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日本三大桜の「三春滝桜」「山高神代桜」「根尾谷淡墨桜」とは
春のお出かけといえば、「やっぱり満開の桜が見たい」という人も多いのではないでしょうか。日本人に生まれたら、一度は一生忘れられないような桜を見てみたいものですよね。
一本の桜の木でありながら、圧倒的な存在感を放っているのが、「日本三大桜」と呼ばれる「三春滝桜」「山高神代桜」「根尾谷淡墨桜」の3本。国の天然記念物にも指定されている日本三大桜の魅力について、アクセスや周辺の観光スポットも交えてご紹介します。
目次
<3. 山高神代桜(やまたかじんだいさくら)/山梨県北杜市武川町>
<4. 根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら)/岐阜県本巣市根尾板所>
日本三大桜とは
ひと口に「桜」といっても、日本にはさまざまな種類の桜の木があります。「ソメイヨシノ」や「ヤエザクラ」「シダレザクラ」は、一度は聞いたことがあるという人がほとんどではないでしょうか。
一方、一本の桜の木に名前が付けられているものもあります。その中でも特に有名なのが、国の天然記念物にも指定されている「日本三大桜」。
福島の「三春滝桜(みはるたきざくら)」、山梨の「山高神代桜(やまたかじんだいさくら)」、岐阜の「根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら)」が日本三大桜で、いずれも樹齢の長さや大きさ、景観などに特別な要素のある桜の木です。
一本でも十分に見ごたえのある日本三大桜は、まさに「日本が世界に誇る桜の木」といっても過言ではないでしょう。三春滝桜周辺では開花時期に臨時バスが運行されるなど、日本三大桜をひと目見ようと、遠方からやってくる人も少なくありません。
三春滝桜(みはるたきざくら)/福島県田村郡三春町
<出典:写真AC>
日本三大桜の中でも特に知名度が高いのが、福島県田村郡三春町にある「三春滝桜」。いったい、何が三春滝桜をそれほど特別な存在にしているのでしょうか。
知れば行ってみたくなる三春滝桜の歴史や魅力、周辺の観光スポットなどについて解説します。
三春滝桜に関する歴史
福島県田村郡三春町の町名を冠した「三春滝桜」は、推定樹齢が1000年を超えるベニシダレザクラ。
古くから全国にその名をとどろかせており、かつての三春藩は三春滝桜を「御用木」として保護しました。大雪や震災などの被害を受けながらも、力強く可憐な花を咲かせ続けています。
1922年には、桜としては初の国の天然記念物に指定されました。芸術の世界にも影響を与えており、皇居宮殿の正殿・松の間を飾る杉戸絵「櫻」や、赤坂サカス赤坂Bizタワーの壁画「四季樹木図」も、三春滝桜がモデルになっています。
三春滝桜の見どころ
三春滝桜の魅力は、一本桜とは思えないほどの大きさと迫力。四方八方に枝を広げたその姿は、「豪華絢爛」という形容がぴったりの圧倒的存在感を放っています。
枝の広がりは東西25m、南北20mにおよび、四方に流れ落ちるかのように伸びた枝はまるで滝のよう。江戸時代の歌人・賀茂季鷹(かものすえたか)もその美しさを称えて、「陸奥にみちたるのみか四方八方にひびきわたれる滝桜花」という歌を詠んでいます。
三春滝桜の手前には菜の花畑があり、桜のピンクと菜の花の黄色のコラボレーションも必見。まさに「春爛漫」を感じさせる、色彩豊かな光景です。
三春滝桜の開花時期は例年4月上旬。見頃は4月中旬~4月下旬です。シーズン中は夜間ライトアップも行われ、昼間とはひと味違った幻想的な三春滝桜の姿が楽しめます。
三春滝桜の場所や行き方
三春滝桜へのアクセスは、JR磐越東線・三春駅から車で約20分。磐越(ばんえつ)自動車道・船引三春ICから約20分です。桜のシーズン中は、JR三春駅から臨時バス「滝桜号」も運行されます。
- 住所:福島県田村郡三春町滝桜久保115
三春滝桜周辺の観光
三春町は、町内に約1万本もの桜の木がある桜の名所。うち約2,300本が、三春滝桜のそばにある「さくらの公園」に集中しています。ソメイヨシノ、ヤエザクラ、ヤマザクラをはじめ、さまざまな種類の桜が見られることに加え、遊歩道を歩けばまた違った角度から三春滝桜を愛でることができます。
歴史好きなら、戦国時代の三春城主・田村家の菩提寺(ぼだいじ)として知られる福聚寺(ふくじゅうじ)にも足を運んでみましょう。桜の時期なら、境内にある推定樹齢450年のベニシダレザクラも見ものです。
山高神代桜(やまたかじんだいさくら)/山梨県北杜市武川町
<出典:写真AC>
日本三大桜の2本目は、山梨県北杜市武川町(ほくとしむかわちょう)の実相寺(じっそうじ)境内に生息する「山高神代桜(やまたかじんだいさくら)」。樹齢1800年とも2000年ともいわれるエドヒガンザクラで、日本最古かつ日本最大級の桜として知られています。
山高神代桜に関する歴史
日本最古といわれるだけに、歴史も興味深い山高神代桜。日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の際、この地に立ち寄った記念として植えたという伝説が残っています。
また、鎌倉時代には日蓮聖人(にちれんしょうにん)がこの木の衰えを見て、樹勢回復を祈ったところ再生したと伝わることから「妙法桜」の異名をとっています。
三春滝桜と同じく、1922年には国の天然記念物に。現在、山高神代桜の子桜は、日本全国はもとより、ハンガリー、オーストリア、バチカン、ベトナム、台湾など、世界各国に植えられ、可憐な花を咲かせています。
山高神代桜の見どころ
日本最古かつ最大級の桜として知られる山高神代桜は、樹高10.3m。根元・幹周りは11.8mにおよびます。
幾度となく自然災害に遭ってきたことから、最盛期の大きさに比べると小さくなってしまっているものの、時代を超えて生き続けてきた古木特有の神々しさがあります。
山高神代桜の見頃は4月上旬~4月中旬。山高神代桜がある実相寺の境内には、30本のソメイヨシノと8万株のラッパ水仙が植えられており、桜と水仙のカラフルな競演は、見ているだけで幸せな気持ちにさせてくれます。
実相寺の外から見られる、花々と雪を冠した南アルプスが織りなす風景も見事。きっと、「日本人で良かった」と感じられるはずです。
山高神代桜の場所や行き方
前述の通り、山高神代桜は山梨県北杜市武川町の実相寺境内にあります。
実相寺へのアクセスは、JR中央本線・日野春駅からタクシーで約15分。またはJR中央本線・韮崎(にらさき)駅からバスで「牧の原」下車。バス停から実相寺へは徒歩約30分です。
車を利用する場合は、中央自動車道須玉インターチェンジから約15分の道のりです。
- 住所:山梨県北杜市武川町山高2762
山高神代桜周辺の観光
山高神代桜がある山梨県北杜市武川町内には、「眞原(さねはら)の桜並木」もあります。残雪の南アルプスをバックに、約750mにわたって続く桜のトンネルは壮観。北杜市内では、桜の開花時期に合わせて「神代桜まつり」も開催されます。
また、北杜市内には、「シャトレーゼ 白州工場」「サントリー白州蒸溜所・サントリー天然水白州工場」といった、工場見学や工場直売品の購入ができるスポットも。ショッピング好きなら、八ヶ岳の雄大な自然を感じながら買い物が楽しめる「八ヶ岳リゾートアウトレット」に足を延ばしてみるのもいいでしょう。
根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら)/岐阜県本巣市根尾板所
<出典:写真AC>
日本三大桜の3本目が、岐阜県本巣市(もとすし)に根を張る「根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら)」。継体天皇お手植えの桜と伝えられる、推定樹齢1500年超えのエドヒガンザクラです。
花が咲いてから散るまでのあいだに色が変わるのが特徴で、散りぎわに薄い墨色になるのが名前の由来になっています。
根尾谷淡墨桜に関する歴史
「天皇お手植えの桜」と伝わる根尾谷淡墨桜。一説によると、467年、第26代の継体天皇が都へ行く途中、のちに宣化天皇となる第2子の産屋跡に植えた苗木が根尾谷淡墨桜であるといわれています。
真偽のほどは定かではありませんが、連綿と続く天皇家の血筋同様、根尾谷淡墨桜も永く生きながらえてきたと思うと、なんだかロマンティックではありませんか。
三春滝桜・山高神代桜同様、1922年には国の天然記念物に指定されました。
1959年の伊勢湾台風や大雪など、幾度となく自然の厳しさにさらされてきた根尾谷淡墨桜ですが、樹木医や地元の人々の手厚い保護によって力強さを取り戻しています。
根尾谷淡墨桜の見どころ
根尾谷淡墨桜の見どころのひとつが、樹高17.3m、幹回9.4mの巨体。これほど大きな木は、桜以外でもなかなかお目にかかれません。そんな大木が四方25m以上に伸びる枝に一斉に花を咲かせるさまは、見る者を圧倒するパワーがあります。
シーズン中にさまざまな色合いが見られるのも、根尾谷淡墨桜の魅力。満開になると、薄いピンク色のつぼみが白へと変わり、散り際には淡い墨色へと変化していきます。実際に訪れたときには、どんな色彩を見せてくれるでしょうか。
開花時期に合わせて行われる、夜のライトアップも必見。根尾谷淡墨桜の見頃は、例年4月上旬~4月中旬です。
根尾谷淡墨桜の場所や行き方
根尾谷淡墨桜は、岐阜県本巣市の「淡墨公園」にたたずんでいます。淡墨公園へのアクセスは、樽見鉄道・樽見駅から徒歩15分。樽見鉄道は運行本数が少ないためご注意ください。
車で行く場合は、東海環状自動車道・大野神戸インターチェンジから約40分、名神高速道路・岐阜羽島ICから約1時間20分です。
- 住所:岐阜県本巣市根尾板所
根尾谷淡墨桜周辺の観光
根尾谷淡墨桜の近くにある「道の駅 うすずみ桜の里・ねお」は、地元の特産品などを販売する自然豊かな道の駅。「道の駅 織部の里もとす」でも、本巣市の農産物や特産品の購入ができるほか、休日にはそば打ちも体験できます。(完全予約制)。
また、同じく本巣市内にある「つみつみいちごファーム」では、岐阜ブランドの「濃姫いちご」37,000株を減農薬で栽培。香りが強く果肉が柔らかい苺が食べ放題で楽しめます。
日本五大桜もあり~日本三大桜以外の2本は?~
すでにご紹介した日本三大桜に加えて、静岡の「狩宿の下馬桜(かりやどのげばざくら)」、埼玉の「石戸蒲桜(いしとかばざくら)」を加えて「日本五大桜」と呼ぶこともあります。これらの2本はどのような桜なのでしょうか。
静岡県富士宮市に生息する狩宿の下馬桜は、一説では推定樹齢1,000年ともいわれる日本最古級のヤマザクラ。1193年に源頼朝が狩りをした際に馬をつないだといわれており、それが「下馬桜」の名前の由来になっています。
狩宿の下馬桜の見頃は、例年4月中旬頃。咲き始めは淡いピンク色ですが、徐々に白へと変わっていきます。
一方の石戸蒲桜は、埼玉県北本市の東光寺境内にある樹齢約800年の古木。エドヒガンザクラとヤマザクラの自然に交配した珍しいもので、自生するものとしては世界で唯一の貴重な桜の木です。
石戸蒲桜もやはり源家ゆかりの桜。源頼朝の弟にあたる源範頼(みなもとののりより)が追っ手から逃れて東光寺にたどり着いた際、地面に突き刺した杖が根付いて桜の木になったという伝説が残っています。
なお、日本三大桜同様、狩宿下馬桜と石戸蒲桜の2本も国の天然記念物に指定されています。
日本三大桜を見に行くときの注意点
日本三大桜は、いずれも桜の木の近くに駐車場があり、車でのアクセスが可能です。ただし、桜が見頃を迎える時期、特に週末は駐車場がいっぱいになったり、周辺の道路が渋滞したりして、思った以上に時間がかかることもあります。車で日本三大桜を見に行く際は、時間に余裕を持って訪れるようにしましょう。
曜日や時間帯によっては、桜の木周辺にも行列ができるため、忍耐と譲り合いの気持ちを忘れずに。
また、日本三大桜に限ったことではありませんが、桜の見頃は1週間~10日程度と非常に短いため、訪問時は事前にしっかりと計画を立てることが大切です。年によっては、見頃の時期がずれることもあるので、最新情報を入手しながら動くようにしてください。
日本に生まれたからには一生に一度は見てみたい日本三大桜・日本五大桜。日本全国にたくさんのお花見スポットがありますが、どこに行くか迷ったときにはこの中から選んでみるのもいいかもしれません。
年ごとに異なる桜を訪ね歩いて、全制覇に挑んでみるのも楽しいのではないでしょうか。
※本記事中で紹介した観光スポットは、新型コロナウイルス感染症の影響で休業中の場合があります。お出かけの際は、事前に公式サイトなどで最新情報をご確認ください。
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