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ドイツの西端、寄り道してでも訪れたい町と村3選
<トップ画像:ライファーシャイト村の小さな噴水©Kanmuri Yuki>
前回ドイツの西端にあるアイフェル国立公園を紹介し、周辺には寄り道に値する可愛い町も複数あると書き添えました。「そのあたりもう少し詳しく!」というお声をいただきましたので、今日は補足的に2つの町と1つの村をピックアップしたいと思います。
目次
- 西の国境線の真ん中あたり
- 真珠のように美しい国境の町モンシャウ
- 元はフランス語圏だったモンシャウ
- 鉄道駅のあるニデッゲンとハイムバッハ
- ユーリヒ伯の居城だったニデッゲン城
- ルーア川ほとり高台に建つハイムバッハの城
- 古城を囲む中世の村ライファーシャイト
- まとめ
西の国境線の真ん中あたり
<ハイムバッハの城から見たアイフェル国立公園 ©Kanmuri Yuki>
まず場所のおさらいをしておきましょう。大雑把ながらドイツを縦長の四角と捉えると、その西の縦線は、北からオランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フランスと国境を接しています。アイフェル国立公園は、その西側のラインのちょうど真ん中あたり、国境の向こうがベルギーという場所にあります。ですので、今回ご紹介する町は、長い西側国境のうち、ベルギーと国境を接する地域にあるものばかりです。ドイツではありますが、オランダ、ベルギー、フランスからも訪れやすい地域です。
真珠のように美しい国境の町モンシャウ
<ルーア川とモンシャウの町 ©Kanmuri Yuki>
この辺りの町のどこかひとつだけを推薦しろと言われたなら、私はおそらくモンシャウを選ぶでしょう。モンシャウは、東のアイフェル国立公園と、西のオートファーニュ・エッフェル自然公園(ベルギー)に挟まれた谷間にある小さな町です。
<川の周りに家が並ぶモンシャウの町 ©Kanmuri Yuki>
モンシャウの中心を流れるルーア川は、前回ご紹介したアイフェル国立公園とこの町を繋いでいます。モンシャウでは、川幅も狭いルーア川。その両岸には、18世紀に建てられた趣ある家々が多く残ります。
元はフランス語圏だったモンシャウ
フランス領だった時期もあるモンシャウは、フランス語では、「モンジョワ」と呼ばれています。この町でドイツ語が使われるようになったのは、19世紀初めプロセインの支配を受けてからのことで、それまではむしろベルギーのワロン地域(フランス語を話す)に属していました。
<高台からモンシャウの町を見下ろす ©Kanmuri Yuki>
モンシャウの有名な特産品はマスタード!19世紀終わりから代々受け継がれてきたレシピで作られています。
スグリやイチジクなど果物風味のものから赤唐辛子、青唐辛子入り、またはハチミツ、ビール入りなどさまざまなフレーバー22種類のマスタードが常時準備されています。そのほか、マスタードの効いたアルコール飲料に、マスタード入りおつまみなどもあり、プレゼント用に求める人も多いそうです。
モンシャウの歴史あるマスタード店
- 公式サイト:Senfmuehle Monschau
鉄道駅のあるニデッゲンとハイムバッハ
<ニデッゲン旧市街 ©Kanmuri Yuki>
アイフェル国立公園北方にあるニデッゲンとハイムバッハについては、前回少し触れました。展示室つきのアイフェル国立公園インフォメーションセンターは、公園を取り巻く4つの町(ニデッゲン、ハイムバッハ、ルルベルク、ホーフェン)に建っていますが、この四か所のうち鉄道駅があるのはニデッゲンとハイムバッハだけです。電車移動でも訪れやすい町と言えます。
ユーリヒ伯の居城だったニデッゲン城
ニデッゲンのお城は、12世紀からユーリヒ伯爵の居城として用いられてきました。要塞の役割も持つ城はどっしりとした砂岩の城壁に囲まれており、旧市街の高台に位置します。旧市街の広場からお城に続く坂道は、古い門をくぐり抜け、教会の横を通る趣あるものです。なお、お城の一部はレストランになっていて、中庭など見学は無料です。
<ニデッゲン城から見た景色 ©Kanmuri Yuki>
ニデッゲン城
- 城にあるレストランの公式サイト:Burgrestaurant Nideggen
ルーア川ほとり高台に建つハイムバッハの城
<ハイムバッハの町並み ©Kanmuri Yuki>
ニデッゲンから直線距離で6kmほど南に位置するのがハイムバッハ。お城には地元の貴族が住んでいましたが、その領土は、1237年、上述ユーリヒ伯領に併合されました。17世紀には火災に遭い長くお城は廃墟となりましたが、20世紀に入ってから修復されました。
現在、お城は町のイベント時に活用されています。上部にはレストランも入っており、上までのぼれば、緑豊かな見晴らしを楽しむこともできます。入場料は不要です。また一定の高さまではエレベータを利用することも可能です。
<お城へ上る道 ©Kanmuri Yuki>
ハイムバッハのヘンゲバッハ城
公式サイト:Burg Hengebach
古城を囲む中世の村ライファーシャイト
アイフェル国立公園周辺でひとつだけ推薦するならモンシャウを選ぶと最初に書きました。けれども、個人的に最も心に残った場所はどこかと聞かれれば、それは、ライファーシャイト村、アイフェル国立公園の南に位置する人口500人に満たない小さな村です。
<村への入り口、マチアス門 ©Kanmuri Yuki>
のどかな田舎道を丘の方に逸れてたどり着くライファーシャイト村の入り口は、14世紀に建てられたマチアス門です。門をくぐると、木組みの家々が肩を並べる静かな町並みが続きます。赤や緑の窓枠の前には草花が美しく咲き乱れ、教会前の小さな広場には古く小さな噴水の水音だけが涼し気に響き、木陰のベンチに座ればそのまま根が生えてしまいそうなところです。
<ライファーシャイト村 ©Kanmuri Yuki>
高台には12世紀初めの古文書に記述が残るという古城が残り、見晴らしを楽しむことができます。どこを切り取っても絵本のようなライファーシャイト村。古城を含む村への出入りは無料ですが、大変小さく静かな村ですので、住民の方々に迷惑を掛けぬよう気を配りたいところです。
<ライファーシャイトの古城 ©Kanmuri Yuki>
▼Map:ライファーシャイト村
まとめ
今日は、ドイツの西端アイフェル国立公園周辺の可愛い町をいくつかピックアップしてご紹介しました。ドイツからだけでなく、西側の近隣諸国からも訪ねやすい地域。近くへお越しの際は、ぜひ立ち寄ることを検討してみてください。
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冠ゆき
- 山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。