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チェコで有名なものといえば何? プラハ歴史地区からビールまで
ヨーロッパの心臓部に位置するチェコ共和国は、歴史と文化が色濃く息づく魅力あふれる国。中でも首都プラハはヨーロッパ有数の観光都市で、絢爛たる旧市街や中世の面影を残す街並み、美しい自然が訪れる人々を魅了します。また、チェコはビール文化発祥の地としても知られ、世界最高峰の味わいを誇る地ビールは、旅行者にとって外せない体験のひとつといえるでしょう。この記事では、そんなチェコの魅力を深掘りしていきます。
目次
1. チェコは歴史のある街並みで有名
ヨーロッパの中心に位置するチェコは、歴史ある国であり、その街並みは中世からの建築や文化がとても良好な状態で保存されていることでも知られています。特に、プラハ、チェスキー・クルムロフ、テルチといった都市は、歴史ある美しい街並みを象徴する存在として訪れた多くの観光客を魅了します。
プラハ歴史地区
<出典元:写真AC>
プラハ歴史地区は、チェコ共和国の首都プラハに広がる美しいエリア。中世ヨーロッパの都市景観がそのまま残る特別なエリアで、1992年にユネスコの世界遺産にも登録されています。ヴルタヴァ川沿いに位置するこの地区は、旧市街、新市街、マラー・ストラナ、フラッチャニといった異なるエリアで構成されており、それぞれに保存状態の良い歴史的建造物や文化遺産が数多く存在し独自の魅力を備えているのが特徴です。
また、プラハ歴史地区のもうひとつの魅力は、多様な建築様式がひとつの街に凝縮されていること。ロマネスク様式、ゴシック様式、ルネサンス様式、バロック様式の建物が混在し、訪れた人たちは何世紀にもわたる建築の変遷を一度に体験することができるでしょう。
さらに、プラハは「音楽の都」としても知られており、モーツァルトやスメタナといった作曲家たちがこの地を舞台に数多くの名曲を生み出しました。
14世紀、カール4世の時代に最盛期を迎えたプラハ。長い歴史の中で大戦や社会主義体制の影響を受けながらも、奇跡的に大きな大破を免れた美しい街並みは、ヨーロッパでも特に美しい観光地のひとつとして知られています。訪れた人々は、特別なプランがなくても街をゆったりと歩くだけで、中世から近代に至るまでの歴史を感じることができ、プラハの美しさとその深い文化遺産に心を奪われるはずです。
チェスキー・クルムロフ歴史地区
<出典元:写真AC>
チェスキー・クルムロフ歴史地区は、チェコ南部に位置する小さな町、チェスキー・クルムロフの中心に広がるエリアのこと。16世紀のルネサンス期の街並みがほぼそのままの状態で保存されている特別な場所で、1992年にはユネスコの世界遺産にも登録されました。
チェスキー・クルムロフは、ヴルタヴァ川が蛇行する渓谷に位置していて、その独特な地形と調和した美しい町の景観が大きな魅力です。町の中心には13世紀に建築されたチェスキー・クルムロフ城がそびえ、ボヘミア地方でプラハ城に継ぐ大きさを誇っています。特に有名なのが、城の塔や回廊で、そこから眺める町の景色は必見です。また、城内には貴族の暮らしを感じさせる部屋や美術品の数々が展示されており、当時の生活や文化を垣間見ることも。城の敷地内にはバロック様式の劇場があり、これもまた歴史的に重要な遺構として訪れておきたいスポットのひとつです。
チェスキー・クルムロフの町全体は、赤い屋根の家々や狭い石畳の路地が入り組んでおり、訪れる人々を中世にタイムスリップさせるような雰囲気。ゴシックやルネサンス、バロック様式が調和した町の建築物の多くが、当時の姿をほぼ完全な形で保っています。
さらにこの町は、芸術と文化の拠点としても知られており、多くのギャラリーやアートスペースが点在しているのも特徴です。特に重要なのが、エゴン・シーレアートセンターで、彼の作品を中心に展示が行われています。また、毎年夏に開催される「五弁のバラ祭り」は、町全体が中世の衣装をまとった人々で溢れ、歴史的な雰囲気がさらに際立つイベントです。
美しい景観と保存された歴史的建造物の数々が訪れた人を魅了するチェスキー・クルムロフ歴史地区。静かな環境の中で歴史の深さとその美しさを存分に堪能することができるでしょう。
テルチ歴史地区
<出典元:写真AC>
テルチ歴史地区は、チェコ共和国の南部モラヴィア地方に位置する小さな町テルチの中心に広がるエリアで、その美しいルネサンス建築と絵画のような景観が魅力。1992年にユネスコの世界遺産に登録されたこの地区は、中世の面影を残しつつもルネサンス様式の美しさが際立つ特別な場所として知られています。
テルチ歴史地区を訪れた際に足を運んでおきたいのが、「テルチ城」と「ザハリアーシュ広場」。当時の貴族の文化的・政治的な中心地としての役割を担っていたテルチ城は、16世紀にゴシック様式からルネサンス様式に改築され、内部には華麗な装飾やフレスコ画が施された部屋が数多く残っています。特に、木彫りの天井や壁画で飾られた貴族の間は見どころのひとつです。
一方、ザハリアーシュ広場は、テルチの美しさを象徴するスポットとして知られています。広場を囲む家々は、カラフルなファサードを持つルネサンスやバロック様式の建物が並び、細部まで施された装飾やアーチ型の通路が訪れた人々を魅了します。こうした建物は、地元の裕福な商人や職人たちによって建てられたもので、町の歴史的な繁栄を感じることができるでしょう。
そして、テルチのもうひとつの特徴は、その景観が水と調和していること。町を囲む3つの池が天然の要塞として機能するとともに、町の美しい反射を映し出す鏡のような役割を果たしていて、この水辺の景観がテルチをさらに絵画的で特別なものにしています。
2. チェコはお城で有名
チェコは美しいお城が世界的に有名で、歴史と建築の魅力が詰まった国として知られています。その中でも特に有名なのが「プラハ城」と「チェスキー・クルムロフ城」。どちらもユネスコの世界遺産に登録されており、それぞれが異なる時代とスタイルの建築美を誇り、訪れる人々を魅了しています。
プラハ城
<出典元:写真AC>
プラハ城は、チェコの首都プラハにそびえる世界最大級の城のひとつ。その歴史は9世紀にさかのぼり、ゴシック、ロマネスク、ルネサンス、バロックなど、さまざまな建築様式が融合した壮大な構造を持っているのが特徴です。この城は、歴代のチェコ国王の居城であり、現在はチェコ大統領の公邸としても利用されています。
プラハ城はその外観の美しさだけでなく、場内にも数多くの見どころを持っているのも特徴のひとつ。その中でも最も有名なのが、チェコ王の戴冠式が行われた場所でもあり、チェコの歴史と密接な結びつきを持つ、聖ヴィート大聖堂です。そのゴシック建築の壮麗さは息をのむほどで、プラハ歴史地区で必ず訪れておきたい場所のひとつと言えるでしょう。
また、城の敷地からは、ヴルタヴァ川を挟んでプラハの街並みを一望でき、その圧巻の眺めが訪れた人々を魅了します。プラハ城はただの観光名所ではなく、チェコの歴史、文化、政治の象徴として、訪れる人々に深い感動を与えています。
チェスキー・クルムロフ城
<出典元:写真AC>
チェスキー・クルムロフ城は、チェコ南部の小さな町チェスキー・クルムロフに位置し、プラハ城に次ぐ規模を誇るチェコ第二の城です。この城は13世紀に建設され、ゴシック様式を基盤に、その後ルネサンスやバロック様式が加えられ、建築的な進化の過程を体現しています。
城の中心にある塔は、町のシンボル的存在で、塔に登れば赤い屋根の家々が立ち並ぶ町並みとヴルタヴァ川の美しい景観を楽しむことができるでしょう。また、チェスキー・クルムロフ城はその広大な敷地の中に、バロック様式の劇場を持つことで特に有名です。この劇場は、18世紀当時の舞台設備や装飾がほぼ完全な形で保存されており、世界的にも貴重な文化遺産とされています。
3. チェコは大聖堂で有名
チェコは中世ヨーロッパにおいて、キリスト教カトリック教会の重要な拠点とされていたため、現在でも数多くの大聖堂が残っています。その中でも特に有名なのが「聖ヴィート大聖堂」と「聖ペテロ聖パウロ大聖堂」です。どちらもチェコの歴史に深く関わり、卓越した建築技術が造り出したその荘厳な姿で訪れる人々を魅了しています。
聖ヴィート大聖堂
<出典元:写真AC>
プラハ城の敷地内に位置する聖ヴィート大聖堂は、チェコ最大の大聖堂であるとともに、国の歴史と精神の中心的な存在といえる場所です。この大聖堂は1344年に建設が始まり、ゴシック様式を基調としながらも、その完成には600年近くの歳月がかかりました。そのため、ゴシックに加えて、ルネサンスやバロックなどの要素も融合した多様な建築美を誇ります。
この大聖堂は、歴代のチェコ国王の戴冠式が行われた場所であり、多くの王族や貴族が埋葬されていることでも知られています。内部には、ステンドグラスで彩られた壮麗な窓や、チェコの守護聖人である聖ヴァーツラフに捧げられた聖ヴァーツラフ礼拝堂があり、訪れる人々をその美しさで圧倒しています。また、聖ヴィート大聖堂の塔からはプラハの街並みを一望できるため、観光客に人気の高いスポットです。
聖ペテロ聖パウロ大聖堂
プラハ市内のヴィシェフラド地区に位置する聖ペテロ聖パウロ大聖堂は、チェコの文化と歴史にとって重要なランドマークのひとつ。この大聖堂は、もともとロマネスク様式で建設されましたが、その後何世紀にもわたる改築によってゴシック様式が採り入れられていることも特徴のひとつです。現在の姿は19世紀後半から20世紀初頭にかけてのネオゴシック様式によるもので、その尖塔は遠くからでも目をひく形です。
この大聖堂はヴィシェフラド墓地と隣接しており、ここにはチェコの多くの著名な文化人や歴史的人物が埋葬されています。墓地と大聖堂を合わせて訪れることで、チェコの歴史と文化への理解がさらに深まります。
4. チェコはビール大国として有名
世界トップクラスのビール消費量を誇り、世界屈指の「ビール大国」として知られるチェコ共和国。ビールが愛されている国となった背景には、長い歴史、豊かな文化、高品質の原材料、独自の醸造技術など、さまざまな要素が組み合わさっています。
チェコのビール事情
<出典元:写真AC>
チェコではビールは単なる飲み物ではなく、文化そのものと言っても過言ではありません。チェコ人はビール消費量が世界トップクラスで、1人当たりの年間消費量は約140リットル以上と言われています。この数字は、チェコにおいていかにビールが日常生活に根付いているかを示していると言えるでしょう。
その歴史は非常に古く、チェコのビール醸造のはじまりは今から約1000年前にまで遡ります。ボヘミア地方にあるベネディクト会修道院で初めてビールが醸造されたのが10世紀のこと。その後、中世を通じてビールは地域経済と文化において重要な役割を果たしました。13世紀には、多くの町がビール醸造の特許を与えられ、地元のブルワリーが各地で栄えたといわれています。特に1842年、プルゼニ(Pilsen)の町で誕生した「ピルスナー」は画期的な存在で、クリアで黄金色のラガースタイルとして世界的に広がりました。このピルスナーの成功がチェコビールを世界に知らしめるきっかけとなり、現在でもビール醸造の基準となるスタイルとして愛されています。
また、チェコでは「ホスポダ」と呼ばれるパブが社交の場として重要な役割を果たしており、友人や家族と気軽に集まり、高品質なビールを楽しむことができるのも特徴のひとつ。その価格も非常にお手頃で、多くのレストランで水よりも安い値段で提供されており、家族や友人と共にビールを片手に語り合う時間は、チェコの人々にとって大切なひとときとなっています。
チェコの有名なビール
ピルスナー・ウルケル(Pilsner Urquell)
1842年にプルゼニの町で誕生した、チェコを代表するビールであり、世界初のピルスナービール。その名前は「元祖ピルスナー」を意味しており、爽やかな苦味とモルトのコクが特徴。チェコ国内外で広く親しまれています。
ブドヴァル(Budweiser Budvar)
チェスケー・ブジェヨヴィツェ(旧名ブドヴァイス)で生産されるビールで、アメリカの「バドワイザー」との商標問題でも知られています。オリジナルのブドヴァルは、しっかりとしたモルトの風味と滑らかな飲み口が特徴で、伝統的な製法を守り続けています。
コゼル(Kozel)
チェコで最も人気のあるダークビールの一つで、軽やかで飲みやすい甘みが特徴です。ロゴのヤギのイラストがトレードマークで、初心者からビール愛好家まで幅広い層に支持されています。
スタロプラメン(Staropramen)
チェコ国内で2番目に大きな醸造所がつくる、プラハを拠点とするブランドのひとつ。ライトな口当たりのラガーからフルボディのビールまで、多彩なラインナップを展開しています。
ガンブリヌス(Gambrinus)
手頃な価格と安定した品質で親しまれる、チェコの国民的ビールブランド。地元のパブでよく見かける定番ビールで、軽い飲み口が特徴です。
5. チェコはチェコ料理で有名
豊かな歴史を持つチェコは、食文化にも中欧の伝統が色濃く反映されています。肉料理や濃厚なソース、パンやジャガイモを中心にした食事で、ビールとの相性も抜群です。
チェコ料理の特徴は?
チェコ料理の特徴は、その素朴で滋味深い味わいと、地元の食材を活かしたエネルギー豊富なメニューが多いこと。寒冷な気候に適したボリューム感のある料理が多く、肉やジャガイモ、キャベツ、クリームなどが主に使われます。また、チェコはビール大国であることから、ビールとの相性を意識した濃厚な味付けや食べ応えのある料理が多いのも魅力です。さらに、主食として使われるクネドリーキ(ダンプリング)やパンは、たっぷりのソースとともに食べることで料理全体の味わいを引き立てる重要な役割を果たしています。
有名なチェコ料理
<出典元:写真AC>
チェコの定番料理として親しまれているのが、「ヴェプショ・クネドロ・ゼロ」。ローストした豚肉、クネドリーキ、そして酸味の効いたキャベツの酢漬けがワンプレートにまとまり、ジューシーな豚肉とキャベツの爽やかな酸味、そしてクネドリーキの食感が絶妙なバランスを作り出し、チェコの家庭的な味を楽しむことができます。
また、ハンガリーの影響を受けた煮込み料理「グラーシュ」もチェコ料理の中で人気メニューのひとつです。牛肉や豚肉を玉ねぎ、パプリカ、スパイスで煮込んだ濃厚な味わいが特徴で、パンやクネドリーキと一緒に提供されることが多く、特に寒い季節には体を温めるひと品として重宝されています。
また、甘いもの好きには「トルデルニーク」もおすすめ。甘い生地を棒に巻きつけて焼き、砂糖やシナモンでコーティングしたデザートで、観光地で特によく見かけるチェコの名物です。焼きたてのトルデルニークは香ばしい香りとふんわりした食感を楽しむことができます。
6. チェコはマリオネットで有名
チェコは「マリオネット」と呼ばれる伝統的な操り人形も有名です。特に、木製のマリオネットは、チェコの職人技と創造性の象徴であり、観光客にとっても人気のある文化体験のひとつと言えるでしょう。
マリオネットとは
マリオネットは、木製の人形を糸や棒を使って操作する人形劇の一種。その歴史は16世紀にさかのぼり、チェコではヨーロッパの他地域と同様に、宗教的なテーマや古典的な物語を演じるために使われてきました。
チェコ独自の特徴は、マリオネットが庶民の娯楽として親しまれ、宮廷や貴族だけでなく一般家庭でも楽しまれていたこと。18世紀には、チェコのマリオネット劇はより創造性豊かな演目を取り入れるようになり、ファウストやドン・キホーテといった世界文学を題材にした公演も行われるようになりました。
また、19世紀にはチェコの民族意識の高まりとともに、愛国的なテーマが増え、マリオネットはチェコ文化のアイデンティティの一部となったと言われています。今日では、マリオネットは単なる伝統芸能にとどまらず、チェコの工芸品としても高く評価されていて、精巧な細工と豊かな表情が魅力の手づくりの木製マリオネットは、観光客にとって人気のおみやげのひとつです。
マリオネットの楽しみ方
チェコでマリオネットを楽しむ方法は大きく分けて以下のふたつです。
1. マリオネット劇の鑑賞
プラハをはじめ、チェコの主要都市ではマリオネット劇場が数多く存在し、観光客向けの公演も頻繁に行われています。これらの劇場では、古典的な演目から現代的なストーリーまで、さまざまな作品を楽しむことができます。特に有名なのが、プラハの国立マリオネット劇場での「ドン・ジョヴァンニ」の公演。これはモーツァルトのオペラをマリオネットで演じるもので、音楽と人形劇が融合した演出は、子どもから大人まで楽しめる魅力があります。
2. マリオネットの購入や体験
チェコでは手作りのマリオネットを専門に扱うショップも多く、街中で見かけることができます。職人が一つひとつ手作業でつくる木製のマリオネットは、その精巧な作りと個性的なデザインで特別感があり、観光客にとって理想的なお土産です。
豊かな歴史、美しい建築、活気ある文化、そして美味しいビールや料理で訪れる人々を魅了するチェコ共和国。その中世の街並みを歩けば、タイムスリップしたかのような感覚に包まれ、壮大な城や大聖堂では歴史の重みを感じることができるでしょう。また、地元のビールやチェコ料理を楽しむことで、この国の文化をより深く体験することができます。古き良きヨーロッパの魅力を存分に感じられるチェコは、訪れた人にとって忘れられない思い出を提供してくれるはずです。
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