
公開日:
最終更新日:
バリ島のカレンダーとは?3つの暦と見方を分かりやすく解説

皆さま、こんにちは。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
新しい年を迎え、すでに日常に戻られている方も多いかと思います。年末年始は、どのように過ごされましたか。バリ島には、日本でいう「お正月」という概念はなく、1月1日は単なる祝日という位置づけになります。
一方で、年越しの12月31日は、パーティーを開く家庭が多く、大音量で音楽を流したり、カラオケを楽しんだりします。打ち上げ花火や爆竹の音も加わり、深夜(おおよそ2時〜3時頃)まで非常に賑やかです。
その反動なのか、翌日の元旦は一転してとても静かになります。さて、今回は1月ということもあり、バリ島のカレンダーについて紹介します。
バリ島で使われているカレンダーは、日本で一般的に使われているものとは、見方も内容も大きく異なります。
3つの暦を統合した仕組みになっており、知れば知るほど奥深いものです。バリの人々は、このカレンダーを日常的に使っています。
あまり詳しく書くと内容が複雑になるため、今回は簡単な紹介にとどめますが、「世の中にはこんなカレンダーもあるのか」と感じてもらえたらと思います。
目次
3つの暦を統合したバリ島のカレンダーとは?
日本で使われているカレンダーは、基本的に「西暦」を基準に作られています。職業や習慣によっては、大安・仏滅といった六曜や旧暦を必要とする人もいますが、多くの場合、西暦のカレンダーを中心に生活していると言えるでしょう。
また、カレンダーに六曜や旧暦が併記されている場合でも、記載内容は比較的シンプルなことが多い印象です。
![]()
一方、バリ島では、ほぼすべての家庭や職場で共通して使われているカレンダーがあります。それが、通称「バリカレンダー」と呼ばれている、非常に特徴的な壁掛けカレンダーです。近年では、簡易版の卓上カレンダーも販売されています。
このバリカレンダーには、バリ・ヒンドゥー教の人々にとって欠かせない3つの暦が統合されています。職業に関係なく、いずれの暦も日常生活と密接に結びついており、実用的な意味を持っています。
そのため、カレンダーには非常に細かい文字で、1日ごとに多くの情報が記載されています。西暦による生活に加え、宗教行事や吉凶の判断、占い、禁忌などが、複数の暦を基準に決められているためです。
では、その3つの暦とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
次に、簡単に紹介していきます。
1. 西暦
1年は基本的に365日(うるう年を除く)で構成され、週は日曜日から始まり土曜日で終わる、世界共通の暦です。日本で使われているものと同じ暦になります。
バリカレンダーは宗教的な情報だけでなく、日常の予定管理や行政手続き、学校、ビジネスなどで使われる西暦にも対応しており、世界基準のカレンダーとしても機能しています。
2. パウコン暦(ウク暦)
パウコン暦は、バリ・ヒンドゥー教独自の暦です。仕組みが非常に複雑なため、ここでは細部まで踏み込まず、できるだけ簡潔に説明します。
この暦の大きな特徴は、1年が210日周期で構成されており、その210日を繰り返していく点にあります。一見すると単純ですが、構造が複雑とされる理由は以下の通りです。
- パウコン暦には、1日を1週とする暦、2日で1週とする暦、3日で1週とする暦など、異なる曜日数を1週とする暦が同時に存在します。これらは最大で10曜日週まであり、合計で10種類の「週」が並行して進みます。
- 7日で1週とする暦が30週分存在するため、7日 × 30週 = 210日となり、これを1年としています。
- 210日を1年とした場合、35日を1か月とする月が6回巡る計算となり、感覚的にはパウコン暦の1年は約6か月分に相当します。
- 西暦のような「〇〇年」という年号の概念がなく、現在がパウコン暦で何年に当たるのかを明確に示すことはできません。
この暦の基準となる7日週の単位は「WUKU(ウク)」と呼ばれています。そのため、バリ島ではパウコン暦のことを「ウク暦」と呼ぶことが一般的です。
パウコン暦は、バリ・ヒンドゥー教徒の生活と深く結びついています。寺院での神事をはじめ、結婚式や葬儀、農業を始める日など、さまざまな宗教行事や生活上の重要なタイミングは、この暦を基準に決められます。
そのため、パウコン暦はバリ・ヒンドゥー教の人々にとって、欠かすことのできない暦となっています。
3. サカ歴
サカ暦は、インドのシャカ暦を起源とする太陰太陽暦とされています。ただし、インドのヒンドゥー教で用いられている暦と、バリ島のヒンドゥー教で使われているサカ暦は、同一のものではありません。
サカ暦は、太陽と月の周期を基準としているため、両者のズレが生じます。その結果、1年は12か月で構成されているものの、年ごとの日数は一定ではありません。
1年はおおよそ354日となり、そのズレは、うるう月を設けて1年を13か月とすることで調整されます。サカ暦は、パウコン暦(ウク歴)と比べると、より広い範囲の事柄を決めるために使われる暦です。
バリ島の新年である「ニュピ」、満月や新月に行われる神事、年単位・月単位で行われる宗教行事、さらには天候の流れを読む際などに用いられます。
個人の生活に密着した日取りを決めるパウコン暦(ウク歴)とは異なり、重要な祭事や節目を定める役割を担っています。
余談ですが、今年(2026年)のニュピは3月19日でした。このように、ニュピの日付は毎年変わるため、バリカレンダーが発売されるまでは正確な日程を確認することができません。
バリ島の新年「ニュピ」については、過去に記事を書いています。興味のある方は、以下のリンクもあわせてご覧いただけると幸いです。
なかなか複雑ではありますが、これら3つの暦はいずれも、バリ・ヒンドゥー教徒にとって重要なものです。かつては、これらの暦はそれぞれ別々に存在しており、個人で把握することは容易ではありませんでした。
もともと、バリ・ヒンドゥー教徒はパウコン暦(ウク歴)とサカ暦を中心に生活していましたが、時代の変化とともに、西暦も日常生活に欠かせないものとなっていきます。
その結果、複数の暦を一目で確認できるようにまとめられたのが、このバリカレンダーです。次項では、バリカレンダーが生まれた背景について、少し触れていきます。
バリ島のカレンダーが作られた背景
もともと、バリ島のヒンドゥー教徒は、パウコン暦(ウク暦)とサカ暦を中心に生活していました。
祭事や農業などの仕事、引っ越しや建築を行う日取り、その他日常生活に関わるさまざまな決まり事は、すべて暦を基準に成り立っていました。
そして、これらの暦を正確に理解し、最終的な判断を行ったうえで、人々に文書や口伝で伝えていたのは、高位の僧侶や暦の専門家でした。
そのため、個人が西暦の日付を意識する必要はほとんどなく、たった50〜60年前に生まれたバリ人の中にも、自分の西暦での誕生日は分からず、パウコン暦(ウク暦)での誕生週だけを把握している人が今でも結構います。
しかし、20世紀以降、商業や観光業、学校、行政といった社会基盤が整い、西暦を含めた暦の管理が次第に必要とされるようになります。あわせて、印刷技術の発展もその流れを後押ししました。
こうした背景から、その都度僧侶のもとへ出向いて確認するのではなく、誰でも手軽に暦を確認できる仕組みが求められるようになりました。
そこで、暦の専門家たちによって3つの暦が1つにまとめられ、誰でも一目で確認できるよう編集されたのが、現在のバリカレンダーです。
![]()
掲載している画像は、I.K. Bangbang Gde Rawi 氏(故人)です。同氏は、長年にわたりバリカレンダーの監修・編纂を手がけた人物の1人として知られています。
バリカレンダーの誕生によって、バリ・ヒンドゥー教徒の生活は大きく支えられるようになり、同氏は現在でも深い尊敬を集めています。
自宅で使用しているバリカレンダーでは、12か月いずれのページにも必ず彼の写真が掲載されています。また、異なる形式のバリカレンダーも存在しますが、それらを監修・編集した人物についても同様に写真が掲載され、尊敬の対象となっています。
それでは、次項でバリカレンダーの見方について紹介します。
バリ島カレンダーの見方
バリカレンダーは、日本で一般的に使われているカレンダーとは、まず見方が異なります。
カレンダーの最下部に記載されている細かい文字には、「どの寺院で、いつ祭事が行われるのか」「どの地域で、いつ、どのような祭事が予定されているのか」といった情報が書かれています。
また、右端に縦長に並んでいる細かい文字には、「予定日が変更になった場合の注意点(お供え物の種類や所作など)」や「禁忌」に関する内容が記されています。
これらはバリ・ヒンドゥー教徒以外には必要のない情報のため、今回は省略し、下の画像にあるメイン部分の見方に絞って紹介していきます。
![]()
日本のカレンダーは、左上から右方向へ見ていき、その週の土曜日まで来たら、次の段を再び左から右へ見ていく形式になっています。
一方、バリカレンダーは、左上から下方向へ見ていき、一番下の土曜日まで来たら、次の列の一番上に戻り、再び下へ向かって見ていきます。
カレンダーを横方向に見ることに慣れている日本人にとっては、最初は少し見づらく感じるかもしれません。どうしても習慣で横に追ってしまうためです。
この点が、日本のカレンダーとバリカレンダーにおける、大きな違いの1つです。
![]()
曜日の表記は、上から順に「インドネシア語」「バリ語(記号のような文字)」「英語」「日本語(ローマ字)」「中国語(アルファベット)」で記載されています。
そのため、日本人に限らず、さまざまな国の人が曜日を確認しやすい構成になっています。
また、バリカレンダーには、次のような見方の特徴があります。
- 赤い数字の日付:日曜日とインドネシアの政令で定められた祝日・指定休日
- 赤い丸:満月の日
- 黒い丸:新月の日
- 日付を赤い丸で囲んでいる日:バリヒンドゥー教徒のみの祝日
※満月と新月の日はサカ暦を基準に算出されているため、日本での満月・新月の日と若干ずれています。感覚的には1日程度の違いです。
「バリ・ヒンドゥー教徒だけ休日が多く、不公平ではないか」と感じる方もいるかもしれません。しかし、バリカレンダーはバリ・ヒンドゥー教に特化した暦であるため、そう見えるだけです。
他の宗教の人々も、それぞれの宗教に基づいた休日を取っているため、問題はありません。
ここまでは、バリカレンダーの基本的な見方について紹介しました。
次項では、「ここまで分かるのか」と感じられるような、バリカレンダーに記載されているさらに細かな内容について触れていきます。
え、ここまで書いてある?バリ島カレンダーの内容
さまざまな情報が凝縮されているバリカレンダーですが、個人的に最も印象的だったのは、カレンダー上部に記載されている、下の画像の部分です。
![]()
ここには、複数の宗教・文化圏の暦情報が同時に記載されています。以下、左から順に見ていきます。
1. イスラム教徒の年号
RAJAB-SYABAN → イスラム暦(ヒジュラ暦)の月名で、第7月の RAJAB から第8月の SYA'BAN にかかる期間を示しています。
Tahun:DAL → ジャワ暦(Javanese calendar)の年名で、8年周期のうちの1年を表す名称です。
Jawa:1959 → ジャワ暦の年数です。
Arab:1447H → イスラム暦(ヒジュラ暦)で1447年。
つまり、「イスラム暦1447年の RAJAB〜SYA'BAN の期間は、ジャワ暦では1959年・DAL年にあたる」という意味になります。
インドネシアは人口の大多数がイスラム教徒であるため、バリカレンダーにも、このようにイスラム教徒の生活や宗教行事に必要な暦情報が組み込まれています。
2. 西暦
JANUARI 2026 → インドネシア語で「2026年1月」を意味します。英語の「January」と同じラテン語由来の月名で、インドネシア語では「Januari」と表記されます。西暦は世界共通の暦であり、キリスト教徒の暦としても基準となっています。
JANUARI 2026の左に書いてあるバリ語の文字(記号の様な文字)は数字の「1」を意味しています。
3. サカ歴
SAKA:1947 → サカ歴1947年。
Sasih Kepitu, Ngunya:Kesanga, Rah : 3 → サカ暦における第7月(西暦の1月〜2月頃)は、月の区分では次の新月までの9日間にあたります。この期間の Rah(吉凶や性質判断)の値は「3」とされ、争いが起こりやすい時期のため注意が必要とされています。
WINDU:SANCAYA → 8年周期で変わる名称で、今年は「SANCAYA」にあたります。
Pengunyaan Tahun:ULA-MINTUNA → バリ・ヒンドゥー教における干支のような概念で、今年は「双子の蛇」を意味します。
TENGGEK:3 → その年に生きる人々の性質や考え方を示す数値で、「3」に分類されます。
これは、サカ暦1947年を、月・周期・象徴・数的属性など、複数の基準から同時に定義した情報です。特定の日付を読むためというより、その年や時期の性質を総合的に把握するための表示と言えます。
サカ暦の解釈は、哲学的で理解が難しい部分も多いですね。
4. 中国干支を取り入れたジャワ系暦
CAP IT GWE:巳 → 十二支の「巳」。
CAP JI GWE:Ci IT → 中国語音に基づく「巳」の表記です。
CI:2516 - 2576 → 巳(ヘビ)が担当する年の範囲です。
TAHUN:ULAR → インドネシア語で「蛇の年」という意味です。
バリ島には中国系インドネシア人も多く、彼らにとって必要な情報です。つまり、「この年は十二支でいう巳(ヘビ)の年であり、中国系表記では Ci、インドネシア語では Ular と呼ばれ、通算では 2516〜2576 の範囲に属する」という意味になります。
ここで違和感を覚えた方もいるかもしれません。2026年の干支は「午」ですよね。
実はこれ、中国の旧正月と関係しています。今年の旧正月は2月17日で、それ以前はまだ前年の干支が適用されます。そのため、2月16日までは巳年として扱われるのです。
![]()
2月のバリカレンダーでは、ちゃんと午年になっていました。
5. 皇紀
ICHIGATSU → 1月のローマ字表記。
2686 → 皇紀2686年。初代天皇である神武天皇が即位したとされる年を元年とする、日本独自の年号です。
日本に住んでいた頃、私は皇紀を意識することはほとんどありませんでした。
一方で、インドネシアでは、イスラム教・ヒンドゥー教・キリスト教・仏教という世界四大宗教のいずれかに属することが義務付けられており、それ以外の宗教に属することは禁止されています。
そのような宗教制度の国で、日本の神道に由来する皇紀が暦の中に記載されていることは、個人的に意外に感じられました。
日本では日常的に意識されることの少ない年号であるだけに、バリカレンダーの中で目にしたことが、強く印象に残りました。
6. 仏歴
- BUDDHA
- Pari-Nibbana → お釈迦様が輪廻から完全に解脱した出来事(般涅槃)。
- 2569 → 仏暦2569年。
これは、お釈迦様の入滅を基準とした仏暦で、今年が仏暦2569年にあたることを示しています。バリ島には仏教徒も多く暮らしているため、この情報も重要です。
7. WUKU
1〜6の下部に「WUKU」と記載されている箇所があります。これは、パウコン暦(ウク暦)における週(WUKU)を示しています。
この限られたスペースに、これほど多くの暦情報が詰め込まれている点には、思わず感心させられます。
8. その他にも・・・
バリカレンダーは、月によって裏面にもびっしりと情報が記載されていることがあります。
![]()
こちらには、西洋占星術による占いが掲載されています。また、別の月の裏面には、バリ・ヒンドゥー教において家単位や地域単位で必要とされる信仰に関する内容や、インドネシア建国以前からの歴史、さまざまな教訓などが記されています。
カレンダーでありながら、分厚い本を一冊読むような情報量があります。
最後に
今回は、バリカレンダーについて簡単に紹介しました。
ブログとしては内容がかなりのボリュームになってしまいましたが、それでも紹介できているのは全体の半分以下です。
実際には、バリ人もこのカレンダーに書かれているすべての情報を確認しているわけではなく、自分に必要な部分だけを選んで見ていることがほとんどです。
![]()
こちらの画像は、カレンダーが販売されている際の状態です。表に見えている「Om, Swastyastu(オーム・スワスティヤストゥ)」という言葉は、バリ語の正式な挨拶になります。
バリ語には「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」といった時間帯による使い分けがなく、人への挨拶はこの「Om, Swastyastu」1つだけです。
この部分は月ごとに内容が変わり、バリ・ヒンドゥー教徒が日常生活の中で心の中で唱える祈りの言葉、いわゆるマントラ(「いただきます」「おやすみなさい」に近い意味合いのもの)が記されています。
また、バリカレンダーは、バリ島のスーパーマーケットや文房具店などで販売されており、誰でも手軽に購入することができます。
価格も15,000〜20,000ルピア程度(日本円で約150〜190円:2026年1月現在)と手頃なため、もしご興味があれば、バリ島の思い出としてお土産にするのも良いかもしれません。
内容だけではなく、デザイン面でもバリ島らしさが前面に出ているため、バリ島が好きな方であれば、インテリアとして取り入れるのもおすすめです。
バリ島ではこのような独特で多層的な暦が、今も日常的に使われていることが伝われば幸いです。
バリ島
関連
Rankingインドネシア記事ランキング
-

Kucing
- 2014年に日本からバリ島へ移住。現在は夫・猫の姉妹と暮らしている主婦です。バリ島のおすすめ情報からディープなバリ島の姿まで、幅広い内容を在住者目線でお届けします!どうぞよろしくお願いします♪




























