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【秋田・大仙市】春の大曲をぶらり散歩。花火の記憶をたどり、老舗喫茶「かたつむり」へ

秋田県大仙市大曲といえば、花火。毎年8月に開催される「全国花火競技大会」は、日本三大花火大会のひとつとして知られています。
でも、花火のない季節の大曲を、あなたは歩いたことがあるでしょうか。雪が溶け、春の気配が漂いはじめる3月。大曲駅を起点に、花火の歴史をたどりながらのんびり歩き、夕方には古いビルの前で足が止まりました。
2階への階段に、小さな看板。その日の大曲は、私の小さなお気に入りがいくつか増えた日になりました。
目次
大曲駅から、春の散歩へ
大曲駅は秋田新幹線の停車駅で、角館や田沢湖へ向かう旅の通過点になることも多い場所です。でも、乗り換えのついでに少し足を延ばしてみると、この町には「花火の季節」だけじゃない顔があることに気づきます。
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<3月の丸子川の風景>
3月の大曲は、冬と春のあいだの静かな時間の中にあります。街を覆っていた雪はすっかり姿を消し、遠くの山にはまだ白さが残っている。その季節の変わり目に、大曲の町をゆっくり歩いてみました。
花火の記憶をたどる「はなび・アム」
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<はなび・アム4階 展望展示ホール>
大曲駅から歩いて10分ほど。丸子川のほど近くに「花火伝統文化継承資料館 はなび・アム」があります。2018年に開館した花火専門の資料館で、入館無料。花火の歴史や職人の技術、大曲発祥の創造花火の世界まで、じっくりと知ることができます。
館内には花火玉の断面模型や実物レプリカが並び、花火師たちの仕事が間近に感じられます。4面マルチスクリーンの「はなびシアター」では、身体に響くような迫力で花火の映像に包まれます。夏の一夜の向こう側にある、長い時間と技術の積み重ねが見えてくる場所です。
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4階の大きな窓からは、ノスタルジックな大曲の町並みと涼やかな丸子川が見渡せます。春が近づくこの時期、まだ白さの残る山並みを眺めていると、この町が花火とともに歩んできた時間の長さが、しみじみと伝わってきました。
2026年4月25日、「大曲の花火 春の章」が開催されます。若手花火師の新作花火と、海外花火師とのコラボレーション。夏とはまた違う、春の花火もいいものです。
大曲の花火 --春の章--
- 新作花火コレクション
- 世界の花火・日本の花火
- 2026年4月25日 (土)
- 打上時間:19:00〜20:30
- オフィシャルサイト:全国花火競技大会「大曲の花火」
花火伝統文化継承資料館 はなび・アム
- 所在地:秋田県大仙市大曲大町7番19号
- 電話:0187-73-7931
- 営業時間:9:00~17:00
- 定休日:月曜(祝休日にあたる場合は翌平日)
- 入館料:無料
- 公式サイト:花火伝統文化継承資料館 はなび・アム
階段を上がると、オレンジの看板
はなび・アムを出て、また駅の方向へ歩いて戻る。そのぶらぶらとした道のりの中で、古いビルの前で足が止まりました。
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外から見ると、階段の先には小さな扉があるだけです。ホームページもSNSもなく、訪ねてみるまで中の様子は想像するしかありません。それでも階段を上がると、正面にオレンジ色の大きな看板が目に飛び込んできます。
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新聞を広げながらコーヒーを飲む男性のイラストと、手書きの文字。思わず立ち止まって読んでいると、この扉の先にどんな時間が待っているのか、ますます気になってきました。
扉を開けると、女性店主さんがすぐに声をかけてくれました。L字のカウンター席と4人掛けのテーブルが2つ。先客が数人いて、店主さんとゆったり話をしています。夕方の西陽が窓から差し込んでいて、店内はおだやかな雰囲気。
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カウンターにはレトロなコーヒーカップやシュガーポットが並び、壁には油絵が数点。かたつむりのイラストもあちこちにあります。
特別に飾り立てているわけではないのに、店内のあちこちに店主さんの手が届いていて、いつのまにか肩の力が抜けていました。
チーズトーストとコーヒー
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席についてホットコーヒーとチーズトーストをオーダー。自家製パンを使ったトーストは、ふっくらとした厚みがあります。表面はサクッと焼き上がっていて、チーズがほどよく溶けていました。甘さも塩気もちょうどよく、からしマヨネーズがアクセント。
コーヒーは特別に凝ったものではありません。でも、この場所にはそれがよく合っていて、電車の待ち時間に立ち寄ったつもりが、気づけばゆっくり時間をかけて食べていました。
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メニューはほかにもオムレツやハムエッグ、スパイスカレーなど食事系も揃っています。朝8時半から営業していて、どの時間に来ても同じメニューが注文できるのもこの店のいいところ。旅の朝に立ち寄るのもよさそうだと思いました。
2階の窓から見てきた街
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「かたつむり」は、もともとはお母さんと姉妹3人で始めたお店で、今は店主さん一人で切り盛りし、オープンから50年以上が経つそう。窓の外は特別な景色ではありません。でも、2階から駅前をぼんやり眺めていると、不思議と時間がゆっくり流れます。
夕方の光の中、学校帰りの学生がちらほら。少しずつ変わっていく駅前の風景を、この窓からずっと見てきたのだと思うと、なんとも言えない気持ちになりました。50年という時間の重さが、この2階の窓からじんわりと伝わってきます。
女性が一人でも、ふらりと入れる場所に
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「昔は女性が一人で気軽に食事できる場所って、なかなかなかったんですよ。そういう場所にしたかったんです」
この店を始めた理由を聞くと、店主さんからはそんな言葉が返ってきました。男性ならラーメン屋でもどこでもすっと入れる。でも女性が一人で気兼ねなく座れる場所は、当時なかなかなかった。その思いがこの店の根っこにあります。
壁の絵も、カウンターに並ぶ器も、どこか女性が一人でも落ち着けるような、やわらかい雰囲気をつくっています。店主さんは必要以上に話しかけてくるわけでもなく、かといって無愛想でもありません。
常連さんとの会話を聞いているだけでも、この店の居心地のよさが伝わってきます。一人で来ても、誰かと来ても、自分のペースで過ごせる距離感がありました。
まとめ
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大曲駅のすぐそばに、名前を知らなくてもたどり着ける喫茶店があります。花火の町として知られる駅前に、静かに続いてきた時間が、そのまま残っています。
自家製パンのトーストとコーヒーを手に、2階の窓から駅前を眺める。はなび・アムで花火の歴史に触れ、春の大曲を歩いたあと、この場所でひと息つく。そんな小さな旅が、私のお気に入りになりました。
かたつむり
- 所在地:秋田県大仙市大曲通町7-5 2階
- 電話:0187-63-5250
- 営業時間:8:30〜18:00、水曜 8:30〜16:00
- 定休日:日曜
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ふきのとう編集室
- 秋田県在住のフリーライター。田舎のくらしや人とのつながり、土地のごはんや文化を、やわらかな視点で切り取った記事を執筆しています。“人に会いに行きたくなる”、そんな旅のきっかけを届けられたらうれしいです。




























