チーズだけじゃない!スイスの伝統料理いろいろ

<TOP画像:スイスの山岳リゾート地にあるレストラン>

スイスの寒い冬に美味しく食べられる伝統料理といえば、チーズフォンデュやラクレット。冷えた体が温まる料理なので、スーパーでも、そしてレストランでもこういった料理が人気です。

私も冬になって何度自分の虚弱な胃と戦いながら(!)、チーズ料理をいただいたか分かりません(笑)。しかし当然ながら、チーズ料理以外の伝統料理もこの国に存在します。そんなわけで今回は、チーズ以外のスイス料理(とドリンク)をちょっぴりご紹介します。

目次

スイスの文化圏を分断?「レシュティ」

レシュティ
<ジャガイモを使ったスイスの郷土料理「レシュティ」>

まずスイスの伝統料理として外せないのがレシュティ。「レシュティ」とは、スイスの主にドイツ語圏で好んで食べられている、ジャガイモを細かくしてパンケーキ状にした郷土料理です。

レストランの定番メニューでもあり、そしてフライパンで焼くだけの、簡単に作れるレシュティもスーパーで売られています。

レシュティ
<焼くだけで簡単に作れるレシュティは、お土産としても最適!>

ところで、スイスには『レシュティ・グラーベン(Röstigraben)』なんて表現もあります。直訳すると"レシュティの溝"ですが、これはスイスの主な言語圏であるドイツ語圏(レシュティをよく食べる地域)とフランス語圏(レシュティはそこまで食されない地域)の言語・文化境界線を表しています。

同じ国でも言語が変われば文化・国民気質も違ってきます。よってスイス国内にいてもドイツ語圏、フランス語圏、そしてイタリア語圏それぞれが外国のよう。そのためこの表現がメディアなどでたびたび登場します。

日本では日本語のみで生活できるのに、隣の県や町と言語が違うのが当たり前のスイスでの暮らしは面白くもあり、複雑でもあります(苦笑)。

ちなみにこの"レシュティの溝"はどこにあるのでしょうか。

一般的に、ドイツ語とフランス語が公用語のフリブール州内を流れるサリーヌ川(ザーネ川)に沿って縦に切ったら、西側が仏語圏、東側がドイツ語圏だと言われています。

それを記念する『レシュティ・グラーベン』のモニュメントが、昔ながらの古い町並みが残るフリブール旧市街にあるので、来られた際はぜひ探してみてくださいね!

レシュティ・グラーベンのモニュメント
<サリーヌ川のほとりにある『レシュティ・グラーベン』のモニュメント>

独特のコンビネーションが魅力!「アルペンマカロニ」

次にご紹介するのはアルペンマカロニ。名前に"アルペン"とあるように、山岳地帯でよく食べられている料理で、スイスの山小屋レストランでもよく見かけます。

この料理はその昔、イタリアから峠を越えてスイス入りした商人たちが持ち込んだパスタに、クリームやジャガイモなどを加えてできたもの。特に山で酪農などの外仕事をしている人たちに元気をくれる料理なだけあり、結構食べ応えがあります。

面白いのはマカロニをアップルムースと混ぜていただく点。さらに地域やレストランによってはマカロニがクリームで和えられていたり、ベーコンやジャガイモ、野菜などと一緒に食べたり...と食べ方さまざま。

こってりしたマカロニとりんごの甘酸っぱさは意外にぴったりで、美味しいです!

アルペンマカロニ
<色々なバリエーションもあるアルペンマカロニ>

秋~冬期間限定のごちそう「ジビエ」

シカ肉のステーキ
<シカ肉のステーキをシュペッツレ、梨、赤キャベツなどと共にいただきます>

さて今度は、スイスの秋~冬にかけての期間限定料理、ジビエです。

日本でも近年健康食として、鹿やイノシシなどのジビエ料理を推奨する動きがありますが、まだ容易に手に入りにくい、ナゾ食材といったイメージを持つ方も少なくないようです。

スイスではジビエが秋の風物詩となっており、この時期はスーパーマーケットや精肉店でジビエ肉が買え、またレストランでも<ジビエ始めました>といった看板が出たりします。それほどスイスの人たちにとってジビエは身近な存在なのです。

ジビエはごちそうで、しかも人気料理。そのため秋の週末はレストランでジビエ料理を堪能する人も多いです。低脂肪、低カロリーで鉄分やビタミンB群などのミネラルを豊富に含む食材であることもあり、健康のため意識してジビエ肉を食べると言う人もいます。

南ドイツ発祥で、スイスでも人気の卵パスタ「シュペッツレ」や梨、栗、赤キャベツなどを付け合わせとして食されることが多いです。

ジビエ肉
<秋には、スーパーなどでもジビエ肉が並びます>

名前の由来はスイスのあの町?「メレンゲ」

スイスには名物デザートやスイーツもたくさんありますが、メレンゲもその1つ。そう、あの卵白と砂糖を泡立てて作った口当たりの軽く、甘いお菓子です。

そして「メレンゲ」の名前はスイスのある場所が由来になっている、なんて話も。その場所とは、ベルン州の山間部にあるマイリンゲン(Meiringen)という、人口4800人ほどの小さな村。

メレンゲ
<フレーバーもいろいろ、スイスの美味しいメレンゲ>

なんでも17世紀ごろ、この村でイタリアからの菓子職人ガスパリーニがメレンゲなるものを初めて作ったからだそうなのですが、その証拠となる文獻は二度の世界大戦で消失してしまったのだそう。

現在でもメレンゲはマイリンゲンの名物となっていて、小さな村の通りにはメレンゲを販売するお店がいくつかあります。またマイリンゲンだけではなく、他地域でもご当地名物のメレンゲが作られているので、メレンゲ好きな方は食べ比べてみるのもアリかも。 

スイスの不思議な国民的ドリンク「リベラ」

最後にご紹介するのはスイスを代表するドリンクです。この国にはちょっと不思議な"国民的代表飲料"があるのです。その名は「リベラ」。見た感じは普通の炭酸飲料といった感じ。

スーパーやキオスクなどの店で見かけるのはもちろん、レストランやカフェでも必ずと言って良いほど置いてある飲料で、多くのスイス人が「健康に良い!」と信じているとかいないとか。というのもリベラは"牛乳入り炭酸飲料"だからなのです。

厳密に言えば"牛乳"というより「乳清」入り、といった方が正しいのですが、この乳清は、牛乳から乳脂肪分などを除いたあとに残る薄い白っぽく濁った水溶液がそれ。ヨーグルトなどの容器を開けると、上の方に上澄み液のようなものがありますが、あれが乳清です。

味は普通の炭酸飲料で、ミルクっぽい味は特にしません。

実はこのリベラ、1980年前半に日本でも販売されていた時期がありました。しかし、当時の日本人にはあまり受け入れられなかったようで、残念ながら2年ほどで販売停止になってしまったのだとか。

リベラ
<リベラはどこの小売店やレストランでも販売されています>

まとめ

チーズ料理でもチーズなし料理でも、スイスの伝統料理は日本人の胃には重ためのものが少なくありません。冬は寒く、そしてアルプスなど大自然があり、酪農業も盛んなことから、栄養価の高い食事が重宝されるのでしょう。

とはいえ、日本人の口に合う料理も多いので、スイスへ来られた時はぜひ色んなスイス伝統料理を味わってみてくださいね。

※この情報は2025年1月現在のものです

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小島瑞生

1998年~2009年まで暮らしたアイルランドから、2009年スイスへ移住。面白そうなコト・モノを求め、スイス国内や欧州の国々をウロウロしながら、雑誌やウェブサイト、ラジオ等のメディアに様々な情報を発信中。趣味は旅行とハープ&ピアノ演奏。

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