誰もが知っている有名な世界遺産だけを集めてみました

誰もが知っている有名な世界遺産だけを集めてみました

世界遺産は、1972年に「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」が採択されることで誕生しました。その後世界遺産のリストは増え続け、2024年3月現在では1,199件にも上ります。

これだけあると、世界遺産の対象全てを知っている人はなかなかいないでしょう。実際に世界遺産を見て回ってみたいなという方も、どこからアプローチしたらいいかと迷ってしまわれるかもしれません。そこで今回は、誰もが知っているようなスポットだけに絞って世界遺産を紹介。見どころなどを紹介します。

目次

<1. 建築物で有名な世界遺産>

<2. 像で有名な世界遺産>

<3. 自然景観で有名な世界遺産>

<4. 遺跡で有名な世界遺産>

<5. 都市で有名な世界遺産>

1. 建築物で有名な世界遺産

世界遺産には、息をのむような美しい建築物が数多く存在します。ここではまず、その中でも特に有名な建築物の世界遺産をご紹介します。

※世界遺産名の後ろにあるカッコは世界遺産に登録された年です。

モン-サン-ミシェルとその湾 (1979) 【フランス】

モンサンミッシェル
<出典元:写真AC

多くの世界遺産を有するフランス。その中でも1979年に世界文化遺産に登録されたモン・サン・ミッシェルは、圧巻の美しさで訪れた人を魅了しています。

モンサンミッシェルはフランス西海岸のサン・マロ湾にある修道院で、潮の満ち引きの激しい小さな島に建てられています。その歴史は建立から1300年以上と古く、15世紀に築かれた堅牢な城壁や大通り門、10〜11世紀のロマネスク様式の修道院付属教会は、モン・サン・ミッシェルの壮大な歴史を物語る見どころのひとつです。

特に、修道院へと続く参道「グランド・リュ」には、19世紀に建てられた宿屋や飲食店など、歴史的にも価値のある建物が並び、訪れた人々は当時の人々の暮らしに思いを馳せることができます。

例えば「ラ・メール・プラール」は、モン・サン・ミッシェルの麓で観光客のお腹と心を満たす、オムレツが看板メニューの有名店。新鮮な卵を使用し長時間泡立てられたふわふわな食感が特徴で、モン・サン・ミッシェルを訪れた際には必ず味わいたいひと品です。

ヴェルサイユの宮殿と庭園 (1979) 【フランス】

ヴェルサイユの宮殿鏡の間
<出典元:写真AC

1979年にユネスコの世界遺産リストに加えられたヴェルサイユ宮殿とその庭園は、フランスの国王であったルイ14世が、約50年もの歳月をかけて造りあげたものです。

ヴォー・ル・ヴィコント城の建築を手掛けたル・ヴォーが宮殿の建築を、当時「王様の造園家」と称されたル・ノートルが庭園の設計を担当しました。美しい宮殿は、その後のヨーロッパ宮廷の建築に大きな影響を与えることとなり、その影響力は世界遺産に登録される理由のひとつとなっています。

宮殿内部に連なる、鏡の回廊、王と王妃の広間、礼拝堂などの豪華絢爛な部屋は、すべて細部にわたる装飾が施されており訪れる者を圧倒します。特に有名なのが鏡の間で、73mにも及ぶ廊下の壁一面には、当時としては非常に高価だった357枚の鏡を使用。その豪華さはヴェルサイユの力と富の象徴とされました。

タージ・マハル (1983)【インド】

タージ・マハル
<出典元:写真AC

タージ・マハルはインド北部のアーグラにある、ムガル帝国5代皇帝のシャー・ジャハーンの妃であったムムターズ・マハルの墓廟(ぼびょう)です。

総大理石で造られた白亜の廟は、インド・イスラム文化の代表的な建築物として1983年に世界遺産に登録されました。当時の一級の建築家と工芸家を呼び寄せ、南北560m、東西303mの敷地に完成させたタージ・マハルは、「宮殿の光」「宮殿の選ばれし者」という意味の名を持っていたムムターズ・マハルにふさわしい優美さで、建物も庭園もすべて緻密な計算に基づく完璧な対称性を誇っています。

墓廟は4本の水路が流れる庭園・チャハールバーグの奥中央にある高さ5.5メートルの基壇の上に建てられています。四隅を支える4本の尖塔は少し外側に傾いていますが、これは万が一倒れることがあっても本体を傷つけないように計算されたものです。また、墓廟の左右にはモスクと集会場が建てられていますが、これは他のムガル帝国の廟には見られない、タージ・マハル独特のものとなっています。

アントニ・ガウディの作品群 (1984, 2005)【スペイン】

サグラダ・ファミリア
<出典元:写真AC

スペイン・バルセロナを彩る世界遺産「アントニ・ガウディの作品群」は、その名の通り天才建築家・ガウディによる7つの傑作です。

代表作であるサグラダ・ファミリアをはじめ、もともとブルジョワ階級向けの住宅地として計画されたグエル公園や、波打つ曲線が特徴的なカサ・ミラ、ガウディの初期作品でありアラブ風の外観とタイル使用が美しいカサ・ビセンスなどは、スペインを代表する人気観光スポットとなっています。

ガウディの作品は、直線を避けて自然を模した曲線や形状で有名です。彼の革新的で独創的なデザインがつくりだす美しい街並みは、人生の中で一度は訪れておきたい場所と言えるでしょう。

姫路城 (1993)【日本】

姫路城
<出典元:写真AC

戦国時代から江戸時代にかけて築かれた日本各地の城の中でも、圧倒的な美しさと日本独自の城閣構造を備えた防御の工夫が際立つ「姫路城」。

1993年に世界文化遺産に登録されており、築城から400年以上一度も戦火に晒されることなく現存する「不戦の城」と称されています。特に第二次世界大戦中に、姫路市民が黒い布で城を覆い隠したことで空襲を逃れたエピソードは有名で、焼夷弾が直撃したにもかかわらず不発で済んだ奇跡もこの城の歴史の一部です。

白く美しい外観から「白鷺城」とも呼ばれていた姫路城は、関ヶ原の戦いの翌年、慶長6年(1601年)に池田輝政によって再建されたもので、それまでの三層の姫路城を取り壊し、8年の歳月をかけて現在のような壮大な5層7階の天守閣を完成させました。

徳川家康の孫娘である千姫の美談や、宮本武蔵の妖怪退治、播州皿屋敷お菊井戸など姫路城にまつわる物語が数多く残ることもまた、この城がただの建築物ではなく、日本の歴史や文化の象徴であることを物語っています。

トゥルネーのノートル-ダム大聖堂 (2000)【ベルギー】

トゥルネーのノートルダム大聖堂
<出典元:写真AC

ベルギー西部、フランス国境にほど近いトゥルネーに位置するノートルダム大聖堂は、ロマネスクとゴシック様式の圧巻の融合が訪れた人々を魅了する12世紀の建築です。

全長134m、幅66m、高さ83mの五つの塔を持ち、1999年に竜巻の被害を受けたものの、2030年の完成を目指して修復工事が行われています。

22mに及ぶタペストリーやベルギー七大秘宝の一つである聖遺物箱が展示されている大聖堂内部や、ロマネスク様式で最も古い部分である身廊(しんろう)、独立した教会のような印象を与える翼廊(よくろう)など、見どころも多く、中でもゴシック様式の内陣は大きな円状のステンドグラスが特徴的で、ステンドグラスから差し込む光は、内部のパイプオルガンと美しいコントラストを生み出しています。

シドニー・オペラハウス (2007)【オーストラリア】

シドニー・オペラハウス
<出典元:写真AC

オーストラリアのシドニーに位置するシドニー・オペラハウスは、2007年に世界文化遺産に登録されました。白い貝殻や帆を連想させる独特な形状で知られ、文化・芸術の中心地としてオペラ劇場やコンサートホールなどを内包しています。

他の世界遺産と比べて歴史の浅いオペラハウスは、「人類の創造的才能の傑作」という一つの基準で世界遺産に認定されていて、その美しさとデザインは1973年の竣工以来、世界中の称賛を集めています。

オペラハウスでは、年間1,500回にも及ぶ公演が行われています。また、内部見学ツアーではオペラハウスの歴史や建築について知ることもできます。海を望む「オペラ・バー」や「ベネロング」などのレストランもあり、世界遺産での食事という贅沢な時間を楽しむことも可能です。

2. 像で有名な世界遺産

世界遺産には、その国の象徴にもなっているような印象的な像がいくつか存在します。その中でも特に著名なのが、アメリカの「自由の女神像」とチリの「ラパ・ヌイ国立公園」のモアイ像です。

自由の女神像 (1984)【アメリカ】

自由の女神
<出典元:写真AC

自由の女神像は、アメリカ独立100周年を記念してフランスから贈られたモニュメントで、今やニューヨークの象徴として世界的に有名なスポットとなっています。

ローマ神話のリーベルタースがモチーフとなっていて、エドワール・ド・ラブライエの提案で、フレデリク・バルトルディのデザインとギュスターヴ・エッフェルの設計によって造られました。

全高約93m、像の高さは約46mで、重さは225tに及びます。右手には自由の光を象徴するたいまつを、左手にはアメリカ独立記念日が刻まれた独立宣言書を持ち、足元には奴隷制度からの解放を象徴する壊れた鎖が配置されています。

冠の7つの突起は、世界の7大陸と7つの海を意味し、自由の普遍性を表しています。年間約300万人の観光客が訪れるこの名所は、アメリカ人にとっても祖先の足跡をたどる特別な場所であり、台座に刻まれた14行詩『新大国(The New Colossus)』にあるように、「追放者たちの母」として自由と平等の精神を世界に示しています。

ラパ・ヌイ国立公園 (1995)【チリ】

ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)
<出典元:写真AC

南太平洋に浮かぶ絶海の孤島、イースター島は「ラパ・ヌイ」とも呼ばれ、1995年に一部がラパ・ヌイ国立公園として世界文化遺産に登録されました。

この島は、チリ本土から約3,700km離れ、神秘的なモアイ像で特に有名です。4~5世紀に島に移住した民族が外部の影響を受けずに築いたと言われているこれらの石像は、ラパ・ヌイに独特の風景を作り出しており、モアイ像の製造や搬送方法は今なお謎に包まれています。

モアイ像は、約1,000体が島内に点在。これらはアフと呼ばれる台座の上に立てられ、権力や霊力を象徴していると言われています。特に、ラノ・ララク火山はモアイ像製造の中心地で、完成品から未完成の像まで約400体が存在していましたが、1700年頃に始まったフリ・モアイ(モアイ倒し戦争)で多くが倒されてしまいました。

イースター島のモアイ像には目がありませんが、これは部族間の争いで、魂とされる目をくりぬかれたためだとか。こんな悲しい背景がありますが、モアイ像やその立つラパ・ヌイ国立公園は、島の歴史と文化の重要な証として今も世界中から注目を集めています。

3. 自然景観で有名な世界遺産

ここからは、息を飲むほどに美しい絶景が広がる有名な世界遺産をご紹介します。

イエローストーン国立公園 (1978)【アメリカ】

イエローストーン国立公園
<出典元:写真AC

イエローストーン国立公園はアメリカ合衆国北西部に位置し、アイダホ州、モンタナ州、ワイオミング州にまたがる広大な自然公園です。

約90万ヘクタール(約9,000平方キロメートル)の面積を誇り、1872年に世界で初めて国立公園として設立された後、1978年にはその独特な火山地形と豊かな生態系で世界自然遺産に登録されました。

この地域は火山活動によって形成された間欠泉や温泉などの地熱現象が特徴で、地球の偉大なエネルギーを感じることができる場所です。

北米大陸の分水嶺であるロッキー山脈に位置するイエローストーンは、グリズリー、オオカミ、ヘラジカ(エルク)、アメリカバイソン(バッファロー)など、多くの希少種を含む野生動物の生息地としても有名で、森林や山岳、草原、湖水、渓谷、滝など多様な自然環境の調和が見られます。

約200万年から60万年前の間に3度の大噴火を経験したこの地域は、その噴火によって周囲の地形が大きく変化。世界中から年間約300万人が訪れるイエローストーンは、火山活動によって形成された地球の生きた証と言えるでしょう。

ガラパゴス諸島 (1978, 2001)【エクアドル】

ガラパゴス諸島ゾウガメ
<出典元:写真AC

エクアドルから約1,000km離れた赤道直下のガラパゴス諸島は、火山群島から成る自然の宝庫。約7,880平方キロメートルの陸地面積と、約138,000平方キロメートルの海洋保護区を有し、大陸から隔絶された環境で独自に進化した固有種が多数生息しています。

ウミイグアナやガラパゴスペンギン、ダーウィンフィンチなど、世界でここでしか見ることができない生物たちが、進化の不思議を証明しています。

2007年には環境の悪化で危機遺産リスト入りしましたが、保護活動の成果により2010年にリストから削除されたことも。特にガラパゴス諸島名の由来となったゾウガメの保護活動は、絶滅の危機に瀕していた種の回復に貢献。現在、島ではダーウィン研究所などが野生生物の調査・研究を進め、人と自然の共存を目指しています。

ガラパゴス諸島では、アオアシカツオドリやグンカンドリの営巣地を訪れたり、アシカと共に泳いだりするなど、そこでしかできない貴重な体験が可能です。季節によって異なる自然の表情を楽しむことができるガラパゴス諸島は、自然愛好家にとって見逃せない場所と言えるでしょう。

ンゴロンゴロ保全地域 (1979, 2010)【タンザニア】

ンゴロンゴロ保全地域クレーター
<出典元:写真AC

タンザニア北部に位置するンゴロンゴロ保全地域は、スワヒリ語で「巨大な穴」を意味します。

東西19km、南北16kmに及ぶ巨大な火山のカルデラ内には、森林、湖、草原など多様な自然環境が広がり、約25,000頭の野生動物が生息しています。絶滅寸前の野生動物の貴重な保護区としても機能しており、獲物を狙うライオンやチータ、群れを成して逃げる動物たち、そして湖一帯をピンク色に染めるフラミンゴの群れなど、その生態系の豊かさは世界的にも注目されています。

また、オルドワイ渓谷からは、約400万年前から150万年前の初期人類の化石や足跡も発見されており、人類の進化に関する重要な手がかりを知ることができるでしょう。中でも、この地域に古くから住むマサイ族は、遊牧生活をしながら密猟者を監視し、野生動物の保護にも貢献しています。

富士山ー信仰の対象と芸術の源泉 (2013)【日本】

富士山
<出典元:写真AC

富士山は、山梨・静岡両県にまたがる日本最高峰で、古来より信仰の対象として崇められ、芸術の源泉となってきました。2013年6月には富士山は世界文化遺産に登録され、日本の象徴として後世に引き継がれることが国際的に認められました。

富士山は、平安時代後期に修験道の道場となり、室町時代から民間信仰として広まった歴史を持ちます。江戸時代には「富士講」として関東を中心に流行し、多くの人々が富士山の霊地巡礼を行いました。明治以降は女性の登山も解禁され、交通網の発展により多くの登山者が訪れるようになったと言われています。

『万葉集』をはじめ、『竹取物語』や『古今和歌集』などの古典文学にも詠まれているほか、浮世絵では葛飾北斎の『冨嶽三十六景』や歌川広重の『東海道五十三次』などで様々な角度から描かれ、西洋の印象派画家にも影響を与えています。富士山は自然の美しさだけでなく、文化的価値も高く、日本人の心の支えとしても愛されています。

4. 遺跡で有名な世界遺産

はるか昔の生活、文化を伝えてくれる遺跡。中には成り立ちが謎に包まれた遺跡もあります。

マチュ・ピチュの歴史保護区 (1983)【ペルー】

マチュ・ピチュ遺跡
<出典元:写真AC

標高約2,280メートルの絶景地に位置するマチュピチュは、雲海に浮かぶような神秘的な景観で有名です。1911年にハイラム・ビンガムによって発見された遺跡で、世界でも稀有な複合遺産として知られています。

ウルバンバ川流域の豊かな生態系に抱かれていたことから、約400年間スペイン軍の目に触れることがなかったインカの都市です。マチュピチュの約半分は山の斜面を利用した段々畑であり、残りの部分は750人が暮らした居住区や市街地から成ります。

インカの石積み技術が光る太陽の神殿やインティワタナ(日時計)、水の優れた管理システムなど、遺跡の至る所にインカ文明の高度な技術が見て取れます。しかし、インカ文明を興したケチュア族が文字を持たなかったため、これらの歴史は未だに推測の域を出ず、建設方法や材料調達の過程、王族の離宮説など多くの謎は依然として解明されていないそうです。

ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群 (1986)【イギリス】

ストーンヘンジ
<出典元:写真AC

「ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群」は、イギリスのウィルトシャー州にある、2つの巨石建造物群から成る世界遺産です。

約30km離れた2つの地域、「ストーンヘンジと関連する記念建造物群」と「エーヴベリーと関連する記念建造物群」は、紀元前3000年から前1500年にかけて造営されたとされ、登録面積は約26平方キロメートルに及びます。

ストーンヘンジはソールズベリー平野に位置し、中世の人々によって魔術師の作と信じられた不思議な巨石建造物で、その建造技術や目的は今もって多くの謎を残しています。一方、エーヴベリーの遺跡は、ストーンヘンジと同様に先史時代の文明を象徴する遺跡で、これらの地域は多様な自然と絶滅危惧種の野生動物の保護区としても重要なスポットです。

ストーンヘンジのストーンサークルが造られた目的には、ドルイド教の祭祀場、天文台、埋葬場所など複数の説がありますが、夏至の日の出の方向と一致するヒールストーンの存在から、太陽崇拝や埋葬の場とする説が有力です。このように、古代の人々の偉大な業績を今に伝える「ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群」は、人類共通の貴重な遺産として後世に引き継がれています。

アンコール (1992)【カンボジア】

アンコールワット
<出典元:写真AC

9世紀から15世紀にかけて栄えたクメール王国アンコール王朝の遺跡群は、インドシナ半島のウィルトシャー州に700カ所以上点在し、遺跡の中でもアンコールワットとアンコールトムが特に有名です。

アンコールワットは12世紀前半にスーリヤヴァルマン2世によってヒンドゥー教のヴィシュヌ神を祀るために建造された寺院で、その幾何学的な構造と美しさが注目されます。中央の塔は須弥山(しゅみせん)を象徴し、環濠(かんごう)は無限の大海を表しています。壁に刻まれたレリーフは芸術的にも高い評価を受けています。

その北方に位置するアンコールトムは、12世紀末にジャヤヴァルマン7世が建てた都城で、中心にあるバイヨン寺院の四面仏塔が特徴的です。また、深い森の中に隠されたヒンドゥー教の寺院ベンメリアは自然の中に溶け込むように存在し、非常に神秘的です。

ナスカとパルパの地上絵 (1994)【ペルー】

ナスカの地上絵
<出典元:写真AC

ペルー南部のアンデス山脈と太平洋に挟まれた砂漠地帯に広がるナスカの地上絵は、紀元前200年から紀元後800年にかけてナスカ文化によって描かれたとされ、その数は700を超えているそうです。

リマから約400km南に位置し、セスナ機からの観察が一般的なこの地上絵は、幾何学模様や動植物をかたどった具象図形など、大小さまざまな絵で構成されており、その目的や作成方法については多くの謎が残されています。

ロマンあふれる古代の地上絵は、セスナ機に乗って上空から眺めることができます。パイロットがガイドを務め、地上絵の一つ一つを丁寧に説明しながら、ハチドリやコンドル、宇宙人とも言われる猿の図など、様々な絵を巡るツアーもおすすめです。

5. 都市で有名な世界遺産

最後に、世界遺産に登録された有名な都市をご紹介しましょう。

バチカン市国 (1984)【バチカン市国】

バチカン市国市街
<出典元:写真AC

バチカン市国は、イタリアのローマ市内に位置する世界最小の独立国です。国土面積は0.44平方キロメートル、人口は約800人で、全体が1984年に世界遺産に登録されている唯一の国家です。

この聖地はカトリック教会の中枢であり、ローマ教皇庁が置かれています。バチカンには、美術作品や建築物の傑作が集まっており、バチカン宮殿、システィーナ礼拝堂、ラファエロの間、サン・ピエトロ広場などが有名です。特にシスティーナ礼拝堂には、ミケランジェロによる「創世記」や「最後の審判」といった壁画が所蔵されており、芸術的価値が非常に高く評価されています。

ヴェネツィアとその潟 (1987)【イタリア】

ヴェネツィア市街
<出典元:写真AC

ヴェネツィアは、イタリアのラグーナに点在する118の島々を400以上の橋で結ぶ、水上の迷宮と称される街です。

5~6世紀頃、異民族の侵攻から逃れるために、湿地に杭を打ち込み浮島を造成して街を築き上げたのが始まりとされています。その後、東西貿易の中継地として栄え、「アドリア海の女王」と称えられるほどの強大な海運共和国に成長しました。

この街は、ヴェネツィア本島だけでなく、リド島やブラーノ島など周辺の島々も含め、街全体が世界遺産に登録されています。おすすめは、リアルト橋からゴンドラで大運河を巡るツアー。サン・マルコ大聖堂やサン・マルコ広場、ドゥカーレ宮殿など、貿易によって築かれた壮麗な建築群を楽しむことができます。また、街歩きもヴェネツィアの楽しみ方のひとつです。路地裏には下町の雰囲気が漂い、迷っても島を出ることはありません。

パリのセーヌ河岸 (1991)【フランス】

パリセーヌ河岸
<出典元:写真AC

「パリの空の下セーヌは流れる」というフレーズは、セーヌ川沿いの美しく歴史的な風景を象徴しています。

バトー・ムーシュなどの遊覧船を利用することで、パリの始まりであるシテ島やサン・ルイ島、ノートル・ダム大聖堂などの主要スポットを効率的に巡ることができ、エッフェル塔の壮大さを船上から間近に楽しめます。

なお、ノートル・ダム大聖堂は、フランス革命で破壊された後に19世紀に修復されましたが、2019年に大火災に見舞われ、現在は修復中です。「モナリザ」や「ミロのヴィーナス」など世界的に有名な作品を展示するルーブル美術館をはじめ、パリを訪れた際にはこれらの世界遺産の地域をぜひ巡ってみてください。

今回紹介した世界遺産は、多くの人にとって一度は聞いたことがあるような場所ばかりだったでしょう。世界遺産に興味はあるけれど、まだそこまで詳しくはないという方は、まずこういった有名なところから理解を深めて、できれば実際に現地を訪れてみてはいかがでしょうか。

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