公開日:
最終更新日:
高雄市立図書館がホテルに直結!MIT重視のシティリゾート
今回ご紹介するのは、台湾南部、高雄市にある「高雄市立図書館」と2022年にオープンしたホテル「承億酒店」です。
高雄市立図書館は、喫茶店やレストランも併設された図書館で夜のライトアップが美しいことでも有名です。承億酒店は、2022年9月にオープンした本を介して図書館、書店とつながったMIT(台湾製)重視のシティリゾートホテルです。
書店はホテル内にあり、図書館とは空中の渡り廊下でつながっています。こちらもホテルからの美しい眺望が話題となっています。各部屋や24階の透明の仕切りのみの屋上プールから「港都亞洲新灣區」エリアを見渡す高雄の眺望が美しく、台湾の人気ロックバンド「五月天(メイデイ)」のPVも2022年にここで撮影されました。
高雄市の新興開発地域である港のアジアニューベイエリア「港都亞洲新灣區」に位置する高雄市立図書館と「承億酒店」は、本を読むことはもちろんですが、風景、夜景を楽しんだり屋上や喫茶店でひと休みしたり、いろいろな楽しみ方ができるおすすめのスポットです。
目次
高雄市立図書館について
<夜のライトアップが美しい図書館/写真提供:高雄市立図書館>
2014年11月にオープンした高雄市立図書館は、高雄のランドマーク85ビルの目の前にあります。LRT(ライトレール)「高雄展覧館」駅からは徒歩で5分ほどです。近代的な建物は、台湾の劉培森建築事務所と日本の竹中工務店が手がけた建物で、地上8階、地下1階建てです。余計な飾りがない白い外観で所々に緑が取り入れられています。
<図書館の受付カウンターのある3階へは中央のエスカレーターで上がります>
<ホテル側から見た図書館>
館内は、各階が上から吊り上げられている鋼構造懸吊式建築という建て方で、柱が少なくすっきりとしています。螺旋状になっている階段は耐震の設計で壁も防火壁などが採用されているので、安心して利用できます。そして、館内の席数は全部で16,000席もあり、ゆったり本を読むことができます。
<螺旋状の階段>
図書館と内外の施設
1階にはコンコースのような広場があり、建物の下で日差しや風雨を遮ることのできるスペースは、市民活動やイベントの場として使われています。こちら1階にはタピオカパールミルクティーが有名で、飲み物や麺、鍋などがいただける翰林茶館があります。また、2階と3階にはZone Cafe 弄珈琲親子餐廳というレストランがあります。
<時間外の本の返却には外の自動返却機が利用できます>
図書館の受付カウンターは3階です。本の貸出・返却は3階のカウンターで行いますが、1階の広場の奥の方には自動返却機が設置されているので、開館時間外に返却したいときなどにも本の返却ができて便利です。
本の中にはICチップが入っているため、本を自動返却機に入れるだけで返却完了です。自動返却機のほか、館内にはカウンターに並ばなくても自動で貸出手続きができる自動貸出機も設置されています。
<図書館の受付カウンター>
<自動返却機は日本語にも対応しています>
館内各所に工夫があり、各階には直射日光を遮るために緑が植えられています。ガラス張りの館内は自然の光が入ってくる構造なので、明るい光が差し込んできます。屋上にも木などの植物が植えられているため2~3度温度が下がり、省エネ効果もあります。環境に配慮した設計などは、台湾内外から高く評価され、「2015台湾十大図書館」1位、「世界不動産連盟(FIABCI)」の「世界最優秀建築賞」で金賞を受賞しています。
<地下にある国際絵本センターには日本の絵本もあります>
地下1階は国際絵本センターで、世界各国の絵本が集まっています。3階には受付カウンターのほか、検索コーナー、新書、定期刊行物のコーナーもあります。4階は、ブースでDVDなどの視聴ができるマルチメディアコーナーと高雄に関連する本が集められたコーナー、5階は、各国の本のほかマルチメディアセンターや留学資料のコーナーなどがあります。6階は、歴史地理、文学、芸術関連、7階には、哲学、宗教、科学などの本が置かれています。8階は館長室など事務関係のオフィスで、屋上には港の景色が眺められるガーデンがあります。
<3階では工夫された本の展示が定期的に行われています>
<版本に関連した書籍の近くに絶版本の展示コーナーがあります。>
館内にはパブリックアートや絶版本の展示コーナーなどもあるので、館内散策を楽しんでみてください。
<4階にあるパブリックアート>
高雄市立圖書館
- 住所:高雄市前鎮區新光路61號
- TEL:+886-7-5360238
- 入館時間:火曜~日曜日 10:00~22:00、祝日 10:00~17:00
- 公式サイト:高雄市立図書館
ホテル「承億酒店」について
<1階エントランス奥にも本がたくさん置かれています/写真提供:承億酒店>
「承億酒店」は、高雄市政府文化局と共に企画、建設されたホテルで、台湾の要素が各所に取り入れられています。承億建設集團が2008年に創業した承億文旅グループのホテルで、一般のホテルと趣向が異なるクリエイティブな美学に基づく文創設計旅店のブランド。承億酒店のコンセプトは、都市の『読書のカルチャーロビー』『旅行の目的地』としてのホテルです。
台湾では政府が2002年から『文化創意產業(カルチャークリエイティブ産業)』を推進し、政府だけでなく民間でもMIT(台湾製)を世界に広めようという動きが活発です。「文化創意產業」とは、台湾独自の文化を取り入れた創作ブランドを奨励し産業として発展させるもので、承億酒店も、MIT(台湾製)を重視した創意工夫あふれるホテルです。
<台湾らしい茶器のセットが置かれている客室も>
入り口でまず目に入ってくるのが夢モンスター。
これはただの置物ではなく、実はポストになっているんです。ホテルで受け取ったポストカードを入れると1年後に届きます。このポストは、忙しい生活の中では夢を忘れがちですが、抱いている夢を思い起こしてポストカードに書き1年後その夢に近づいたかどうか確認するという主旨のもの。ポストカードを受け取ってから、またホテルに持っていくとプレゼントがあるそうですよ!
<ポストカードは宿泊するといただけます>
<ホテル内には芸術品がたくさん置かれています/写真提供:承億酒店>
入り口を入るとホテルのエントランスには、高雄港をイメージした台湾の芸術家・丁建中氏の作品が置かれています。さらに奥に進むと、本の壁が迎えてくれます。ホテルのエントランスにスイーツとドリンクを販売しているお店があるので、少し休憩したい場合はそこで何かを買って本の壁の前のソファーに座って休むこともできます。
<広々とした客室/写真提供:承億酒店>
ホテルは地上27階、地下6階、全208室で、フロントは1階ではなく、25階にあります。チェックイン、チェックアウトの際は25階まで行ってくださいね。25階のフロント入り口では、本に加えて茶缶を配置した中華風の装飾が目を引きます。そして、フロントで聞こえてくるのが「你好(li ho)」という台湾語でのあいさつ。随所に台湾らしさと温かみが感じられます。
<フロントがある25階のスペースでも講演会などが行われることも/写真提供:承億酒店>
こだわりのアメニティが置かれた客室と旬の食材の朝食ビュッフェ
<台湾のスナック菓子も無料です>
客室はどこも15坪以上の広々とした空間なので、ゆったりとくつろぐことができます。各部屋にはウエルカムフルーツと台湾で昔から愛されているスナック菓子がカゴに詰められて置かれているほか、冷蔵庫にはラムネなどのドリンクも。冷蔵庫の中のものも無料です。また、各部屋にはおすすめの本が1冊置かれています。
<こだわりのアメニティ>
MITにこだわって厳選されたアメニティは、廃棄ガラスから造られた「春地玻璃」のコップ、緑の大理石「蛇紋石」から作られたトレイ、茶葉や漢方などの自然素材から作られたナチュラルソープ「大春煉皂」、カメリアオイルを配合したオーガニックシャンプー「茶籽堂」等で、環境にも配慮したブランドを採用しています。
<種類豊富な朝食ビュッフェ>
<窓からの眺望も楽しめます>
朝食は26階のレストラン「PAPILLON日全食」でいただきます。厳選された旬の食材を使った、品数豊富な朝食ビュッフェは中華と洋食が中心。ケーキやアイスなどのスイーツが朝も楽しめます。窓からの眺めもよく、明るい光が差し込むレストランです。
<旬の食材が味わえます>
ホテル内の書店「承風青鳥書店」
<個人出版の本も販売している「青鳥書店」>
ホテル7階にある「承風青鳥書店」は、2016年に「台北華山1914文化創意產業園區」にオープンした「青鳥書店」の系列の書店です。「青鳥書店」は、カフェのある美しい建築スタイル、講演会や読書会等のイベントの開催、個人出版の本の販売等の特色で人気となり、現在台湾全土に5店舗を展開しています。
こちらにもカフェ「VERSE baR」とイベントスペースがあり、不定期に講演会などが行われています。2022年には、図書館で本を借りて、カウンターでスタンプを押してもらうと、ホテル内書店に併設されたカフェでドリンク一杯無料になるというイベントも行われました。
<メニューにアルコールのドリンクもあるカフェです。>
カフェにはコーヒー(100元~)のほかにも、台湾茶(130元~)、クラフトビールやワイン、スコーンやケーキなどのスイーツもあります。日本で売られていない本を購入して、カフェで読みながらゆっくり過ごすのも楽しいですよ。
承億酒店
- 住所:高雄市前鎮區林森四路189號
- 電話:+886-7-333-3999
- 営業時間:10:00~22:00(承風青鳥書店)
- 公式サイト:承億酒店
まとめ
今回は、高雄市立図書館とホテル「承億酒店」、そして「承風青鳥書店」をご紹介しました。
7階の空中の渡り廊下でホテル、書店と図書館が連結しているほか、2万冊の本がホテル各所に置かれているので、本に囲まれて過ごすことができます。ホテル内には芸術作品も多数収蔵、展示されているので、ホテル内をまわりながらゆっくり鑑賞してみてください。ホテル、図書館、書店とのコラボイベントも不定期に開催されているので、チェックしてみてくださいね。
Ranking台湾記事ランキング
-
千里
- 静岡県出身、台湾の高雄在住。現在、日本語・中国語教室を開きながら、ガイド、特約翻訳、通訳、ライター等に従事しています。