豪雨被災地・人吉球磨の復興を支援しよう!「球磨焼酎」の特徴・魅力・楽しみ方

球磨焼酎蔵ツーリズム

先日、熊本県の人吉・球磨(ひとよし・くま)地方を訪れました。令和2年7月の九州南部豪雨被災から1年以上経ちますが、いまだに国道219号線、JR肥薩線は寸断されたまま。熊本方面からの道は高速道路(八代~人吉間は無料)のみです。

人吉市内をドライブすると、被災した跡を見ることは少なくなりましたが、更地になっている場所が非常に目立ちます。これから復興といいますか、いい意味では新しく生まれ変わる街になるのだろうなと思い描いています。

しかし、地元の方は震災・豪雨被災・コロナと災難が続き、大変ご苦労されていると聞きました。個人では小さい力ですが、街を経済的に応援する、復興のためにお手伝いをする、みんなが一つになれば大きな力になります。このような時だからこそ、みんなが一つになることの重要性を感じます。

今回は、人吉・球磨の復興に向けた取り組みや観光スポット、そして体験した復興支援についてレポートします。

目次

人吉・球磨地方とは

人吉・球磨地方とは、熊本県南東部の人吉市と球磨郡を指します。九州山地に囲まれた盆地に日本三急流の球磨川が中央を流れる自然豊かな地域です。また、球磨川沿いを中心に温泉が点在している温泉郷でもあります。

また、鎌倉初期から明治維新まで約700年余にわたり相良氏が統治したことで、「相良700年が生んだ保守と進取の文化」~日本でもっとも豊かな隠れ里-人吉球磨~として「日本遺産」に認定されています。

>>日本遺産「人吉球磨」はこちら

球磨焼酎

この地方の名産の一つに「球磨焼酎(くましょうちゅう)」があります。球磨焼酎は米を原料にした焼酎です。球磨焼酎のように地名を名乗ることが認められているお酒は実は珍しく、世界でもイギリスの「スコッチウィスキー」、フランスの「ボルドーワイン」など数えるほどしかありません。これを「地理的表示」といいます。美味しさや品質はもちろんですが、それらが伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性に密接に関わっていることから、地理的表示が認められます。

球磨焼酎は、1995年にWTO(世界貿易機関)によって指定されています。これは「球磨の気候、水、米でしか作り出せない味」が世界的に認められたことを意味しているのです。

酒造りのエキスパート、職人の要「杜氏(とうじ)」

球磨川流域には27の蔵元が点在し、それぞれ個性のある焼酎が作り出されています。その蔵元には造り手の要となる「杜氏」が職人(蔵人)をまとめ、その蔵元の先人達から受け継がれてきた伝統の味を守り続けているそうです。

球磨焼酎豆知識「常圧蒸留酒と減圧蒸留酒」

普通、平地の大気圧は一気圧です。これを常圧と言いますが、この常圧下で、水は100℃で沸騰します。この常圧下でもろみを蒸留するのが常圧蒸留、この蒸留法で得られた焼酎が常圧蒸留酒です。

これに対して、例えば、富士山の頂上では0.63気圧と気圧が低くなり、その低気圧下では同じ水が87.4度Cの温度で沸騰します。この原理を利用し、蒸留器中の空気を真空ポンプで抜いて減圧し、低温でもろみを蒸留するのが減圧蒸留で、この蒸留法によって得られる焼酎が減圧蒸留酒です。【球磨焼酎酒造組合の資料より】

焼酎ができるまで

焼酎のできるまで

人吉・球磨では、この球磨焼酎を観光素材として活用した取り組みを始めています。(詳細は後ほどご紹介します。)

復興支援1:モゾカタウンでランチ

モゾカタウン

被災された店舗が集まる復興商店街「モゾカタウン」のホームページには次の言葉がありました。

「浸水でゼロからのリスタートをプレハブの小さな一角から始める・・・」

「私たちは、この店舗から復興していきます」

※「モゾカ」とは、人吉球磨言葉で"小さくて可愛い"の意味です。

案内板

ここで、被災地応援ランチをしたいと思います!!今回は、被災されて旅館の営業ができない「しらさぎ荘annex」に伺いました。

うな丼

しらさぎ荘の「うな丼」1,200円。国内産のウナギ三枚がドーンとのっています。非常に肉厚で、コスパがいいと思いました。

人吉復興商店街 モゾカタウン(ひとよし駅前)

国宝・青井阿蘇神社

青井阿蘇神社

おすすめ観光スポットの一つ、青井阿蘇神社です。

青井阿蘇神社は、1200年前の大同元年(806年)に創建されました。阿蘇の広大な原野を開拓し、その守り神として阿蘇山のふもとに鎮まる阿蘇神社の御祭神十二神のうち、三神の御分霊が、重陽の日・9月9日に青井阿蘇神社に祀られたそうです。

御祭神の名は、初代の天皇である神武天皇の孫にあたられる健磐龍命(たけいわたつのみこと)、その妃の阿蘇津媛命(あそつひめのみこと)、お二人の子供の國造速甕玉命(くにのみやつこはやみかたまのみこと)の三柱の神々だそうです。

この開拓の守護神である阿蘇神社の神々を祀り、ご加護を受けながら人吉球磨地方の開拓が営まれ、安住の地を得ていったのではないかと思われます。

鳥居

インスタ映えしそうな鳥居ですね!

【青井阿蘇神社】

復興支援2:球磨焼酎蔵ツーリズム

球磨焼酎蔵ツーリズム

「球磨焼酎蔵ツーリズム」とは、焼酎蔵めぐりや様々な体験などを通して球磨焼酎を楽しむ観光です。2020年春、蔵元・鉄道会社・酒販店・旅館と地域のチカラを合わせてスタートしました。

球磨焼酎蔵ツーリズムでは、4種類の体験が用意されています。

1. 飲み比べ体験

飲み比べ体験では、球磨焼酎の4つのタイプ、フレーバータイプ、ライトタイプ、リッチタイプ、キャラクタータイプや、熟成方法・年数によって異なる、バラエティに富んだ味わいの魅力を感じていただけます。

2. 蔵元限定体験

本物の樽素材を使った熟成体験、球磨焼酎の伝統的な酒器ガラ・チョクでの昔ながらの球磨焼酎の飲み方、マイブレンド体験、オリジナルラベル作りなど、蔵元ごとの特徴を活かした様々な体験をお楽しみいただけます。


3. 楽しみ方講座

蔵元直々に、球磨焼酎の歴史・文化、熟成酒の味わい方、それぞれの蔵元の焼酎の特徴などをレクチャーする、様々な楽しみ方講座のプログラムが用意されています。

4. 仕込み体験

1年の中でも限られた期間、少人数限定で受け付ける特別プラン。昔ながらの手作りの伝統を守っている球磨焼酎の仕込みを実際に体験できる貴重な機会です。(期間限定・特別プラン)

>>体験メニューと蔵元の詳細はこちらから

※新型コロナウイルス感染症対策の関係で、メニュー内容が変わる場合があります。詳細は各蔵元にご確認ください。

蔵元のご紹介

球磨には27の蔵元が点在し、それぞれ個性のある焼酎が作り出されています。

>>27の蔵元の詳細はこちらから

この中から、今回は2つの蔵元を訪れてきました。

高橋酒造(白岳伝承蔵)

高橋酒造

高橋酒造の「白岳伝承蔵」は、球磨焼酎の歴史と、球磨・人吉地方の文化が育んだ本格米焼酎を学べる見学蔵です。

焼酎

焼酎の龜(かめ)がズラリと並んでいます。

梅酒

12か国語に対応したサイトがあります。読み上げ機能もついていて素晴らしいです!

>>白岳伝承蔵の多言語サイトはこちら

【白岳伝承蔵】

  • 住所:熊本県人吉市合ノ原町461-7
  • TEL:0966-32-9750
  • HP:白岳伝承蔵

繊月酒造(せんげつしゅぞう)

今回は、こちらの繊月酒造で球磨焼酎蔵ツーリズムを体験しました。

繊月酒造

人吉城の別名「繊月城」から名付けられた蔵元・繊月酒造。全国的にも珍しい足湯と公衆浴場を持った蔵元であることも魅力の一つです。

有名な焼酎「川辺(かわべ)」は、すっきりした飲みやすさ。「川辺」の名前のもとになっている川辺川は、平成18年から15年連続「水質日本一」に選ばれた河川です。水質15年連続日本一の水が材料として使われているのです!

『ミシュランガイド熊本・大分2018特別版』の出版パーティでは、鏡割りにこちらの川辺の樽が選ばれたそうです!

ミシュラン出版パーティーの様子

早速試飲とまいりましょう!!

焼酎飲み比べ
<試飲用の焼酎>

繊月酒造のくまモン

くまモンもいましたよ。

ロゴが入ったふすま

地元の建築デザイナーが、梁など地元の木を使い、温かみのあるいい感じに設計されていました。

試飲体験

飲み比べ体験をしてみましょう!

焼酎飲み比べ

左から、飲みやすい「川辺」、ウイスキーの様な味わいの「たる繊月」、40度の強い「無言」。名の通り無言になります。

リキュール

こちらは、今人気のリキュール系です。「ももも」は果肉入りで濃厚な味でした。おいしかったですよ!

ムジェン

球磨焼酎もついにアメリカ進出!その名も「ムジェン」!2021年11月にニューヨークで販売会が開催されるそうです。

アメリカのみの限定販売だそうですので日本で買うことはできません!

ガラチョク
<ガラ・チョク体験>

原酒に水をくわえて35度くらいにした焼酎を「ガラ」に入れ、直燗で飲むのが主流で、それを「チョク」に注いでなめるようにチビリチビリと飲んでいたそうです。球磨焼酎蔵ツーリズムでは、このような体験もできます。

足湯

こちらは足湯のスペース。お酒が飲めない方、足が悪くて酒蔵体験が難しい方は足湯が楽しめますよ。

【繊月酒造 焼酎蔵】

  • 住所:熊本県人吉市新町 1
  • TEL:0966-22-3207
  • HP:繊月酒造

復興支援3:温泉旅館の努力と球磨焼酎蔵ツーリズム

あゆの里
<あゆの里 外観>

今回ご紹介する宿は「あゆの里」です。

あゆの里足湯

玄関前には、足湯があります。

つい2021年の6月までは、1階のロビー他は工事中だったそうです。

新しく生まれ変わった、この5星の綺麗なホテルに宿泊してみてください。

球磨焼酎ラウンジ

旅館自慢の球磨焼酎ラウンジ。このラウンジは、球磨焼酎蔵ツーリズムにも利用されるそうです。(詳細はホテルにご確認下さい。)まるでビジネスクラスのラウンジのようですね。宿泊者はこのラウンジをなんと無料で利用できるのです!

球磨焼酎ラウンジ

球磨焼酎ラウンジ

おしゃれで、落ち着く空間ですね。

球磨焼酎ラウンジ

ここで飲む焼酎ハイボールは格別の味です。

復興支援4:こだわりの名店で「すし みむろ」で夕食

すし みむろ

復興支援のため、地元のお店に伺うことにしました。あゆの里の若女将に紹介してただいた『すし みむろ』に伺いました。東京で修行を積まれた後、跡を継いで商われています。

料理だけでなく、器にもただならぬ思い入れがあり、寿司を置く皿、焼酎グラスやおちょこなど色々選ぶことができました。もちろんマグロなどは違いますが、食材も地産地消へのこだわりがとても強く、地域への強い想いを感じました。

一品料理の数々
<コース料理の数々>

コースのスタートはの茶碗蒸し。食べていくうちに白いものが・・・。白子が入っていました。

さすがに日本酒が欲しくなりますよね。

赤と緑の鮮やかな一品。さわら、ひらめ、銀杏。もう秋を感じます。そして、絶妙な火の入れ加減の牡蠣のオイル漬けと海老。(海老は頭や皮だけで味付けされているそうです。)

次に秋刀魚のつみれ汁ともう一品。どれも非常に新鮮で、素材の良さを引き出すレベルの高い食事だったと思います。

寿司コース

そのあとは寿司のコース。ここ人吉で江戸前を食べることができるとは!

珍しい赤酢の硬めのシャリ。最高です。

マグロは120キロ級の青森産。エンガワも美味しい。いくらはウニ乗せ飯。アナゴは塩とタレが選べましたが、シンプルに「塩」。間違いなし。ホワホワのアナゴは格別でした。(実は最初悩みタレで頼みましたが、大将が「塩が美味しいですよ」と、小声で言われたのを聞き逃さず、すかさず塩にしました!)

最後は玉子で、THE END。

焼酎はもちろん、日本酒も日本各地のものがあり、最高の料理でした。(6,000円~)

ちなみに、ランチも営業されていますが、1日1組のみです。(4,000円~)

【すし みむろ】

ライトアップ

ライトアップ

お腹も心も満たされた後は、ウンスンカルタのライトアップを見ながら旅館へと歩いて帰りました。

朝食と朝の幻想的な景色

あゆの里

朝起きてみると幻想的な世界が、ここは人吉盆地。このような日は晴れるそうです。

朝の風景

動画でもご覧ください。

朝食会場

朝食はDining 然蔵(さくら)でいただきます。

朝食

何とも鮮やかで綺麗な色合い!手前はあゆの焼きものです。1匹丸ごと出さず、食べやすいサイズになっているのは嬉しい心遣いでした。

清流山水花 あゆの里

球磨川下り(復興の現場から)

はっせん場

現在、球磨川下りは運休しています。豪雨災害の影響で、河川の地形(川底や石の位置など)などが変化しており、安全を確保できるまで暫くかかるとのこと。今は川下りの代わりに、球磨川くだりの遊覧船「梅花の渡し」(所要時間約30分)が運航されています。

>>「球磨川くだり」公式HPはこちら

球磨川くだり

そんな球磨川下りの発船場が新しいランドマーク「HASSENBA」として生まれ変わりました。HASSENBAは、球磨川下りの発着所であり、サイクリングやラフティングなどアクティビティの拠点でもあり、さらにカフェやバーも併設されています。

はっせん場

発着所は綺麗に整備されました。あとは以前の状況に戻り、受け入れ側が準備するだけです。

もう少し時間が必要かな?がんばれ!

球磨川

エッグベネディクト

HASSENBA内にある九州パンケーキカフェのエッグベネディクトです。

パンケーキ

そして、こちらはパンケーキ。ふわふわ&もっちりで、美味しかったです。

HASSENBA

  • 住所:熊本県人吉市下新町333-1
  • TEL:0966-22-5555
  • 営業時間:10:00~17:00
  • HP:HASSENBA

まとめ

人吉・球磨地区を訪れてみると、被災して地域の交通が寸断されていたり、被災地の現状・課題だったり、まだ営業できていない旅館や飲食店もたくさんありました。しかしその地域の良さだったり、その努力だったり、やはり実際に行って、見ることでいろいろなことがわかりました。

時間はかかるでしょうが、まずは早く復興してもらうために、被災地を様々な形で応援する。お金もその地域に落とすことで支援する。

昨今の災害が多い中、災害に合われていない皆さんの出番です。私たちもいつ同じ目に合うとも限りません。そんな気持ちで今回は訪問させていただきました。

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