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SNSに載らないのに、忘れられない。秋田県大仙市で人が通い続ける喫茶店「じゅがーる」

秋田県大仙市にある「自家焙煎珈琲と手作りケーキの店 じゅがーる」には、公式SNSもホームページもありません。それでも常連さんがふらりと訪れ、焙煎したての豆を受け取り、コーヒーを飲んで帰っていきます。
発信しなくても人が通い続けるこの店には、どんな時間が流れているのか。旅の途中で立ち寄る理由を探しに、訪ねてみました。
目次
- 知らない人同士が、自然と話し始める場所
- 焙煎したての豆を手渡す、いつもの午後
- コーヒーと手作りケーキが、日常としてある店
- 生豆と貼り紙ににじむ、店主さんの考え
- SNSに載らなくても、ちゃんと残る場所
- まとめ
知らない人同士が、自然と話し始める場所
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雪が降る2月の午後、お店の扉を開けると、温かい店内には常連さんらしき2人の先客がいました。
「冬にはこの長靴がいいよ」
「昔、駅前に映画館あったね」
特別な話題ではありません。同じ場所に住んでいれば自然と出てくる、そんな会話が静かに続いていました。私が入ると、優しそうな女性店主さんが「こんにちは」と声をかけてくれます。
それに続いて、カウンターの常連さんたちも「こんにちは」と一言。それだけで、思わず肩の力が抜けました。
必要以上に話しかけられることはありません。初めてでも、よそ者でもないような気持ちになる距離感がここにはあります。
焙煎したての豆を手渡す、いつもの午後
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夕方前のこの時間は、焙煎を予約していたお客さんが豆を受け取りに来る頃です。扉が開くたびに「こんにちは」「お待たせしました」と短いやり取りが交わされます。
店主さんは接客の合間にキッチンへ下がり、少量ずつ豆を焙煎。手慣れた手つきで梱包して、準備を進めていきます。
「いつもありがとうね」
一言二言交わして豆を渡す店主さんは、相手の好みや注文内容をきちんと覚えている様子です。コーヒー豆は、どれも少量から購入できます。
必要な分だけ買い、飲みきれるうちに楽しむ。顔を合わせ、言葉を交わし、豆を手渡す。その積み重ねが、いつもの来店につながっているのだと感じました。
コーヒーと手作りケーキが、日常としてある店
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私はソフトブレンドコーヒーとチョコレートケーキを注文しました。運ばれてきたコーヒーは湯気が立ち、一口飲むと体が温まります。
ケーキは店主さんの手作りです。甘さは控えめで、急がずに食べたくなる味。コーヒーをひと口、ケーキをひと口。不思議と動きがゆっくりになります。
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しばらくして、ご年配の夫婦が入ってきました。ケーキセットを一つ頼み、二人で分け合いながら席に着きます。
「雪、すごいね」
「ひな祭りの飾り、かわいいね」
交わされる言葉はそれだけ。この店では、話さなくても落ち着きます。会話があっても、なくてもいい。同じ空間で同じ時間を過ごすこと自体が、ここでは当たり前のことでした。
生豆と貼り紙ににじむ、店主さんの考え
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店内の棚には、生豆がずらり。種類の多さに、思わず足が止まりました。その近くに、数枚の貼り紙があります。
「古い珈琲は酸化して体に良くありません。
焙煎は1週間、挽き3日以内、淹れたら10分以内に飲み干すことが理想です」
丁寧な言葉ですが、曖昧さはありません。おすすめというより、店主さんが信じるコーヒーの飲み方がそこに書かれていました。
SNSに載らなくても、ちゃんと残る場所
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帰り際、100グラムだけコーヒー豆を買いました。少量で買う、という選択が自然に思えたからです。
家でコーヒーを淹れると、店内の空気や、店主さんの動きがふっと浮かびました。店の空気感まで一緒に持ち帰った気持ちになります。
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この店が続いている理由は、特別な仕掛けや話題性ではありません。一人ひとりのお客さんと向き合い、丁寧に豆を届ける。
その積み重ねが、信頼になっているからです。発信しないことを選ぶ店もある。説明しなくても、来た人にはちゃんと伝わるやり方がある。
SNSに載らなくても、忘れられない場所は残る。大仙市には、そうやって時間を重ねてきた喫茶店があります。
まとめ
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大仙市の喫茶店「じゅがーる」では、目立つ情報発信はしていません。けれど、店を訪れれば、なぜこの場所が長く続いているのかが伝わってきます。
焙煎したてのコーヒー、手作りのケーキ、常連さんとの静かなやり取り。そこにあるのは、派手さではなく、日々の暮らしに寄り添う時間です。
旅先で目立つスポットを巡るのも楽しいですが、その土地の人が通い続ける場所に足を運ぶことで、見えてくる風景もあります。大仙市を訪れる機会があれば、静かにコーヒーを味わう時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
自家焙煎珈琲と手作りケーキの店 じゅがーる
- 所在地:秋田県大仙市大曲田町3-6
- 電話:0187-63-2890
- 営業時間:11:00〜18:30
- 定休日:月曜・第1・3日曜
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ふきのとう編集室
- 秋田県在住のフリーライター。田舎のくらしや人とのつながり、土地のごはんや文化を、やわらかな視点で切り取った記事を執筆しています。“人に会いに行きたくなる”、そんな旅のきっかけを届けられたらうれしいです。





























