

地球温暖化の影響からか、日本では異常気象が続いています。夏になると毎年のように猛暑の記録が更新され、全国各地の気温に驚かされるものです。夏バテや熱中症を防ぐには、栄養価の高いスタミナ食をとるのも有効でしょう。
「土用の丑の日」にうなぎを食べることを習慣としている人も少なくありません。さいたま市の浦和エリアでは、うなぎがご当地グルメとして定着しています。エリアの南北を貫く旧中山道を中心に数十軒のうなぎ屋が店舗を構え、独自の技を活かした味わいを競っています。この激戦区の中で根強い人気を誇るうなぎ屋を6店舗ご紹介しましょう。
目次
平賀源内のキャッチコピーから定着した「土用の丑の日」の食文化
- 2026年で創業140周年を迎える屈指の老舗店「萬店」
- 旧中山道沿いに風格に満ちた店舗を構える老舗店「満寿家」
- 創業から秘伝のタレを継ぎ足し守り続ける「中村家」
- 南フランスのスタイリッシュなデザインが施される「古賀」
- 串焼きメニューが充実する「瀧澤」
- うなぎを残さずおいしく使い切るという情熱があふれる「せきの」
平賀源内のキャッチコピーから定着した「土用の丑の日」の食文化
![]()
<「古賀」の調理場>
2026年の「土用の丑の日」は7月26日です。この日にうなぎを食べると、夏バテしないと言われています。これは江戸時代を代表する発明家の平賀源内のキャッチコピーから誕生した習慣のようです。
源内は夏場に売上が落ちるうなぎ屋から相談を受け、店頭に「本日、土用丑の日」の貼り紙を出す提案をしました。すると店は大繁盛するばかりでなく、その流れが他のうなぎ屋にも及び、やがて日本中に広まったと伝わります。
うなぎは豊富なたんぱく質に加え、疲労回復の効果が期待できるビタミンB1や、免疫力を高めるビタミンA、DHA・EPAなどの良質な脂質を含む栄養満点の食材なのです。
江戸時代に中山道の宿場町で評判となった浦和のうなぎ
![]()
<JR浦和駅西口駅前ロータリーに設置される「浦和うなこちゃん」の石像>
日本には全国各地にうなぎの名産地が点在しています。中でも、さいたま市の浦和エリアは、江戸時代から「うなぎの蒲焼発祥の地」とされ、消費量は日本一と言われることもあります。
JR浦和駅西口の駅前ロータリーに設置された「浦和うなこちゃん」の石像が、極めて印象的です。さいたま観光大使の役割も務めるキャラクターは、『アンパンマン』などの作品で広く知られる漫画家のやなせたかし氏によってデザインされました。
![]()
<浦和エリアの南北を貫く旧中山道の道標>
東京から北西に25キロ前後の浦和は、江戸時代に中山道の宿場町として発展を遂げました。江戸と地方をつなぐ街道には数多くの人々が行き交いましたが、浦和宿のエリアには沼地が多く水郷地帯が広がっていたのです。大名ばかりでなく魚釣りが好きな人々も続々と訪れるようになりました。
来客をもてなすため、近隣の湿地でとれたうなぎをふるまうと、その味わいが全国に広まったようです。現在でも町の中心を旧中山道が南北につなぎ、通りを中心に数十軒のうなぎ屋が伝統の職人技を守りながら、江戸時代の宿場町の面影を伝えています。
![]()
<2026年5月23日に開催された「第23回さいたま市浦和うなぎまつり」のステージイベント>
エリア内の老舗のうなぎ屋は、「浦和のうなぎを育てる会」を結成し、伝統産業としてのうなぎ文化を意欲的にPRしています。例年5月には「さいたま市浦和うなぎまつり」が開催されます。うなぎ調理の実演やうなぎ弁当の販売、ステージイベントなどを通して、地域に根づいた食文化を再認識させてくれるのです。
浦和エリアで根強い人気を誇るうなぎ屋6選
浦和エリアには数十軒のうなぎ屋が営業を行い、職人の技を活かした味わいを広めています。中でも、「萬店」、「満寿家」、「中村家」、「古賀」、「瀧澤」、「せきの」は、口の肥えた地域の人々に愛され続けるうなぎ屋です。
1. 2026年で創業140周年を迎える屈指の老舗店「萬店」
![]()
<萬店>
「萬店」は、1886(明治19)年創業の浦和でも屈指の老舗店です。創業当時は地域の川魚を料理していました。現在では、毎日活うなぎを仕入れ、地下約130mからくみ上げた清涼な地下水の生け簀に入れ、鮮度を保っています。
うなぎは一尾一尾、長さ、太さ、形、骨のすべてが異なるため、それに合わせた包丁さばきで、活うなぎをさばきます。その後、串打ち、下焼き、蒸し、たれ付けの工程を重ね、熟練の手技でふっくらと仕上げ、至高の一品へと昇華させているのです。
![]()
<2025年11月3日に「萬店」で開催された創業祭の記念イベント>
「萬店」では例年11月に、創業祭の記念イベントを開催しています。創業139周年を迎えた2025年11月3日には参加費10,000円で、うな重が食べ放題となりました。魅力的なイベントには応募者が殺到し、競争率は200倍を超えたようです。
![]()
<「萬店」の調理場>
「萬店」の店舗は、別所沼公園の西に構えています。3階建ての建物には、約150席の客席を設けています。1階には四季の情緒があふれる中庭に面して、1名から数人で食事ができるテーブル席、2階、3階には和洋の個室を備えています。30名前後収容の個室もあり、人数や用途に応じて利用することができます。
萬店(まんだな)
- 所在地:さいたま市南区鹿手袋1-2-26
- 電話:050-5869-8939
- 営業時間:11:00~22:00(ラストオーダー21:00)
- 定休日:木曜
- 公式サイト:萬店
2. 旧中山道沿いに風格に満ちた店舗を構える老舗店「満寿家」
![]()
<満寿家>
「満寿家」も、1888(明治21)年から営業を行う老舗店です。厳選した国産うなぎを紀州備長炭で、ひと串、ひと串、丁寧に焼き上げています。
秘伝のタレは、創業時から継ぎ足し続け、熟成された濃厚な味わいを引き出しています。うなぎの脂と秘伝のタレが炭の上に落ちると、その煙がうなぎを燻し、独特の風味を生み出しているのです。
![]()
<「満寿家」の店内1階>
「満寿家」は、旧中山道沿いに3階建ての風格のある外観の店舗を構えています。1階にはカウンター席、テーブル席、2階、3階には個室、座敷席が設けられ、65名まで利用可能な大広間などを備えています。
![]()
<「満寿家」の「うな重上」>
施設内には手入れの行き届いた日本庭園が整備され、和の情緒を感じながら食事をすることができます。
満寿家
- 所在地:さいたま市浦和区岸町7-1-3
- 電話:048-822-1101
- 営業時間:11:00~15:00、17:00~21:00、日曜・祝日 17:00~20:00
- 定休日:月曜
- 公式サイト:満寿家
3. 創業から秘伝のタレを継ぎ足し守り続ける「中村家」
![]()
<中村家>
「中村家」は1937(昭和12)年、埼玉会館前に開業しました。創業以来、職人がかまどで薪をくべて仕込む秘伝のタレを、世代を超えて継ぎ足し続けています。砂糖を控えた辛口のタレが高く評価されているようです。備長炭で香ばしく焼き上げたふんわり柔らかなうなぎと、タレが絶妙のバランスで溶け合います。
![]()
<「中村家」の店内>
歴史を感じさせる店内には、カウンター席やテーブル席など、合わせて50席が設けられています。
![]()
<「中村家」の「うな重上」>
「浦和のうなぎを育てる会」の活動も積極的に行い、後継者の育成や伝統文化の発展のために活躍しています。
中村家
- 所在地:さいたま市浦和区高砂3-2-12
- 電話:048-822-2585
- 営業時間:11:00~14:30、17:00~21:00、土曜 11:00~14:00、17:30~20:00
- 定休日:日曜
- 公式サイト:中村家
4. 南フランスのスタイリッシュなデザインが施される「古賀」
![]()
<古賀>
「古賀」は、2009年に西浦和駅前で創業した後、2020年より旧中山道沿いに移転しました。
![]()
<「古賀」の店内>
「古賀」の店内は、南フランスのフレンチレストランをイメージし、白を基調としたスタイリッシュなデザインが施されています。木の温もりを感じるカウンター席や、落ち着いたテーブル席、個室などが用意されています。
モダンでおしゃれな雰囲気の中で、江戸時代から続く伝統の食を味わうことができるのです。
![]()
<「古賀」の「うな重もみじ」>
裂き、串打ち、素焼き、蒸し、本焼きのすべての工程を店主が一つ一つ手作業で仕上げた逸品は、見た目の美しさにもこだわり、「日本一きれいな鰻重」としてメディアで紹介されたこともあります。
古賀
- 所在地:さいたま市浦和区常盤7-1-20
- 電話:048-753-9986
- 営業時間:11:30~14:30、17:00~21:00
- 定休日:火・水曜
- 公式サイト:古賀
5. 串焼きメニューが充実する「瀧澤」
![]()
<瀧澤>
「瀧澤」は2018年、旧中山道沿いにオープンし、女性店主が腕を振るっています。問屋から直送された新鮮な国産うなぎを、高温で焼いた後じっくり蒸し上げ、舌の上でとろけるようなふっくらとした食感と香ばしい風味を生み出しているのです。
![]()
<「瀧澤」の店内>
店内は隠れ家的で落ち着いた雰囲気を漂わせる空間に、カウンター席、テーブル席、掘りごたつ席などが数十席、用意されています。
![]()
<「瀧澤」の串焼き(カブト焼き・ばら身・短冊)>
「瀧澤」のメニューで特に注目したいのは、うなぎの串焼きです。肝焼き、ひれ巻き、くりから、カブト焼き、短冊、ばら身など、普段あまり口にすることができない部位を串焼きで味わうことができるのです。
瀧澤
- 所在地:さいたま市浦和区高砂2-14-17 日建第二高砂ビル1階
- 電話:048-825-9157
- 営業時間:11:00~15:00、土・日曜、祝日 11:00~15:30
- 公式サイト:瀧澤
6. うなぎを残さずおいしく使い切るという情熱があふれる「せきの」
![]()
<せきの>
「せきの」は、旧中山道の西に伽藍を構える古刹の玉蔵院の北に2013年に開店しました。うなぎ問屋を兼ねる総合商社から独立した創業者が、磨いた目利きに加えて、裂き、串打ち、焼きなど、うなぎの調理の技を習得したのです。四万十川の天然うなぎをはじめとするこだわりの国産うなぎを備長炭でじっくりと香ばしく焼き上げています。
![]()
<「せきの」の店内>
店内には、テーブル席、カウンター席など数十席が設けられています。ゆったりとした空間では、日本酒などのドリンク類の品ぞろえも豊富で、バラエティー豊かな一品料理をゆっくりと楽しんだ後に、うな重で締めれば、充実感たっぷりです。
![]()
<「せきの」の串焼き(つくね・短冊・ひれ焼き・きも焼き)>
串焼きには、短冊、ひれ焼き、赤バラ、つくね、きも焼き、ミックス巻きなど、希少部位のメニューがそろい、うなぎを残さずおいしく使い切るという情熱があふれ出しています。
せきの
- 所在地:さいたま市浦和区仲町2丁目2-6 1階
- 電話:048-678-3337
- 営業時間:<火~木>17:00~22:00、<金~日、祝日>11:30~13:30、17:00~22:00
- 定休日:月曜
- 公式サイト:せきの
数十軒のうなぎ屋が密集する浦和で味わう日本の伝統食
![]()
<「せきの」の「うな重上ブランドうなぎ」>
さいたま市の浦和は、江戸時代に中山道の宿場町として発展する中、うなぎの食文化を育みました。今でもエリア内には数十軒のうなぎ屋が密集し、職人技を受け継いでいます。江戸時代から多くの人々が往来した街道を歩きながら、伝統の食を味わうと、日本の豊かな歴史を感じることができるでしょう。
関連記事

「埼玉」に興味わいてきた?あなたにおすすめの『埼玉』旅行はこちら
※外部サイトに遷移しますRelated postこの記事に関連する記事
Ranking埼玉記事ランキング
-

obaq
- 2009年より数々のWebサイト、雑誌、書籍のメディアにおいてトラベルライターとして活動しております。2025年7月現在で、国内47都道府県、海外67カ国の地域を訪ね歩きました。この経験をもとに、日本全国、世界各国にあふれるユニークな文化や特徴、魅力をご紹介して参ります。































