公開日:
最終更新日:
日本と縁が深く、美しい町モンテフリオ
スペインには日本ではあまり知られていない魅力的な小さな町が多々あり、以前にお話しした"スペインでもっとも美しい村々協会"なる組織まで存在します。いわゆる観光都市や世界遺産をめぐる旅とは違い、小さな町を訪れてのんびり過ごすのもスペイン旅行の醍醐味のひとつ。今回はグラナダ県にあるモンテフリオをご紹介します。
目次
ナショナルジオグラフィックでは世界でもっとも美しい10の町に
モンテフリオはグラナダ市から車で約1時間離れたところに位置する、人口5,500人ほどのオリーブ畑に囲まれた小さな町です。町の人いわく「住民登録だけしていて、実際に住んでいるのは3,000人くらいじゃないかな」と。確かに訪れてみると、町の大きさの割りに静かな町です。
前述の"スペインでもっとも美しい村々協会"には認定されていないものの、世界で最も多く読まれている雑誌のひとつ『ナショナルジオグラフィック』で2015年に"世界でもっとも美しい10の町"、そして2021年には"2022年に訪れたい世界の旅先"として紹介されています。
町の美しさを際立たせているのは、東端にあるひときわ小高い崖状の丘です。イスラム教徒がイベリア半島を支配していた時代には、この丘の上には要塞がありました。建てられたのはキリスト教徒による国土再征服がかなり進んだ14世紀のことで、アルハンブラ宮殿にある要塞をつくった建築家によるものです。今ではわずかにその面影を残すだけで、16世紀にはラ・ビジャ教会が建設されました。行きは上り坂が少々きついですが、丘の上から見下ろす町は一見の価値があります。
<観光案内所や町役場の奥にそびえ立つラ・ビジャ教会>
町の全景を眺めることはモンテフリオ訪問のお約束
また、町の中にある2つの教会も見どころです。中心部にあるラ・エンカルナシオン教会は18世紀末から19世紀はじめにかけて建てられた新古典主義建築の珍しい円形の建物で、建築家はローマのパンテオンからインスピレーションを得たのだとか。教会には、町の守護聖人であるロス・レメディオスの聖母が祀られています。
<円形の教会の中央にあるのはロス・レメディオスの聖母像>
もうひとつは町の高台にあるサン・アントニオ教会です。18世紀の建築物で、サン・アントニオ修道院が隣接しています。教会前の広場からラ・ビジャ教会を望む景色も印象的です。
<高台に位置するサン・アントニオ教会>
ほかにもいくつかの観光スポットはありますが、ぜひおすすめしたいのが町の外からモンテフリオの美しい全景を眺めることです。Miradorと呼ばれる展望スポットが何か所かありますが、ひとつ選ぶとしたら"ナショナルジオグラフィック展望台"とも呼ばれているMirador del Paseoでしょうか。エンカルナシオン教会から歩いて10分ほどの距離です。(※一番最初の画像はこの展望台から撮ったものです)
日本とモンテフリオの縁
ところで、モンテフリオの町を歩いていると、あることに気付きます。観光スポット前にある説明書きの看板にスペイン語、英語に続いて日本語でも書かれているのです。
1980年の初め頃にある日本人夫婦がこの町に滞在し、その後日本で『Montefrío』という写真集を出版しました。それがきっかけでこの小さな町が日本でも知られるようになったのだとか。
<モンテフリオでご結婚された日本人ご夫妻と市長>
そして、なんと今までに20数組の日本人カップルが海外ウェディングとして、モンテフリオで結婚式を挙げたそうです!! ビックリですね。また、2018年からは高知県の安田町と姉妹都市になり、なんとも日本とは縁が深い町なのです。
<町を歩いていたらこんな壁画を発見>
モンテフリオの宿泊施設とアクセス
モンテフリオにはホテルはないものの、ゲストハウスやキッチン付きのアパートメントホテルがあります。私は中心部のアパートメントホテルに泊まりましたが、毎日清掃やベッドメイク、タオル交換のサービスがありました。Montefturというところで、1階には同じ経営者によるモンテフリオと周辺の特産物やお土産を扱うお店もあります。
公共の交通機関でのアクセスはバスのみで、2022年11月現在ALSA社がグラナダのバスターミナルとモンテフリオ間に平日は1日3本、土曜日は1本のバスを運行しています(日曜祝日は運休)。所要時間は50分~1時間半です。
スペインにお越しの際は、ナショナルジオグラフィックも認めた美しい町をぜひお訪ねくださいね。
関連記事
Rankingスペイン記事ランキング
-
田川敬子(Keiko Tagawa)
- 1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。