ベルリンに残る戦争の傷跡、建物、歴史的に重要な場所5選

ドイツの首都ベルリンは、第二次世界大戦、冷戦、ドイツ再統一など様々な歴史的な出来事を目撃してきた街です。その中でも第二次世界大戦は重要な出来事でしょう。ベルリンの街の大部分は空襲によって破壊され、ドイツの最後の戦いの場所にもなりました。第二次世界大戦の痕跡は、戦争から80年近くの年月が過ぎた今でも至る所に残されています。

今回紹介したいのは、そんな第二次世界大戦の傷跡を残す場所、重要だった場所、そして今も残る当時の建物など5カ所です。いずれも第二次世界大戦を思い起こさせ、この街で何が起きたのかを感じさせる場所となっています。

目次

カイザー・ヴィルヘルム記念教会

かつて西ベルリンの中心部だったベルリン動物園駅の近くには、特別な形の教会が建っています。屋根は半分崩れ落ちており、外壁も剥がれ落ちたまま。それはカイザー・ヴィルヘルム記念教会です。こちらの建物は第二次世界大戦の最中の1943年に空襲によって焼け落ちました。

現在ブティックやショップが並ぶ街の中心部に建つのは、そんな戦争で崩れ落ちた教会の建物なのです。建物は広島にある原爆ドームのように戦争の悲惨さを伝えるものとして、再建されることなく当時のまま残されています。このような教会には新しい教会の建物が併設されており、そこが教会としての祈りの場となっています。戦争の悲惨さや平和を考える場所として訪れてほしい場所です。

カイザー・ヴィルヘルム記念教会 / Kaiser-Wilhelm-Gedächtniskirche

カイザー・ヴィルヘルム記念教会

カイザー・ヴィルヘルム記念教会

博物館島

ベルリン中心部にある博物館島はベルリンでも屈指の人気スポットです。それは川の間に挟まれた島に5館の美術館や博物館が集まり、世界遺産にも指定されています。そんな博物館島を訪れると、多くの場所で戦争の傷跡を見つけることになるでしょう。博物館島の屋外部分に柱廊があり、美しい風景を作り出しています。

その柱を良く見ると、見えるのは多くの弾痕。ここで銃撃戦が行われていたことがわかるでしょう。また美しくリノベーションされた新博物館の内部でも、過去の歴史を隠すことなく、柱などに残る弾痕などを見せています。そのため博物館島では、ここで何が起きていたかなど、この場所の歴史を感じることもできるでしょう。

博物館島 / Museumsinsel

  • 住所 : Bodestraße, 10178 Berlin
  • 開館時間 : 施設ごとに異なる
  • 入場料 : 施設ごとに異なる
  • 公式サイト:博物館島

博物館島

博物館島

総統地下壕

ベルリンにはドイツの敗戦を裏付けるような歴史的に重要な場所があります。それはヒトラー最後の地となった総統地下壕です。場所はポツダム広場のすぐ近くにあり、現在は集合住宅やその駐車場となっています。地下壕は攻撃されても防げれるように分厚いコンクリートで作られていました。1945年1月からヒトラーは安全のためにここで暮らすようになり、同年4月30日に自殺を遂げています。

そして、この出来事がドイツの敗北を決定づけたのでした。そんな場所はヒトラーを崇拝する人々の聖地にならないように痕跡を残すことなく破壊されました。しかし今では歴史を伝えていくために、地下壕跡に看板が掲げています。そして過去の歴史に気付かせてくれるのです。

総統地下壕 / Führerbunker

  • 住所 : 10117 Berlin
  • 開館時間 : 屋外であるため常時訪問可能
  • 入場料 : 無料

総統地下壕

総統地下壕の案内

フンボルトハインの高射砲塔跡

戦中にドイツでは空からの攻撃に対処するため、分厚いコンクリートで作られた高射砲塔が建てられてました。その一部は頑丈な作りから完全に破壊されることなく、今もベルリンの街に残されています。それは街の中心近くのフンボルトハインにある高射砲塔跡です。跡地にあるのは小高い丘の公園。そこにはコンクリートの展望スペースがあり、眺望を楽しめるでしょう。

実はこの展望スペースこそが高射砲塔の一部なのです。頑丈さのあまり、破壊されなかった建物は、公園の展望スペースとして転用されています。今では公園として多くの人が散歩を楽しめる場所になっていますが、同時に過去の歴史も伝えてくれるのです。

フンボルトハインの高射砲塔跡

フンボルトハインの高射砲塔跡

フンボルトハインの高射砲塔跡 / Flakturm Humboldthain

ボロス・コレクション

ベルリンの中心部にはカルト的な人気のある美術館があります。

それはボロス・コレクションで、そこは個人が収集した現代アート作品を見せる美術館となっています。建物はベルリン中心部にある巨大なコンクリートの建物。そんな美術館の建物は実は第二次世界大戦の際に建てられた防空壕だったのです。近くにターミナル駅があり、そこが攻撃を受けた際に乗客が避難するための建物として建てられました。

防空壕であるがゆえに非常に頑丈で、戦後も破壊されることはありませんでした。そして今では美術館の建物として利用されているのです。こちらでは何より実際に防空壕の建物に入ることができます。そして分厚いコンクリートの壁や窓の無い部屋などを見ることができます。現物の防空壕に入れるため、美術館は見逃せない場所なのです。

ボロス・コレクション / Sammlung Boros

  • 住所 : Reinhardtstraße 20, 10117 Berlin
  • 開館時間 : ガイドツアーでのみ訪問可能 / 木〜日曜
  • 入場料 : 18ユーロ
  • 公式サイト:ボロス・コレクション

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K.Hayashi

大学卒業後に渡独。フリーランスライターとしてドイツの文化について多くの記事を執筆中。

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