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【北海道・江別】町村農場ミルクガーデンのベンチで食べたソフトクリームがサイコー!
みなさん、こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。
「北海道といえば?」と訊かれたら、あなたはなにが浮かびますか?
毛ガニ、ウニ、イクラなどの魚介類?ラーメン?じゃがいも?とうもろこし?アスパラ?北の大地は美味しいものが目白押しですが、北海道といえば全国一の酪農王国ですよね。
北海道には「とにかく牛と接すると気分が爽やかになる」と、一介の牛飼いとして生涯現役で働きとおしたある男性がいます。
その人は「牛づくりの神さま」「日本の近代酪農の礎を築いた人」と言われる町村敬貴(まちむらひろたか)翁です。「牛づくりは土づくりから」の信念が創業から100年経った今も確かに受け継がれています。
今回は、北海道江別市に拠点を置く町村農場をご紹介しましょう。
町村農場ミルクガーデン店の旧牛舎横のベンチに座って食べるソフトクリーム、絶品でした。。。
目次
町村農場とは?
【町村農場公式サイト内「町村農場のはなし」より抜粋引用】
創業者、町村敬貴が生まれたのは明治15年。後に「牛づくりの神様」と呼ばれる敬貴は、真駒内牧牛場の官舎で生を受けました。
畜舎で牛や馬と心を通わせた少年時代が、酪農に生涯を捧げた男の原点だったのです。日本にはまだ牛の飼育に関するノウハウもない時代。敬貴は、独力で牛の喜ぶ環境づくりを習得しなければなりませんでした。
25歳の時に渡米。艱難辛苦を乗り越えた末にたどり者いたウィスコンシン州の小さな農場。そこでひたむきに牛と向き合い続けて10年。
大正5年、町村敬貴35歳。帰国後、石狩市樽川に拓いた牧場こそが100年の歴史を誇る「町村農場」の出発点です。
「土づくり、草づくり、牛づくり」
敬貴がアメリカで得た酪農の奥義は、当時は周囲から理解されませんでした。
最初に牧場を作った石狩市樽川も 10年後に移設した江別も痩せた土地。次々と立ちはだかる壁を乗り越えながら、独自の手法で土づくりに励んだ結果、数年後には、見渡す限り青々とした牧草が生えるようになり、健康な牛が育つようになったのです。
さまざまな苦難を乗り越え、あきらめず努力を続け「近代酪農の礎」を築きあげた敬貴。晩年「とにかく牛と接すると気分が爽やかになる」と語り、一介の牛飼いとして生涯現場で働き通した人生でした。
私は一介の牛飼い
町村農場の牛乳は、乳脂肪や乳タンパク質 、ミネラルなどで高い乳成分を含みます。いわゆる「濃い牛乳」です。コクもあり、風味もあるのに、飲み口は爽やかでスッキリしています。
牛乳の味を決めるのは何だと思いますか?それは、牛の育つ環境であり、牛の食べるエサが最も大切な要素です。
町村農場の牛乳は自分たちが飼っている牛たちの新鮮なミルクだけを使ってそのままパックしています。その牛たちの食べるエサも自分たちの農場で育てた牧草ととうもろこしから作っています。
町村農場の牛たちは、牛舎の中を自由に動き回れます。食べたい時に食べ、寝たい時に寝る。可能な限りストレスのない穏やかな生活を送ります。
「牛飼い」の想いは二代目、そして現三代目にも受け継がれています。「牛への想い」が「草への敬意」を経て、「土づくりへの情熱」につながり、北海道酪農全体の発展に結果的に大きく貢献することとなったのです。
良い牛を作るには良い草、良い土から
今、牛乳のほとんどが、エサは輸入飼料で育てられた牛から作られていることをご存知でしょうか?町村敬貴は、健康な牛は健康な草で育つという考えのもと、牧草や飼料用作物の自給に努めてきました。
町村農場の歴史は土との戦いと言っても過言ではありません。
土づくり、草づくりは、現在の町村農場にとっても最も大切にしていることの1つ。土の栄養分が偏ることのないように、メンテナンスは欠かすことはありません。
百年後も豊饒な大地と栄養たっぷりの牧草がこの地に育つように、そして 健康な牛が元気に育つように、今日も試行錯誤は続いています。
ブランドに込めたお客さんとの約束
町村農場の乳製品をお届けするお客様には、次のような約束を明言しています。
- 牛が食べる牧草は、私たち自身が育てあげます
- 牛にはゆったりと暮らしてもらい、私たちの豊かな食生活の向上に協力してもらいます
- しぼった牛乳は、すみやかに皆様の食卓に届ける努力をいたします
メニュー開発の際には「素材の良さをいかに伝えるか」という共通の考え方が共有され、結果余計なものが削ぎ落とされたシンプルなレシピに落ち着きます。
地域と手を携え、ともに成長していく
町村農場のような都市近郊型酪農は、地域社会との共生や共存を常に考えなければなりません。
牛の排泄物から出る悪臭を抑えるために、日本で初めて本格的な農家単独設置型のバイオガスプラントに着手したのは2000年。糞尿を発酵させて生まれるメタンガスを使った自家発電。ガスを取り出した後の糞尿は良質な有機肥料として活用します。
こうした取組みは、今でこそ注目されていますが、自然エネルギーが脚光を浴びるずっと以前に町村農場は「地城社会との共生の取組みとしてこうした問題に向き合っていたのでした。このバイオガスプラントで作られた消化液を牛の食べる草づくりに使い、自家発電された電力は町村農場全体で使う電力のおよそ半分を補っています。
時代に対応し、新技術を駆使しながら「土づくり、草づくり、牛づくり」という本来の地域循環型農業に取組んでいるのです。
2017年で、町村農場は創業100年目を迎えました。
>>>町村農場のはなし(全6話)の全文はこちら。ぜひじっくりお読みください。
町村農場ミルクガーデン 辻野店長にインタビュー
ミルクガーデンの辻野店長は東京出身。北海道酪農大学を卒業後、江別の町に魅せられて町村農場に「牛の飼育」者として入社されました。
牛や酪農を知り尽くした辻野店長に、町村農場、江別の魅力についてお話を伺いました。
町村農場の牛乳は「濃くてコクがあるのに、あと味がさっぱりしている」のはなぜでしょうか?
自社で飼っている牛の乳だけで牛乳を作っているからだと思います。
市場では複数の生乳をブレンドして作られている牛乳が多いです。その味をバランスよく均一にする為に添加物を入れているものも多い。
町村農場では、エサ(牧草やとうもろこしなど)も自分たちで作っています。牛を狭い牛舎に縛りつけず、できるだけストレスなく、好きなように動けるように育てています。
エサを育てる畑の土の影響もあるでしょう。ミルクガーデン前の畑では、ある年は小麦を作り、ある年はトウモロコシを作ったりしています。
なぜそんなことをするのかと言うと、同じものばかり作っていると、土が痩せてしまうからです。いろいろな作物を作ることにより、土を良い状態に保つことができるのです。
そういったことすべてが要因となり、コクがありながらすっきりと飲みやすい純度の高い牛乳ができるのだと思います。
ちなみに小麦も、藁は牛の寝藁として、小麦はパンやドーナツの材料として無駄なく使っています。
町村農場の商品はすべて江別で作られているのでしょうか?
焼き菓子など一部の商品を除き、町村農場の乳製品はすべて江別で作っています。
ミルクガーデン店は売店コーナーでは飲食できませんが、2階には買ったものを食べられるテーブルスペースがあります。
町村農場ミルクガーデン独自の商品、イチオシ商品を教えてください
例えば、ドーナツは天然酵母を使い、私たちが作った小麦を使って作っています。これはミルクガーデン店でだけ食べることができます。
「今も創業者の思いが受け継がれているな」と感じるところはありますか?
「牛を第一に考える」ことですね。
何年か前、地震で江別が3~4日間、停電になったことがあるんです。困ったのが牛の搾乳です。牛は搾乳をしないと体調を崩したり、時には死んでしまったりするんです。すべての牛の搾乳を手作業で行うのは無理でした。
そこで地元の電機店さんのご協力を得て、発電機をお借りし、搾乳を続けることができました。
今後ミルクガーデンでやりたいことは?
例えば、江別には工場があるので、作りたてのチーズをその場でお出ししたりしたいですね。この場所でしか食べられないものを。またブランドに胡坐をかくのではなく「常に良いものを」という挑戦をし続けたいと思っています。
例えば、ソフトクリームは、乳化安定剤を入れなければあのきれいな形にはならないのです。乳化安定剤は添加物なので、できれば入れたくない。現在でもメーカー推奨値より少ない乳化安定剤しか使っていないのですが、もっと減らして作れるようにしたいと思っています。
また、クリームチーズも添加物を入れて作られることが多いのですが、町村農場は一切添加物を使用せずに商品化に成功しており、チーズコンクールで金賞をいただいております。
意識していることは「素材を活かす」ということ。そのために、余計なものはそぎ落とす。
日々改善と挑戦の毎日です。なかなか思うようにいきませんが笑。コロナ禍前にはやっていた「バター造り体験」なども再開したいと思っています。
お客さんの声で印象的なものを教えてください
「私、牛乳が苦手なんだけど、町村さんとこの牛乳は飲める。」とか言われるとすごく嬉しいですね。
辻野店長の感じる、江別市の魅力とは何でしょうか?
「解放感」かな。札幌など大きな街にはない、ゆったりした世界です。
江別には有名な観光地はありませんが、よそから移住してお店を開く方も多いんです。人口の割に乳製品、スイーツ、パン屋さんがとっても多いんですよ。江別に魅せられた人が多いんだと思います。
<町のあちこちに緑豊かな自然が広がって、目に、心に、優しい・・・>
町村農場の乳製品を、実際に食べてみました
それではお待たせしました。町村農場の乳製品を実際に食べたり飲んだりしてみましたのでレポートします。
乳製品のベースとなる牛乳。甘いです、自然のほのかな甘さ。コクがあり、キレがあり、後味すっきり。雑味やエグ味もない上品な牛乳でした。「町村農場」という字体が、歴史と意思を感じさせます。
超高級ハニートースト。絶品でした。。。単なるトーストではありません。まるでケーキを食べているかのようにサクッ、ふわっ、ジューシーです。トーストのパンもここミルクガーデンで作られており、材料は小麦粉とバターのみでマーガリンは入れていないそうです。町村農場の芳醇なバターが惜しみなく使われていて。。。もう芸術品の域です。
こちらもミルクガーデンでしか提供していないドーナツ(自社で育てた小麦粉を使っています)。どれにしようか目移りしていると、辻野店長がこのチーズドーナツを薦めてくれました。う~ん、美味しい。チーズは濃厚、ドーナツは油っぽくなくサクサクと軽い。このバランスが絶妙でした。
ここからは町村農場の別店舗で食べてみたメニューをご紹介します。
大人気商品の「マスカルポーネ、クリームチーズのハニーサンデー」(江別イオン店にて)。上に乗っている丸いのがマスカルポーネとクリームチーズです。商品名を聞くとちょっとしつこいのかな?と思いましたが、甘みは控えめであっさりしていました。2つのチーズの食感が今まで食べたことのないような "カシュッ" "クニュッ"と固めでしっかりしていて、美味しかったです。
生チーズケーキソフト(東京・銀座店にて)。ケーキ屋さんにあるレアチーズケーキとは全然違います。食感がツルンとしていなくてざらっとした舌ざわりなんです。そこがイイ!チーズが濃厚で、チーズ好き、チーズケーキ好きにはたまらないでしょう。
アッフォガート(東京・丸ノ内店にて)。ソフトクリームにエスプレッソコーヒーをかけたもの。ソフトクリームが溶けてまろやかになり、コーヒーの苦みとクリームが交じりあった大人の味です。今回食べた中で一番甘みが控えめで、甘いのが苦手な方にも好まれる味でしょう。
ミルクガーデン店で買って自宅に持ち帰り、食べたモツァレラチーズです。封を開けるとゴロンと出てきました。
さらにそれをスライスすると。。。
モツァレラチーズは、トマトやバジルを挟んで塩とオリーブオイルで食べる「カプレーゼ」が有名ですが、わさび醤油で食べても美味しいと聞き、実際にやって食べてみました・・・イケます!モッツアレラと醤油が合う!クリーミーなお豆腐のような感じです。
私は普段、アイスとかソフトクリーム、サンデーなどを好んで食べないので、正直「どうかなぁ」と思って食べてみたんですが、どれも後口がさっぱりしているので美味しくいただけました。(スイーツ好きじゃないので食レポが貧弱でごめんなさい。)
※料金は北海道と東京の店舗で違うため、詳しくは各店舗でご確認ください。
北海道 江別市とはどんな町?
江別市は、札幌市の隣に位置し、石狩平野の一角をなしており、平坦で坂の少ない町です。石狩航路と鉄道輸送の要衝として栄えた土地です。
大都市札幌市の隣でありながら土地の40%が農地で「食と農業の町」「れんがの町」と言われています。
実際に江別の町を歩いてみて感じたことは、自然豊かで、道路と家の感覚が広くゆったりしていて、子育てに良さそうな環境の印象を受けました。
町なかのあちこちに小さな公園がありますが、芝生のある公園が多く、とてもおしゃれで外国の風景を見ているかのようでした。
私のお気に入りは「四季の道」です。歩いたり、自転車で走ったり、私が訪れた5月中旬は、新緑の木洩れ陽の中、爽やかな風がそよいでいました。
訪れた日は気温が25度越えで日なたはとても暑かったのですが、公園にある水道から出る水が冷たくて美味しかったんです。さすが北海道だなと思いました。
江別の町は、私たち本州の人間がイメージする「北海道らしさが漂う町」でした。
赤レンガ工場跡(旧ヒダ工場)を再生した商業施設EBRI(エブリ)。内部は飲食店、雑貨店、お土産屋が入り、イベントなども行われているそうです。
「れんがの町」として知られる江別には、セラミックアートセンターというれんがや焼き物に関する資料館があります。
セラミックアートセンターの展望台からは360度大自然の風景を見ることができます。
以前町村農場があった場所は、現在江別市の資料館として無料開放されています。
町村家住居跡内部は見学可能ですが、牛舎跡は数年前の台風の影響で内部は見学できません。
牛舎前はまるでお花畑のようでした。江別は本当に緑豊かな町です。
取材後の感想
町村農場の乳製品を食べてみて、流行りのラーメンを思い出しました。
最近人気が出て行列ができるラーメン。
食べてみるとガツーンと来るインパクトのある味。「うん、美味しい!こんなの食べたことない、他の店のラーメンとは違う!」でも・・・味が強烈過ぎてしょっちゅうは食べられないかな。。。そんなラーメンってないですか?
町村農場の製品はその対極にあるように思います。
奇をてらわない、味つけを濃くしすぎない。後味が切れて、さっぱりしているんです。(薄味という意味ではありません。)
町村農場の商品づくりの原点「素材の味を活かすことを第一に考える。余計なものはそぎ落とす」。このことがとてもよくわかります。
身体に優しく、毎日でも飽きることなく食べられる。
牛乳は牛から作られる。牛は餌から作られる。餌は土から作られる。
それら牛、餌、土がちゃんとしたもので作られる製品。目が行き届いた製品。町村農場の製品はスーパー等で売っている量産品に比べるとお値段はやや高めです。
そこにはその意味がちゃんとあり、そして100年以上愛され続けているという事実が、ファンの多さと質の高さを物語っています。
私がミルクガーデンに訪れた時、ちょうどお客さんがソフトクリームを召し上がって、こうつぶやいておられました。
「うん、おいしい。やっぱり(町村さんのは)ちがうわね~。」
この言葉に町村農場のすべてが語られているのかもしれません。
あなたもぜひ、江別のミルクガーデンでホンモノの乳製品を味わってみてください。
【町村農場 ミルクガーデン店】
- 住所:北海道江別市篠津183番地
- 電話:011-375-1920
- 営業時間:【夏季 4月〜10月】9:30 ~ 17:30(L.O. 17:00)/【冬季 11月〜3月】10:00~17:00(L.O. 16:30)
- 定休日:12月〜 毎週火曜日
- 公式サイト:町村農場
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。