アムステルダムの歴史的乗馬学校「ホランセ・マネージュ」で古典馬術ショーとミュージアム体験

アムステルダムの中心部にたたずむ「ホランセ・マネージュ(Hollandsche Manege)」は、ヨーロッパ古典馬術の伝統を受け継ぐ、オランダ最古の乗馬学校です。

19世紀に建てられたクラシックなホールでは、優雅な乗馬ショーの観覧が楽しめるほか、併設のミュージアムでは馬術芸術の歴史や美しさに触れることができます。

さらに、厩舎では馬たちと間近でふれあい、実際に乗馬を体験することも可能です。フォトジェニックな空間が広がるカフェでは、アフタヌーンティーを楽しむこともでき、地元の人々にも愛される隠れた人気スポットです。

目次

オランダ最古の乗馬学校

アムステルダムの歴史的乗馬学校「ホランセ・マネージュ」の白い建物の外観、内観

アムステルダムの中心部、賑やかなライツェ広場から徒歩約10分のフォンデル通りに、「ホランセ・マネージュ(Hollandsche Manege)」はひっそりと佇んでいます。1744年に設立されたオランダ最古の乗馬学校であり、豊かな歴史を誇る国家遺産でもあります。

現在の新古典主義様式の建物は1882年、建築家「A.L. ファン・ヘント」の設計により建設されました。重厚なアーチ扉をくぐると、柔らかな陽光が降り注ぐ幻想的な空間が、訪れる人を迎え入れます。

生きた馬のミュージアム

2014年には、馬術芸術と馬の世界を紹介する「リビング・ホース・ミュージアム(Living Horse Museum)」がオープンしました。その名のとおり、ここは単なる展示施設ではなく、馬たちが実際に生活し、訓練を受け、人々と触れ合う様子を間近で観察できる場所です。

リビング・ホース・ミュージアムの馬具や小物の展示場

かつての支配人の部屋や騎手の更衣室には、オランダの馬術に関する貴重な資料や馬具、当時の調度品が展示されており、歴史の重みとともに、時代を超えた雰囲気を感じさせます。

古典馬術の乗馬ショー

リビング・ホース・ミュージアムの乗馬ショー 広い会場で白い馬にのる4人の騎士

リビング・ホース・ミュージアムの最大の見どころは、毎週日曜日に開催される乗馬ショーです。19世紀に建てられた壮麗な馬術ホールでは、優雅な隊列を組んだ騎手たちが、息の合ったカルーセル(円形行進)を披露します。

私が訪れた日は、4人の女性騎手によるショーが行われていました。エレガントな乗馬服に身を包んだ騎手たちは白馬に凛々しく跨り、人馬一体のパフォーマンスを見せてくれました。

ホール全体を使い、円を描くように進んだり、互いにクロスしながらすれ違ったりと、音楽に合わせて常歩(なみあし)、速歩(はやあし)、駈歩(かけあし)とステップが変化していきます。リーダーの力強い号令が響く中、白馬たちの気品あふれる姿に、思わず見入ってしまいました。

現代に蘇ったサイドサドル乗馬

ホランセ・マネージュショーのタキシード、ドレスを着たのサイドサドル乗馬の様子

ホランセ・マネージュのショーのもう一つの見どころが、サイドサドル乗馬です。これは、両脚を馬の同じ側に揃えて乗る伝統的なスタイル(上写真)で、ドレスやスカートを着用した女性のための乗り方として、19世紀から20世紀初頭にかけて発展しました。

大きな馬の上に、斜めにそっと腰掛けているように見え、どのようにバランスをとっているのか不思議でしたが、サイドサドル乗馬には専用の鞍があるそうです。鞍の上部には右脚をかけるための突起があり、さらに馬の背中に均等に圧力がかかるよう工夫された設計になっています。

サドル乗馬の模型とタキシード、赤いドレスを着て乗馬する人たち

実際に模型に座ってみたのですが、右脚をかけてもなお、私にはバランスをとるのが難しく感じられました。

ホランセ・マネージュを拠点に活動する乗馬グループ「フォンデルカルーセル(Vondelcarrousel)」は、この古典的なサイドサドル乗馬の伝統を現代に蘇らせ、次世代へと受け継いでいます(上写真)。その取り組みが評価され、2015年にはフォンデルカルーセルのサイドサドル乗馬が、オランダの無形文化遺産に登録されました。

毎月第1・第3日曜日に行われる乗馬ショーでは、フォンデルカルーセルによる格調高い演技を間近で堪能できます。さらにショー終了後には、サイドサドルでの乗馬体験をすることもできます。本場ヨーロッパの古典馬術を観賞するだけでなく、自ら体験することもできるーーそんな特別な機会を提供しているのは、オランダ全国でもホランセ・マネージュだけです。

馬との触れ合い

馬術ホールのホランセ・マネージュで飼育されているブラウンの馬

馬術ホールに隣接する厩舎では、ホランセ・マネージュで飼育されている馬たちと触れ合うことができます。私にとって馬は日常的に接する動物ではないので、間近で見るたびに、その大きさと迫力に圧倒されてしまいます。

馬のクッキーと白い馬に餌やりを体験する人

馬たちは馬房から通路に頭を出せるようになっており、その顔をそっとなでていると、純粋な瞳や素朴な表情に心が癒されました。馬用のクッキーも購入できるので、餌やりを体験することもできます。

騎手やスタッフに連れられて厩舎を出入りする馬が、訪問者のすぐ横を通り過ぎていく様子は、まさに「生きた馬のミュージアム」の名にふさわしい光景です。馬の息遣いや蹄の音、インストラクターの掛け声を間近に感じながら、オランダ馬術の伝統が生き続けていることを体感できます。

まとめ:施設情報

ホランセ・マネージュの歴史的な建築、馬術ホールを一望できるカフェ、歴史ある建物やインテリア装飾

ホランセ・マネージュは、歴史的な建築と動物、そして伝統と現代が美しく調和した、フォトジェニックな空間です。馬術ホールを一望できるカフェでランチやハイティーを楽しんだ後は、ぜひ歴史ある建物やインテリア装飾にも目を向けてみてください。

ホランセ・マネージュはアムステルダム中心部からアクセスしやすく、見学に必要な時間も1~2時間程度なので、観光スケジュールにも組み込みやすいのが魅力です。運河クルーズや美術館巡りといった定番観光の合間に、ほっと一息つきながら、新たな発見を得られる「隠れた名所」として、特にリピーターや旅を深く楽しみたい方々に親しまれています。

馬や動物がお好きな方、サイドサドルというユニークな乗馬スタイルを体験してみたい方、あるいはアムステルダムの賑わいを離れて穏やかなひとときを過ごしたい方に、ぜひおすすめしたい場所です。

知らずにいれば通り過ぎてしまうような扉の奥に、思いもよらないクラシカルな世界が広がっています。

リビング・ホース・ミュージアム Living Horse Museum

  • 所在地:Vondelstraat 140, 1054 GT Amsterdam
  • 電話:+31-(0)20-618-0942       
  • 開館時間:11:00~17:00
  • 閉館日:月曜、1月1日、4月27日(国王誕生日)、12月25日休業
  • 入館料:大人 12.5ユーロ(日曜 17.5ユーロ)、3~12歳 8ユーロ
  • アクセス:アムステルダム中央駅よりトラム17番で13分Overtoom下車徒歩5分
  • 公式サイト:リビング・ホース・ミュージアム

※乗馬ショーは13時30分から約30分ほどで、オンラインまたは窓口でチケットを購入できます。

※施設の詳細やアクセス方法などは2026年7月時点のものですので、最新情報は公式サイトでご確認ください。

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Kayo Temel

山形県出身。オランダのアムステルダムにある美術アカデミーで絵画を学び、イラストレーターやライターの仕事をしています。渡欧以来、訪れた国は23カ国。旅をするたびに、文化の多様さに感銘を受けます。また、住み慣れたオランダでも、まだまだ新しい発見がつきません。25年の滞在経験とアートの視点を活かし、、オランダの魅力を深く味わうための情報をお届けします。

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