【私の好きな日本遺産】石畳に残る記憶と、甘い時間。歴史と現代が調和する小樽のまち歩き

連載【私の好きな日本遺産】では、これまで全国を旅した経験の中から、筆者イチオシの日本遺産をピックアップし、その魅力や名残あるスポットをご紹介したいと思います。第11弾は、"北海道の心臓"と呼ばれたまち「小樽」 です。

目次

小樽に根付く小樽運河の風景

小樽運河の風景

北海道の港町・小樽といえば、やはり「小樽運河」の風景が象徴的です。

かつて荷揚げや物流の要所として栄えたこの運河は、昭和初期には埋め立ても検討されましたが、市民の声により一部保存され、今では観光の名所として生まれ変わりました。

石造りの倉庫群とガス灯が運河沿いに並ぶ景色は、ノスタルジックな趣を醸し出し、訪れる人の心を惹きつけます。

小樽運河の夜景

夕暮れ時になると、ライトアップされた水面に映る幻想的な雰囲気に。現代の都市景観と歴史的風情が見事に調和しています。運河沿いを歩けば、小樽が歩んできた時代の足跡と、今なお続くその息吹を感じられるでしょう。

この運河こそが「小樽という街の記憶を今に伝える生きた遺産」と言えるかもしれません。

小樽運河

  • 住所:北海道小樽市港町5小樽運河
  • 公式サイト:小樽運河

北日本随一の商都・小樽の繁栄の歴史

北日本随一の商都・小樽

かつて小樽は"北海道開拓の玄関口"とも称され、明治から昭和初期にかけて北日本屈指の商都として繁栄しました。

ニシン漁や北前船交易で巨万の富を築いた商人たちがこの地に集まり、銀行や証券取引所が次々と建設されました。

とりわけ「北のウォール街」とも呼ばれた日銀通り周辺には、重厚な石造りの建築が今もなお並び、その時代の繁栄を物語っています。

日本銀行旧小樽支店

全国でも珍しい日本銀行旧小樽支店の建物は、当時の金融都市としての小樽の重要性を今に伝える貴重な存在です。

時代の移り変わりとともにその役割は変わりましたが、小樽のまちには当時の記憶が随所に息づいており、ただの観光地にとどまらない歴史都市としての深みを感じさせてくれます。

日本銀行旧小樽支店金融資料館

  • 住所:北海道小樽市色内1-11-16
  • 電話:0134-21-1111
  • 営業時間:4~11月 9:30~17:00、12~3月 10:00~17:00(最終入館16:30)
  • 公式サイト:日本銀行旧小樽支店金融資料館 

小樽の歴史情緒を物語る宿・おたるふる川

運河の宿 おたる ふる川

小樽の歴史と文化を肌で感じられる宿として、多くの旅行者から支持を集めるのが「運河の宿 おたる ふる川」です。

運河沿いに建つこの和風旅館は、古き良き小樽の風情と現代の快適さを融合させた空間づくりが魅力。

館内に一歩足を踏み入れると、どこか懐かしい木の香りと温もりある灯りに包まれ、まるで時を遡ったかのような気持ちになります。

北海道の旬の味覚がふんだんに取り入れられる料理

料理には北海道の旬の味覚がふんだんに取り入れられ、落ち着く空間と丁寧なおもてなしが心を癒してくれます。

また、ラウンジに足を運べば、小樽の歴史が静かに息づく空間が広がり、旅の時間に深みが加わります。

宿にいながら、この街の奥行きある魅力にじっくりと触れられるのも「おたるふる川」ならでは。

小樽という街の物語とともに過ごす、特別な宿泊体験が待っています。

運河の宿 おたる ふる川

小樽からスイーツを発信!ルタオ本店

ルタオ本店

歴史と文化の街・小樽は、スイーツの街としても知られています。

その中心的存在が、1998年に創業した「ルタオ(LeTAO)」です。小樽運河の近くに佇む本店は、洋館風の外観が目を引き、観光客が絶えず訪れる人気スポット。

看板商品である「ドゥーブルフロマージュ」は、口どけの良いレアチーズとベイクドチーズの二層仕立てが特徴で、北海道産の素材を活かしたやさしい甘さが多くのファンを魅了しています。

本店限定のスイーツを味わえるカフェ チーズケーキ

本店限定のスイーツを味わえるカフェも併設されており、小樽観光の合間にほっと一息つける憩いの場です。

歴史的な街並みに調和しながらも、現代的な感性で小樽の魅力を発信するルタオの存在は、新しい小樽の顔とも言えるでしょう。

甘いひとときが、小樽の旅をより特別なものにしてくれます。

歴史の趣と現代の街並みが溶け合い、時の流れを感じさせてくれる小樽。

一見よく知られた観光地ですが、ゆっくり歩くことで見えてくる奥深い魅力が随所にあります。

のんびりと巡るのにぴったりな、大人の旅先です。

小樽洋菓子舗 ルタオ本店

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土庄雄平

1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍ら、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。春は桜を愛でながらサイクリング、夏は冷涼な北日本へ自転車で大冒険、秋は秘境の紅葉を求めて山登り、冬は輝く樹氷と白銀の世界に魅了される。そんな自然の中へ身を投じる旅がルーティーン。

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