バグパイプとドラムが鳴り響く!世界第2位の規模を誇るバーゼル・タトゥー

バーゼル・タトゥー

日が長くなり、外出する機会が多くなる夏は、ヨーロッパの人々が一番楽しみにしている季節でもあります。特に欧州の夏は短いので、このチャンスを逃すまいと言わんばかりに、連日たくさんの人々が夜遅くまで外のテラスで食事やお酒を楽しんだりします。

解放された人々の雰囲気は、見ているとなんだか自分も楽しい気分になれそう。
さらにこの時期、スイスでは野外フェスティバルやコンサートも多く開催され、これら音楽関係のイベントへ出かける人も少なくありません。

今回はそんな人気音楽イベントの1つ、「タトゥー」をご紹介します!

目次

「タトゥー」とは?

ここでの「タトゥー」とは "入れ墨"の"タトゥー"という意味ではもちろんなく、軍楽隊などによる演奏パフォーマンスを行う音楽の祭典をいいます。管楽器や打楽器といった大音量が出る楽器を演奏するため、屋外で行われることがほとんど。世界的に有名かつ最大規模なものとして、毎年8月に開催される英国スコットランドの「ロイヤル・エジンバラ・ミリタリータトゥー(The Royal Edinburgh Military Tattoo)」があり、毎年世界中から多くの人々が訪れています。

そして世界で第2位の規模であるのが、スイス北部の町バーゼルで行われる「バーゼル・タトゥー」。こちらも人気のイベントで、タトゥー開催会場のみならず、バーゼルの町全体がお祭り会場のようになります。

世界から音楽隊が集合!日本からの参加も

タトゥーでは、軽快な吹奏楽の演奏を聴いているだけで元気がもらえ、それに加えて世界各国から集まった演奏者たちが、それぞれ高度で複雑な動きをしながら演奏をしたり、それぞれの国の特徴をアピールした演奏などをしたり、と息をつく暇もなく進行していきます。そのためアドレナリンは出っ放しで、観客も大盛り上がり!

数年前に日本が参加したこともあります。

例えば先述のロイヤル・エジンバラ・ミリタリータトゥーでは、2017年に陸上自衛隊の中央音楽隊が、そしてスイスのバーゼル・タトゥーでも、2016年に海上自衛隊の東京音楽隊及び日本体育大学が、それぞれイベントに参加して観客たちから大喝采を受けました。

2022年、バーゼル・タトゥーへ!

バーゼル・タトゥー
<演奏が始まる前にプログラムをゲット>

すでにスイスでは新型コロナ感染対策規制がほぼ撤廃されていた、2022年7月。
長い間ずっと見てみたい、と思っていたこのバーゼル・タトゥーへやっと行くことが叶いました。

新型コロナの影響で2020年及び2021年の開催が中止となり、3年ぶりのバーゼル・タトゥーでしたが、英国、インド、オーストラリア、ノルウェー、ブルガリア、米国、マルタ、南アフリカといった国々から大勢の参加者がスイス・バーゼルに集まりました。 

バーゼル・タトゥー
<アイルランドの伝統楽器イリアンパイプの演奏。バグパイプっぽい音ですが、イリアンパイプはひじ("イリアン(Uilleann)"はアイルランド語で「ひじ」の意)を使います>

スコットランドのパイプバンド
<スコットランドのパイプバンドの皆さん>

アリーナ前のテントでプログラムをゲットしてアリーナへ行けば、そこはすでに人・人・人......。しかもタトゥーが始まる前から、すでにお酒が入って陽気になっている観客たちの叫び声もひきりなしに聞こえていました(笑)。

そうこうしているうち日が暮れ始め、バーゼル・タトゥーの始まりです。

ひじを使って空気を入れながら音を出す、アイルランドの伝統楽器イリアンパイプ(Uilleann pipes)の演奏とダンス、そして銃を使った見事なパフォーマンス、さらに太鼓隊の見事なばちさばきなど華麗な演奏が続きました。

英国近衛連隊ウェルシュガーズ
<英国近衛連隊ウェルシュガーズの皆さん>

バーゼルの鼓手隊「Top Secret Drum Corps
<バーゼルの鼓手隊「Top Secret Drum Corps(トップ・シークレット・ドラム・コー)」のバチさばきは見事>

参加するのは人間だけではない?

ウシ
<スイス・フリブール州から、ウシたちも参加>

そんな中、突然アリーナ内へ現れたのはスイスの伝統衣装に身を包んだ人たちと――馬とウシたち!

ウシは演奏こそしていませんでしたが(人間が演奏していました)、きちんとおとなしく隊列を作り、じっと待っていました。お見事!

しっかり演技(?)らしきことをこなしていたウシたちですが、さすがにパフォーマンス中の生理現象にはどうすることもできなかったようで、派手に粗相をしていたウシも。

フリブールの伝統衣装に身を包んで登場
<フリブールの伝統衣装に身を包んで登場、そして伝統楽器のアルペンホルン>

もちろんそういったことはイベント関係者にとっては想定内。
馬とウシたちが会場に登場した時、すでに掃除隊がブラシとバケツを持ってスタンばっており、一頭のウシが"トイレタイム"を披露(?)した後、ささっとすばやく掃除に取りかかっていました。

そういったちょっとした面白いアクシデントも楽しめましたが、掃除の後に水浸しとなったアリーナ上で踊ったり演奏したりしなければならなかった参加者の方たちには、ちょっぴり気の毒だったかも(笑)。

こうして日付が次の日に変わろうとする頃、バーゼル・タトゥーはいよいよフィナーレへ。

大盛り上がりのうちに2022年のバーゼル・タトゥーが終了した後も、多くの人々がお酒を片手に語らい合い、素晴らしかったミリタリー・タトゥーの余韻に浸っていたようです。でも私たちは(騒ぎ)疲れていたので、すぐにトラムに飛び乗り、滞在していたホテルへ戻りました。

バーゼル・タトゥーのフィナーレ
<バーゼル・タトゥーのフィナーレ。この日がラストでした>

バーゼル・タトゥー(Basel Tattoo)(2023年5月現在)

  • 開催日時:2023年7月14日(金)~7月22日(土) 17:30~、19:00~、21:30~(日によって開催時間が変わります。ウェブサイトでご確認ください)
  • 開催地:Tattoo Arena, Kasernenstrasse, 4058 Basel, Switzerland
  • 料金:おとな/59.90スイスフラン~(時間、席により異なります。ウェブサイトでご確認ください)
  • メール:office (at) baseltattoo.ch
  • 公式サイト:バーゼル・タトゥー (ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語、スペイン語)  

スイス・フランス語圏の「アヴァンシュ・タトゥー」

スイス・フランス語圏の「アヴァンシュ・タトゥー」
<フランス語圏の町アヴァンシュ・タトゥーの様子(2013年撮影)>

ところで、スイスには先ほどご紹介したバーゼル・タトゥー以外にも、タトゥーで知られた町があります。それはスイス西部に位置するアヴァンシュ(Avenches)で開催される「アヴァンシュ・タトゥー(Avenches Tattoo)」。

フランス語圏ヴォー州(Vaud)にあるアヴァンシュは、人口が4,500人ほどの小さな町ですがその歴史は古く、ケルト・ローマ時代にまで遡ります。そのため今もローマ時代に建てられた建物や劇場などの遺跡が多く残っています。

円形闘技場
<アヴァンシュにある、ローマ時代からの面影そのままに残す円形闘技場。現在は修復工事のため閉鎖中>

一番有名なのが2世紀始めにできた円形闘技場。なんとアヴァンシュ・タトゥーはこの貴重な遺跡内で毎年開催されており、初めてアヴァンシュ・タトゥーを訪れた時は驚きました(現在は修復工事のため閉鎖中)。

アヴァンシュ・タトゥーは、2006年に始まったバーゼル・タトゥーよりやや前の1999年から行われるようになりました。バーゼルのものより知名度は低いのですが、満足度は同等に高くおすすえです。

遺跡
<アヴァンシュに点在する、往時の栄華の名残を伝える遺跡たち>

【アヴァンシュ・タトゥー(Avenches Tattoo)】(2023年5月現在)

  • 2023年開催日時:8月31日(木)21:00~、9月1日(金)21:00~、9月2日(土)17:00~及び21:00~
  • 開催地:Haras national suisse, Les Longs-Prés 1580 Avenches, Switzerland
  • 料金:おとな/36.40スイスフラン~(時間、席により異なります。公式サイトでご確認ください)
  • メール:info (at) avenchestattoo.ch
  • 公式サイト:アヴァンシュ・タトゥー

まとめ

2023年も、バーゼルでは7月14日(金)~7月22日(土)まで、そしてアヴァンシュでも8月31日(木)~9月2日(土)までミリタリー・タトゥーが開催されます。バーゼル・タトゥーのゲスト参加国はスイスの他、英国、オマーン、カナダ、ニュージーランド、メキシコが、そしてアヴァンシュ・タトゥーにはスイス以外では、英国、オランダ、日本、ベルギーが参加予定とのことです。

興味のある方は、ぜひスイスの夏の音楽イベントタトゥーにいつかお越しくださいね♪

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小島瑞生

1998年~2009年まで暮らしたアイルランドから、2009年スイスへ移住。面白そうなコト・モノを求め、スイス国内や欧州の国々をウロウロしながら、雑誌やウェブサイト、ラジオ等のメディアに様々な情報を発信中。趣味は旅行とハープ&ピアノ演奏。

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