ペルー秘湯巡り/その1 マンタロ渓谷を望むレアな露天風呂2選

ウァハル温泉

日本と同じく環太平洋火山帯に位置するペルーには、数々の温泉があります。なかでもインカ皇帝アタワルパが愛したというカハマルカの名湯「インカの湯」や、トレッカー御用達のワラスの「モンテレイ」は外国人にも人気の場所。世界遺産マチュピチュ遺跡の麓にあるマチュピチュ村の温泉なんかも有名ですね。

その他にもペルー国内には魅力的ないで湯がいっぱいあるんですよ!今回は、観光客にはまだあまり知られていないアンデスの秘湯をご紹介。ペルーの穀物倉庫として知られるフニン州のマンタロ渓谷沿いには非火山性の温泉がいくつもあり、名湯、薬湯として地元の人々に古くから愛されてきました。

そんなアンデスの秘湯にみなさんを早速ご案内しましょう。

目次

秘湯巡りの拠点、アンデスの古都「ハウハ」へ

標高3,370mに位置するフニン州ハウハ。クスコとほぼ同じ標高でありながら低緯度に位置するため気候は温暖、リマのような湿度もなく、喘息などの気管支系疾患を抱えるペルー人の療養地としても知られています。

ハウハ

2階建てのハウハ市庁舎。その右手にはサンタ・フェ教会があります。

車

ハウハのバスターミナルからはバンやワゴンタイプのバスが出ています。バスに時刻表はなく、乗客が集まったら出発するというペルーらしいスタイルです。

まずは炭酸泉が湧く村「ジョクジャパンパ」へ行こう

ジョクジャパンパ

「Llocllapampa(ジョクジャパンパ)」村へは、ハウハの中心部からバスで約30分。マンタロ川を西に約26km下ったところにある、標高約3,500mの小さな村です。

Cristo de Tatanazo(タタナソのキリスト)像

ジョクジャパンパ村のシンボル、「Cristo de Tatanazo(タタナソのキリスト)」像。豊かなヒゲが個性的ですね。

Agua Mineral Llocllapampa del manantial(ジョクジャパンパの湧水ミネラルウォーター)

村に湧く天然の炭酸水は、「Agua Mineral Llocllapampa del manantial(ジョクジャパンパの湧水ミネラルウォーター)」の商品名で販売されています。マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、重炭酸塩、カリウムなど豊富なミネラルを含む炭酸水が湧くジョクジャパンパ村。そんな村にある温泉ですから、これは期待できそうです。

モニュメント

村の広場には、ミネラルウォーターのボトルを模ったモニュメントもありました。

1. ターコイズブルーが美しいアンデスの露天風呂「ウァハル温泉」

まずは村の中心部から西へ約3kmに位置する鉱泉「Baños Termales de Huajal(ウァハル温泉)」に行ってみましょう。ウァハル温泉へは、マンタロ川に沿って延びる一本道をただひたすら歩いていきます。人の往来のほとんどない未舗装の道なのでちょっと不安になりますが、心配せずとにかくまっすぐ進みましょう。

Parque de Pitque(ピトケ広場)

村とウァハル温泉とのちょうど中間にある「Parque de Pitque(ピトケ広場)」。この銅像の女性も水瓶を抱えています。それだけ水が豊かな土地なんでしょうね。

ウァハル温泉

土手沿いの一本道を黙々と歩いていくと、川辺に四角い形をした温泉が見えてきました!

ウァハル温泉

ケチュア語で"涙"の意味するウァハル温泉は、プレヒスパニック時代から利用されてきたという由緒ある鉱泉です。地元の人によると、ここは温熱療法の場であると同時に、その湯は古代の神々とつながるエネルギーの源だとか。泉質は硫黄を含む二酸化炭素泉で、温度は22度と低め。皮膚病の他、整腸作用もあり、筋肉や骨の治療にも効果があるそうです。

ウァハル温泉

毎分10lものお湯が湧きでるそう。源泉かけ流しで、湯船の中はとてもきれいです。

ウァハル温泉

それにしても、なんて開放的な環境でしょう!着替えのための小屋以外周囲には何もなく、誰にも邪魔されない贅沢なひとときを過ごすことができます。

ここは足湯だけに留めておきましたが、皮膚にまとわりつく炭酸ガスの泡は心地よく、足の疲れもすっと癒えていきました。外界の喧騒から隔絶された超開放的な露天風呂、ちょっとした悩みなんかあっという間に吹き飛んでしまいそうです。

ウァハル温泉:入場料2ソレス(約80円)
※最近、温泉の周囲には防風のための屋根と囲いが作られたそうです。

2. エメラルドグリーンに輝く「ウィチュカプキオ温泉」

馬

今度は村の東側にある「Baños termales de Huiscapuquio(ウィチュカプキオ温泉)」に行ってみましょう。誰も通らない一本道を再び、ひたすら歩いて戻ります。

民家

温泉の近くまで来たところ、道路の脇にある民家の壁の文字にふと目が止まりました。

温泉の鍵はここで頼んでね

「AQUI PEDIR LA LLAVE DE LOS BAÑOS TERMALES(温泉の鍵はここで頼んでね)」と書かれていたので、ためらいながら民家の扉をノック。すると中から出てきた男性が、鍵を手に温泉まで同行してくれました。この注意書きを見落としていたら、温泉に入れず諦めて帰るところでしたね。

小屋

男性と一緒にしばらく歩いていくと、前方に簡素な建物が見えてきました。ここからでは肝心の温泉はどこにあるのか分かりませんが、あの小屋の中にあるのでしょうか?

案内人

温泉は意外と厳しく管理されているようです。

トンネル

扉を開けると、目の前には岩をくり抜いて作ったトンネルと下り階段がありました。どうやらこの建物は巨大な岩を覆う形で建てられているようです。

トンネル

足元に注意しながら、真っ暗なトンネルを降りていきます。岩の上のほうに水脈があるのでしょうか、頭上からぽたぽたと水滴が落ちてきます。足元もところどころ濡れているので、気を付けて降りましょう。

ウィチュカプキオ温泉

ウィチュカプキオ温泉に到着しました!先ほどの建物と温泉の間には、巨大な一枚岩が鎮座しています。岩のあちこちから水が染み出ていたので、この岩の奥のほうにも水源があるのかもしれませんね。

ウィチュカプキオとは、ケチュア語の"huichaca(閉じる)"と"puquio(泉)"を組み合わせてできた言葉。「巨大な岩で閉じられた隠れ温泉」に相応しい命名です。写真右端には、温泉エリアとマンタロ川を隔てるコンクリートの壁があります。岩をくり抜いて階段を作る前は、川から舟を使ってアクセスしていたのかもしれませんね。

ウィチュカプキオ温泉

エメラルドグリーンが美しいウィチュカプキオ温泉は、痛風やリウマチの治療に大きな効果を発揮。重炭酸、リチウム、鉄分を含み、消化にも良く、胃や肝臓、腎臓、尿道疾患にも効く無敵の湯といわれています。こちらも温泉の底から炭酸ガスの泡がぷくぷくと沸きあがっていました。

ウィチュカプキオ温泉

入り口のそばには、こんな大きな石筍も!岩から滴り落ちる炭酸カルシウム入りの水滴によってできる石筍、これだけの大きさになるまでにはいったい何年かかるんでしょう?

ウィチュカプキオ温泉の水温も残念ながら少々低めでしたが、ウァハル温泉よりは温かかったので勇気を出して入ってみました。浸かってみると意外に温かく、解放感もあってとても気持ちよかったです。温泉から出た直後はさすがに冷えましたが、服を着るころには身体の芯がぽかぽかと温まり、効果としては十分でした。ラッキーなことにこの日は貸し切り状態でしたが、週末には大勢の村人が訪れるそうです。

ウィチュカプキオ温泉:入場料3ソレス(約120円)

とっても開放的なアンデスの秘湯2選、いかがでしたでしょうか。ジョクジャパンパ村にはもうひとつ「Baños termales Chochocolpa(チョチョコルパ温泉)」があるので、興味のある方はぜひ村の人に尋ねてみてくださいね。

次回は、スピリチュアル好きな人にはたまらないあの神秘の湯をご紹介します!

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原田慶子

ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。

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