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人に導かれる旅が、土地との距離を縮めてくれる。山神温泉 湯乃元館「旅行バトラープラン」宿泊体験記|岐阜県

文化と歴史、人の営みが幾重にも折り重なってきた東美濃。その山あいに佇む「山神温泉 湯乃元館」で、宿泊の枠を超えた新しい旅のかたちが始まっています。
統括支配人の博史さん自らが"旅行バトラー"として同行し、移動、体験、食事までを一貫してコーディネートしてくれる「旅行バトラープラン」です。
今回は家族でこのプランを体験。東美濃という土地の奥行きと、人に導かれる旅の豊かさを、2日間かけてじっくり味わいました。
目次
- 旅のはじまりは、チェックイン前から
- 器から東美濃を知る「KOYO BASE」
- 作り手と出会う、窯元ギャラリーの時間
- 上手じゃなくても楽しい、絵付け体験
- 温泉宿で過ごす、何もしない贅沢
- 宿の外で味わう、東美濃のごちそう
- 器探しと、寄り道のある2日目
- 香りとともに、旅を心に刻む
- 東美濃が「また帰りたい場所」になる理由
旅のはじまりは、チェックイン前から
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名古屋から車で約1時間。宿の玄関に立つと、立派な旅館の建物の前で、旅行バトラーとして同行してくれる博史さんが穏やかな笑顔で迎えてくださいました。チェックインは館内ではなく、旅の最初の立ち寄り先で行うのがこのプランの特徴です。
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専用車に乗り込むと、おしぼりやブランケットがさっと手渡されます。移動の時間さえも"おもてなし"の一部として丁寧に設えられており、この時点で「いつもと違う旅」が始まっていることを実感しました。
器から東美濃を知る「KOYO BASE」
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最初に向かったのは、多治見にある「KOYO BASE」。うつわを「食べる・買う・楽しむ・学ぶ」という切り口で体験できる複合施設です。訪問先は事前アンケートをもとに選ばれており、自分たちの好みが反映されているのも嬉しいもの
併設のカフェ「CLAY Table」では、冬限定のプレートを注文。ひのき牛と飛騨豚のハンバーグに、里芋のクリームを重ねたグラタンは滋味深く、丸みのある器の可愛らしさも相まって、食事そのものが東美濃らしい体験になっていました。
KOYO BASE
- 住所:岐阜県土岐市泉町久尻1496-5
- 電話:0572-55-5501
- 営業時間:11:00〜17:00
- 休館日:火・水曜
- アクセス:土岐ICから車10分弱
- 公式サイト:KOYO BASE
作り手と出会う、窯元ギャラリーの時間
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午後は、築80年以上の蔵を活用した「カネコ小兵製陶所」の体験型ショップ・窯や小兵へ。月に一度だけ開かれる空間には、静けさとあたたかさが同居しています。
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代表作の「ぎやまん陶」は、光の入り方で表情を変え、思わず手に取って見入ってしまう美しさでした。器に盛られたお菓子を味わいながら使い心地を確かめられる心配りや、作り手との何気ない会話が、この土地で受け継がれてきた時間を感じさせてくれます。
窯や小兵
- 住所:岐阜県土岐市下石町292-1
- 電話番号:0572-57-8168
- 営業日:1・8月を除く毎月第一土曜
- アクセス:土岐南多治見ICから車10分弱
- 公式サイト:窯や小兵
上手じゃなくても楽しい、絵付け体験
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続いて訪れたのは、土岐駅近くの「角山製陶所」。今回は絵付け体験に挑戦しました。妻は愛犬を、私は山の風景を描きます。決して上手とは言えませんが、自分の手で仕上げた一枚には自然と愛着が湧きました。
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作業中は、博史さんが子どもと遊び、写真も撮ってくださいました。家族全員が無理なくこの時間を楽しめたのは、旅行バトラーの存在があってこそだと感じます。
角山製陶所
- 住所:岐阜県土岐市泉明治町5丁目1
- 電話:0572-55-2886
- 営業時間:8:00〜18:00
- アクセス:土岐ICから車10分弱
- 公式サイト:角山製陶所
温泉宿で過ごす、何もしない贅沢
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宿へ戻ると、案内していただいたのは内風呂付きの離れ客室「四季山水」でした。朝になると、二間続きの和室にはやわらかな光がたっぷりと差し込み、家族で過ごすには贅沢に感じるほどの広さです。
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源泉かけ流しのラジウム泉は肌あたりがやわらかく、湯上がりには体がふっと軽くなります。チェックインから翌朝まで何度も湯に浸かり、何もしない贅沢を味わいました。
山神温泉 湯乃元館
- 住所:岐阜県土岐市下石町1953-1
- 営業時間:チェックイン15:00〜/チェックアウト〜10:00
- アクセス:土岐南多治見ICから車10分弱
- 公式サイト:山神温泉 湯乃元館
宿の外で味わう、東美濃のごちそう
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夕食はあえて宿の外へ。博史さんにセレクトしてもらった「四季彩料理 藤美」では、季節感あふれる日本料理を個室でいただきました。
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天然ぶりのふろふき大根や自然薯の茶漬けなど、滋味深い料理が続きます。内容は訪れるまでのお楽しみ!送迎までしていただいたおかげで安心して過ごせ、久しぶりに夫婦そろって、ゆっくりとお酒を楽しむことができました。
四季彩料理 藤美
- 住所:岐阜県土岐市駄知町2321-223
- 電話:0572-59-8787
- 営業時間:11:30~14:00、17:30~21:00
- アクセス:土岐南多治見ICから車10分弱
器探しと、寄り道のある2日目
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翌朝は、美濃焼の器に美しく盛り付けられた朝食から一日が始まりました。目にも楽しい器に触れながらいただく食事は、旅の気分をより一層高めてくれます。
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二日目のテーマは「器探し」。本町オリベストリートや道の駅を巡り、気になるお店に立ち寄っては手に取り、選ぶ時間を楽しみました。気がつけば、旅の思い出とともに器も少しずつ増えていきます。
移動の途中には虎渓山永保寺にも足を運び、名物の五平餅を味わいながらひと休み。山を背に家族で写真を撮るなど、何気ないひとときも大切な思い出になりました。
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あらかじめ決めた予定に縛られすぎることなく、その場の流れを楽しむ。そんな余白のある旅が、最後まで心地よく続いていきました。
香りとともに、旅を心に刻む
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旅の締めくくりは、館内でのお香づくり体験。香りの背景にある文化の話を聞きながら調合し、自分好みの香りを完成させました。視覚や味覚だけでなく、嗅覚にまで旅の記憶が刻まれていく感覚が新鮮でした。
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最後に再び立ち寄ったKOYO BASEで、心残りだった器を手に入れ、旅は終わりを迎えます。
東美濃が「また帰りたい場所」になる理由
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2日間、寄り添うように導いてくれた旅行バトラーの博史さんと宿のスタッフの笑顔に見送られ、山神温泉 湯乃元館を後にしました。
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場所を巡るだけでなく、人に導かれることで深まる旅がある。土地の文化と家族の時間、その両方を大切にしてくれた「旅行バトラープラン」は、東美濃という場所を"また帰りたい土地"へと変えてくれました。心に静かに残り続ける、かけがえのない旅でした。
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土庄雄平
- 1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍ら、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。春は桜を愛でながらサイクリング、夏は冷涼な北日本へ自転車で大冒険、秋は秘境の紅葉を求めて山登り、冬は輝く樹氷と白銀の世界に魅了される。そんな自然の中へ身を投じる旅がルーティーン。




























