チリ版七味『メルケン』の魅力!スープやビールにぴったりのスパイスを堪能しよう

日本は暖かいうどんやおそばがおいしい季節。うどんやそばを食べる時、欠かせないものといえば、七味ですよね。南米チリにも、日本の七味に相当するものがあり、少し味が足りない時や味変したいときに大活躍してくれます。

今回はチリの七味メルケンと、唐辛子、メルケンが良い仕事をしてくれるチリのスープなどについて書いてみたいと思います。

目次

メルケンには何が入っているの?

メルケンはもともと、チリ南部に住む原住民マプチェ族の調味料です。メルケンは彼らの言葉で「塩を細かくしたもの」という意味だったらしく、昔は塩と特産の唐辛子cacho de cabra (ヤギの角)を砕いたものを混ぜて使っていたのが、ポピュラーになり、チリ全土で使われるようになりました。

メルケン

メルケンにはいくつか種類がありますが、一番クラシックなものは、燻製にした唐辛子と塩を混ぜて砕いたもの、またはそれに、コリアンダーシードを混ぜたものです。

ちょっとスモーキーでスパイシーなメルケンですが、マプチェ族が最も多く住む大都市テムコの市場に行くと、さまざまな種類のメルケンに出会えます。

唐辛子と塩はベースですが、そこに生姜や、ニンニク、クミン、バジルなどのハーブが入ったもの、ヘーゼルナッツが入ったもの、燻製が強いものや激辛なもの、粒が大きいものなど。量り売りなので少量ずつ買って、違いを楽しむことができます。

メルケン

お姉さんが色々と説明をしてくれました。写真をお願いしたら、「もちろん!」と撮らせてくれたのですが、瞬きをしている瞬間を撮ってしまったようです(汗)

テムコの市場

Chile(チリ)とChile(唐辛子)

よく日本人の友達に聞かれる質問のひとつが「チリの食べ物って辛いの?」ですが、この質問は、英語でもスペイン語でも「チリ」という単語は「唐辛子」という意味があり、そこからイメージされてくるのかな?と想像します。

チリという国の名前の語源ははっきりわかっていないようですが、ケチュア語またはアイマラ語で「地の果て・寒い場所」という意味だというのが有力で、唐辛子とは無関係のようです。

チリ料理は一般的に全然辛くありません。日本のカレールー「中辛」で作ったカレーが辛いと言われることすらあります。一般的にチリ料理は素朴で自然の味そのものを楽しむことが多いので調味料の使い方もシンプル。

塩以外に良く使われる調味料は、オレガノやクミンくらいだと思います。だからこそ、メルケン以外にも唐辛子ペーストや生トマトと生玉ねぎ、コリアンダーと黄色い唐辛子を混ぜて作るペブレという食べ物があります。

タイ料理やメキシコ料理のように最初から辛い料理はチリにはありませんが、レストランなどでもメルケンや唐辛子ペーストは頼めば無料で持ってきてもらえるので、ぜひ試してみてください。

唐辛子

市場で売っているチリの唐辛子cacho de cabra (ヤギの角)燻製にしてあるものは黒っぽい。

チリのおふくろの味カスエラ

カスエラはスペイン語で「浅い土鍋」という意味ですが、チリでは料理の名前。一般的なチリ人が週に1回は食べる具沢山のスープです。

カスエラ

私はチリで味噌汁について説明する時、「日本のカスエラ」だと言っていますが、味噌汁の中身が非常に自由なのに対し、カスエラは、大きいじゃがいもと、かぼちゃ、肉(鶏肉か牛肉)の切り身は必須で、とうもろこしも大概入っていて、上には細かく切られたコリアンダーがのっています。

「カスエラの作り方を知らないチリ人はいない」と言われるほどメジャーな料理で、元々は首都サンティアゴの田舎でよく食べられていたらしいですが、今は南北に細長いチリ全土で食べることができます。

私も青年海外協力隊員でとある村の家族の家にホームステイさせてもらっていた時は、よくカスエラをいただきました。このカスエラにメルケンがとても合うのですが、その感覚はまさに、温かいうどんに七味と同じです。

七味がないとなんだか寂しいのですが、カスエラにメルケンがなかったら非常に寂しい。そんな感じです。

メルケンの使い方 

カスエラなど、スープ以外でもメルケンは茹でたじゃがいも(主食として食べられる)やオーブン焼きにかけたり、サラダにちょこっとかけたりします。メルケンは塩も入っているのでちょっと味が足りない時にもかけると便利です。

変わりどころでは、ミチェラダというビールのレモン割もチリではメルケンを使います。ミチェラダは、もともとメキシコ発祥の飲み物ですが、レモンが入っていてさわやかなので、これからの季節(南半球は夏に向かっています)によく登場します。

塩+メルケン

ミチェラダは、まず、平たいお皿に塩とメルケンを混ぜ合わせ、

ビール

グラスの口を濡らして、塩+メルケンをつけます。その後、グラスにレモン汁を入れ、ビールを足します。

飲むたびに口に塩とメルケンが当たるので、ちょっとしょっぱく、スパイシーな味わいがするわけですが、それが癖になるおいしさなのです。少ししょっぱいのでおつまみがなくてもビールが進みます。

以前の記事で、チリでおにぎりを売っていることを書きました。

>>以前の記事「南米チリでおにぎりを売る」はこちら

今年は縁あってスペインでおにぎりを売りました。チリのお土産としてスペインに持って行ったメルケンの袋があったので、それをおにぎりのタレの脇に置いていたところ、大好評。

メルケン

メルケンを売って下さいと頼まれることすらあったくらいです。また、これを書くために検索した記事の中でも、「ミラノで開かれたエクスポのチリのブースで一番人気があったのが、メルケンであった」という記述がありました。

国際的にも味が認められたメルケン、チリにお越しの際にはぜひ、お試しください。スーパーの調味料コーナーでも売っています。

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IZUKAWAUSO

日本青年海外協力隊員。チリ南部の田舎暮らしも8年半になります。趣味は旅行(特に屋台めぐりと温泉)と料理。地元の週末フリーマーケットでおにぎりと味噌汁売ってます。

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