水はまろやかな口当たり。水が観光資源であるだけでなく、このまちの暮らしに深く根付いていることを実感しました。

スポット情報:うちぬき(西条市観光情報)

熱々の鉄板で味わうご当地グルメ「西条てっぱんナポリタン」

旅の楽しみのひとつといえば、その土地ならではのグルメ。西条で味わいたいご当地グルメが「西条てっぱんナポリタン」です。

伊予小松駅前のマルブン小松本店の外観
<伊予小松駅前のマルブン小松本店>

「マルブン 小松本店」は、伊予小松駅前の食堂として大正12(1923)年に創業。現在は、食堂時代から続くパスタやオムライス、ハンバーグなどの洋食を中心に提供する、地域に根差したレストランです。西条出身の友人に紹介してもらった、地元で人気のお店です。

マルブン小松本店の「愛媛西条てっぱんナポリタン」
<マルブン小松本店の「愛媛西条てっぱんナポリタン」>

ご当地グルメ「西条てっぱんナポリタン」には、次の2つの条件があります。

  • 熱々の鉄板皿で提供すること
  • 卵を具材に使うこと

味付けやトッピングは、お店によってさまざまなのだそうです。

「西条てっぱんナポリタン」が広まった背景には、おっとりとした気質の人が多いとされる西条で、ゆっくり食事を楽しめるよう、冷めにくい鉄板皿が好まれたことがあるといわれています。

マルブン 小松本店でいただいた「愛媛西条てっぱんナポリタン」は、どこか懐かしさを感じる味わい。隠し味に愛媛のみかんジュースを使っているそうで、後味はすっきりしています。ナポリタンの上にのったオリジナルフランクもジューシーで、おいしくいただきました。

白いカップにはいった二段発酵で作られる石鎚黒茶
<二段発酵で作られる石鎚黒茶>

そして、「西条てっぱんナポリタン」と合わせていただいたのが、西条を代表するお茶のひとつ「石鎚黒茶(いしづちくろちゃ)」です。

石鎚黒茶は、石鎚山の麓、西条市小松の石鎚地区に古くから伝わるお茶。微生物の働きを利用して発酵させる「後発酵茶」の一種で、二段階の発酵によって生まれる独特の香りと酸味が特徴です。

私も初めて石鎚黒茶を飲んでみましたが、透き通るような琥珀色とやわらかな酸味が印象的で、とても飲みやすいお茶でした。西条ならではのお茶文化に触れる機会として、ぜひ味わってみてほしい一杯です。

マルブン小松本店のソフトクリームのテイクアウト
<マルブン小松本店のソフトクリームはテイクアウト可能>

店内では、食後にソフトクリームを食べている地元の方を多く見かけました。私も気になり、テイクアウトでいただくことに。

こちらのソフトクリームは、なんと150円!お財布に優しい価格に、思わず笑顔になりました。ほかにも、人気メニューの鯛めしやとり天など、気になるメニューがたくさん。また西条市を訪れる際には、ぜひ再訪したいお店です。

マルブン 小松本店

  • 所在地:愛媛県西条市小松町新屋敷甲407-1
  • 電話:0898-72-2004
  • 営業時間:11:00~15:00(L.O. 14:30)、17:30~21:00(L.O. 20:30)
  • 定休日:月曜(※祝日の場合は翌平日)
  • 公式Instagram:マルブン 小松本店

暮らしの中の美しさに出会う「愛媛民藝館」

西条市で地域の文化に触れたい方におすすめなのが「愛媛民藝館」です。

旧西条藩陣屋跡のお堀の中にある愛媛民藝館の外観
<旧西条藩陣屋跡のお堀の中にある愛媛民藝館>

「民藝」とは、名もない職人たちが日々の暮らしのためにつくり出してきた、実用的で美しい品々のこと。器や染織品、木工品など、生活に根差した手仕事には、その土地ならではの文化や美意識が表れています。

愛媛民藝館の内観、民芸品が展示されている和室

民藝の日本地図で民芸品の案内
<伊予絣など愛媛ならではの民藝品も並ぶ>

私はこの10年ほど民藝に夢中で、民藝展にもよく足を運んでいます。今回、西条を訪れたいと思ったきっかけのひとつも、実はこの愛媛民藝館でした。

昭和42(1967)年に設立された愛媛民藝館では、各地の民藝品を通して、昔から受け継がれてきたものづくりの魅力に触れることができます。

旅先では、景勝地や有名な観光名所を巡るだけでなく、その土地で育まれてきた文化を知ることも大切な楽しみです。一つひとつの品に目を向けながら、つくり手の工夫や、長く使い続けることを大切にしてきた暮らしの知恵を感じてみてはいかがでしょうか。

愛媛民藝館

  • 所在地:愛媛県西条市明屋敷238-8
  • 電話:0897-56-2110
  • 営業時間:9:00~17:00
  • 定休日:月曜(※祝日の場合は翌平日)、年末年始
  • 公式サイト:愛媛民藝館

西条の新しい滞在拠点「ITOMACHI HOTEL 0」

今回は西条の新しい魅力を感じられるスポットにも立ち寄ってみました。

ITOMACHI HOTEL 0の外観
<2023年にオープンしたITOMACHI HOTEL 0>

「ITOMACHI HOTEL 0(いとまちホテルゼロ)」は、西条市に誕生した複合施設「いとまち」の一角にあり、建築家・隈研吾氏が設計を手がけたホテルとしても注目されています。

落ち着いたITOMACHI HOTEL 0の寝室、ベット

バスタブ付きのスーペリアルームのソファ
<バスタブ付きのスーペリアルーム>

こちらのホテルの特徴のひとつは、環境への配慮を取り入れた建築です。エネルギー消費を抑え、再生可能エネルギーなどを活用することで、環境負荷の低減を目指しています。

旅先での宿泊は、観光を楽しんだあとに休むだけの時間ではありません。ホテルの建築や空間、そこで過ごす時間そのものが、旅の印象を豊かにしてくれます。

建築家・隈研吾氏が設計を手がけたホテルデザインの階段、屋根
<建築家・隈研吾氏が設計を手がけたホテルデザイン>

ホテル中庭にある「うちぬき」の水があふれていると様子

ホテル中庭にある「うちぬき」の水をポットに入れている
<ホテル中庭にある「うちぬき」の水が汲めるスポット>

客室にはマイボトルが用意されており、中庭にある「うちぬき」の水を汲むことができます。西条の自然や水の恵みを感じながら、環境に配慮した新しい滞在スタイルに触れてみてはいかがでしょうか。

ITOMACHI HOTEL 0

  • 所在地:愛媛県西条市朔日市250-7
  • 電話:0897-47-0700
  • 公式サイト:ITOMACHI HOTEL 0

愛媛のおいしいものや工芸品に出会える「いとまち」

旅のお土産探しに立ち寄りたいのが、ホテルと同じ複合施設内にある「いとまちマルシェ」です。

野菜や雑貨が並ぶいとまちマルシェの内観
<いとまちマルシェには地域の食材などが並ぶ>

西条市の複合施設「いとまち」内のマルシェでは、地域の食材や愛媛ならではの商品などに出会えます。

いとまちマルシェのパンの販売コーナー

いとまちマルシェの地元の名酒の陳列棚

いとまちマルシェのかわいいパッケージのお土産
<パンやお惣菜、瀬戸内の素材を使ったお酒なども豊富>

柑橘類などの農産物をはじめ、食品や加工品、お土産にもぴったりの銘菓など、店内にはさまざまな品が並んでいます。

旅先のマルシェは、その土地でどんなものがつくられ、どのような食文化が育まれているのかを知ることができる場所。地元の食材や特産品を探しながら歩くと、思いがけない発見があるかもしれません。

広場からは石鎚山をはじめ西条の山々
<広場からは石鎚山をはじめ西条の山々を望めます>

「いとまち」は、買い物だけでなく、レストランでの食事やホテルでの宿泊も楽しめる複合施設です。地域の魅力を発信し、人々が集う新しい交流拠点としても注目されています。

西条市を巡った際には、ぜひ立ち寄って、旅の思い出になる一品を探してみてはいかがでしょうか。

いとまち(いとまちマルシェ)

  • 所在地:愛媛県西条市朔日市284-2
  • 電話:0897-66-8630
  • 営業時間:10:00~19:00(※いとまちマルシェ)
  • 定休日:不定休 ※公式サイトで要確認
  • 公式サイト:いとまち

まとめ:名水から食・文化・新しいまちづくり

今回巡った愛媛県西条市のスポットは、それぞれ異なる魅力を持ちながら、このまちの自然や暮らし、文化とつながっています。

名水「うちぬき」からは、豊かな地下水に支えられてきた暮らしを。ご当地グルメからは、旅先ならではの食の楽しみを。愛媛民藝館では、昔から受け継がれてきた手仕事の美しさを。そして、新しい交流拠点「いとまち」では、地域の魅力を未来へつなぐ取り組みを感じることができました。

毎年10月に行われる西条まつりのポスター
<毎年10月に行われる西条まつり>

また西条市では、江戸時代から続く伝統的な秋祭り「西条まつり」が毎年10月に開催されます。五穀豊穣への感謝を神様に捧げる神事で、4つの神社の例祭の総称です。

祭りでは、氏子の各町が所有する百数十台のだんじりやみこし、太鼓台などが奉納され、まち全体が活気に包まれます。次回はぜひ、西条まつりの時期に合わせて訪れてみたいですね。

愛媛県西条市を訪れる際には、ぜひこれらのスポットを巡りながら、水の恵みとともに育まれてきたまちの魅力を発見してみてください。

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まーち

京都生まれ。京都に生まれ育ち、東京での会社員生活を経て京都へUターン。現在は京都観光、地域の情報発信などをテーマにコーディネーター、ライターとして季節のおすすめスポットやグルメ、伝統工芸、アートなど京都の街の魅力を発信中。好きなものは、珈琲、焼き菓子、お蕎麦、日本酒。

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