【ペルー】品質はお墨付き!国内最大の伝統工芸品市『ルラック・マキ』

Asociación Qori Q'ente Pallay(コリ・ケンテ・パリャイ協会)

ペルーは民芸品や工芸品の宝庫。プレインカから受け継がれる織物を始め、陶器や陶磁器、籠細工、木彫や石彫、ひょうたん細工、宝飾品、伝統絵画、仮面、置物、玩具、革製品など、数えあげたらキリがありません。

そんなペルーの首都リマで2007年に始まったのが、伝統工芸品の展示即売会「Ruraq Maki, hecho a mano(ルラック・マキ エチョ・ア・マノ)」。ケチュア語で「手作り」と名付けられたこのイベントは、伝統工芸技術の再評価と市場価値の創造を通じた地域コミュニティの発展を目指し、優れた技を持つ全国の匠たちとその作品を政府が戦略的にバックアップする試みとして始まりました。

なのでルラック・マキに出品される品々は、すべてペルー文化省のお墨付き!これほど質の高い伝統工芸品が一堂に会す展示即売会は、国内広しといえど他にありません。

ルラック・マキは毎年7月28日のペルー独立記念日前後と、クリスマス前の年2回開催。3年ぶりの対面販売となった7月のルラック・マキを覗いてきたので、今回はその様子をご紹介しましょう。

目次

会場はペルー文化省の建物内

文化省本省

リマのメインストリート、ハビエル・プラド通り沿いにある重厚な造りの文化省本省。

Ruraq Maki, hecho a mano

一歩足を踏み入れると、そこにはペルー全国から集められた伝統工芸品や民芸品がずらり!平日の午前中にもかかわらず、館内は活気にあふれていました。

Ruraq Maki, hecho a mano

ルラック・マキの販売会場は建物の1階と2階に分かれている上、1階はメインロビーだけでなく、廊下の奥の方までブースが設置されていました。もともとイベント会場ではないため動線が悪いのは仕方がありませんが、見落としのないようご注意くださいね。

作り手の顔が見えるからこその信頼感

ルラック・マキの各ブースの背後には、作者名(または工房名や団体名)と地名を記したパネルが掲げられています。どの地方の工芸品なのかが一目でわかりますし、作り手の顔が見えると作品への信頼感も増しますよね。また、館内では出店者や作品の詳細を記したハンドブックが無料で配られているので、それを手にしながら見て回るといいでしょう。

Asociación Qori Q'ente Pallay(コリ・ケンテ・パリャイ協会)

コリ・ケンテ・パリャイ協会

クスコ州カルカとパウカルタンボの農村コミュニティのメンバーからなるコリ・ケンテ・パリャイ協会の織物は品質の高さに定評があり、国内外の数々の見本市に招待されるほどの実力を誇っています。

天然素材で染められた糸は70色以上、布の配色やデザインは織り手の出身地や伝統、彼らのコミュニティに残された古い記憶を反映しています。テーブルクロスは1,000ソレス~、ポンチョは500~2,000ソレスと安くはありませんが、いずれも職人が数か月かけて仕上げた一点モノであることを考えると、その価値は十分にあります。カラフルなポンポンをつけたアルパカやクイのぬいぐるみ(40ソレス~)や、小ぶりのバック(30ソレス~)もおすすめです。

Asociación Apu Antasaqa(アプ・アンタサカ協会)

アプ・アンタサカ協会

クスコの聖なる谷、ウルバンバのチンチェーロ村で活動するアプ・アンタサカ協会は、先史時代から伝わる織物技術を駆使した布やバッグ、小物を作製しています。独自の配色でまとめられたポーチ(50ソレス~)は、天然染料ならではの深みのある色が魅力。チンチェーロの伝統模様を施したショルダーバッグは175ソレス~でした。

Taller de Arte Awaq Ayllus(アワク・アィユス・アート工房)

アワク・アィユス・アート工房

糸を何重にも重ねてふっくらと丸みを持たせ、立体的に仕上げるアヤクチョ刺繍。色とりどりの毛糸を使って地域の花や鳥をステッチした極彩色の刺繍は、ずっしりとした存在感があります。

また写真には写っていませんが、こちらの工房ではパラカスやナスカ、ワリといったペルーの古代文明のモチーフを丁寧に織り上げたウール製のタペストリーも人気。工房の創設者でありリーダーも務めるマルセリーノ・ポマタイラ氏は、織物師としての優れた経歴と古代ペルーの織物芸術における調査・研究の功績が認められ、2016年の文化功労者に選ばれました。

Pedro y Javier Gonzales Paucar(ペドロ・イ・ハビエル・ゴンサレス・パウカル)

ペドロ・イ・ハビエル・ゴンサレス・パウカル

フニン州マンタロ渓谷の生活風景や、祭りの様子などを再現したアーティスティックな人形で評価の高いゴンサレス兄弟。マゲイ(リュウゼツラン)と石灰入りの粘土で作った人形は躍動感にあふれ、じっと眺めていると祭りの賑わいや人々の笑い声が聞こえてきそうです。

ペドロ氏、ハビエル氏ともに文化功労者に認定されており、特にペドロ氏は2017年、通商観光省により、ペルーの手工芸品部門に関連する最も重要な賞の一つ「伝統工芸におけるアマウタ(匠)」として表彰されました。民俗学がお好きな方には特に好まれそうな作品です。

Taller Mamerto Sánchez(マメルト・サンチェス工房)

マメルト・サンチェス工房

アヤクチョのキヌア村を代表する陶芸工房で、オーナーのマメルト・サンチェス氏は2000年、ペルー工芸のグランドマスターに認定、2014年には文化省から文化功労者として表彰されました。素焼きに白黒の塗料で装飾した伝統的なスタイルのものだけでなく、ポップでカラフルな現代風のデザインのものもあります。

しっとりと手に馴染む丸みを帯びたフォルムで、愛着の湧く作品たち。特に、動物たちのおどけたような表情がいい味を出しています。

Asociación de Artistas Tradicionales de Sarhua/ADAPS(サルワ伝統芸術家協会)

サルワ伝統芸術家協会

サルワはアヤクチョ州にある小さな村の名前。この村では古くから家屋の棟上げ式の際に、その家族の物語を描いた細長い板(タブラ)を世帯主の縁者がプレゼントするという習慣がありました。贈り先の家族の物語に加え、やがて村の生活風景や日常、収穫の様子など描かれるテーマが広がったことや、板の形が変化したことで大衆芸術へと成長していきました。

1980年に始まったテロ時代、暴力から逃れるためリマ市チョリージョス区に集団で移住したサルワ村の人々は、リマを拠点に村伝来の大衆芸術を守るべく活動しています。2018年、サルワの板絵はペルーの国家文化遺産に指定されました。

Asociación de Artesanas Chonon Biri(チョノン・ビリ女性芸術家協会)

チョノン・ビリ女性芸術家協会

ウカヤリ州マシセア地区とヤリナコチャ地区に住むシピボ・コニボ族の女性アーティスト18人による協会。チョノン・ビリとはシピボ語で「輝く鳥」を意味します。ブースには擬人化された伝統的なデザインのピッチャーや、動物を模った陶器、皿などのほか、シピボ・コニボ族の宇宙観を表す大判の絵や、刺繍を施した布がいっぱい。

シピボ・コニボ族が行う"アヤワスカの儀式"に興味のある外国人は多く、彼らの作品を求める旅行者も少なくないのでしょう。私が訪れた時も、ミラフローレス区にあるスーベニールショップのスタッフが、こちらの作品を大量に買い付けていました。一般の土産物店ではどうしても倍近い値段になってしまうので、ルラック・マキで製作者から直接購入できるのはやはりありがたいですね。

Filigrana Victor Hugo Yarleque(金銀細工師ビクトル・ウーゴ・ヤレーケ)

金銀細工師ビクトル・ウーゴ・ヤレーケ

フィリグリーの匠、ビクトル氏の作品。フィリグリーとは糸状にした金や銀を用いてさまざまなモチーフを創作する金糸細工技法のひとつです。先祖代々金糸細工を担ってきた家系に生まれ、幼い頃から名工と謳われた父のもとで修業を積んだビクトル氏は、その優れた業績から国内外の見本市や展示会にも参加、ペルー通商観光省や文化省から幾度も表彰されています。ペルーは銀の産出量が世界第2位というだけあって、ピアスが44ソレス~とお買い得。匠の技で造られた見事な作品が日本よりずっとお安く手に入るのですから、これは見逃せません。

木彫 シプリアン

Tallados Ciprian(木彫 シプリアン)

親子3代で営む木彫り工房で、ウンカと呼ばれる味や匂いのない木材を選んで丁寧に彫り上げます。花や鳥、人魚など美しい彫刻を施したカトラリーやサラダサーバー(35ソレス~)を食卓に並べるだけで、気分がぐっと上がりますよね。日常使いというよりは、大切なお客様をお迎えした時に使いたい特別な品。ホームパーティー好きな方へのプレゼントにもぴったりです。

Taller Martin Granados(マルティン・グラナドス工房)

マルティン・グラナドス工房

ペルーの無形文化遺産に指定されているランバイエケ州トゥクメの「ディアブリコの踊り」。ディアブリコとは「七つの大罪、またはトゥクメに受け継がれる伝統的な七つの悪徳を意味する名称」といわれています。マルティン氏が作る仮面は表情が豊かで、魔物なのにどこか憎めないひょうきんさが魅力。ルラック・マキの公式オンラインサイトでは、ソールドアウトになるほど人気なんですよ。

仮面の部分だけでも40~50cmあるので日本へ持ち帰るのはちょっと大変ですが、ペルーの工芸品の豊かさを知ってもらいたくてご紹介させて頂きました。

休憩を兼ねてお食事でもいかが?

休憩コーナー

広い会場でひとつひとつじっくり見て回ると、喉も乾くし足も疲れてしまいますよね。でもご安心を。1階奥には休憩コーナーが設けられており、ペルー料理やスイーツの屋台が並んでいました。

カラプルクラとソパ・セカのセット

ペルークリオージャ料理のひとつ、カラプルクラとソパ・セカのセット。カラプルクラは乾燥ジャガイモの煮込み、ソパ・セカはバジルやトウガラシのスープを吸わせたパスタ料理です。タマネギのレモンマリネ、サルサ・クリオージャを添えてお召し上がりください。

アマゾン料理

アマゾン料理の屋台にはフアネというアマゾンのチマキや、タカチョとセシーナ、チョリソーのセットがありました。タカチョは揚げて潰した食用バナナにラードを加えて丸くしたもので、ホクホクとした食感が後を引く美味しさ、セシーナは豚の干し肉です。アマゾン料理を食べるチャンスはなかなかないと思うので、見かけたらぜひチャレンジしてみてください。

チョコレート

ペルー産オーガニックカカオを使ったチョコレートも販売されていました。カカオ44%のミルクチョコレートから、85%のハイカカオチョコレートまでさまざま。マラスの天然塩やトウガラシ、フルーツやナッツ入りなど、どれも捨てがたく迷ってしまいます。パッケージもおしゃれなので、お土産にしても喜ばれそうですね。

ルラック・マキ

次回のルラック・マキは、2022年12月8日(木)~18日(日)に開催の予定。この期間にペルーを訪れる方は、ぜひ文化省本省へ足を運んでみてくださいね。

Ruraq maki, hecho a mano/ルラック・マキ、エチョ・ア・マノ

  • 会場:ペルー文化省 本省
  • 住所:Av. Javier Prado Este 2465 San Borja, Lima
  • 公式サイト:ルラック・マキ
  • ※1ソル≒36.3円(2022年11月15日現在)

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原田慶子

ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。

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