

リスボンの街で絶対に見逃せないと思っていた、定番スイーツの「エッグタルト(パステル・デ・ナタ)」です。
前回に引き続き、ポルトガルの首都・リスボンのフードを堪能していた私。
>>過去記事:美食の街リスボンの新店と今をつくる人たち|ポルトガル
リスボンの街を歩いていると、いつだって焼き立てのカスタードと甘いパイの香りがふわりと漂う。そんなふうに街のあちこちで出会うお菓子だからこそ、ふと「自分の好みの味を見つけてみたい」と思い立ち、いろんなお店を巡ってみることにしました。
今回は、私がリスボンを歩き尽くして見つけた5つの名店をお届け。一見シンプルなのに、お店ごとに驚くほど個性のあるエッグタルトの世界を紹介します。
目次
- 元祖ナタ!絶対に外せない「パステイシュ・デ・ベレン」
- エッグタルトの起源となるジェローニモス修道院へ
- 狙い目は朝イチ!ベレン観光のコツ
- 濃厚派さんはこっち!最高級バターの「マンテイガリア」
- 華やかミルク感が味わえる「カストロ」
- 懐かしい甘さにほっこり「ファブリカ・デ・ナタ」
- 老舗カフェでゆったり楽しむなら「カフェ・ア・ブラジレイラ」
- 最後に:リスボンでエッグタルト巡り
元祖ナタ!絶対に外せない「パステイシュ・デ・ベレン」
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<パステイシュ・デ・ベレンの外観>
最初に訪れたのは、1837年創業の「Pastéis de Belém(パステイシュ・デ・ベレン)」。エッグタルト発祥のお店です。
このあと、いろいろなお店で食べ比べることになるのですが、結果から言うと私の一番のお気に入りは、ここのエッグタルトでした。
甘すぎず、なんなら少し塩っぱい。重すぎないから「いくらでも食べられてしまいそうだな」とすら思いました。その軽やかさが、日本人好みなのかもしれません。
中のカスタードはぷるんとした食感で、卵がふわりと香る。外側のパイ生地は薄くて硬い、まるで春巻きのようなクリスピー感がありました。
「スイーツというより、料理っぽいな」
そんな感想が出るくらいには、甘さに頼らない潔さがありました。
それに、いわゆる洋菓子らしいバター感はなく、ラードのようなコクも感じられます。朝ごはんにもぴったりの、優しい味わいでした。
Pastéis de Belém(パステイシュ・デ・ベレン)
- 所在地:R. de Belém 84 92, 1300-085 Lisboa, ポルトガル
- 電話:+351213637423
- 営業時間:8:00〜21:00
- 定休日:無し
- 公式サイト:Pastéis de Belém
エッグタルトの起源となるジェローニモス修道院へ
お店から5分ほど歩くと、世界遺産に登録されている「ジェローニモス修道院(Mosteiro dos Jerónimos)」が見えてきます。
実はエッグタルトは、ここの修道士の手によって生まれたものなのです。
当時の修道院では、服の糊付けやワインの不純物を取り除くために、大量の卵白を使っていたのだそう。そこで余ってしまった卵黄を活用するために考案されたのが、このお菓子の始まりです。
ベレンのエッグタルトを食べて最初に感じた「料理っぽさ」。
これは当時高価だったバターの代わりに、修道院に常備されていたラードを使っていたからかもしれません。ベレンのレシピは200年以上もの間、一族の限られた人しか知らない極秘事項。本当の正解を知る術はありませんが、そんな歴史の背景からおいしさの秘密を解くのもまた、旅の醍醐味です。
ジェローニモス修道院(Mosteiro dos Jerónimos)
- 所在地:Praça do Império 1400-206 Lisboa, ポルトガル
- 開館時間:9:30〜17:30
- 閉館日:月曜
- 公式サイト:ジェローニモス修道院
※入場には予約チケットが必要です
狙い目は朝イチ!ベレン観光のコツ
「行列はすごいけど、行く価値はある!」と評価されているベレン。
混雑を避けるなら、人の少ない朝イチがおすすめです。
周辺には緑豊かな公園やテージョ川など、心地よく散歩できるスポットが広がっています。
クラシックな店内でいただくのはもちろん、朝の澄んだ空気のなか、テイクアウトしたエッグタルトを頬張るのも、最高の旅のひとときになりそうです。
旅の始まりは、ひとつのエッグタルトから。これから出会うリスボンの味覚に、ますます期待が膨らみました。
濃厚派さんはこっち!最高級バターの「マンテイガリア」
リスボンの人たちに「どこのエッグタルトがおすすめ?」と尋ねると、返ってくる答えは大抵、先ほどの「ベレン」か「Manteigaria(マンテイガリア)」の二択。現地では「どっち派か」で論争が起きるほど、愛され続けている二巨頭です。
いったいどんな違いがあるんだろうと、一口食べてみると納得が行きました。ここは元祖ベレンとは正反対の魅力を持ったお店だったのです。
果てしないほどに折り重ねられた層はどこまでも軽やかで、少し前歯を立てるだけでパリパリパリッと小気味よく崩れていきます。
その中から溢れ出すのは、口当たりのいいカスタード。「ほぼ液体だ!」と衝撃が走るほどの滑らかさでした。
店名「マンテイガリア」とは、ポルトガル語で「バター屋」という意味。
その名が示す通り、最高級バターを使用した濃厚さが売りのようです。リッチな香りに、ヨーロッパ菓子らしい甘さ。エスプレッソとの相性は抜群でした。
このお店でぜひ試してほしいのが、シナモンのトッピング。どのお店にもテーブルにちょこんと置いてある定番ですが、ここでは思い切ってたっぷりかけるのが正解です。
甘くクリーミーなカスタードに、香り高いシナモンが重なり合う。バターのコクとスパイスが口いっぱいに広がる瞬間は、まさに夢のようなおいしさでした。
Manteigaria(マンテイガリア)
- 所在地:Rua do Loreto 2, 1200-108 Lisboa, ポルトガル
- 電話:+351213471492
- 営業時間:8:00〜0:00
- 定休日:無し
- 公式サイト:Manteigaria
※リスボン中心に複数店舗があります。
華やかミルク感が味わえる「カストロ」
次に訪れたのは「Castro Atelier de Pastéis de Nata(カストロ・アトリエ・デ・パステイシュ・デ・ナタ)」。
そもそもエッグタルトは、素朴なパン屋さんやスーパーマーケットでも手に入る、ポルトガル人にとって日常的な存在。小腹が空いたとき、エスプレッソを片手にクイッと飲みながら立ち食いする――そんな肩肘張らない気軽さが、いつの間にか私のお気に入りになっていました。
ところが、ここのエッグタルトを口にした瞬間、そんなカジュアルなイメージはくつがえりました。繊細なパイ生地の中には、生クリームのようなミルク感のあるカスタード。シルキーな口当たりで、飲み込んだ後もシナモンとレモンの余韻が続きます。
そこには大量生産の影はひとつもなく、「華やか」という印象だけが頭を巡りました。手土産としても機能しそうな、ドレスアップされたエッグタルトでした。
Castro Atelier de Pastéis de Nata(カストロ・アトリエ・デ・パステイシュ・デ・ナタ)
- 所在地:R. Áurea 254, 1100-066 Lisboa, ポルトガル
- 営業時間:8:00〜22:00
- 定休日:無し
- 公式サイト:Castro Atelier de Pastéis de Nata
※リスボン中心に2店舗あります。
懐かしい甘さにほっこり「ファブリカ・デ・ナタ」
リスボンの中心に大きな店舗を構えるのは「Fábrica da Nata(ファブリカ・デ・ナタ)」。店名の「ファブリカ」とは、ポルトガル語で「工場」を意味します。
安定したおいしさ、お得なコーヒーセット、夜遅くまで開いている利便性など、観光客のみならず地元の人々からも愛されているショップです。
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<ファブリカ・デ・ナタのエッグタルト>
ここのエッグタルトで印象的だったのは、カスタードの風味。一口食べると、どこか練乳を思わせるノスタルジックな甘みが広がりました。なんだか子どもの頃に親しんだ、あのミルキーのような、優しくて愛おしい味わいです。
それを包むパイ生地は一枚ずつの層にしっかりとした厚みがあり、生地自体もほんのり甘い。手に取ると少しテカテカするくらい油分があって、ジャンクなおいしさもあります。
店内には焼きたてのエッグタルトが天井のレールに沿って運ばれていくユニークな仕掛けも。工場のワクワク感を演出したフレンドリーな造りに、幼心を刺激されました。
Fábrica da Nata(ファブリカ・デ・ナタ)
- 所在地:Praça dos Restauradores 62 -68, 1250-110 Lisboa, ポルトガル
- 電話:+351211325435
- 営業時間:7:00〜23:00
- 定休日:無し
- 公式サイト:Fábrica da Nata
※リスボン中心に2店舗あります
老舗カフェでゆったり楽しむなら「カフェ・ア・ブラジレイラ」
リスボンのエッグタルト専門店は小さなお店が多く、店先やカウンターでサクッと立ち食いするのが基本のスタイル。坂の多い街で、「歩き疲れたから、座ってゆっくりと味わいたいな......」とお店を探していたときに出会ったのが、「Café A Brasileira(カフェ・ア・ブラジレイラ)」です。
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<カフェ・ア・ブラジレイラの内装>
ここは1905年創業、ポルトガルを代表する詩人、フェルナンド・ペソアも通い詰めたという、リスボンで有名な歴史的カフェ。一歩足を踏み入れれば、アール・ヌーヴォー様式のきらびやかで重厚な空間が、一瞬で私を古きよき時代へとタイムスリップさせてくれました。
専門店が競い合うエッジの効いた味に比べると、ここのエッグタルトは正統派だと思いました。カスタードはぽてっと柔らかく、食べ応えのある王道の甘さ。パイ生地もしっかりとバターの風味が効いていて、一口ごとに満足度が高まります。
120年の歴史が紡いできた時間のなかで、ゆったりと老舗喫茶の味を楽しむ。疲れた身体に、じわじわとエネルギーが戻ってくるのがわかりました。
店内の格式高い雰囲気に浸るのもよし、情緒ある路面電車の音をBGMに、テラス席で楽しむのもよし。お菓子から軽食までメニューは豊富なので、ぜひここで旅の疲れを癒やしてみてはいかがでしょうか。
Café A Brasileira(カフェ・ア・ブラジレイラ)
- 所在地:R. Garrett 120 122, 1200-205 Lisboa, ポルトガル
- 電話:+351213469541
- 営業時間:8:00〜0:00
- 定休日:無し
- 公式サイト:Café A Brasileira
最後に:リスボンでエッグタルト巡り
「どこもおいしそうだけど、大きな違いってあるのかな?」
リスボンを訪れたばかりの私は、エッグタルトのことをそんなふうに思っていました。
しかしお店を巡るうち、違いがより鮮明になり、それぞれの個性が立ち上がっていくようでした。
食べ比べることで、味の輪郭がくっきりと浮き出てくる。同じものを同じ土地でいくつも堪能することは、旅の充実度を底上げしてくれるのだと感じました。
みなさんもリスボンを訪れた際は、エッグタルトの食べ歩きに出かけてみてください。旅の一番の思い出になるような、あなただけのお気に入りに出会えますように。
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maryo
- のんびり世界一周中。読んだ人が旅情に浸れる、そんな温かい記事をお届けします。






























