ポテンシャルを秘めた自然の宝庫!奥三河の「穴場絶景」BEST5

これまで愛知県内を数々巡ってきた中で、ぜひ多くの人に訪れて欲しいと思った場所を紹介する"愛知の絶景スポットBEST5"企画ですが、とうとう本稿で連載最後になります。そこで今回、ラストを飾るに相応しいと考えたテーマは、筆者の故郷である「奥三河」エリアの穴場絶景について。

「奥三河」という名称はあまり聞き慣れないかもしれませんが、具体的には岐阜・長野・静岡三県との県境をなしているエリアで、愛知の中でも手付かずの自然が多く残る、まさに秘境地帯です。マイナーなスポットも多いですが、「これは...!」という絶景スポットをランキング形式で紹介します。

目次

第5位 : アスレチック登山の先に「岩古谷山の大展望」

岩古谷山

以前、この連載でも紹介したように、素晴らしい名山を多く有する奥三河。その中で、設楽町に位置する「岩古谷山(いわこややま)」は、マニアックなハイカーの間で有名です。その理由は、難易度は高くないものの、アスレチックな登山道を楽しめ、山頂では大展望が味わえるから。

おすすめは和市 登山者駐車場に車を止め、堤石トンネルの横から入山する、山頂までの最短ルート!岩壁を望みながら谷間を登り、時には鎖場もあり、スリル抜群です。

岩古谷山

そして登山開始から30分〜1時間ほどで山頂へ到着します。すると眼下には遥か、設楽の町並みが広がり、同じ目線には三ツ瀬明神山や鳳来山など、奥三河の山並みが雄大に展開!また、天気が良ければ、南アルプスを望むこともでき、奥三河有数の山岳パノラマを誇ります。

登頂時の感動と達成感、そして清々しさを満喫できるので、初心者ハイカーにうってつけの名山と言えるでしょう。

岩古谷山

  • 住所:愛知県北設楽郡設楽町平山
  • アクセス:鳳来峡ICから「和市 登山者駐車場」まで車で30分、堤石トンネルルートから山頂まで片道1時間弱、和市ルートから山頂まで片道約1時間半
  • URL:http://www.shitara-trail.jp/mountain/iwakoya/

第4位 : 自然と人の努力が作る!冬の造形「いなぶの氷瀑」

いなぶの氷瀑

奥三河の冬の風物詩として、密かに知られている「いなぶの氷瀑」。愛知県の一番北部、稲武町に位置しています。

元々、稲武町在住の水道屋さんが、冬になると大井平公園付近(六郎木)にある滝に柱を建て、毎日湧き水をかけて巨大なツララ(氷瀑)を作っていました。それが口コミで話題を呼び、年々訪れる観光客が増えています。愛知県内では、随一の人工氷瀑です。

いなぶの氷瀑

一言で言えば、奥三河の厳しい寒さと、人の努力が作り上げる造形作品。訪れるタイミングにより成長具合が少しずつ異なり、唯一無二の姿に!また氷瀑の色合いは、透き通った水晶色。ほのかに水色に染まり、輝いています。

気温が一段と下がったタイミングで訪れてみましょう!2021年は実施されなかったものの、冬の情緒にふさわしい荘厳なライトアップもおすすめです。

いなぶの氷瀑

第3位 : 荘厳な自然の静寂に見入る「Mt.押山の流れ雲」

Mt.押山

稲武町の隣、豊田市押山町の穴場絶景スポットが「Mt.押山」。元々は地元民の間で、雲海の隠れ名所として知られていましたが、今では山頂に展望台が整備され、観光名所として注目を集めています。

アクセスが少々分かりづらいのですが、バス停・押山から稲武カントリークラブへ向かう一本道の途中、標識に従って進み、その終点に駐車をしたら、徒歩5分。一本杉の向こう側、展望がひらけると同時に登頂です。

Mt.押山

雲海は一時期しか見られないのですが、雨の日の翌日に訪れれば、山間に湧く流れ雲のパノラマを楽しめます。時間の経過につれて少しずつ変わっていく、神秘的な自然の表情を存分に味わうことができるでしょう。

「自然の中に身を投じるって、こんなに気持ち良かったんだ!」雄大な山並みを眺め、静寂な秘境の情緒を感じながら、思わず時間を忘れて立ち尽くしてしまいます。

押山

第2位 : 生命力滾る一面の緑!「初夏の香嵐渓」

香嵐渓

紅葉名所として全国的にも有名な豊田市足助町の「香嵐渓(こうらんけい)」ですが、実は最もおすすめのシーズンが初夏〜夏にかけてです。なぜなら、巴川一帯が溢れかえるほどの緑に包まれるから。

鮮烈ながらどこか物寂しい紅葉の情緒とは異なり、青空とのコントラストが爽やか、生き生きとした青紅葉に心洗われます。このシーズンは散策する人もまばらで、癒しを存分に得られるのもポイントです。

香嵐渓

香嵐渓の一帯はフォトポイントも多く、カメラを持ち歩くのも楽しいです。青紅葉のトンネルや、香積寺の山門、飯盛山への登山道など、どこを歩いても絵になる風景があります。

中でも特におすすめなのが、"巴橋から眺める待月橋"。青紅葉と渓流が奥行きをもち、涼しげで色鮮やかな絶景を見せてくれます。GWになると鯉のぼりもかけられ、家族づれで川遊びを楽しむシーンも風物詩になっています。

香嵐渓

  • 住所:愛知県豊田市足助町飯盛
  • アクセス:東海環状自動車道 豊田勘八IC下車、国道153号飯田方面へ13km/猿投グリーンロード力石IC下車、国道153号飯田方面へ9km
  • URL:https://www.tourismtoyota.jp/spots/detail/22/

第1位 : 原生林が一面の氷花の森に。「面ノ木園地の霧氷」

面ノ木園地

樹齢300年以上のブナの原生林が残る「面ノ木園地」。茶臼山高原道路の途中、長野県との県境をなす設楽町の一角に位置しています。四季折々、風光明媚な風景を見せてくれるこの場所ですが、中でも一際美しいのが冬の時期です。

冬型の気圧配置が訪れた冬のとある朝、原生林にはまるで氷の花が咲いたように、霧氷(過冷却により空気中の水分が木々に付着する現象)の森が形成されます。

面ノ木園地

もちろん園地の入り口から眺めるのも素晴らしいのですが、一番のおすすめはその最高峰に当たる天狗棚(標高1,240m)へ向かう道中で見られる"霧氷天井"。

登山道の途中でふと見上げてみれば、純白の霧氷と透き通った青空とのコントラスト。例えようもなく爽快で、吸い込まれるような美しさを見せてくれます。まるで冬に咲く、満開の桜のような佇まいに、思わず見惚れてしまうはず!

面ノ木園地

今こそ自分だけのマイクロツーリズムへ!

奥三河

いかがでしたでしょうか?連載ラストとなる第6回は、私のホームエリアである奥三河の穴場絶景をランキング形式で紹介してきました。愛知の中でも注目されにくいエリアではあるものの、四季折々実に美しく、表情豊かだということを存分に伝えられたと思います。

しかし、私が本当に言いたいのは、その奥三河の魅力だけではありません。読者の方々には、この記事に盛り込んだ視点を参考に、自分自身の地元を振り返ってもらい、身の回りで魅力的なスポットを探して欲しいと強く思います。あなただけのマイクロツーリズムを見つけてみませんか?

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土庄雄平

1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部文化史学科・英文学科卒。サラリーマンの傍ら、自転車旅&登山スタイルで、日本各地を駆け巡るトラベルライター。春は桜を愛でながらサイクリング、夏は冷涼な北日本へ自転車で大冒険、秋は秘境の紅葉を求めて山登り、冬は輝く樹氷と白銀の世界に魅了される。そんな自然の中へ身を投じる旅がルーティーン。

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