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鬼八方師が蹴破ったというパワースポット、その神代的空間とは!?
「熊本、神社、パワースポット」とググってみると、突如出てくる「上色見熊野座神社(かみしきみくまのいますじんじゃ)」。あまり聞き覚えのない名前に、一体どういうパワースポットなんだろうと思ってしまいますが、こちらの神社...実はあることで一躍有名になったんです。何だと思いますか?幽霊スポットではありませんよ。
阿蘇神社や幣立神宮ならパワースポットとしても有名ですが、上色見熊野座神社...はて?熊本なのに熊野?と、なかなか違和感が拭いきれないところですよね。ですが写真を見ると「あぁ、ここなら知ってる!」と大きく頷く人も多いかも知れません。
目次
あのアニメの舞台になった場所!
巷では映画などの「ロケ地」巡りが流行っていますが、実はこちらはアニメ「蛍火の杜へ」の舞台になった場所。ということで日本全国、更には海外からも多くの人々が訪れる場所になっています。
人気がある大きな理由のひとつとして挙げられているのが、「あまりにも神秘的な空間!」と言われるそのビジュアル。道路脇にぽつんとある入り口からは想像できないのですが、奥へと進んでいくと徐々に空気が変わっていくのが感じられます。
鬱蒼とした異空間
木々に細長く囲まれた空間は鬱蒼としていて、長く続く階段の先を見上げると、どこか異空間へトリップしてしまいそうな気配が漂っています。この日は早朝から訪ねてみたのでまだ誰もいず...心細さにこのまま登っていいものかどうか考えてしまいましたが、辺りの深淵な空気にぎゅっと心を掴まれてしまい、気がつけば足は勝手に階段を登り始めていました。
神社にたどり着くまでには細かな階段が続き、その両脇にはずらりと石灯籠が並んでいます。その数100体ほど、まさに圧巻の風景です。歩けど歩けど途切れずに続く石灯籠。その表面には苔などの小さな植物が張り付いていて、ひっそりとした深い呼吸を感じられるかのようです。
苔むした、とても雰囲気のある石が幾つか祀られています。大きな石には神気が宿ると言いますが、この石にも何かそのようなパワーがあるのでしょうか。実はこの石、後でご紹介しますが面白い由来のある石なんです。
今にも吸い込まれそうな気配の正体は...?
階段の上方に拝殿が姿を現し始めました。その気配の強さに押され、立ち止まって凝視してしまいます。その建物は何だか大きな口を開いてこちらを待っているようで、今にも吸い込まれてしまいそうな...それもそのはず、拝殿の裏手を登った場所に例のパワースポットがあるらしいのです。
穿戸磐(うげといわ)と呼ばれるそのパワースポットは、神話時代の物語に発端しています。ある時、阿蘇の神様の怒りをかってしまった鬼八方師が、阿蘇大明神から逃げる時に蹴破ったと言われるのがこの穿戸磐なのです。上色見の外輪山を超えて逃げ回ったと言い伝えられていますから、ダイナミックでかなり面白いお話ですよね。
地元では、先ほどの苔むした石...あれは何と、蹴破られて飛び散った岩の一部だと言われているそうです。そう考えるとあの石も、なかなかのパワーストーンですよね。
素朴で力強いエネルギー
壁のない拝殿の奥に、ポツンと立っていた御幣(ごへい)。神棚がないのは、この先にある自然の岩を神様としているからなのでしょうか。シンプルな自然崇拝の形から、素朴でいて力強いエネルギーが伝わってくるかのようです。
ここの神様は他にも、鎌倉時代末頃に始まった熊野信仰の広がりから伊奘諾、伊邪那美二柱の大神と、阿蘇大明神の荒魂が祀られています。だから神社の名前が上色見熊野座神社という名前なんですね、納得です。
ついにお目見え、そのパワースポットとは...!
拝殿の裏手にまわりました。さあ、ついにパワースポットのお目見えです!遠く見上げた場所に、ポッカリと空間が空いているのが見えますでしょうか?あの穴が、鬼八方師が蹴破ったという岩穴なんです。木々に隠れて岩の全体像がよく見えませんが、実はめちゃくちゃ大きな岩なんですよ。穴の向こう側から光が差し、どこか神々しさも感じられます。
こんなにも大きな一枚岩を打ち砕くことができるなんて、神話の世界のお話とは言え余程の気合いが必要ですよね。パワースポットと呼ばれるこの穿戸磐(うげといわ)、今では困難を打ち砕けるようにと、合格・必勝祈願の場所になっているようです。
穴の前まで登ってきました。岩の前には紙垂(しで)が結ばれた縄で結界が張られ、ここから先は神様の場所だということが示されています。神代の時代に開いた岩穴。その向こう側に上色見の外輪山をかけまわる鬼と神の姿を思い描き、神代にほんの少し触れたような不思議な心地を味わうことができました。
ちょっとしたタイムトラベルを終え、石灯籠が続く階段を下る頃には、景色も心なしか明るさを増していました。帰る際には何人かとすれ違いましたが、地元らしき人や観光客もいます。騒がしい様子は全くなく、皆静かに心に何かを抱いているかのように歩いています。
帰り道、入り口の所に座っている石像と目が合いました。朝入った時には気づいていなかったのですが、愛嬌のある笑顔で笑いかけてくれています。昔はこんな感じで野生動物も多くいたのかもしれないなと、今出たばかりの入り口の鳥居から中を振り返り見ました。
生活空間からちょこっと入り込んだ所にある上色見熊野座神社。そこには神代の気配が色濃く残る空間がポッカリと広がっています。今と昔を繋ぐ場所へとワープしていく、長い階段と石灯籠の数々...上色見熊野座神社は、タイムトラベル感の強い不思議な神社でした。
高森町は他にもおすすめスポットがいっぱいの場所です、ぜひ遊びに行ってみてくださいね。
上色見熊野座神社(かみしきみくまのいますじんじゃ)
- 住所:熊本県阿蘇郡高森町上色見2619
- 問い合わせ:0967-62-2913(高森町町役場政策推進課)
- 高森町HP:上色見熊野座神社
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Hinata J.Yoshioka
- フォト&ライター。国内を転々と旅した後、沖縄にたどり着き12年を過ごす。現在は神戸を中心に活動中。ハワイ好きでフラ歴もあり、ロミロミマッサージのセラピストとしての一面も持つ。好きなことは料理・物作り・音楽・読書・写真・旅などあらゆることに興味はつきない。世界を船でぐるり2周した物語もWebで掲載中!!