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初心者のためのマンホールのフタ入門~白浜公平さんインタビュー~
知らない土地や古いモノが元々好きで、「駅からハイキング」に参加していた際にマンホールのフタに目を留めるようになったという白浜公平さん。今ではマンホールマニアとして数々のテレビ番組やラジオ番組にも出演されるほどになり、マンホールの魅力を広く伝え続けています。
今回はそんな白浜さんに、旅行先で見つけたマンホールのフタのどこに注目すると面白いのか、マンホールのフタと旅行とのつながりなどについて教えてもらいました。
目次
<1. マンホールのフタにデザインされた「その土地イチオシの風景」>
<3. コレクション性のある撮り方と、風景と共に撮る撮り方>
マンホールのフタにデザインされた「その土地イチオシの風景」
― マンホールのフタに魅力を感じる、特別な理由などはありますか?
白浜さん「私が魅力を感じるようになったきっかけとして、平成の大合併の存在があります。マンホールのフタには、自治体の名前だけでなく、そのご当地を推すポイントもぎゅっと凝縮されています。合併により消滅した市町村も多くあるわけですが、その市町村についてデザインされたマンホールのフタは、平成の大合併を経てもなお残っているのだと気づいたんです。
マンホールのフタは、車道で15年、歩道で30年が取り換えの目安だと、業界内ではよく言われています。実際はその設置場所にもよって、ものによっては100年近く現役として残っていることもあります。なのでマンホールのフタには、その土地ごとの歴史がいっぱい詰まっているんです」
<青森県下田町(おいらせ町)のマンホール/画像提供:白浜公平さん>
― どんなデザインのマンホールのフタがお好きでしょうか?
白浜さん「その土地イチオシの風景がデザインされているマンホールのフタですね。そのマンホールのフタにデザインされた場所、それは観光地だったり景勝地だったりするのですけれど、そこへ実際に足を運んで、同じ画角でその風景を眺めるというのも楽しくて、実際そこに行ってみると、確かに、とてもいい構図なんですよ。だから、マンホールのフタの絵を見て、どこへ行くか、何を見るかを決めるのも面白いかなと。
マンホールのフタがなかったら普段絶対足を踏み入れないだろうなっていうくらい小さいな町、そういうところにも行って、マンホールのフタを見て、その風景を探し求めてそこまで行く。これは本当に楽しいですね」
― 面白いマンホールのフタを見つけるなら、どんなところに行くのがおすすめですか?
白浜さん「日本全国どこにいっても楽しめるというのが、この趣味の特徴的なところでもあります。人が住んでいるところに関しては100%に近いくらい、なんらかの下水道、あるいは下水道類似施設が設けられているので。下水道に限らず、例えば水源地が山にあったりもしますから、かえって水道関係の珍しいマンホールのフタが山道にあったりもします。
ただ、例えば、その土地の風情なりが詰め込まれているデザインが施されたマンホールのフタが好きな場合は、駅前だったり、役所、役場の付近であったりがいいかもしれません。特別にデザインされたり色が塗られたりしているフタが設置されていることが多いからです。
そしてもう一つ、歴史が感じられるような、いわゆる骨董フタが好きな場合は、逆に大都市の大通りの、一つ裏側の路地とか、あとは私道ですかね。あまり工事が入らないようなところによく見られます。お寺、神社の境内とか、そういったところにしれっと残っていたりもします」
鋳物の街ならではのこだわりあるマンホールのフタ
― 旅行先でマンホールのフタを見る際、注目してみると面白いポイントなどはありますか?
白浜さん「マンホールのフタをたくさん見ていると、地域性がいくらか出てくるんですね。例えば、豪雪地帯なんて行くと、除雪車が引っかからないような仕組みになっているマンホールのフタがあったり、その地域に強いメーカーさんの特色が出ているマンホールのフタだったりですとか、そういった地域性を楽しむっていうのも面白いかなって思います」
― これまでに見つけたマンホールのフタで、印象に残っているものはありますか?
白浜さん「どこに行っても印象に残る出会いはあります。例えば川口。川口は鋳物の街として有名ですけど、行くと商店街が独自にマンホールのフタを作って、それを商店街の中にはめ込んでいたりして、種類がすごくたくさんあるんです。
個性の強い、例えば星座をはめ込んだマンホール蓋が15種類くらいずらりと並んでいたりとか、タイル画を使ったマンホール蓋が並んでいたりとか。さすが鋳物の町だけあって、マンホール蓋にもこだわりがあるなと。これは楽しかったですね。
<埼玉県川口市にあったマンホールのフタ/画像提供:白浜公平さん>
川口の場合、鋳物が町中にあふれています。例えば機関車の動輪も鋳物で造られているのですけど、それを模したオブジェが道路沿いにたくさん並んでいたりします。
それに、川口駅の駅名標が鋳物でできていたりとか、郵便ポストも鋳物なんですけど、独自のデザインのものが駅前に設置されていたりとか、『とにかく鋳物を見て歩く』っていうのも面白いかなと思います。最近では工場の跡地にマンションが建つようなパターンも増えている川口ですが、それでも町工場の風情は駅からちょっと離れたところにはたくさん残っていて、そういったものを探して歩くっていうのも面白いかなと思いますね」
― 白浜さんならマンホールのフタに限らず、ちょっと外を歩くだけでも、色々なものを発見していそうですね。
白浜さん「最近は見るものが増えすぎてしまって・・・。散歩するにしても100m歩くのに、1時間かかってしまうくらいです」
― マンホールのフタというと、今は「ポケふた(ポケモンがデザインされたマンホールのフタ)」が人気ですね。このような取り組みは、マンホールのフタの歴史の中でも珍しいことでしょうか?
白浜さん「そうですね。発注元が自治体ではなく、企業が発注して、それを全国の自治体に寄贈する形なのは珍しいことです。
小さいお子さんが必ず足を止めていたりとか、ポケふたの写真を撮るための行列ができていたりとか、そういったこともあって微笑ましいですし、マンホールのフタに興味を持つ人が増えるのはうれしいことです」
<ポケふた ミュウ(ポケモンGOのAR)/画像提供:白浜公平さん>
コレクション性のある撮り方と、風景と共に撮る撮り方
― これからマンホールのフタに興味を持ったり、旅行先で偶然面白いマンホールのフタを目にしたりした方に対して、それを写真に撮るなどして記録に残すコツ、おすすめの方法などあれば教えてください。
白浜さん「この趣味を始めたばかりの人は、面白いマンホールのフタを見つけても、撮影するのに恥ずかしがってしまうことが多いんですよね。でも、歩きながら、立ち止まらずに写真を撮ってもいい写真は撮れません。
自分が何を撮っているのかが周りにもわかるように堂々と、しっかり向き合って写真を撮るのが第一歩かなと思います。最近ではメジャーな趣味になりつつもあるので、みなさん理解してくれると思います。
ただ、それに慣れすぎてしまって、傍若無人になるのも良くありません。往来の妨げになったり、車にクラクションを鳴らされたりすることのないように。
風景と一緒にマンホールふたを撮るのも面白いですね。上から図鑑のように撮るのもコレクション性があって面白いんですけど、それだけでなく、町中にたたずむマンホールふたという感じで写真を撮るのもいいんです」
<岡山県倉敷市ジーンズストリートのマンホールのフタ/画像提供:白浜公平さん>
いつかはマンホールのフタの博物館を作りたい
― マンホールのフタに関する、白浜さんにとっての今後の目標のようなものはありますか?
白浜さん「ここ20年近く、マンホールのフタに関する資料や、関連したグッズをかなりの数集めてきました。将来的にはそういうものを展示できる博物館を作りたいなと、目標といいますか、夢といいますか、そういったものはありますね。
ただ、まだ自分の目で見ていないマンホールふたもたくさんありますので、まずはそういったものをもっとたくさん見に行きたいなとは思っています」
― マンホールのフタ博物館、できるといいですね。本日はありがとうございました。
子供時代から古いものが好きで、新旧あるロマンスカーの内、古いタイプのロマンスカーを特に気に入り、駅に停車しているのを見ると、なかなかその場を離れなかったらしいという白浜さん。風格の違いや、見慣れない雰囲気におそらく惹かれるのだろうということです。
そして何より旅が好きで、マンホールのフタも、旅を楽しむための良き友人、パートナーのような存在なのだとか。実際にその土地に足を運ぶことによって、マンホールのフタに限らず色々なものが見えてくるのが魅力だということです。
みなさんもぜひ、旅行先でマンホールのフタに注目してみてください。そしてさらに、その土地ならではのたくさんの興味深い発見をしてみてはいかがでしょうか。
「第10回マンホールサミットin所沢」のご案内(※終了しました)
本日インタビューさせていただいた白浜公平さんもトークイベントで参加される「第10回マンホールサミットin所沢」が開催されます。マンホール関連のグッズ販売、実物展示もあり。少しでも興味のある方は、この貴重なイベントに参加してみましょう!
- 開催日時:2022年11月19日(土)10:00~17:00
>>イベント当日の様子はこちらから(所沢市ホームページ)
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