中世に出逢える町・河内長野の魅力をたっぷり紹介します!

高野街道 三日市宿

大阪の南東にある河内長野(かわちながの)市は奥河内と言われる地域です。戦後には山を造成して多くの新興住宅地が建てられましたが、実はその周囲には古くからの文化財や自然が多く残っており、中世に出逢える町、葛城修験、女人高野という3つの日本遺産との関りがあります。

隣の千早赤阪村にある金剛山登山の拠点であり、市内にある関西サイクルスポーツセンターに向かうバスの乗り換え口でもある河内長野ですが、今回はそのふたつ以外の河内長野の見どころをまとめて紹介します。

目次

河内長野までのアクセス

南海高野線

河内長野までのアクセスで最も便利なのが南海高野線です。河内長野駅は特急停車駅。急行電車でも大阪の難波駅から30~40分、乗り換えなしでアクセスできます。

河内長野駅

また近鉄電車も河内長野駅まで直通電車を走らせています。大阪阿部野橋駅から準急で乗り換えなしでアクセスしていますが、準急の場合は藤井寺から各駅停車になるので時間がかかります。

車

車で行く場合は、南阪奈道路羽曳野ICから大阪外環状線(国道170号線バイパス)を経由するのが最も便利です。有料道路を使わない場合は、松原市方面から国道309号線で富田林方向に向かい、そこから大阪外環状線に入る方法が便利です。

河内長野の魅力1:高野街道 酒蔵通り

河内長野 酒蔵通り

河内長野駅の駅前は京都方面から続く東高野街道と堺方面から続く西高野街道という二つの高野街道が合流する地点です。河内長野駅前で合流した高野街道は最初に酒蔵通りの前を通ります。ここには南河内地域でほぼ唯一残っている天野酒(西条合資会社)の酒蔵があります。

びっく坂

酒蔵通りを抜け西條橋を超えると坂道になっていて、ここは別久(びっく)坂と呼ばれていたそうです。高野街道の坂が石川の水面のすぐ近くまで下ったと思ったら、橋を渡って、また坂を上るしかなかったことから、「びっくりした」という意味合いでそう呼ばれたそうです。

河内長野の魅力2:中世の城跡 烏帽子形城

烏帽子形城

高野街道をさらに進むと中世の山城跡である烏帽子形城(えぼしがたじょう)があります。伝承では楠木正成が築城した楠木七城と言われていますが、その前の源平合戦の頃に活躍した源行家の長野城があったという伝承もあり、定かではありません。

戦国時代には確実に記録に残っており、畠山氏や三好氏との攻防の拠点となったり、豊臣秀吉の紀州征伐の拠点のひとつとして城が補強されるなど100年以上使われていたという資料が残っています。また戦国時代の一時期はキリシタンの村が広まったともいわれています。

烏帽子形八幡神社

烏帽子形城の東側には高野街道が通じており、その途中の山腹に烏帽子形八幡神社があります。伝承では楠小二郎という人がここに入ると城の鎮護として社を創祀したのが始まりで、1480年に創建された本殿は1965年に解体修理が行われて、創建当時の姿に戻したもので国の重要文化財です。

河内長野の魅力3:高野街道 三日市宿

三日市宿

河内長野駅から高野街道沿いに南下するとやがて三日市宿方面に向かいます。その手前の上田地区には高札場が復元されています。ここにはかつて上田村があり、隣の三日市村とともに宿継御用「三日市宿」の形成を命じられました。当時は2村合計で30軒の旅籠があったそうです。

三日市宿

三日市宿には今は宿は残っていませんが、幕末に活躍した天誅組とのかかわりの深い油屋跡が、史跡として説明版だけが残っています。そのほか三日市町駅近くまでは古い町並みが残っており、河内長野駅そばの酒蔵通りから三日市町周辺まで、一駅分通しで歩くのがおすすめです。

河内長野の魅力4:紅葉が美しい延命寺

延命寺 青もみじ

南海美加の台駅からバスに乗り、山の中にある延命寺は紅葉の名所で、樹齢千年とされる巨大かえで「夕照(ゆうばえ)もみじ」は、大阪府の天然記念物に指定されています。

また、延命寺の紅葉は「大阪みどりの百選」にも選ばれています。晩秋の季節はもちろんですが、新緑がきれいな5月頃の青葉もみじも大変美しいです。例年GWの頃には空海の生誕を祝う「青葉まつり」が行われています。

延命寺

延命寺は伝承では平安時代の初期に空海が石仏を刻んで本尊にしたとされ、江戸時代の寛永年間に浄厳が延命寺という寺名として中興しました。その際、本尊を如意輪観音に改めたそうです。

河内長野の魅力5:北斗七星を祀る観心寺

観心寺

観心寺は古い寺院が多い河内長野の中でももっとも有名な寺院のひとつです。飛鳥時代に修験道を開いた役小角の創建と伝わりますが、その後空海がこの地に北斗七星の霊を勧請しました。そのため日本で唯一北斗七星を祀る寺院とされ、境内には七つの星塚が祀られています。

また境内には楠木正成の首塚が安置されており、幕末には天誅組がそこで決起を行ったと伝わります。さらに奥の山の上には、南朝の後醍醐天皇の子、後村上天皇陵があります。このように観心寺は中世の南朝系に関わる偉人ゆかりの地でもあります。

観心寺

国宝の金堂の内部には本尊の如意輪観音が安置してあり、普段は秘仏として年に2日間だけ公開されています。また関西花の寺二十五霊場のひとつで、梅が有名で境内には梅林があります。

河内長野の魅力6:女人高野の金剛寺

金剛寺

観心寺として河内長野を代表する寺院に天野山金剛寺があります。場所は河内長野から最も西寄りにある寺院。インドのアショーカ王が投げたとされる鉄塔のひとつが落ちたとの伝承があります。

創建は奈良時代の僧・行基とされ、空海が修行したという記録もあります。平安時代末期に後白河上皇と妹の八条院の篤い帰依を受けたこともあり、金剛寺は再考されて立派な伽藍が作られました。八条院の関係で女性の院主が2代続いたこともあり、女人高野のひとつとされます。

金剛寺

また南北朝時代には、南朝の拠点となりましたが、それに加え北朝の皇族も一時期この地に入ったことがあります。そのため驚いたことに南北両方の皇族が共存したこともあるとか。その当時の建物が残っています。

国宝の本尊は非常に大きいもので、年に2回ほど特別公開されます。そのほか春の桜の名所として、境内にある大きな枝垂桜がとくに有名です。

河内長野の魅力7:散歩・サイクリングに最適な滝畑ダム

滝畑ダム

滝畑ダムは河内長野の南西、滝畑地区にあるダムです。大和川水系石川の上流部に建設されたダムで1981年に竣工しました。重力式コンクリートダムで堤の高さは62mあります。

ダムサイトから見える岩肌には二体の磨崖仏が掘られており、よく見るとその姿が見られます。

滝畑ダム

現在でも飲み水に使うダムとして使用されていますが、ダム湖を囲む遊歩道が整備されており、散歩やサイクリングに最適です。毎年1月に行われるシティマラソンでもハーフマラソンのコースとして使われています。

また滝畑ダムはキャンプ場としても人気があり、夏の時期は市外からも車で多くの人が訪れます。

河内長野の魅力8:薄が美しい岩湧山

岩湧山

河内長野にある岩湧山(いわわきさん)の標高は897.1mあり、和歌山県と県境にまたがる南葛城山(みなみかつらぎさん:標高922m)の近くにあります。岩湧山の山頂付近は茅場になっており、非常に展望が開けています。登山に最適なのは10月下旬から11月頃。

4月になると山焼きが行われ、その直後に山に登ると黒焦げになった個性的な山肌が見られます。

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岩湧山の南側の中腹には岩湧寺があり、そこが登山口のひとつ。その横には四季彩館というビジターセンターがあります。また滝畑方面からも登山口があり、葛城修験の経塚と並行しているダイヤモンドトレールという整備されたハイキング道が続きます。

河内長野の魅力9:世界かんがい施設遺産 寺ヶ池

寺ヶ池

河内長野の北側にある寺ヶ池は世界かんがい施設遺産に指定されています。江戸時代に作られたため池で、この池には石川の上流から8.2kmにわたって人工水路が引かれていました。ただ水路のそのものは山の深い場所にあり、見学は困難です。

寺ヶ池周辺

寺ケ池の周囲は公園になっており、1周2kmの遊歩道があります。公園の南側にある四季の広場ではフリマやイベントが行われ、12月にはイルミネーションが開催されます。

河内長野の宿:あまみ温泉 南天苑

南天苑

河内長野でももっとも南側にある天見駅のすぐ近くに高級旅館のあまみ温泉南天苑があります。天然のラドンを数多く含むラジウム温泉が湧き出ており、その歴史は大変古く南北朝時代とか。河内長野市内では最古の温泉です。

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近代日本の西洋建築を手がけた辰野金吾氏の設計による旅館は数寄屋風の内装になっており、茶室を思わせる詫びさびの意匠が施されています。

部屋でいただく懐石の夕食も、見た目が豪華だけでなく味も素晴らしく、静かな夜で旅の疲れが一気に癒されます。奥河内の奥座敷としてゆったりと過ごしたい旅館です。

あまみ温泉 南天苑

河内長野のショッピング:道の駅 奥河内くろまろの郷

奥河内くろまろの郷

河内長野でのショッピングのおすすめは、市内の西側高向地区にある道の駅奥河内くろまろの郷です。すぐ隣に大阪府立花の文化園があるのでセットで立ち寄りたいところ。

広大な駐車場がありますが、土日はその駐車場が埋まるほどの人気ぶり。いちばん人気はあすかてくるでと呼ばれる野菜の直売所です。

奥河内くろまろの郷

そのほかビジターセンターとビュッフェレストランがあります。ビジターセンターでは河内長野を中心としたお土産品を多数置いていあり、旅の思い出にお土産を買うのには最適な施設です。

なお名前の「くろまろ」とは、飛鳥時代に活躍した高向玄理(たかむこのくろまろ)と深いかかわりがある地域だからです。

道の駅 奥河内くろまろの郷

  • 住所:大阪府河内長野市高向1218-1
  • TEL:0721-56-9606
  • 営業時間:9:30~17:00
  • 定休日:年末年始
  • 公式サイト:奥河内くろまろの郷

河内長野は山に囲まれた広い所なのでバスを効率よく

モックルカード

ということで、今回は河内長野の見どころを紹介しました。大阪府内で3番目に広い自治体ですが、その七割が山のため、公共交通を利用する場合は市内を走っているバスを使えば効率よく回れます。

河内長野市内であれば、1日乗り放題のモックルカードもあるので、河内長野に行く際にはぜひ活用してみましょう。

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万代正平

旅行が好きな旅人。日本国内は、北海道の網走、道東周辺から沖縄の八重山諸島・与那国島まで47都道府県すべて行ったことがあります。2020年2月までは毎年東南アジアに渡航しており、東南アジア10か国すべて訪問しました。海外では他にヨーロッパ(英国、ベルギー、アイルランド)アメリカ、中国、香港、マカオ、台湾、韓国への渡航経験があります。2020年春以降は、主に国内の旅行を中心に活動しています。

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