【ポーランド】宝石のような港湾都市グダンスク!「琥珀の都」ならではの散策の魅力をご紹介

ポーランド最大の港湾都市のグダンスクは、1000年の歴史を持つ美しい古都。「グダニスク」と表記されることもあり、「琥珀の都」の呼び名でも知られています。

旧市街にはゴシックやルネッサンス、バロックなどの各時代の壮麗な建物がずらり。モトワヴァ運河の水面に映る建築群は、美しさ倍増です。旅する楽しさがいっぱいのこの街で、特に楽しみたいポイントをご紹介します!

目次

ワルシャワからグダンスクへは電車で約3時間。グダンスク本駅から徒歩で旧市街へ

グダンスク本駅
<グダンスク本駅>

ポーランド北部の港町・グダンスクへは、首都ワルシャワから電車で2時間半~3時間ほど。グダンスク本駅はレンガ造りの美しい建物で、鉄道のほかトラムやバスの停留所も備えています。旧市街はグダンスク本駅から近く、主な見どころは歩いて回れます。

旧市街の入口「高い門」(右)と、隣に立つ「囚人塔」(左)
<旧市街の入口「高い門」(右)と、隣に立つ「囚人塔」(左)>

旧市街の入口の「高い門」へは、本駅から徒歩10分ほど。どっしりした門の横には、街の防衛を担っていた「囚人塔」があり、空に向かってそびえる尖塔が迫力です。さらに東には、華やかな装飾の「黄金の門」が並んでいます。この三つの建造物を潜り抜けると、いよいよ旧市街です。

高い門(Brama Wyżynna)

  • 所在地:Wały Jagiellońskie 2A, 80-887 Gdańsk

華麗な建築物が並ぶドゥーギ広場

ドゥーギ通りの左手にそびえる市庁舎
<ドゥーギ通りの左手にそびえる市庁舎>

黄金の門をくぐると、グダンスク旧市街の中心となるドゥーギ通りがのびています。通りの両側には、ルネッサンス様式の華麗な建築群が勢ぞろい。見事な装飾のファサードに目を奪われます。まるでおとぎ話のように美しい...!

写真を撮りまくりながら歩いていくと、左手に高さ82メートルもの尖塔を持つ市庁舎が見えてきます。1379年に着工し、16世紀に今の姿になった建物は、街の中心にふさわしい端正さ。壮麗な建築群の中にあって、まるで絵画のようです。

ドゥーギ広場のネプチューン像
<ドゥーギ広場のネプチューン像>

市庁舎の正面は、街の心臓部といえるドゥーギ広場が広がっています。その一角には1633年に作られたネプチューン像があり、観光客の人気の的。フォークのような三叉槍を持つ、海神の姿が神秘的です。港湾都市であるグダンスクを象徴しています。

装飾的なファサードが美しいドゥーギ広場の建築群
<装飾的なファサードが美しいドゥーギ広場の建築群>

14世紀からハンザ同盟都市として栄え、16世紀からはポーランド王国の直接の庇護を受けて、黄金時代を迎えたグダンスク。18世紀後半にはプロイセン王国に併合され、第一次世界大戦後はどの国にも属さない自由都市となりました。

1939年9月にこの地にドイツ軍が侵攻してきたことから、第二次世界大戦が勃発。グダンスクは廃墟となりましたが、戦後にはポーランド人のたゆまぬ努力で、残された資料をもとに美しい姿が完全復元されました。華やかな建築群に秘められた、ポーランドの人々の故郷への想いを、ひしひしと感じる街です。

ドゥーギ広場(Długi Targ)

  • 所在地:Długa, 80-831 Gdańsk

モトワヴァ運河に映る建築群が圧巻

モトワヴァ運河に姿を映す建築群は絵葉書のような眺め
<モトワヴァ運河に姿を映す建築群は絵葉書のような眺め>

ドゥーギ広場の突き当たりには、華やかな装飾の「緑の門」があります。ここを抜けると、目の前にはグダンスク港に注ぐモトワヴァ運河が広がります。

船が行き交う運河の西岸には、風格のある建築物が勢ぞろい。水面に姿を映す建築群は、グダンスクを代表する眺めです。まさに絵葉書のような景色に見惚れます。

運河に向かってせり出すような建物が圧巻
<運河に向かってせり出すような建物が圧巻>

運河の東岸にはカフェやレストランが並び、テラス席ではお茶や食事を楽しみながら対岸の建築群を眺められます。壮麗な建物の中でひときわ目立つのは、運河に向かって上部が張り出すような姿の建物。

近付いてみると、レンガの壁にダークブラウンの木像の建造物がせり出しており、真下から見上げると巨大な車輪が見えています。

木造クレーンの巨大な車輪
<木造クレーンの巨大な車輪>

この建物は、15世紀半ばに原型が建造された木造クレーン(戦後に再建)。運河に到着した貿易船への荷物の積み下ろしを担っていたものです。動力はなんと人力で、車輪の中に4人の人が入って足で踏み、最大2トンもの荷物を持ち上げたそうです。

港湾都市の歴史を象徴するこのクレーンは、現在、グダンスク国立海洋博物館の一部となっています。

グダンスク・クレーン(Żuraw. Oddział Narodowego Muzeum Morskiego)

  • 所在地:Szeroka 67/68, 80-835 Gdańsk
  • 営業時間:火・木~日 9:00-17:00 水曜 13:00-17:00
  • 休日:月曜
  • 入場料:大人 23zł 子供・学生 17zł
  • 公式サイト: グダンスク・クレーン

跳ね橋や旋回橋を渡る!

運河の手前側に旋回している白い橋
<運河の手前側に旋回している白い橋>

グダンスク・クレーンの前に広がる運河には、「旋回橋(せんかいきょう)」が架かっています。これは船舶が通る時に90度旋回して、水上交通を可能にする珍しい橋。

船が近付くたびに旋回を告げる警告音が鳴り響き、両岸の人々が慌てて橋を渡る姿が見られます。ダイナミックに動く橋の姿は迫力。ここを渡ると、港湾都市を旅している実感が湧いてきますよ。

90度回転した橋の横を進む船
<90度回転した橋の横を進む船>

モトワヴァ運河沿いをさらに北へ歩くと、巨大な跳ね橋があります。運河の中州であるオロウィアンカ島へ架かる橋が、空に向かって跳ね上がる様子は壮観。

悠々とした動きに見入ってしまいます。オロウィアンカ島を訪れている最中に、跳ね橋が上がると、しばらく対岸へは戻れなくなるのでご注意くださいね。

オロウィアンカ島側を支点に上がる跳ね橋
<オロウィアンカ島側を支点に上がる跳ね橋>

オロウィアンカ島への跳ね橋(Kładka zwodzona na Ołowiankę)

  • 所在地:Wartka 8, Gdańsk

聖母マリア教会の塔から旧市街やバルト海方面の眺望を満喫

聖母マリア教会
<聖母マリア教会>

市庁舎の北に建つ聖母マリア教会は、レンガを用いた壮大なゴシック建築。1343年から1502年にかけて建てられたもので、レンガ造りの教会としては世界最大級です。高さ82メートルもある塔(鐘楼)を備えており、正面入口は巨大すぎて全体を写真に収めきれません。雄大です!

高い鐘楼のある正面入り口(左)と内部の天文時計
<高い鐘楼のある正面入り口(左)と内部の天文時計>

尖頭型アーチの天井が星形を描く教会内部は、清らかな美しさ。内陣に向かって左手にある、天文時計は特に有名です。精緻な細工が美しいこの時計は15世紀に作られましたが、第二次大戦で破壊され、戦後に復元されました。12星座が配された上部の時計の文字板が華やかで、つい自分の星座に見入ってしまいます。

聖母マリア教会の塔からの眺望
<聖母マリア教会の塔からの眺望>

聖母マリア教会でぜひ訪れてほしいのは、塔のてっぺんにある展望台。400段以上の階段を足で登りますが、その価値は充分にあります。展望台からは朱赤の屋根が並ぶ旧市街を一望でき、モトワヴァ運河やグダンスク・クレーン、市庁舎の尖塔などをはっきり確認できます。

運河を出発してバルト海方面へ向かう船の、行く手まで追うことができますよ。北の彼方には、グダンスク港のコンテナターミナルなどが林立しています。1000年も続く港湾都市、グダンスクの歴史を実感できる場所です。

市庁舎の尖塔が目の前に迫る
<市庁舎の尖塔が目の前に迫る>

跳ね橋の下をくぐりグダンスク港へ向かう船
<跳ね橋の下をくぐりグダンスク港へ向かう船>

聖母マリア教会(Bazylika Mariacka w Gdańsku)

  • 住所:Podkramarska 5, 80-834 Gdańsk
  • 開館時間:8:30~17:30 日曜 11:00~12:00、13:00~17:30 ※夏季は1時間延長
  • 拝観料:無料(塔は有料)
  • 休館日:無休(塔は悪天候時は閉鎖)
  • 塔の営業時間: 月~木曜 10:00~18:00 ※夏季は2時間延長
  • 塔の入場料:大人 20zł、子供・学生 10zł
  • 公式サイト: 聖母マリア教会

マリアツカ通りで琥珀のおみやげを探す

琥珀のアクセサリーのショーケースが並ぶマリアツカ通り
<琥珀のアクセサリーのショーケースが並ぶマリアツカ通り>

聖母マリア教会の東には、運河に向かってマリアツカ通りがのびています。石畳の小道の両脇に並ぶのは、琥珀を扱う数々の宝飾店。バルト海は世界有数の琥珀の産地であり、グダンスクは「琥珀の都」と呼ばれるほど、優れた琥珀製品で知られているのです。これは、お土産を買うしかない。

各店舗の前には、路上に琥珀のアクセサリーを並べたショーケースが出ています。こちらで気に入った商品を見つけたら、その場ですぐに買わずに、店内へ入ることをおすすめします。

天然樹脂の化石である琥珀は、一つ一つ色や形が異なり、同じデザインのアクセサリーでも印象が変わってくるのです。店内には豊富に在庫があるので、好みの色味のものを選びましょう。ショーケースに展示されていないデザインの商品も、たくさんありますよ。

琥珀のおみやげを探す人々(左)と筆者が購入したペンダントトップ
<琥珀のおみやげを探す人々(左)と筆者が購入したペンダントトップ>

マリアツカ通りのお店には、琥珀だけでなく、ターコイズと琥珀を組み合わせたアクセサリーも数多く並んでいます。筆者はふたつのペンダントトップを購入。楕円形の大小の琥珀が連なったものと、ターコイズと琥珀でカワセミを象ったデザインのものです。どちらもお手頃価格ながら、幅広く使えて、とても気に入っています。

マリアツカ通り(Mariacka)

グダンスク名物、シーフードが美味!

食べ応えたっぷりのタラのフライ
<食べ応えたっぷりのタラのフライ>

おみやげと同じくらい旅の楽しみに欠かせないのは、その地方の名物料理ですよね。バルト海に面したグダンスクは、シーフードが美味しい街です。中でも有名なのはタラのフライ(Smazony Dorsz)。サクサクした衣の中には、ほろりと崩れる新鮮なタラの旨みがあふれ、噛みしめるほどに美味しさが広がります。

小鉢に盛られたサワークリームをかけると、酸味とまろやかさが加わって、タラの淡白なお味がより深いものに。たっぷり添えられたフライドポテトとの相性も抜群です。

琥珀博物館でバルト海の恵みの起源に触れる

琥珀博物館の外観
<琥珀博物館の外観>

グダンスクには歴史や文化を学べる数々の博物館があります。筆者が釘付けになったのは琥珀博物館。過去に製粉所として使われていた巨大なレンガ造りの建物を改装したもので、1階から3階までの広い空間には、琥珀の魅力が詰まっています。

虫入り琥珀のコレクション
<虫入り琥珀のコレクション>

琥珀が形成される過程や、バルト海からの琥珀の採取方法など、多くの興味深い展示の中で、特に印象に残ったのは「虫入り琥珀」のコレクション。琥珀の中に偶然閉じ込められた、大昔の生物の姿を凝視しました。

琥珀を組み合わせて作った、華麗な調度品の数々にも瞠目。独特の艶と透明感を持つ、琥珀のテーブルや戸棚にはあたたかみすら感じます。内側から光り輝くような、琥珀製品の存在感に魅了されました。

琥珀で作られた調度品。豪華!
<琥珀で作られた調度品。豪華!>

琥珀博物館(Muzeum Bursztynu)

  • 所在地:Wielkie Młyny 16, 80-849 Gdańsk
  • 開館時間:10:00~18:00
  • 休館日:火曜
  • 入館料: 37zł 子供・学生 26zł
  • 公式サイト: 琥珀博物館

まとめ

長い歴史を持つ港湾都市のグダンスクには、旅情をかきたてる魅力がいっぱいです。以下のことをお心に留めながら、歩いてみてくださいね。

  • 首都ワルシャワから、グダンスク本駅へは、電車で2時間半~3時間ほど。グダンスク旧市街へは歩いて行けます
  • グダンスク旧市街の中心はドゥーギ広場。ドゥーギ通りから壮麗な建築物が並びます
  • モトワヴァ運河沿いの建築群はグダンスクを代表する景色。中でも目立つ建物はグダンスク・クレーンです
  • 運河には跳ね橋や旋回橋が架かり、船舶が近付くと稼働します
  • 聖母マリア教会の塔からは、旧市街やバルト海方面を一望できます
  • マリアツカ通り沿いには、琥珀を使ったアクセサリーのお店が並んでいます
  • シーフードが美味しいグダンスクでは、タラのフライが名物料理です
  • 琥珀博物館では、バルト海の琥珀の採取方法の展示や、貴重な琥珀のコレクションを見ることができます
  • それでは、水鏡に映る建築群を見ながら歩く、素敵な旅を!

※記事の営業時間、入場料等は2025年10月時点のものです。最新情報は公式サイトをご確認ください。

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朝茶

ライター/英和・和英翻訳者。出版社に11年勤務後、2009年にシンガポールに転居。東南アジアの文化と料理にハマる。2013年に帰国した後は日本文化に改めて関心を深め、今はとにかく国内各地を旅したいです!

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