【私の好きな日本遺産】愛知県「有松の町並み」にて街道情緒と絞り染めの繁栄に触れる

こんにちは!2024年6月に日本遺産検定を取得し、日本遺産ソムリエとなった土庄(とのしょう)雄平です。「日本遺産」とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーのこと。現在、全部で104のストーリーが認定されています。

新しく始める連載【私の好きな日本遺産】では、これまで全国を旅した経験の中から筆者イチオシの日本遺産をピックアップし、その魅力や名残あるスポットをご紹介したいと思います。

第1弾は、名古屋にある「有松の町並み」です。

目次

日本遺産に認定された「有松の町並み」とは?

日本遺産に認定された「有松の町並み」

有松の町があるのは名古屋市緑区と豊明市にまたがる地域です。かつては旧桶狭間村と鳴海村の周辺を指していました。

江戸時代初期には人家のない荒地でしたが、東海道の整備が進むにつれて、治安上の必要から旧桶狭間村と鳴海村の間に新しい村を作る計画が持ち上がりました。

尾張藩は知多郡全域に高札を掲げ、この地域への移住を呼びかけた結果、現在の有松の町並みの原形となる「有松村」が誕生したのです。

伝統産業「有松絞り」

しかし、当時の有松村は農地が少なく、貧しい土地でした。そこで町おこしの役割を担ったのが、伝統産業「有松絞り」です。

移住者の一人、竹田庄九郎が豊後(現大分)の絞り染めを参考にして「有松絞り」を考案し、東海道を行き交う人々に販売したところ大ヒットしました。

尾張藩の保護も受け、有松絞りは一気に尾張地区の重要な名産品に。十返舎一九の描いた「東海道中膝栗毛」にも、その繁栄ぶりが描かれています。

町並みが立派な理由とは?有松にみる東海道の原風景

伝統産業「有松絞り」

町並みには今でも絞り染めの問屋が並び、大きな邸宅も多く見られます。

通常、間口の広さに応じて税金が課されるのですが、江戸時代の尾張藩の優遇策により、税金を免除されていたことが理由です。

こうした邸宅が示すように、有松絞りの経済効果は非常に大きかったのです。有松絞りの繁栄に伴い、町は急速に発展しました。

町並みの各家に掛けられている絞り染めの暖簾は、有松のルーツが伝統工芸品にあることをを物語っています。

有松の町並み

そんな町並みの一角に、往時の風景をそのままに残すポイントがあります。それが、岡家住宅の近くにある赤いポストです。

ここから岡家住宅を振り返った景観が「東海道中膝栗毛」の絵と重なると言われており、隠れたフォトスポットとなっています。

作中には「欲しいもの 有松染めよ 人の身の あぶら絞りし 金にかえても」と、主人公の弥次さんが歌い、嬉しそうに絞り染めの手ぬぐいを買い求める様子が描かれています。かつての江戸時代の賑わいを今に想起させる場所です。

お土産も嬉しい。現代まで発展を遂げた有松絞りの技法

有松絞り

有松の素晴らしさは現代に至るまで「有松絞り」が進化してきたことにあります。

なんと、400年もの間、職人たちの努力によって100以上の技法が生み出され、世界的にも有名な絞り染めの産地としての地位を確立しました。

その技法や作品は、有松絞りの歴史・技術を今に伝える「有松・鳴海絞会館」で見ることができます。2階の展示スペースになっており、製作工程から幅広い模様に至るまで、物を見るだけでは分からない、有松絞りの奥深さを学べますよ。

有松絞り

また地元の熟練者による縫製の実演も一見の価値あり!来館者を温かく迎えてくれ、積極的にコミュニケーションをとってくれるのも楽しいです。

1階の売店では、有松絞りのお土産を購入することもできますよ。私も1,000円ほどで名刺入れを購入し、愛用しています。名刺を配るときに、名古屋の魅力を伝えられる気がして、なんだか嬉しいですね。

いかがでしたでしょうか。町並みを紐解き、街道情緒や歴史の足跡を感じられる「有松の町並み」。名古屋駅からも名鉄電車ですぐなので、ぜひ散策に訪れてみてください。

有松の町並み

  • 住所:愛知県名古屋市緑区有松
  • 営業時間:24時間、9:30~17:00(有松・鳴海絞会館)
  • TEL:052-621-0111(有松・鳴海絞会館)
  • 関連サイト:Aichi Now(有松の町並み)

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土庄雄平

1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍ら、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。春は桜を愛でながらサイクリング、夏は冷涼な北日本へ自転車で大冒険、秋は秘境の紅葉を求めて山登り、冬は輝く樹氷と白銀の世界に魅了される。そんな自然の中へ身を投じる旅がルーティーン。

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