ロストバゲージとは何のこと? 空港での荷物紛失時の対処法

バゲージ スーツケース 空港のターンテーブル

旅にハプニングはつきものですが、なかでも困るのが、空港で預けた荷物の行方がわからなくなってしまうロストバゲージ。大切な荷物を紛失してしまうだけでなく、その状態で旅をしなければならず、せっかくの旅へのダメージは相当なもの。

そこでこの記事では、ロストバゲージに遭ったときの対応方法はもちろん、その発生を避けるための対策を詳しく紹介。しっかりと準備をして、ロストバゲージにうまく立ち向かっていきましょう。

目次

<1. ロストバゲージとは>

<2. ロストバゲージが起こりやすいタイミング>

<3. ロストバゲージの原因(起こりうる主なケース)>

<4. ロストバゲージに遭ったらどうする?>

<5. 往路でロストバゲージに遭遇したときは?>

<6. ロストバゲージへの対策方法>

<7. 海外旅行保険のロストバゲージへの補償は?>

1. ロストバゲージとは

ロストバゲージとは、空港の手荷物カウンターで預けた荷物が、何らかの原因で行方不明になってしまうトラブルのこと。その名のとおり、荷物(baggage)を紛失(lost)した状態を指す言葉です。

本来、出発する空港で預けたスーツケースなどの荷物は、自分が搭乗する便に積み込まれ、現地の空港へと一緒に運ばれていくもの。しかし、その過程でアクシデントが起きると、到着した空港のバゲージクレーム(荷物受取所)で荷物を待っていても、一向に流れてこない......ということになってしまうのです。ロストバゲージが起きると、せっかくの旅行で荷物を紛失してしまうだけでなく、荷物を手元に戻すために慣れない手続きをしなければならず、ちょっと大変です。

アメリカ運輸省が2022年2月に発表したレポートによると、2021年のアメリカの航空会社において、何らかのミスが発生した荷物の数は、1,000個中5.07個です。つまり、およそ200個に1個の荷物が、ロストバゲージに見舞われているのです。もちろん、国によって、また状況によってもロストバゲージの発生確率は変わりますが、旅をしていれば、ときにロストバゲージに遭遇することはある、と考えておくといいでしょう。

2. ロストバゲージが起こりやすいタイミング

さて、ロストバゲージはどんな旅でも必ず起きるわけではなく、起こりやすいタイミングが存在します。なかでもロストバゲージが頻発するのは、海外旅行において、飛行機を乗り継ぐときです。

たとえば、日本からヨーロッパのハブ空港へ飛んで、さらにヨーロッパ内の他の空港へ向かう飛行機に乗り継ぐ場合。このとき、荷物も一緒に次の飛行機へと移されるのですが、積み込みミスが起きやすいのはまさにこのタイミングです。とくに、乗り継ぎ時間が短いときや最初の便が遅れて到着したときなどは、ロストバゲージのリスクも高まります。

また、出発空港でチェックインするとき、締め切り時間ぎりぎりで手続きしてもらった場合も、荷物の積み込みが間に合わない事態につながる可能性も。このほか、ヨーロッパの空港などを中心に、ストライキをはじめとするトラブルが発生しているときも、ロストバゲージは起きやすくなります。実際、2022年は、ヨーロッパ各地の空港で、乗客の需要に職員の供給が追いつかず、ロストバゲージが大量に発生する結果となりました。

3. ロストバゲージの原因(起こりうる主なケース)

ロストバゲージの原因は様々にあり、荷物を取り戻せる確率、また取り戻せるまでの時間も、原因によって変わります。そこで、ロストバゲージが起こりうる主なケースを紹介します。

タグの付け間違えで別の場所に行ってしまった

空港のカウンターで預けた荷物には、行き先や搭乗便が記載されたバゲージタグが付けられます。このバゲージタグの発行時にミスが起きると、異なる搭乗便に載せられて、異なる行き先へ運ばれてしまうことになるのです。この場合、荷物を取り戻すまでに時間がかかることが多くなります。

乗り継ぎ時の積み込みでミスが起きた

ロストバゲージの原因でもとくに多いのは、乗り継ぎ時の積み込みミス。積み込み忘れや降ろし忘れだけでなく、別の便に荷物が運ばれてしまうことも。多くの航空便が離着陸し、乗客と荷物が激しく行き交うような規模の大きな空港で起きやすいのも特徴です。

他の人が荷物を持って行ってしまった

ターンテーブルに次々と流れてくる、スーツケースやバックパック。その中に自分の荷物と似た荷物を見つけた人が、勘違いしてそのまま持って行ってしまうこともあります。海外の空港では、バゲージタグと半券をしっかり確認しないことも多く、ときに起こるロストバゲージです。

ターンテーブル
<出典:写真AC

盗難に遭った

セキュリティが万全に思える空港ですが、悪い人が紛れ込みやすいのもまた空港。運悪く、荷物が盗難に遭ってしまうことも。この場合、荷物が無事に戻ってくる確率は低いと思った方がいいでしょう。

荷物が遅着する「ディレイドバゲージ」によるもの

航空便の出発に荷物の積み込みが間に合わず、次の便などで遅れて荷物が到着する「ディレイドバゲージ」もあります。この場合、時間的な遅れはあるものの、荷物は無事に届くため、厳密にはロストバゲージには含まれません。

4. ロストバゲージに遭ったらどうする?

他の乗客は次々と荷物をピックアップしていくのに、自分の荷物だけはいつまで待っても流れてこない......。そんなとき、思わず混乱してしまいがちですが、まずは落ち着いて対応することが大事。そこで、ロストバゲージに遭ったときの対応方法を4つのステップに分けて紹介します。

1.空港のカウンターで報告する

多くの空港には、ターンテーブルの近くに「Baggage Lost」などと書かれた専用カウンターがあります。まずはそこへ行って、ロストバゲージの報告をすること。その際、航空券と合わせて、荷物を預けたときに渡された半券・クレームタグを渡しましょう。すぐに荷物の捜索をしてくれて、運が良ければあっけなく見つかることもあります。

2.紛失証明書を提出する

残念なことに、荷物がすぐに見つからない......。そうなったら、紛失証明書を提出しましょう。記載するのは、氏名や住所、航空券番号、パスポート番号、滞在先の住所、電話番号、そして紛失した荷物の特徴などです。その際、海外旅行保険の補償を後日受けるために、証明書の控えを受け取っておくことを忘れずに。

3.航空会社の補償を受ける

そのまま空港を立ち去る前に、航空会社の補償を確認するようにしましょう。補償内容は航空会社によって異なりますが、最低限の必需品の購入費用を補償してくれることが多く、洗面用具などが入ったトラベルキットを渡してくれることもあります。新たに必需品を購入する場合、そのレシートを保管して、費用を後日請求するようにしましょう。

4.荷物を受け取る

現地滞在中に荷物が見つかったときは、紛失証明書に記載した宿泊先まで届けてもらえるのが一般的。3日ほど経っても連絡がない場合、航空会社に問い合わせるようにしましょう。帰国後に荷物が見つかれば、自宅に届けてもらえます。

5. 往路でロストバゲージに遭遇したときは?

同じロストバゲージに遭うのでも、それが行きか帰りかで、旅への影響はまったく変わってきます。とくに、旅の始まりである往路でロストバゲージに遭遇すると、慣れない異国で対応する必要があるだけでなく、荷物を失ったまま旅をしなければならず、心理的にも落ち込みがち。でも、そんなときこそ、旅を楽しむ気持ちを忘れないことも大事です。

空港でロストバゲージの手続きを終えたら、まずは予約している宿泊先へ向かいましょう。海外旅行保険の確認など、保険会社に問い合わせるときも、ホテルの部屋で落ち着いて電話する方が安心。そしてあらためて、いま必要な物が何なのか、チェックリストを作りましょう。旅先で数日間必要な物は、意外と少ないことにも気づくはず。これは必要!というものがわかったら、近くのスーパーなどへ買いに行けばOK。

いくら必需品が揃っても、紛失した荷物が無事に戻ってくるのか、不安は消えないはず。でも、こんなハプニングこそ、忘れられない思い出へと変わっていくのが、旅というもの。荷物が戻ってくるまでの間、暗い気持ちで過ごすのではなく、楽しみにしていた観光スポットへ行ったり、美味しい料理を心ゆくまで食べたり、旅をできるかぎり楽しみましょう。そのうちにふっと、荷物が戻ってくるかもしれません。

6. ロストバゲージへの対策方法

いつ、どこで見舞われるかわからないロストバゲージですが、いくつかの対策をとることで、その可能性を下げることはできます。そこで、ロストバゲージの防ぎ方、また被害を最小限に抑える方法を紹介します。

スーツケースのイメージ
<出典:写真AC

ネームタグを付ける

自分の荷物には、航空会社から配布されるタグとは別に、自ら用意した頑丈なネームタグを付けておきましょう。そして、自分の名前をローマ字で書いておくこと。また、滞在先でも連絡可能な電話番号も書いておくと、万が一のときも荷物が戻りやすくなります。

古いタグやシールをはがしておく

旅の思い出として、スーツケースに古いタグを付けたままにしている......という人は要注意。空港スタッフが古いタグの方をチェックしてしまい、別の行き先へ運ばれてしまうリスクが高まります。スタッフの方の負担を減らすためにも、古いタグやシールは必ずはがしておくようにしましょう。

貴重品や必需品を機内に持ち込む

ロストバゲージに遭っても、その被害を抑える1番の方法は、貴重品や必需品を機内に持ち込むようにすること。とくに、パスポートや現金、クレジットカード、スマートフォンなどは、機内に持ち込むかばんの中に入れましょう。もしも預けた荷物がロストバゲージに見舞われても、その後の対応が格段に楽になります。

荷物の特徴を覚え、写真にも撮っておく

海外のロストバゲージで大変なのは、紛失した荷物の特徴を英語で伝えなくてはいけないこと。自分の荷物の特徴を覚えておくだけでなく、事前に写真にも撮っておくことで、視覚的に伝えることができるようになります。英語が苦手な方にもおすすめの方法です。

乗り継ぎ時にも荷物をピックアップする

ロストバゲージが起きやすいのは、海外の空港での乗り継ぎ時。本来、最終目的地まで荷物は運んでもらえますが、乗り継ぎの空港で一旦荷物をピックアップすることで、ロストバゲージの確率を低くすることができます。この場合、乗り継ぎ時間は長めに設けておくと安心です。

「AirTag」を荷物の中に入れておく

ロストバゲージ対策として、Appleの忘れ物トラッカー「AirTag」を荷物の中に入れておくのもいいでしょう。iPhoneやiPadの「探す」アプリで、荷物の位置情報を知ることができる最新のアイテム。Android端末でも使える「Tile」など、いろいろな忘れ物トラッカーが販売されているので、荷物の居場所を常にチェックしたい人にもおすすめです。

7. 海外旅行保険のロストバゲージへの補償は?

海外でのロストバゲージは、航空会社から補償を受けられることもありますが、事前に海外旅行保険に加入しておくと、さらに手厚い補償を受けることができます。大切なのは、「航空機寄託手荷物遅延」と「携行品損害」の補償を必ず加えておくことです。

補償内容は保険会社によって少し異なりますが、「航空機寄託手荷物遅延」の補償では、航空機の到着から6時間を超えても荷物が到着しなかったとき、決められた期間内に購入した衣類や生活必需品、身の回り品の費用を補償してもらえるのが一般的。ただし補償の限度額が決まっていて、1回の遅延につき概ね10万円を限度に補償されるのが基本です。

一方、「携行品損害」の補償では、ロストバゲージに見舞われた結果、最後まで荷物が戻ってこなかったとき、荷物1点につき概ね10万円を限度に補償されます。また、戻ってきたスーツケースが壊れていた場合なども、修繕費や新たに購入する費用を、同じく概ね10万円を限度に補償してもらえるので、安心感も高まるはず。

このほか、クレジットカードの付帯保険に、ロストバゲージに対する補償が含まれていることもあります。旅行前に必ず補償の内容を確認し、必要であれば新たに海外旅行保険に加入するなど、万全の対策をして出発しましょう。

旅をしていれば、ときに見舞われてしまうこともあるロストバゲージ。でも、その対策をしっかりして、万が一のときの対応方法を知っておけば、いざロストバゲージに遭遇しても慌てずに対処できるはず。そして、旅先でのロストバゲージを、ただの不運な出来事と捉えるのではなく、貴重な旅の経験へと変えていけるよう、この記事を参考に行動してみてください!

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手塚 大貴

沢木耕太郎氏の『深夜特急』がきっかけで、アジアやヨーロッパ、南米など世界各地をひとり旅。オリンピックやサッカーワールドカップなど、スポーツ観戦の旅も好き。実は世界遺産検定マイスター。旅エッセイやコラムも得意としています。

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