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【ロンドン】創業は1797年!老舗チーズ専門店、パクストン&ウィットフィールド
英国最古のチーズ専門店として知られるパクストン&ウィットフィールド(Paxton & Whitfield)。英国王室御用達(ロイヤル・ワラント)の称号をもつ老舗チーズ専門店です。そのパクストン&ウィットフィールドが、2023年クリスマスに向けに「アーチザンチーズ・アドヴェントカレンダー」の販売を行うことを発表。それを記念して行われたチーズテイスティング・イベントにお邪魔して、お店の様子を取材させていただきました。
目次
パクストン&ウィットフィールドってどんな店?
パクストン&ウィットフィールドの記録上の創業は1797年。ただし、店の歴史はそれよりも前、スティーブン・カラム(Stephen Cullum)が1742年にオルドウィッチ地区のマーケットで屋台を構えたことから始まっています。
その後、ロンドンが発展を続けるなか、スティーブンの息子のサム・カラム(Sam Cullum)が、より富裕層の顧客へが集まるピカデリー地区にビジネスを移します。紆余曲折を経て、同地区のジャーミン・ストリート(Jermyn Street)へと移ってきたのは1835年。18番地からスタートし、今日の店舗がある同ストリートの93番地には1896年に移動しています。ジャーミン・ストリートは、世界的に有名なデパート、フォートナム・アンド・メイソンのすぐ裏手の通りです。
<店内に掲げられている英国王室御用達の紋章>
店名の「パクストン&ウィットフィールド」は、サム・カラムが1790年に迎えた二人のパートナー、ハリー・パクストン(Harry Paxton)とチャールズ・ウィットフィールド(Charles Whitfield)の名前に由来しています。彼らの名前がパートナーとして初めて記録された1797年が公的な創業年となっていますが、公式に社名・店名として使い始められたのは、それからまだしばらく後の1853年です。いずれにせよ、創業者の「カラム」の代わりに「パクストン&ウィットフィールド」として今日お店が名を馳せているのは、なんとも皮肉なところですね。
現在では、ジャーミン・ストリートの他にも、ロンドンのチェルシー地区、温泉の街として人気の観光地バースにも店舗を構えているほか、大聖堂で有名なカンタベリーにも今年新たな店舗がオープンしています。
こだわりの専門店でチーズを購入!
<お店の入り口前にずらりと並ぶブルーチーズの数々。一番人気はスティルトン>
今回取材に協力していただいた、チーズについて学べる「Culture & Culture」によると、パクストン&ウィットフィールドの大きな特徴としてあげられるのが、英国だけではなく、欧州各国からのチーズを扱っており、そのどれもが「アルチザンチーズ(artisan cheese)」であるということ。
アルチザン・チーズとは?
- 原材料にはその地域で厳選された農場(場合によっては単独農場)にて生産されたミルクのみを使用
- 伝統的な製法と職人の技術を用いて、生産工程のできる限りを手作業で行う
- そのため、一度に生産できるチーズの量は少量に限られる
イングランドのスティルトン、レッドレスター、チェダーや、フランスのブリー、カマンベールといった定番チーズでも、店内に並ぶのはアルチザンチーズのみ。その日の気温や湿度などに対応して、「Artisan=職人芸」の語が示すとおりのクオリティを誇るのが、パクストン&ウィットフィールドで提供されているチーズたち。量産のチーズからは得ることのできない、絶妙な味わいが楽しめるのです。
<写真左下のSchnebelhornは、英国では唯一、パクストン&ウィットフィールドのみが取り扱っているスイス産のチーズ>
チーズの世界は本当に奥深く、ハードチーズ、ソフトチーズ、ブルーチーズといった一般人にも分かりやすいタイプの違いに加え、牛乳を使用したものから、ヤギの乳、ヒツジの乳、はたまた水牛乳といった原料の違い、殺菌方法の違いなど、その情報量には圧倒される限り!まったく知識の無い一般人がチーズ専門店に訪れるなんて、ちょっと敷居が高すぎる!と感じてしまうかもしれません(筆者もまさにこの通りです)。でも、せっかくチーズの本場、イギリスを訪れているのなら、試してみないのはもったいない!幸いにも、このパクストン&ウィットフィールドのジャーミン・ストリート店は、場所柄もあり、観光客も多く訪れているとのこと。
物おじせずに来店し、ぜひ「おすすめのチーズ」を聞いてみてください。硬め、甘め、○○なワインと合うもの、などなど、試食もしながら、お好みに合ったチーズを紹介してもらえるはずです。そして販売は、すでにパッケージ化されているものでなければ、量り売りで少量からでもOK!食べ方や保存法のアドバイスなどももちろんしてくれます。
チャツネ(野菜・果物・香辛料で作ったジャム/ペースト状の調味料)のセレクションだけでもこんなに!店内にはほかにも、チーズ関連のナイフやカットボードといったツールや、それぞれのチーズに合うワインのセレクションも豊富に揃っています。
チーズを説明する札には、チーズの名前、産地、使用しているミルクの種類、殺菌方法などの詳細が記されています。不明な点は、店員さんに聞いてみてください。
また、チーズを使用したサンドイッチもテイクアウェイ用として販売されています。店員さんと話すのもハードルが高い・・・という場合には、入り口近くの冷蔵棚に陳列してあるサンドイッチをお手軽に試してみるのもありでしょう。
こちらはパクストン&ウィットフィールド限定商品の「Cullum」。創業者カラムの名を呈したチーズは、チーズ職人のMartin Gott氏とパクストン&ウィットフィールドのマネージングディレクターJames Rutter氏により手がけられたスペシャルな一品です。カンブリア地方で手作りされるこの雌羊のミルクを用いたハードチーズは、2022年のWorld Cheese Awardsで金賞を受賞しています。
「7月のクリスマス」テイスティング・イベント
パクストン&ウィットフィールドでは、2023年クリスマス向けの商品「アルチザンチーズ・アドヴェントカレンダー2023」の予約を2023年8月1日から開始しました。12月1日からクリスマスイブまで毎日、1日ひとつのチーズが楽しめるというアイテムで、お値段は送料込みで150ポンド。2021年、22年にも販売され、完売となった人気商品です。7月にはこれを記念した「7月のクリスマス」チーズテイスティング・イベントがジャーミン・ストリート店で開催されました。
イベントのホストは、マネージング・ディレクターのJames Rutter氏。イギリスのチーズ界では名の知れたジェームズさんが、アドヴェントカレンダーに登場するチーズも含め、その場でビスケットやチーズに合うチャツネ、スパークリングワインなどとともに、試食を楽しませてくれました。
こちらは同じく先日公開された新作のチーズセット、その名も「エクスクルーシブ・コレクション」。パクストン&ウィットフィールドのみ販売している4種のチーズ(Paxton & Whitfield Corinium、Paxton & Whitfield Cullum、Sparkenhoe Red Leicester XO、Paxton & Whitfield Trinity各200g)にビスケット、チャツネを添えて。55ポンド(送料込み)
<テイスティング・イベントのお土産にいただいたショップのエコバッグと「カラム」チーズ&ビスケット>
残念ながら、日本へのチーズのオンライン販売は行っていませんが、パクストン&ウィットフィールドのウェブサイトには、チーズの保存法、おすすめの食べ方、基本情報など、役立つ情報が満載なので、ぜひ見てみてください。さらに興味のある方は、アカデミー・オブ・チーズで学んでみるのも良いかも?そしてもちろん、ロンドンに訪れた際には、目を見張るほどのチーズのセレクションを目撃しに、ジャーミン・ストリートのお店を訪れてみてください。
Paxton & Whitfield
- 住所:93 Jermyn Street, London SW1Y 6JE
- 公式サイト:パクストン&ウィットフィールド
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ハル・リーチ
- 音楽、映画・演劇・TV、サッカーなど、UKカルチャーをこよなく愛す。2001年よりロンドン在住。以来、会社員&ものかき業を継続中。