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大曲の花火をより深く楽しむ!はなび・アムで学ぶ花火の世界【秋田県】

毎年多くの人を魅了する「大曲の花火」(正式名称:全国花火競技大会)。2025年8月30日の開催を前に、秋田県大仙市の「花火伝統文化継承資料館 はなび・アム」で花火文化を覗いてみませんか?
>>【秋田県】「大曲の花火」完全ガイド!駅から会場までの道のりと地元民おすすめスポット6選
花火の歴史や職人の技術、創造花火の奥深さを事前に知っておくと、夜空に打ち上がる一発一発に込められた情熱が見えてくるかもしれません。
そんな花火について学べる「はなび・アム」と大曲の花火の魅力をご紹介します。
目次
「はなび・アム」ってどんなところ?
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<1・2階は生涯学習エリア、3・4階は花火文化を紹介する展示エリア>
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秋田県大仙市に2018年に開館した「花火伝統文化継承資料館 はなび・アム」は、「花火のまち大仙市」の全国花火競技大会発祥の地に誕生した花火専門の資料館です。
全国の花火師と花火ファンが紡いできた花火文化の歴史と魅力を伝え、数々の花火資料を貴重な文化的財産として継承していく拠点として機能しています。
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<4階 展望展示ホール>
入館無料で気軽に立ち寄れる4階建ての建物は、多彩な展示や体験が楽しめるようになっていて、花火の魅力に自然と引き込まれます。
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4階の大きな窓から広がるのは、ノスタルジックなまち並みと、涼やかに流れる丸子川の美しい風景。まさに「花火のまち」の穏やかな空気を感じられる特別な場所です。
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<4階 はなびシアター>
「はなびシアター」は全国的にも珍しい4面マルチシアター。前方、左右、上部の4面スクリーンに高精細な映像が映し出され、全身が花火に包み込まれるような、圧倒的な臨場感を体験できます。
花火師の職人技やこだわりを深く掘り下げた映像も必見。ここでしか味わえない臨場感と感動が、訪れる人の心をつかみます。
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<3階 花火資料室>
3階には、全国の花火師たちが紡いだ歴史と技術の世界が広がっています。貴重な資料に直接触れながら、花火の奥深い魅力をじっくり学べる場所です。花火ファンはもちろん、初めての方でもきっとワクワクしながら花火文化の秘密を楽しめます。
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現在は、企画展「つなぐ 伝える 大会提供花火」を2025年7月1日〜11月3日まで開催中。全国花火競技大会「大曲の花火」のプログラムで高い人気を誇る大スターマイン花火「大会提供花火」が、どのように作り上げられてきたのかを、貴重な資料や花火師へのインタビューを交えて解説しています
大曲の花火、その歴史を知ろう
大曲の花火の歴史は、1910年まで遡ります。当時、奥羽本線の開通により大曲が交通の要衝となり、商業が活気づく中で、地域の繁栄を願って花火大会が始まりました。当初は地元の有志が企画した小規模な催しでしたが、次第に全国の花火師たちが技術を競い合う場として発展していきます。
戦時中は一時中断を余儀なくされましたが、戦後の1948年に復活。そして1963年からは「全国花火競技大会」として正式に開催されるようになりました。この大会の最大の特徴は、単なる花火の打ち上げではなく、花火師たちが技術と創造性を競い合う「競技大会」であること。審査員が芸術性や技術力を厳正に評価し、内閣総理大臣賞をはじめとする各賞を決定します。
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大曲の花火大会は3つの競技部門で構成。「昼花火の部」では、煙の色や形で美しさを表現する日本独特の花火技術を競います。「10号玉の部」では、直径約30センチの大玉による伝統的な花火の美しさを審査。そして「創造花火の部」は、大曲発祥の新しい花火スタイルで、音楽と花火を融合させた総合芸術として高い人気を誇っています。
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長年にわたり培われてきた花火師たちの技術と情熱、そして地域の人々の支えによって、大曲の花火は「日本三大花火大会」の一つに数えられるまでになりました。例年約80万人の観客が訪れる日本最高峰の花火大会として、今なお進化を続け、多くの人々を魅了しています。
花火師の技術を間近で体感!
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<花火ができるまでの工程を映像で解説>
はなび・アムでは、普段は目にすることのできない花火づくりの過程を、実物展示やパネル解説を通してじっくり学ぶことができます。
館内には、花火製造の流れを順番にたどれる大型パネルとともに、火薬の材料や「星(ほし)」と呼ばれる火薬の粒など、実際に使われる素材がずらりと並んでいます。色を決める薬品の配合や、一つひとつ手作業で丸める細かな工程までわかりやすく紹介されています。
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さらに、花火玉の内部構造がひと目でわかる「花火玉断面模型」も必見です。星や割火薬、玉皮など、普段は見ることのできない花火の中身をじっくり観察できます。
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そのほか、5号玉、7号玉、10号玉と大きさの違う花火玉や、それぞれの花火筒も展示。高さ比較パネルもあり、「こんなに大きくて、こんなに高く打ち上がっているんだ!」と驚かされます。(※展示品には触れられません)
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職人の技と工夫を知ることで、大曲の花火がもっと特別に感じられるはず。 花火大会当日が、より待ち遠しくなるような展示エリアです。
創造花火って何?大曲発祥の魅力
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創造花火は、1982年に大曲の花火大会で新しく始まった、今までにない花火の競技部門です。従来の花火が一つひとつの美しさを競うのに対し、創造花火は音楽と花火を合わせて、ストーリーを感じさせる総合芸術として観客を惹きつけます。この新しい花火のスタイルは大曲から全国に広がり、いまでは多くの花火大会で楽しまれています。
創造花火の一番の魅力は、花火師が自分で選んだ音楽にぴったり合わせて花火を打ち上げるところです。クラシックやポップス、ジャズ、民謡など、さまざまなジャンルの曲に合わせて、旋律やリズム、歌詞のイメージにぴったりの花火を選び、タイミングを細かく計算。
制作には半年から1年もの時間がかかり、花火師は何度も曲を聴きながら、どの瞬間にどんな花火を上げるかをじっくり決めていくそうです。
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また、創造花火では丸い花火だけでなく、ハートやスマイルマーク、文字の形をした花火も使われます。低い位置で爆発したり、時間差で順番に開いたりと、音楽に合わせて演出。近年はLEDの光やレーザーを組み合わせて、より幻想的な空間を作り出すことも増えています。
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大曲の創造花火は、ただの花火とは違い、芸術作品として多くの人に親しまれています。この新しい花火のスタイルが全国に広がったことは、大曲の独創性と情熱の証です。
花火の種類を覚えて当日に備えよう
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大曲の花火は約4時間に及ぶ大規模なイベントです。花火の種類や大会の流れを押さえておくと、より楽しめるはずです。
大会は午後5時頃から始まり、最初に昼花火競技が行われます。午後7時頃には夜の部に入り、打ち上げ花火が本格的にスタート。代表的な花火の種類には「菊」「牡丹」「柳」「錦冠」などがあり、それぞれに特徴的な形や色彩で観客を魅了します。
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<自分でデザインした模型で花火の打ち上げにチャレンジ>
色彩にも注目してみてください。赤はストロンチウム、青は銅、黄色はナトリウム、緑はバリウムなど、それぞれ異なる金属の化合物で美しい色を生み出しています。複数の色が組み合わされた「芯入り」や「三重芯」なども見どころです。
花火師たちの技と創意工夫を理解できれば、 花火の奥深さに、きっと新たな発見があるはずです。
まとめ
「花火伝統文化継承資料館 はなび・アム」で花火について学べば、これまでとは違う視点で大曲の花火大会を楽しめます。100年以上の歴史や職人たちの匠の技術、音楽と融合した創造花火の魅力、多彩な花火の種類を理解すれば、一発一発に込められた情熱や技術の重みがより深く伝わってくるでしょう。
事前にこうした知識を得ておくことで、大曲の花火大会が一層豊かで心に残る体験になるはずです。ぜひ「はなび・アム」を訪れ、花火文化の奥深さを体感してください。そして8月30日の大会当日は、これまでとは違った感動を味わってみてはいかがでしょうか。
花火伝統文化継承資料館 はなび・アム
- 所在地:秋田県大仙市大曲大町7番19号
- 電話:0187-73-7931
- 開館時間:9:00~17:00
- 休館日:月曜(祝休日にあたる場合は翌平日)
- 入館料:無料
- 公式サイト:花火伝統文化継承資料館 はなび・アム
公式サイト:全国花火競技大会「大曲の花火」
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ふきのとう編集室
- 秋田県在住のフリーライター。田舎のくらしや人とのつながり、土地のごはんや文化を、やわらかな視点で切り取った記事を執筆しています。“人に会いに行きたくなる”、そんな旅のきっかけを届けられたらうれしいです。




























