奇跡の光景!吉野山をピンクに染め上げる山桜、来年までに知っておきたい絶景スポット

吉野山 山桜

皆さん、今年はたっぷり花見を楽しみましたか?ようやくいつもの様に、桜の下で仲間たちと集うことが出来たのではないでしょうか。春が来た喜びと常に共にある桜は、幸せの象徴の様な存在ですよね。

この日は少し足を伸ばして、以前から気になっていた奈良の吉野山まで桜を見に行ってきました。ひとりで山歩きは少し不安だったので、トレッキングツアーに参加しました。ゆっくり楽しんだ山歩きと、山の上から見た絶景をご紹介します。

目次

さぁ、トレッキング開始です!

吉野山 山桜

吉野山の山桜はとても有名らしく、週末でもないのに周辺の駐車場はどこも混んでいて驚きました。山登りのプランはツアーガイドさんにお任せしていたので、地元の人以外にはあまり知られていないという場所の駐車場に車を停めて、そこから山登りをスタートします。

今日のツアー参加者は私の他に夫婦が一組。今まで何度もこのツアーに参加しているという常連さんだそうです。私はガイドさんの後にぴったりとくっついて、始まったばかりのトレッキングの序盤からとにかく質問責め。

吉野山 トレッキング

「これは何という花ですか?」「ここで野生動物と出会ったことは?」「この実は食べられるの?」...そんな質問に次から次へと答えてくれるガイドさん。時には常連のお客さん夫婦の会話にお邪魔しながら、楽しく川沿いを歩きます。

この日歩いたルートはまだあまり知られていないらしく、ほとんど人に会いませんでした。行く先を照らす柔らかな木漏れ日、ぽこぽことした木の根っこを足元に感じながら歩く土の道、流れる水の音とさえずる鳥の声も心地よく一帯に響き渡っています。

突然、悲鳴があがって...

吉野山

黄色い小さな可愛い花を見かけて、思わず近寄って見入ってしまいました。ご夫婦の奥さんが「これは黒文字と言って、お茶菓子につける楊枝になっている木ですよ」と。街中でこの木を見かけたことがないそうです。ガイドさんは聞くと何でも答えてくれるのですが「この椿は野生ですか?」という私の天然ボケな質問に皆さん大ウケ、その後も「そのキノコは野生です」とかチョクチョクいじられながら道を歩きます。

道沿いに小さな滝があったので、ちょこっと寄り道。この日は水量がそれほどなかったのですが、「台風の翌日にきた時は水が溢れかえっていて、僕らガイドで人間の橋的なものを作って渡ってもらいました」という珍道中の面白話を聞きながら滝へと向かいます。

吉野山

水辺で写真を撮っていたら、ちょっとした悲鳴の様なものが聞こえました。どうしたのか見に行くとそこには驚きの物体が...。ガイドさん曰く、どうやら鹿の骨のようです。肉は全く残っておらず「きっと他のいろんな野生動物たちに綺麗に食べられたのでしょう」ということでした。

それを見て、何だか素晴らしいなあとじんわり。ここでは人間に全く邪魔されることなく、野生動物たちがそうやって普通に暮らしているんだなと。歩いている途中でとても小さな糞が転がっていたり、猪や鹿と見られる足跡を見かけたり、いろんな葉っぱを触って柔らかみを確認しながら、この山の豊かさを感じられるよう五感全開で歩きました。

美しい桜吹雪に包まれて

吉野山 山桜

植物の散策をしながら、1時間ほど時間をかけてゆるやかな登り道を歩き、杉や檜の林を抜けて広い丘のような場所へと到着。そこでは美しい山桜が、風に吹かれるたびにハラハラと美しく舞い散っていました。よく見るといろんな種類の桜があります。枝垂れ桜や、珍しい真っ白な桜もありますよ。

ここでお花見をしている人が何組かいました。皆、それぞれの気に入った場所にシートを広げてお弁当を食べています。そういえばお腹が減っていることに気がつきました、もうお昼時だったんですね。ツアーで用意されたお弁当は地元の食材たっぷりで、見た目も可愛くてウキウキです。

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鮎が丸ごと一匹の甘露煮や、この辺りの名物の奈良漬、煮炊きものがあれこれ入っていてどれから食べようか迷いながら頬が緩みます。風が吹くと桜が舞い乱れてもはや異空間。何という贅沢な場所でお弁当を食べているんだろうと、改めて幸せをじっくり噛み締めるような時間でした。

山桜は原種の桜の代表格なのだそうで、赤い若葉が花と同時に咲くのが特徴のようです。約3万本とも言われる吉野山の桜。今から歩きながら徐々に、その全貌がお目見えするということでとても楽しみです。

滝桜って何だろう?

吉野山 山桜

さて、ここからはくだって行きますよ。今いる場所は上千本と呼ばれるエリアで、この上手には奥千本エリアがあります。上千本のここら一帯は満開でもう既に散り始めているのですが、奥千本はさらに標高が高いので今からが満開。そういう段階の違いもあるので吉野山では二週間ほど桜が楽しめるのだとか。

この時は、ぐるりと回り道をするように下って行ったのですが、その道すがら振り返ると素晴らしい光景が広がっていました。この景色は「滝桜」と呼ばれているそうです、まさに山間の谷間を流れ落ちるように桜が咲いています。

吉野山 山桜

この辺りの桜は「白山桜」という名前で、赤い葉っぱと白い花が同時に咲くことで、遠目から見て薄ピンクに見えるのだと教えてもらいました。桜の種類は幾つかあるようで、彩豊かな山のグラデーションがとにかく美しい。大自然がそのまま巨大なアート作品になったかのようです。

吉野山 山桜

ビューポイントが幾つかあるそうで、ガイドさんがその度に教えてくれます。そしてその度にため息が出てしまうほどの絶景に出会います。平地に並ぶ桜とは雰囲気が違って、山一帯にまとまった桜はどこか大きな生き物のように濃い気配がありました。

テレビなどでこの吉野山の桜を見たことはあったのですが、一体どういう風に行けばそれを見られるのかは知りませんでした。こうやってトレッキングで、登ったり下りたり、回り込んだり、移動しながら色んな角度やビュースポットから見られるのだということが、行ってみてようやく分かったのです。

そこで辞めたらもったいない!その先に広がる景色が...

階段を下っていると、下からのぼってきた夫婦がいました。息が上がっていて立ち止まり、呼吸を整えています。奥さんの方が「ここでもういいか、まだまだのぼりそうだしもう降りよう」と言って引き返そうとしたので、「後もう少しで絶景スポットですよ。のぼりは後ちょっとだけです」と声をかけると、ふいに笑顔になって「じゃあ、行ってみます」とのぼって行きました。

どこにビュースポットがあるのか、きっと皆さん分からないですよね。ガイドさんがいてくれる有難さをこの時に思い知らされました。あとちょっ登れば絶景なのに、知らないで逃してしまうなんてもったいなさすぎです。

吉野山 一目千本

この後、お店が立ち並ぶエリアの中ほどにある吉水神社の「一目千本」というビュースポットへ案内されました。ここはもう、本当に凄かった。とにかく山一帯の桜が遠くまでずーっと見渡せるんです、今までに見たことのある桜の風景とはスケールが格段に違っていました。写真に収めた後も暫し見とれたまま動けません。

山一帯が桜で覆われてピンクに色づく姿は、この世のものとは思えない程の妖艶さです。「吉野山いっぱいに咲く桜はほんとに凄い」と聞いていたのですが、実際に来て目にした光景はとにかく圧巻で、驚くほどに見応えがありました。この美しい世界がいつまでも続きますようにと心で願いつつこの場を後にしました。

日本最大の秘仏のお心は淡いピンク色?


吉野 萬松堂

それにしても、お店通りはとにかく人だらけで驚きました。これでも土日と比べたら少ないそうです。さっきまでいた山の中の静けさとは正反対、一体この人たちはどこから突然現れたのだろうと思えるほどです。人に出会わないようないいコースを選んで案内してもらえたのだとここでも実感。

萬松堂 草餅と団子

お店では、葛餅を買い食いしたり、お土産の草餅を購入したりと満喫。山の上り下りで膝は笑っていますが、気持ちもスッキリ爽快です。心も体も笑っているとはこのことでしょうか。実はこの時、水分補給がうまくできていなかったらしく危うく脱水症状になりかかっていた私なのですが、気がついて水分をがぶ飲みしたのでことなきを得ました。皆さんもお気をつけくださいね。

>>御菓子司「萬松堂」公式サイトはこちら

金峯山寺

ツアーのゴール地点となった金峯山寺(きんぷせんじ)では、この時期だけなのか蔵王権現がご開帳されていました。下からは巨大な御御足が見えています。この蔵王権現が吉野山を守ってくれていらっしゃるのですね、とても力強そうです。「日本最大の秘仏」と言われるこの本尊は巨像で約7mもの大きさなのだとか。

役行者がこの近くの大峰山で修行をしていた時に、世の中がとにかく荒れていたので救いを求めて仏様を呼びだしたのですが、それが蔵王権現がここにいらっしゃる所以なのだそうです。役行者が桜の木に蔵王権現の姿を刻んだことから、後にこの山に桜が植えていかれることとなり今の吉野山の素晴らしい姿があるというお話でした。

吉野山

山一帯を守ってくださる恐ろしいお顔の蔵王権現ですが、そのお心は吉野山のように穏やかな桜色なのかもしれませんね。乱世の頃からすると現在では観光客でごった返すほどの大変化っぷりですが、今は日本が平和であるということなのでしょう。ありがたいことです。

時空を超えて今ここに

吉野山 山桜

こんなにも美しい景色を見ることができて、今日は本当に来て良かったとしみじみ思いました。日本にはまだまだ素晴らしいものがいっぱいあるのだと予感させられたような一日。ピンクに染まった山を見渡しながら、役行者が山を駆け巡っていた遥か昔の時代を想像してみます。その頃から広がる景色が今でも残っていて、時空を超えて私たちが今ここで山々を見ているのだということに感動を覚えました。

皆さんも、日本に住んでいるならここは一度訪れてみるといいかもしれません。たくさんの人に見せてあげたい素晴らしい景色がここにありました。来年の春には、ぜひ。

>>今回参加したツアー会社「山遊び塾 ヨイヨイかわかみ」公式サイトはこちら

吉野山

住所:奈良県吉野郡吉野町吉野山


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Hinata J.Yoshioka

フォト&ライター。国内を転々と旅した後、沖縄にたどり着き12年を過ごす。現在は神戸を中心に活動中。ハワイ好きでフラ歴もあり、ロミロミマッサージのセラピストとしての一面も持つ。好きなことは料理・物作り・音楽・読書・写真・旅などあらゆることに興味はつきない。世界を船でぐるり2周した物語もWebで掲載中!!

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