【スイス】ドラゴンも歓迎!標高2,132mピラトゥス山での宿泊体験記

ピラトゥス山 スイス

<トップの画像:ピラトゥス山頂駅から楽しむパノラマな絶景>

毎年世界中から多くの観光客を迎えるスイス。たくさんの人気観光地がありますが、例えば中央スイスに位置するピラトゥス山(Pilatus)は、観光客のみならずスイスに在住する人々も多く訪れる場所の一つです。

標高2,132メートルのピラトゥス山では様々なアクティビティが楽しめ、途中の駅で降りても頂上近くのピラトゥス・クルム(Pilatus Kulm)駅まで行っても、それぞれに色々な体験ができるのでいつも人々でにぎわっています。

コロナ禍の間、スイスの他の観光地同様ピラトゥス山も閑散としていて、海外からの観光客の姿はほとんどありませんでした。ホテルもレストランも開店休業状態で、実際に営業停止をしているところも多い時期でした。そんな厳しい状況だったピラトゥス山を励ますため......というわけではありませんが、2021年の春この山の頂上にあるホテルに宿泊してみることにしたのでした。

目次

ドラゴン伝説のピラトゥス山はどこにある?

クリエンス駅のドラゴン
<ロープウェイが出ているクリエンス駅で、ドラゴンが迎えてくれました>

ピラトゥス山は中央スイスにあるルツェルン(Luzern)州、オプヴァルデン(Obwalden)準州、そしてニトヴァルデン(Nidwalden)準州の辺りに位置しており、ドラゴンに関する伝説や神話が多くあることでも有名です。

中世時代の昔、人々はこのピラトゥス山のごつごつとした険しい岩の裂け目や谷間を見て、ここにヒーリングパワーを持つドラゴンが棲んでいると信じていたのだとか。

ピラトゥス山へは、登山鉄道かロープウェイで行くことができますが、私たちが行った4月はオフシーズンで、クリエンス駅(Kriens)から出ているロープウェイのみ運行していました。そんなわけで今回はロープウェイで終点駅ピラトゥス・クルム駅を目指すことにしました。

世界で最も急こう配の登山鉄道がおすすめ

アルプナッハシュタート駅 登山鉄道
<アルプナッハシュタート駅の登山鉄道(夏期に撮影)>

今回は乗れませんでしたが、湖畔の町アルプナッハシュタート(Alpnachstad)からピラトゥス山頂駅を結ぶ、赤くて可愛らしい登山鉄道はおすすめです。

傾斜度最大48%(480パーミル)という世界一急勾配となるラックレール(歯車)登山鉄道で、ゆっくり力強く木々の間や牧草地を抜けて山を登っていく様子は絵になります。登山鉄道は、毎年5月頃~11月頃までの運行となります。

ちなみに、2023年の運行は5月18日~11月19日までということですので、ピラトゥス山へ行かれる際は時刻表で確認の上、お出かけくださいね。

>>ピラトゥス山ロープウェイ・鉄道・ボートの時刻表(英語)はこちらから  

登山鉄道
<ピラトゥス山を登っていく登山鉄道(夏期に撮影)>

ロープウェイでピラトゥス山頂を目指して出発!

クリエンス駅からロープウェイに乗り込み、いざ出発!

ロープウェイからの景色は絶景で、歩いて登っている人たちの姿も多く目にしました。途中まで歩く、もしくは途中から頂上を目指して歩く人たちが結構いるようです。

また、積もっている雪の斜面上に点々と残った、野生動物の足跡も見ることができました。 

フレークミュンテック駅
<途中駅のフレークミュンテック駅。標高は1,415メートル>

その後大きなゴンドラに乗り換えるため、途中駅であるフレークミュンテック駅(Frakmuntegg)で下車。

2015年にリニューアルされたばかりなだけあり、大きくてきれい!車体だけではなくケーブルなども頑丈で大きなものに交換されたそう。「ドラゴン・ライド」と命名されたこのゴンドラには、一度に55人まで乗ることができます。

さあ、ここから最終駅のピラトゥス・クルム駅を目指してレッツゴー!

※注意 : メンテナンスのため、2023年10月23日~11月10日の間、ロープウェイと「ドラゴン・ライド」の利用はできません。

山頂へ到着、ホテルへチェックイン

ピラトゥス・クルム駅からの眺め
<「ドラゴン・ライド」が山頂駅のピラトゥス・クルム駅に到着>

15分後、今晩泊まるホテルがあるピラトゥス・クルム駅に到着しました。高い山の上のホテルに泊まるのは初めてなのでワクワクします。

ここには、1860年に建てられた「ホテル・ベルビュー(Hotel Bellevue)」、そして1890年に建てられた「ホテル・ピラトゥス・クルム(Hotel Pilatus Kulm)」の2つのホテルがあり、1年を通してスイス国内外から訪れる人々を温かく迎えています。

ホテル ピラトゥス・クルム
<ホテル・ピラトゥス・クルムとテラス>

今回宿泊するのは後者の「ホテル・ピラトゥス・クルム」。

最終駅で降り、駅から続く通路に沿ってそのまま歩いていくと、2つのホテル共通のレセプションエリアにたどり着くようになっていました。当時はまだコロナ禍だったため、海外からの観光客がほとんどおらず、建物内部は静かで寂しい雰囲気でした。

チェックインを終えて自分たちの宿泊する部屋に行くと、なぜか室内が中途半端に薄暗いのです。外は快晴、まだ午後の日が高い時間だというのにナゼ?と部屋の窓を見てみると、窓の半分ぐらいに雪がかぶさっていました。

窓の外に雪
<窓の向こうに雪が積もる部屋>

「どうしてホテルのスタッフは窓の外の雪をはらってくれないのだろう」と思いつつ、外に出てみてびっくり。雪が何メートルも積もって山になっており、それが窓にまで届いていたのでした。

初めての経験だったので面白かったです。

ホテル ピラトゥス・クルム
<外へ出てみればそこには積もって山になった雪が!>

ホテル内探索と「ドラゴンの道」

ホテルの建物内を少し探索してみることにしました。

ホテル内には「ドラゴンワールド」というコーナーが一角にあり、ゲームができたり、ピラトゥス山の歴史やドラゴン伝説に関するショートフィルムが上映されるミニシアターがあったり、滞在する子どもたちも飽きずに楽しめるようになっていました。

その他にも、歴史ある山頂ホテルらしく、当時の契約書やホテル建築に関する書類などが展示されており興味深かったです。ちょっとしたミニ博物館、といった感じ。

テラス
<長椅子でリラックスしながら眺めるパノラマビュー。贅沢なひととき>

そして、ホテルの外にあるテラスではパノラマビューが楽しめることもあり、日帰りでハイキングに訪れた人々でにぎわっていました。ここでランチをしたりコーヒーを飲んだりしつつ、何時間も景色を見ている人がいるとか、いないとか。

ドラヘンヴェーク
<「ドラゴンの道」を散策。ここでも迫力ある景色が楽しめます>

さらに、細くて長く続く洞穴のようなDrachenweg(ドラヘンヴェーク/"ドラゴンの道"の意味)もあり、ごつごつの足場をそろそろと歩きつつ、360度の景色を楽しみました。

そうこうしているうちに夕方になりました。

日帰りでピラトゥス山を訪れていた人たちは最終のロープウェイで下山してしまい、ホテルの宿泊客だけが残ると、静寂さが再び戻ってきました。

夕食後、宿泊客がこぞって外へ出ていったワケ

夕食後、宿泊客の人たちがこぞってぞろぞろと外へ出始め、どこかへ出かけているようです。

どこに向かっているのかな、と一同が向かう方向を目で追っていると、どうやらさらに高い所に登って、そこから沈む夕日を見に行くところのよう。

大きく立派な撮影機材を背負って、木の階段を登っていた学生っぽい男性たちも数人いました。大学のプロジェクトなのか、趣味仲間なのか。どちらにせよみんなとても楽しそうでした。

私たちも皆の後を追うようにして慌てて夕日を見に行きました。

ピラトゥス山の夕暮れ
<空がオレンジ色に染まる、ピラトゥス山の夕暮れ>

晴れていたので、夕日とアルプスの山々、夕日に反射する雲など、自分が住んでいる場所からは見られないような景色を堪能することができ、なんだかいいことありそうです(笑)。

ちなみに、朝日を見るため翌日も早起きをする宿泊客が結構いるのだとか。

私も朝日を拝みたい気持ちはあったのですが、やはり眠気の方が勝ってしまい、結局朝日は見に行けませんでした、残念!

ホテル ピラトゥス クルム(Hotel Pilatus Kulm)

  • 住所:Pilatus Kulm, 6010 Kriens, Switzerland
  • 電話:+41 41 329 12 12/ +41 41 329 12 15(10人以上の団体向け)
  • メール:hotels(at)pilatus.ch
  • 公式サイト:Hotel Pilatus Kulm(英語) 
     

まとめ

今回は雪がまだ多く残る春先の宿泊体験でしたが、暖かい季節になればハイキングや野生動物ウォッチング、星空観察といった様々なアクティビティを楽しむことができるそう。

いつか、大きな角のヤギ、シュタインボック、そしてカモシカの仲間ゲムゼといった、スイスのアルプスでおなじみの野生動物たちに会いたいな、季節が良い時期に再びピラトゥス山へ来られたら良いなァと思いつつ山を後にしたのでした。

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小島瑞生

1998年~2009年まで暮らしたアイルランドから、2009年スイスへ移住。面白そうなコト・モノを求め、スイス国内や欧州の国々をウロウロしながら、雑誌やウェブサイト、ラジオ等のメディアに様々な情報を発信中。趣味は旅行とハープ&ピアノ演奏。

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