高齢者の旅行で気を付けるべきポイントと楽しみやすいスポット例

高齢者の旅行で気を付けるべきポイントと楽しみやすいスポット例

高齢になっても「行ったことがないあの場所に行ってみたい」「以前訪れたあの場所を再訪したい」など、まだまだ旅行を楽しみたいと考えている方も多いはずです。

年を重ねると若い頃と同じようにいかないことも増えますが、注意点を踏まえて行き先やプランを工夫すれば、高齢でも安心して旅を満喫できます。

「身体が動くうちに旅行を楽しみたい」と考えている高齢者の方、それに「高齢の親を旅行に連れて行って思い出作りをしたい」と考えている方に向けて、高齢者の旅行で気を付けるポイントや高齢者が旅行をするメリット、おすすめのスポットなどをご紹介します。

目次

<1. 高齢者の旅行で気を付けるべきポイント>

<2. 介護が必要な場合は?>

<3. 高齢者が旅行するメリット>

<4. 高齢者の旅行で楽しみやすいスポット例>

1. 高齢者の旅行で気を付けるべきポイント

高齢者
<出典:写真AC

高齢者の旅行は「安心・安全」が何よりも大切。旅先で体調を崩したり、ケガをしたりするリスクを極力減らすためにも、次のことに気を付けるといいでしょう。

体の具合をよく把握しておく

無理をして旅先で体調を崩してしまっては元も子もありません。旅行をする際は、熱がないか、身体にだるさや違和感がないかなど、事前に体調をチェックして、異変があれば旅行を中止・延期するなど、体調優先を心がけましょう。

息子さんや娘さんが高齢の親御さんを旅行に連れて行く場合、今現在の親御さんのコンディションや生活スタイルをしっかりと把握しておく必要があります。

特に、離れて暮らしていると、「日頃服用している薬はあるか」「どのくらいの距離なら歩くことができるのか」「どのくらい睡眠時間を取っているのか」など、最新の状況が把握しきれていないこともあるので、旅行の計画段階で確認しておくと安心です。

往復の移動含め、時間に余裕を持ったスケジュールを組む

歩くのがゆっくりだったり、トイレ休憩を多めに取る必要があったりする高齢者の旅行は、時間に余裕を持ったスケジュールを組んでおくことが大切です。

ついせっかくの旅行だからと旅程を詰め込んでしまいがちですが、ゆとりのないスケジュールを組んでしまうと、旅程をこなしきれなかったり、焦って転んでケガをしてしまったりと、思わぬ事態になりかねません。

旅行を計画する際は、行きたい場所ややりたいことに優先順位を付けて、潔く絞り込むようにしましょう。優先順位がそれほど高くない場所は、当日時間と体力に余裕があれば行く程度に考えておいて、できるだけストレスのないようにしてください。

また、公共交通機関を利用する場合は、早めに乗り場に到着しておくことはもちろん、途中で乗り換えがある場合は、トイレ休憩を取っても間に合うくらいの余裕を見ておくといいでしょう。

なるべく歩かなくて済むルートを選ぶ

旅行と聞くと、徒歩での移動が心配になる方も多いのではないでしょうか。旅行中は荷物を持って移動する場面もあるので、歩く距離が長くならないように注意したいものです。

「公共交通機関を利用する場合は、駅やバス停から近い宿や送迎サービスのある宿を選ぶ」「車を利用する場合は、駐車場からエントランスまでの距離が近い観光スポットを選ぶ」など、プランニングの時点でなるべく歩かなくて済む方法を考えるといいでしょう。

旅行を計画する際は、行きたい観光スポットがどんなところなのか、写真や動画で現地の様子を見ておくと安心です。神社仏閣は高齢者にも人気の目的地ですが、境内での歩行距離が思いのほか長かったり、足元の悪い砂利道だったり、長い階段があったりと、若者でも音を上げてしまうような場所もあります。足腰に自信がない場合は、観光よりも宿を満喫する滞在型の旅にするのもいいですね。

当日のルートは無理せず柔軟に変更する

途中で疲れてしまったり、何度もトイレ休憩を挟んでいたら思いのほか移動に時間がかかったりと、高齢者の旅行は計画通りにいかないことも珍しくありません。

そんなときは当初のスケジュールにこだわらず、状況に合わせて柔軟にルートやプランを変更しましょう。無理にもとの旅程をこなそうとすると、疲労やストレスでかえって旅が楽しめなくなります。

「疲れてしまったときは宿をゆっくり満喫するプランに変更する」「本来の目的地に行く時間がなくなってしまったときは、もっと近い場所や短時間で見られる場所に変更する」など、臨機応変に対応するようにしましょう。

バリアフリーの宿泊施設を選ぶ

車イスや杖を利用している方、足腰が不自由な方はもちろんのこと、そうでなくても高齢の方が旅行をする際は、バリアフリーの宿泊施設を選ぶのが賢明です。

普段過ごしている自宅なら、段差などの要注意箇所がわかっていますが、勝手の違う宿泊施設ではそうはいきません。慣れない環境では、元気な方でもちょっとした段差につまずいてしまうこともあるため、積極的にバリアフリーの宿を利用するといいでしょう。

バリアフリーの宿泊施設を探すときは、旅行会社に紹介を依頼してもいいですし、インターネットで検索すれば、バリアフリーの宿を集めたサイトやページが見つかります。前もって宿泊先に「高齢なので、館内移動の負担が少ない部屋にしてほしい」などと伝えておけば、何かしらの配慮をしてくれるはずです。

寝やすそうな部屋を選ぶ

高齢者が旅を快適に楽しむためには、部屋選びも非常に重要になってきます。例えば、普段ベッドで寝ている方が旅行中だけ布団で寝ると、寝起きが負担になってしまうこともあるからです。

特に、高齢の親御さんとの旅行を計画している方は、親御さんがベッドで寝ているのか、あるいは布団で寝ているのかなど、現在の生活スタイルを把握して、それに合った部屋を選ぶことが大切です。親御さんが普段ベッドで寝ている場合、温泉宿でもベッドのある和洋室がおすすめです。

宿泊施設を予約する際は、寝具の種類だけでなく、部屋にソファやイスがあるかなどもチェックしておくといいでしょう。高齢になると正座が難しくなる方が増えるので、座布団や座イスよりもソファやイスに座るほうが快適に過ごせるケースが多いです。

2. 介護が必要な場合は?

車イスでの旅行
<出典:写真AC

旅行は必ずしも1人で元気に動き回れる人だけのものではありません。日常生活で介護が必要な方も、その方に合った備えをしっかりしておくことで、安心して旅行を楽しむことができますよ。

介護サービス付きの旅行プランがある

介護が必要になると旅行をあきらめてしまう方も多いですが、心置きなく旅行を楽しむために、プロの手を借りるというのも手です。介護付き旅行サービスを利用すれば、移動や食事、排せつ、入浴など、旅先でのさまざまな場面でヘルパーによる介助が受けられます。

介護と旅行、両方のプロフェッショナルであるトラベルヘルパー(旅行介助士)なら、介助だけでなく、旅程の作成や宿泊施設・交通機関の依頼などもまとめて依頼することができるので、介護が必要な方やそのご家族も安心して旅行が楽しめるでしょう。

詳しくは「トラベルヘルパーってどんな仕事? 介護旅行は実際どんな風?」の記事もご覧ください。

交通機関や宿泊先にあらかじめ伝えておく

介護が必要な方が旅行をするときは、行き先で介助や配慮をしてもらう必要があるので、あらかじめ利用する公共交通機関や宿泊施設に伝えておきましょう。

そうすることで、公共交通機関に乗る際に介助してもらえたり、宿泊施設で館内移動が少ない部屋にしてもらえたりと、物事がスムーズに運ぶはずです。

薬など必要な持ち物を忘れず持っていく

介護が必要な方に限ったことではありませんが、日頃から服用している薬や使用している医療機器等がある場合は、旅行に持って行くのを忘れずに。介護が必要な方の旅行に同行する方は、必要なものをリストアップして、漏れのないようにしましょう。

3. 高齢者が旅行するメリット

年を重ねると、健康上の理由から旅行はハードルが高いと感じる人が増えますが、旅行は心身の健康につながるなど、さまざまなメリットがあります。高齢者が旅行するメリットを知っておき、無理のない範囲で旅行を楽しんではいかがでしょうか。

心身の健康のためになる

身体を動かすだけでなく、知的好奇心を満たしたり、旅先で出会った人とコミュニケーションを取ったりと、旅行には心身の健康維持につながる要素が揃っています。

自分で旅行を計画する場合は、ガイドブックやパンフレットを見て、さまざまな想像をめぐらせながらどこに行こうか考えますよね。そして、いざ行き先が決まったら、日程を決めたり、旅先で行く場所を考えたりと、旅行は計画段階から脳を刺激してくれます。さらに、旅行中は普段より身体を使う機会が増えることに加えて、日頃見ないものを見て、非日常に触れることで、心身のリフレッシュや認知機能の維持にもつながります。

フットワークの軽さと知的好奇心は心身の健康と若さを保つ秘訣。旅行は、楽しみながら脳と身体を使う絶好の機会と言えるでしょう。

旅行の効果について詳しくは「メンタルヘルス改善につながる旅行の効果【心理カウンセラーが解説】」のページもご覧ください。

老後の趣味にできる

時間のかかる旅行は老後の趣味にうってつけ。写真や食べ歩き、美術館めぐりなど、ほかの趣味とあわせて楽しむこともできるので、旅行を趣味にすると世界がぐっと広がります。旅行は1人でもできますし、夫婦で、気の合う仲間と、など、さまざまな単位で楽しめるので、人と一緒に楽しめる趣味を持ちたい人にもぴったりです。

一緒に旅行を楽しめる人がいないという人は、高齢者向けのバスツアーなどに参加するのもひとつの手。おひとりさまツアーなら趣味の合う人と知り合う機会になるなど、人間関係を広げるきっかけになるかもしれません。

親子や3世代の交流の機会になる

高齢者の旅行は、子どもや孫と、世代を超えて交流する絶好のチャンスです。旅行中は、一緒に行ったことのない場所に行ったり、初めて目にするものを見たり、同じ部屋に泊まったりと、普段の帰省よりも濃密な非日常の時間が過ごせます。

「子どもや孫とどこどこに行った」「おじいちゃん、おばあちゃんとどこどこで○○をした」という記憶は長く色あせることがありません。

親御さんと離れて住んでいる場合、親と会うのは年に1~2回という人も少なくないでしょう。2世代、3世代が揃って旅行を楽しむ機会は思いのほか貴重です。高齢の親御さんとの旅行を考えている方は、「親と過ごせる時間は思っているほど長くない」ことを念頭に置いておきたいものですね。

3世代旅行について詳しくは「3世代旅行の宿選びや旅行先選びのポイントとは」をご覧ください。

シニア割引が期待できる

シニア割引でお得に旅行ができるのも、高齢の方にとっては嬉しいポイントです。観光スポットの入場料だけでなく、鉄道や飛行機などの公共交通機関にもシニア割引があるほか、一部のホテルや旅館でも、シニア割引プランが設定されていることがあります。

代表的なシニア割引としてJR東日本・JR北海道の「大人の休日倶楽部ジパング」、JR6社の「ジパング倶楽部」があります。「大人の休日倶楽部」は男性65歳以上、女性60歳以上(2024年4月1日からは男女ともに65歳以上)から申し込め、JR東日本とJR北海道の切符が何回でも30%割引になるサービスです。一方の「ジパング倶楽部」は、全国のJR線の切符が年間20回まで最大30%割引になるサービスで、男性65歳以上、女性60歳以上(2024年4月1日からは男女ともに65歳以上)から申し込みが可能です。

また、航空会社もシニア向けのお得な運賃を設定しており、満65歳以上の方だけが利用できる「ANAスマートシニア空割」「JAL当日シルバー」などがあります。

4. 高齢者の旅行で楽しみやすいスポット例

「久しぶりに旅行をしたいけど、どこに行こうか迷っている」という高齢者の方や高齢の親御さんを旅行に連れて行きたいけどどこに行ったらいいかわからない」という方に向けて、高齢者の旅行におすすめの観光地の一部をご紹介します。

北海道(旭山動物園、美瑛など)

白金青い池
<出典:写真AC

広大な大地に豊かな自然...日常を離れてゆったりとした気持ちに浸れるのが北海道の魅力。普段なかなか見られない、スケールの大きい絶景を見たいときに最適の旅行先です。

北海道旅行の定番といえば、旭川市にある旭山動物園。北海道ならではの動物たちが見られることに加え、動物本来の生き生きとした姿が観察できる行動展示が人気です。バリアフリーのトイレが充実しているなど、高齢者への配慮もされているので、高齢の方でも安心して訪れることができますよ。

北海道らしい雄大な自然風景を堪能するなら、北海道のほぼ中央に位置する美瑛町(びえいちょう)に出かけてみてはいかがでしょうか。幻想的なコバルトブルーが楽しめる白金青い池や四季折々の花のじゅうたんが広がる花の絨毯『展望花畑 四季彩の丘』、雪解け水が創り出す白ひげの滝など、北海道らしい美景が目白押しです。中には坂道が多い場所などもあるので、現地の様子などは事前に確認しておきましょう。

金沢(兼六園、金沢21世紀美術館など)

兼六園
<出典:写真AC

しっとりとした和の情緒が感じられる金沢は、落ち着いて旅行を楽しみたい高齢の方にぴったり。京都に比べると街がコンパクトで回りやすいことや、混雑の度合いが低いこともおすすめの理由です。

金沢といえば、特別名勝にも指定されている兼六園。歴代前田家藩主の美意識が光る3万坪の大名庭園は、桜に紅葉、雪吊りと、四季折々の豊かな表情を見せてくれます。

ほかにも、体験型の展示が充実した金沢21世紀美術館や江戸情緒あふれる3つの茶屋町(ひがし茶屋街、にし茶屋街、主計町茶屋街)など、見どころがコンパクトにまとまっているので、短い日程でも充実した時間が過ごせます。

沖縄(国際通り、沖縄美ら海水族館など)

国際通り
<出典:写真AC

「海外旅行のような解放感を味わいたい」「南国気分にのんびりと浸りたい」という方には、沖縄が最適かもしれません。沖縄県は、2007年に国内初の観光バリアフリー宣言を打ち出し、車イスを利用されている方や、足が不自由な方も楽しめる観光スポットやアクティビティの整備を進めているので、高齢の方でも訪れやすい環境が整っています。

那覇を代表する観光スポットとして知られる国際通りは、レストランや土産物屋、ホテルなどが並ぶ賑やかな通り。ただ歩いているだけでも沖縄にやってきたというワクワク感が感じられますし、バリアフリーの飲食店などもあります。

沖縄旅行といえば、本島北西部にある沖縄美ら海水族館も外せませんよ。ジンベエザメが悠々と泳ぐ巨大水槽や、かわいらしいイルカショーなどが天候に関係なく楽しめます。

有名な温泉地(草津温泉、有馬温泉など)

草津温泉
<出典:写真AC

観光してあちこち歩きまわるよりも、ゆっくりと羽を伸ばしたいと考える方もいるのではないでしょうか。そんな方にはやはり温泉がおすすめです。

全国津々浦々、さまざまな温泉地がありますが、一生に一度は必ず訪れておきたいのが群馬県にある草津温泉。日本三名泉のひとつにも数えられる草津温泉は、自然湧出量日本一。湯畑に象徴される昔ながらの温泉街の景観が楽しめることや、源泉かけ流しを堪能できる温泉宿が多いのも草津の魅力です。

兵庫県の有馬温泉は、豊臣秀吉も愛したという関西の奥座敷。日本三古泉のひとつに数えられ、谷崎潤一郎をはじめ、数々の文豪や著名人にも親しまれてきました。褐色の金泉と無色透明の銀泉、2つの異なる泉質が体験できるのも有馬温泉ならでは。宿の温泉だけでなく、公共の日帰り温泉なども利用して、湯めぐりを楽しんではいかがでしょうか。


年を重ねると若い頃と同じようにはいかなくなりますが、多くの高齢者が自分の身体と相談しながら旅行を楽しんでいます。

体力や旅のプランニングに自信がなくても、今はさまざまなサービスを活用しながら無理なく旅行が楽しめる時代。ぜひ、ご自身や親御さんの身体の状態と相談しながら、安心して楽しめる旅行先を見つけてください。

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