特別史跡は全部でいくつ? 行ってみたい特別史跡を探そう!

特別史跡

旅をしていると、「特別史跡」に指定されている場所に出会うことがあるはず。そんな特別史跡について、詳しく知っていますか?

この記事では、特別史跡とは何なのか、そして日本全国にいくつあるのかを紹介。さらに、幕末の歴史の舞台となった城郭や岩壁に刻まれた石仏群、東京のど真ん中にある大名庭園まで、旅行先にもぴったりの特別史跡をピックアップ。特別史跡を知ることで、より日本の文化に親しめるようになりますよ。

目次

<1. 特別史跡とは>

<2. 特別史跡は全部でいくつ?>

<3. 「名勝」と「史跡」の違いとは>

<4. 行ってみたい特別史跡はある?>

<5. 特別史跡の一覧>

1. 特別史跡とは

さて、特別史跡って、いったい何なのでしょうか? その存在は知っていても、定義までは知らない人が多いかもしれません。

そもそも日本には、文化財を保護する法律、文化財保護法があります。その特徴は、文化財を2段階で指定・保護すること。たとえば有形文化財のうち、重要なものは重要文化財に、とくに重要なものは国宝に指定されるのです。

では、貝塚や古墳、城跡といった遺跡の場合はどうなのでしょうか。実は遺跡のうち、重要なものが史跡に、そしてとくに重要なものが「特別史跡」に指定されます。とくに重要なもの、それは学術上の価値がきわめて高く、日本の文化を象徴するものです。

すなわち特別史跡とは、国宝にも相当する、日本の貴重な遺跡のこと。原始時代の貝塚や古墳から、近世の城跡や庭園まで、いずれも日本の歴史が深く刻まれた場所。もちろん、遺跡の価値が見直されることで、新たに特別史跡に指定される例もあります。遺跡を良好な形で保護し、後世に伝えていく役目が、特別史跡にはあるのです。

日本の大切な文化に触れられる特別史跡は、旅行先としても魅力的。その遺跡が特別史跡に指定された背景などを少し学んでいくと、旅もさらに充実したものになるはずです。

2. 特別史跡は全部でいくつ?

遺跡の中の国宝とも言える、特別史跡。全部でいくつあるか知っていますか?

2023年1月時点で、遺跡のうち、史跡に指定されているのは1,881件。そして、特別史跡に指定されているのは63件です。特別史跡への指定がいかに「狭き門」なのか、納得できる数字のはず。

特別史跡に指定された63件は、北は北海道の五稜郭跡から、南は宮崎県の西都原(さいとばる)古墳群まで、日本各地に散らばっています。最も多くの特別史跡があるのは奈良県の10件で、平城宮跡や石舞台古墳など、古墳時代から奈良時代にかけての遺跡が指定されているのが特徴。また、最も新しく指定された特別史跡は、埼玉県の埼玉(さきたま)古墳群。前方後円墳をはじめとする古墳が密集し、史跡としての重要性や保存活用の取り組みが認められ、2020年に特別史跡に指定されました。

3. 「名勝」と「史跡」の違いとは

富士山
<出典元:写真AC

ところで、史跡に似た言葉として、「名勝」があります。では、名勝と史跡って、どう違うのでしょうか?

これまで紹介してきたように、史跡とは、貝塚や古墳、城跡といった遺跡の中から指定されるもの。一方、名勝とは、庭園や橋梁、峡谷、海浜、山岳といった名勝地の中から指定されるものです。すなわち、名勝地のうち、重要なものが名勝に、とくに重要なものが特別名勝に指定されるのです。名勝の特徴は、庭園など人間の技術によって造られたものと山岳など自然の力によって生まれたものがともに含まれることです。

2023年1月時点で、名勝に指定されているのは427件、特別名勝に指定されているのは36件。宮城県の松島、静岡県と山梨県にまたがる富士山、石川県の兼六園、広島県の厳島など、日本各地の貴重な名勝地が幅広く指定されています。風景として美しい場所が多いため、旅行先としても馴染み深い場所が指定されていることに気づくはず。なかには特別史跡と合わせて指定されている場所もあるので、旅行前に調べていくのがおすすめです。

4. 行ってみたい特別史跡はある?

日本各地に散らばっている、63件の特別史跡。今回はその中から、5件の特別史跡について紹介します。いずれも旅行先としてぴったりの場所なので、行ってみたい特別史跡を探してみましょう!

4.1 五稜郭跡

五稜郭跡
<出典元:写真AC

日本で最も北にある特別史跡が、北海道函館市の五稜郭跡。戊辰(ぼしん)戦争最後の戦いである箱館戦争の舞台にもなった、五角形の星形城郭です。

五稜郭のモデルになったのは、中世ヨーロッパの城塞都市。1864年、徳川幕府の命により、日本初の西洋式城郭として完成しました。幕府の役所として箱館奉行所が置かれましたが、1868年には榎本武揚や土方歳三ら旧幕府軍が占拠し、最後の砦として明治新政府軍と戦うことに。やがて旧幕府軍は敗北し、翌1869年に五稜郭を明け渡すことになりました。

現在、五稜郭跡は公園として整備され、函館を代表する観光スポットのひとつになっています。春には約1600本のソメイヨシノが咲き誇る桜の名所として、冬には雪景色がライトアップされる「五稜星の夢」の舞台としても人気です。

そんな五稜郭跡を訪れたら、なんといっても上りたいのが五稜郭タワー。地上90mの展望台からは、美しい星形をした五稜郭跡を一望することできます。春の桜に夏の緑、秋の紅葉に冬の雪景色と、四季折々に彩りを変えていく姿も魅力的。函館の大地に残された五稜郭跡を眺めながら、幕末の見果てぬ夢を想像しましょう。

このほか、幕末にゆかりのある特別史跡として、茨城県の旧弘道館があります。

4.2 登呂遺跡

登呂遺跡
<出典元:写真AC

弥生時代の遺跡として初めて特別史跡に指定されたのが、静岡県静岡市にある登呂遺跡。きっと教科書で見たことがある人も多いのではないでしょうか。

登呂遺跡が発見されたのは、第二次大戦中の1943年。戦後に大規模な発掘調査が行われ、弥生時代の住居や高床倉庫、水田跡が発見されることになりました。日本の稲作文化が初めて証明され、また戦後考古学の先駆けとなった遺跡として、特別史跡に指定されたのです。その評価は、「庶民の正倉院」というものでした。

現在、登呂遺跡には、茅葺きの住居や米作りを行う水田、稲を保管した高床倉庫、豊饒の祈りを捧げた祭殿などが復元されています。まさに日本の原風景で、散策すれば弥生時代にタイムスリップしたような気分になれるはず。さらに隣接する静岡市立登呂博物館では、貴重な出土品を見られるだけでなく、火起こし体験や土器で炊きあげた赤米の試食なども楽しめます。市街地に近い場所にありながら、気軽に弥生時代の暮らしに触れられるのが、登呂遺跡の魅力です。

同様に弥生時代の遺跡として特別史跡に指定されているのは、佐賀県の吉野ヶ里遺跡と長崎県の原の辻遺跡。また縄文時代の遺跡としては、青森県の三内丸山遺跡と長野県の尖石(とがりいし)石器時代遺跡が指定されています。

4.3 大谷磨崖仏(おおやまがいぶつ)

大谷磨崖仏(おおやまがいぶつ)
<出典元:写真AC

栃木県宇都宮市の大谷磨崖仏は、大谷石の岩壁に刻まれた石仏群。日本の石像彫刻の中でもとくに技巧を究めたものとして、特別史跡に指定されました。

その大谷磨崖仏があるのは、日本でも数少ない石窟寺院である大谷寺。石窟の壁には、レリーフ状に彫られた石仏が合計10躰あります。なかでも本尊の千手観音は、平安時代に弘法大師が制作したと伝えられ、古くから大谷観音として尊崇されてきた石像。脇堂には、釈迦三尊、薬師三尊、阿弥陀三尊の石像が並び、神秘的な空間を作り出しています。

これらの磨崖仏は、仏像を岩から掘り出した後、その上に粘土を塗って仕上げるという、とても珍しい技法で作られているのが特徴。最新の研究では、バーミヤン渓谷の石仏との共通点がみられることから、アフガニスタンの僧侶が彫刻した石像と考えられています。本尊の千手観音は、人々を救うために千の手をもつ菩薩。大谷磨崖仏を訪れたら、自分の幸せだけでなく、世界の平和を願ってみましょう。

また、大分県の臼杵(うすき)磨崖仏も、同様に特別史跡に指定されている石仏群。西の臼杵磨崖仏、そして東の大谷磨崖仏としてともに貴重な石仏群なので、それぞれ訪れてみるのもおすすめです。

4.4 小石川後楽園

小石川後楽園
<出典元:写真AC

東京都文京区にある小石川後楽園は、江戸時代初期の大名庭園。特別史跡と合わせて特別名勝にも指定されている、全国でも数少ない名園です。

その成り立ちは、徳川御三家のひとつ、水戸徳川家の江戸上屋敷の庭園。完成したのは、水戸黄門として知られる徳川光圀(みつくに)の代でした。儒教的思想のあった光圀は、中国の教えである「天下の憂いに先だって憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」から、「後楽園」と命名。作庭にも中国趣味をふんだんに取り入れ、随所に中国の名所の名前を付けた景観を配しています。

小石川後楽園の特徴は、各地の景勝を模した湖や山、川、田園などが巧みに表現されていること。庭園の中心には琵琶湖を表現した大泉水が広がるほか、中国・西湖の堤や京都・東福寺の通天橋などを再現。江戸時代、最も早く完成した大名庭園として、全国各地の庭園にも影響を与えました。現在では都立庭園として開放され、春の梅や桜、秋の紅葉など、東京にいながら四季折々の風景を楽しめます。また、庭園越しに見る東京ドームは、現在の東京ならではの風景です。

ちなみに、東京都中央区にある旧浜離宮庭園も、特別史跡と特別名勝に指定されている名園。庭園の向こうに高層ビル群が広がり、不思議なコントラストを楽しめます。

4.5 名古屋城跡

名古屋城跡
<出典元:写真AC

日本屈指の城郭として特別史跡に指定されたのが、愛知県名古屋市にある名古屋城跡。戦災により主要な建造物を焼失しましたが、それでもなお価値がきわめて高いと評価されたのです。

名古屋城の築城は1610年、徳川家康によって開始されました。大坂の豊臣方への備えとして完成し、この名古屋城から大坂冬の陣・夏の陣へ出陣。その後、徳川御三家の筆頭である尾張徳川家の居城として、江戸時代を通じて栄えました。

当時の最新の技術によって築城された名古屋城は、日本の近世城郭の到達点。輝く金鯱(きんしゃち)を頂く五層五階の天守、狩野派の絵師による障壁画で飾られた本丸御殿、美しく広大な二之丸庭園など、近世城郭の完成形がありました。しかし1945年、第二次大戦の名古屋空襲によって、天守や本丸御殿などが焼失。その後、1959年に鉄筋コンクリート造りで天守が再建され、2018年には絢爛豪華な本丸御殿が忠実に復元されました。

そんな名古屋城跡では、天守の木造復元計画が進行中。豊富な史料をもとに、日本最大を誇った天守を往時のままに復元しようとしています。

このほか、特別史跡に指定されている江戸時代の城跡として、東京都の江戸城跡、滋賀県の彦根城跡、兵庫県の姫路城跡、熊本県の熊本城跡があります。

  • 住所:愛知県名古屋市中区本丸1-1
  • 公式サイト:名古屋城跡

5. 特別史跡の一覧

日本の文化の象徴として、大切に保護していくべき特別史跡。最後に、2023年1月時点で指定されている、そんな特別史跡の一覧を見てみましょう。誰もが知っている有名な遺跡から、こんな場所あったんだ! と驚くような遺跡まで、日本の文化の豊かさを感じさせる全63件です。

名称

都道府県

五稜郭跡

北海道

三内丸山遺跡

青森県

三内丸山遺跡

青森県

中尊寺境内

岩手県

無量光院跡

岩手県

毛越寺境内  附 鎮守社跡

岩手県

多賀城跡  附 寺跡

宮城県

大湯環状列石

秋田県

大谷磨崖仏

栃木県

日光杉並木街道  附 並木寄進碑

栃木県

金井沢碑

群馬県

多胡碑

群馬県

山上碑及び古墳

群馬県

埼玉古墳群

埼玉県

旧弘道館

茨城県

常陸国分寺跡

茨城県

常陸国分尼寺跡

茨城県

加曽利貝塚

千葉県

江戸城跡

東京都

旧浜離宮庭園

東京都

小石川後楽園

東京都

一乗谷朝倉氏遺跡

福井県

尖石石器時代遺跡

長野県

新居関跡

静岡県

遠江国分寺跡

静岡県

登呂遺跡

静岡県

名古屋城跡

愛知県

本居宣長旧宅  同 宅跡

三重県

安土城跡

滋賀県

彦根城跡

滋賀県

大坂城跡

大阪府

百済寺跡

大阪府

姫路城跡

兵庫県

石舞台古墳

奈良県

キトラ古墳

奈良県

巣山古墳

奈良県

高松塚古墳

奈良県

藤原宮跡

奈良県

平城宮跡

奈良県

平城京左京三条二坊宮跡庭園

奈良県

本薬師寺跡

奈良県

文殊院西古墳

奈良県

山田寺跡

奈良県

岩橋千塚古墳群

和歌山県

慈照寺(銀閣寺)庭園

京都府

醍醐寺三宝院庭園

京都府

鹿苑寺(金閣寺)庭園

京都府

斎尾廃寺跡

鳥取県

旧閑谷学校  附 椿山・石門・津田永忠宅跡及び黄葉亭

岡山県

厳島

広島県

廉塾ならびに菅茶山旧宅

広島県

讃岐国分寺跡

香川県

王塚古墳

福岡県

大野城跡

福岡県

大宰府跡

福岡県

水城跡

福岡県

名護屋城跡並陣跡

佐賀県

吉野ヶ里遺跡

佐賀県

金田城跡

長崎県

原の辻遺跡

長崎県

熊本城跡

熊本県

臼杵磨崖仏  附 日吉塔、嘉応二年在銘五輪塔
 承安二年在銘五輪塔

大分県

西都原古墳群

宮崎県

基肄(椽)城跡

福岡県・佐賀県

特別史跡とは、日本の歴史や文化に今も触れられる、貴重な遺跡のこと。古代から近世、そして現在まで、脈々と受け継がれてきた日本の豊かな文化に気づかせてくれる場所なのです。旅行の目的地として選ぶのも魅力的ですし、次に行く旅行先の近くに特別史跡があったら、ちょっと立ち寄ってみるのもいいでしょう。今まで知ることのなかった、思いがけない発見があるかもしれませんよ。

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手塚 大貴

沢木耕太郎氏の『深夜特急』がきっかけで、アジアやヨーロッパ、南米など世界各地をひとり旅。オリンピックやサッカーワールドカップなど、スポーツ観戦の旅も好き。実は世界遺産検定マイスター。旅エッセイやコラムも得意としています。

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