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【偕楽園ガイド】江戸時代に造園され国内屈指の梅の名所となった日本三名園の一つ水戸の偕楽園

日本には四季に恵まれ季節ごとにバラエティーに富んだ種類の花が咲き、季節感を漂わせます。特に厳しい寒さが和らぎ、春へと季節が移るシーズンには身のまわりの小さな自然の変化が目に止まることでしょう。
梅、桜、つつじ、萩、紅葉などは、豊かな彩りで季節の移ろいを感じさせてくれるものです。
茨城県水戸市の偕楽園は、金沢の兼六園、岡山の後楽園とともに、「日本三名園」の一つに数えられる庭園です。江戸時代に造園された公園は、一年を通して四季折々の景観で包まれます。造園から凡そ200年の歴史を育みながら、訪れた人々に四季の自然の美しさを見せているのです。
目次
- 水戸藩第9代藩主の徳川斉昭が造園した偕楽園
- 領民に温かく接した徳川斉昭の人柄が感じられる好文亭
- しっとりした静けさが漂う大杉の森や孟宗竹林
- 緑の絨毯を敷きつめたような解放感があふれる見晴広場
- 季節の移り変わりを知らせるつつじや萩
- 約100種類、約3,000本の梅が咲き乱れる国内屈指の梅の名所
- 一年を通して四季折々の自然の魅力が満ちあふれる偕楽園
水戸藩第9代藩主の徳川斉昭が造園した偕楽園
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<偕楽園>
偕楽園は、江戸時代1842(天保13)年7月に水戸藩第9代藩主徳川斉昭によって作られました。領内の民と偕(とも)に楽しむ場にしたいという徳川斉昭の願いが、偕楽園の名前にこめられています。
園内は「陰」と「陽」の世界観を意識して造園されたと伝わります。しっとりした静けさが漂う「陰」の世界と、陽が降り注ぎ四季折々の様々な花が咲き誇る「陽」の世界が、バランスよく溶け合っています。このコントラストを楽しむのが、偕楽園の最大の魅力なのです。
領民に温かく接した徳川斉昭の人柄が感じられる好文亭
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<好文亭>
偕楽園の広大な敷地のほぼ中央には好文亭が建造されています。木造2層3階建ての好文亭本体と木造平屋建ての奥御殿の設計は、徳川斉昭が自らデザインしたと伝わります。
文人墨客や家臣、領内の人々が集い、詩歌や慰安会が繰り返し行われたようです。徳川御三家の大大名でありながら、領民に温かく接した斉昭に親近感が感じられることでしょう。
「好文」は梅の別名です。「学問に親しめば梅が咲き、学問を廃すれば咲かなかった」という晋の武帝の故事から、斉昭が命名しました。1945年8月の水戸空襲で全焼しましたが、1955年から3年の歳月をかけて復元され現在に至っているのです。
好文亭の楽寿楼からは、隣接する千波湖の他に、筑波山を望むことができます。湖や山の風景は、時を経ても不変です。斉昭たちが眺めた光景を眺めていると、時空を超えた感慨が感じられることでしょう。
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<奥御殿 梅の間>
奥御殿の梅の間には見事な襖絵で装飾され、気品が満ちあふれます。斉昭夫人の貞芳院が1873年まで住まいとし、それ以降は皇族来亭の折りの休憩室として利用されています。歴史的な建造物が、現在でも活用されていることに驚かされるとともに、文化財の大切さを実感することができます。
しっとりした静けさが漂う大杉の森や孟宗竹林
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<大杉森>
好文亭の西のエリアには大杉の森が広がります。木立には木造りの遊歩道が整備されているので、ゆっくりと散策することができます。
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<孟宗竹林>
大杉森の北に接する孟宗竹林は、弓の材料とするために植えられましたが、園内に幽玄な景観を作り上げています。大杉の森や竹林には、しっとりした静けさが漂い、「陰」の世界が感じられるようです。
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<吐玉泉>
緑豊かなエリアでは、大理石で作られた美しい井筒から絶え間なく清水が湧き出ています。吐玉泉は、好文亭での茶会の水を運ぶために作られた泉です。作られてから長い年月が経っていますが、枯れることなく夏でも冷たい水をたたえ、訪れた人々の喉を潤しています。
緑の絨毯を敷きつめたような解放感があふれる見晴広場
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<見晴広場>
好文亭の東のエリアは、緑の絨毯を敷きつめたような見晴広場です。解放感あふれる広場に陽が降り注げば、気分は「陽」の世界へ変化することを感じます。
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<見晴広場から眺める千波湖>
見晴広場からも、南に穏やかな水面をたたえる千波湖を眺めることができます。草木越しに水平に伸びる水面には、どっしりとした安定感が漲っているようです。
季節の移り変わりを知らせるつつじや萩
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<見晴公園を囲むつつじ>
見晴広場の周囲は季節の移り変わりによって大きく彩りを変えます。5月の偕楽園を彩るのは、つつじです。特に好文亭の袂や見晴公園の南斜面が、赤、ピンク、白などの鮮やかな色彩で包まれます。球状に重なり合う花には圧倒されることでしょう。
例年、開花時期に合わせて例年「水戸のつつじまつり」が開催されています。
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<見晴公園を囲む萩>
9月には「水戸の萩まつり」も実施されます。暑さが和らぎ始める初秋に萩の花が、しっとりとした和の情緒で広場を囲むのです。細くてしなやかな枝に咲いた小さな花が風に揺れる姿には、控え目で奥ゆかしさが感じられます。
約100種類、約3,000本の梅が咲き乱れる国内屈指の梅の名所
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<東西梅林>
偕楽園の園内では、一年を通して異なる種類の季節の花を見ることができますが、圧巻は早春の梅です。例年2月中旬から3月中旬には「水戸の梅まつり」が開催され連日、大勢の人々が観梅に訪れます。
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<東西梅林>
見晴公園の北に接し、偕楽園の半分近くの面積を占める広大な東西梅林には、約100種類、約3,000本に及ぶ梅が育てられています。梅林の中の遊歩道を歩いていると、夢の花園に迷いこんだかのようです。
早咲き、中咲き、遅咲きの品種がバランスよく植えられているので、長期間にわたって梅の花を楽しむことができます。
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<東西梅林>
花の形、色、香り、木の枝ぶりなどの特徴を観察しながら歩くと、時間を忘れてしまいそうです。「水戸の六名木」として高く狂歌される「江南所無」、「白難波」、「月影」、「虎の尾」、「柳川枝垂」、「烈公梅」は見逃したくないものです。
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<白難波>
「白難波」は、大阪を発祥とする白梅で、かつては梅酒や梅干しに広く利用されていました。徳川斉昭の好みの品種であったようです。
「月影」は、一重咲きで白くて大輪の花を咲かせます。香りは強めで、江戸時代から多くの人々に愛されてきました。
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<水戸の梅まつり>
2026年は2月11日(水・祝)から3月22日(日)にかけて実施される「水戸の梅まつり」では、バラエティー豊富なイベントが予定されています。
幻想的な夜の観梅が楽しめる「夜・梅・祭」をはじめ、全国の梅酒が一同に会する梅酒の祭典「全国梅酒まつり」、咲き誇る梅の下での野点茶会、ひな流し、古典武術の演武、コンサートなどで、観梅の雰囲気を盛り上げてくれます。
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<田鶴鳴梅林>
早春には偕楽園は紅白の梅が咲き乱れるのですが、園と千波湖に挟まれる田鶴鳴梅林の景観も引けを取りません。見晴広場や好文亭からの眺望は壮観です。
一年を通して四季折々の自然の魅力が満ちあふれる偕楽園
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<東西梅林>
偕楽園は、茨城県水戸市にある日本三名園の一つです。1842年に水戸藩第9代藩主の徳川斉昭が「衆と楽しみを同じくする」ために開園しました。敷地のほぼ中央には文武両道の施設である好文亭が建造され、江戸時代からの歴史を漂わせています。
好文亭を囲む広々とした庭園には、杉森や竹林が設けられるばかりでなく、各所で四季折々の花が季節の彩りをリレーでつなぎます。特に東西梅林には約100種、約3,000本の梅が育ち、全国でも屈指の梅の名所となっています。
他にも、桜、つつじ、萩、そして紅葉の季節も豊かな色彩を見せてくれます。園内には、「陰」と「陽」の世界観や、季節の彩りがあふれるのです。一年のどの時期に訪れても、その度ごとに異なる魅力が満ちあふれます。
偕楽園
- 所在地::茨城県水戸市常磐町1-3-3
- 電話:029-244-5454(偕楽園公園センター)
- 開園時間:2月中旬~9月30日 6:00~19:00、10月1日~2月中旬 7:00~18:00
- 料金:大人 320円、小人 160円、満70歳以上 160円
- 休園日:無し
- 公式サイト:偕楽園
※好文亭(偕楽園本園内)詳細は公式サイトで確認
※梅まつり期間を除き、開園から9:00までは入園無料、20名以上の団体料金有
※時期により時間が異なるほか、催事により変更となる場合があります。催事により変更となる場合があります。
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obaq
- 2009年より数々のWebサイト、雑誌、書籍のメディアにおいてトラベルライターとして活動しております。2025年7月現在で、国内47都道府県、海外67カ国の地域を訪ね歩きました。この経験をもとに、日本全国、世界各国にあふれるユニークな文化や特徴、魅力をご紹介して参ります。




























