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【福井県の伝統工芸とグルメ】日本海沿岸はその昔、日本の交易と文化の銀座通りだった。
こんにちは!たびこふれのシンジーノです。
先日、初めて福井県に行ってきました。
あなたは、「福井県」といったら何を思い浮かべますか? 東尋坊? 永平寺? それとも恐竜?
日本国内を旅行する、とした時、いの一番に「福井に行こう!」という方は、少ないんじゃないでしょうか。旅する観光地としてのインパクトは他の土地に比べてやや、いえかなり低いのでは?(福井の皆さんごめんなさい!)正直、それが、私の福井に対する印象でした。
また福井を含め、日本海沿岸は「裏日本」なんて呼ばれ方をしたりして、太平洋側の他県に比べると、マイナーな印象がありました。
が、しかーし!
あなたは、ご存知でしたか?
- 裏日本と呼ばれる日本海沿岸の町は、以前は日本の銀座通りだったということを
- 福井は、平安時代から、京都の朝廷に、豊かな海の幸や上質な工芸品(※1)を献上する土地柄だったということを
- 大陸(外国)と日本を結ぶ、国の重要な玄関口だったということを
- 北前船など交易の幹線で、文化や物と人の交流が盛んで、それはそれは栄えた賑やかな土地であったということを
今回、私が福井に実際に訪れて、この土地があらゆる意味で、とても豊かな土地であることを知りました。
福井県、富山県、石川県などは、「日本国内で住みやすい県ランキング」の常連です。
「その理由は何なのか?」 その意味もわかったような気がします。
今回は、そんな福井の魅力をお伝えしようと思います。
※1 朝廷に献上されていたもの:魚介類(鱈(たら)、鯖(さば)、鮑(あわび)、烏賊(いか)、海鼠(なまこ)、蟹、鱸(すずき)など、伝統工芸(漆器、打刃物、指物、陶器など)
目次
- 福井県の基本情報
- 今回訪問した都市
- 福井はモノづくりの町
- 福井の伝統工芸 その1 若狭めのう磨き体験(小浜)
- 福井の伝統工芸 その2 若狭塗箸の研ぎ出し体験(小浜)
- 福井の伝統工芸 その3 越前和紙 紙漉き体験(越前)
- 福井の伝統工芸 その4 越前箪笥 三崎タンス店(越前)
- 福井の伝統工芸 その5 越前打刃物 タケフナイフビレッジ(越前)
- 福井の伝統工芸 その6 越前焼 越前陶芸村(越前)
- 福井の伝統工芸 その7 越前漆器(鯖江)
- 福井のグルメ 酔っ払い鯖(小浜)
- 福井のグルメ 越前がに(越前)
- 福井の観光地 レインボーライン(若狭)
- 福井県人の気質
- 福井県の魅力まとめ
福井県の基本情報
福井県は、本州の中部に位置し、日本海に面しています。人口約76万2,000人。県北側の嶺北(越前地方)と、南側の嶺南(若狭地方および敦賀市)に分かれています。県庁所在地は福井市。観光地は東尋坊、永平寺、恐竜博物館、一乗谷朝倉氏遺跡など。
今回訪問した都市
小浜(おばま)市~若狭町~敦賀市~鯖江市~越前町~越前(旧武生)市
→福井県の地図はこちら
福井はモノづくりの町
私の目に映った福井の特徴は「モノづくりの町」ということです。
商人の町というよりも職人の町、そういった印象を持ちました。実際、福井にはレベルの高い伝統工芸が今も息づいています。今回、体験を含め福井の7つの伝統工芸を見学しました。
福井の伝統工芸 その1 若狭めのう磨き体験(小浜)
先ずは、御食国(みけつくに)若狭おばま食文化館で、めのう磨きの体験をしました。
<御食国若狭おばま食文化会館 館内の様子>
伝統工芸体験というと、どことなく、学校の社会科見学、といった匂いがしないでしょうか。教育の一環というか、ややお堅い印象です。プライベートではわざわざやりたくない、面倒くさい、というネガティブなイメージ。しかし今回3つの伝統芸能体験をしましたが、そのどれもが想像以上に面白かったのです。
特にめのう磨きは、ひたすら紙やすりでめのうを磨く、という単純作業なのですが、これにハマる人が続出している、そうです。磨いていると、無心になれる、ただひとつのことに集中するという行為が、心の癒しになるようなのです。リピーター化する人もいるそうです。
ちなみに「めのう」とはどういう石か、ご存じでしょうか。
めのうは貴石(きせき)と呼ばれ、宝石ではありません。石英(せきえい)という石の一種です。その特徴は堅さです。ダイヤモンドの硬度が10なのに対し、めのうの硬度は7です。そもそもは、水晶や勾玉を磨く技術は若狭が発祥で栄えたそうです。それが出雲などに広まっていきました。磨くという行為は、石の表面のでこぼこを平らにしていくという作業です。実際やってみるとめのうはかなり堅いです。しかし、一度磨いて艶が出ると、そのつやは落ちません。
めのう磨き体験は、目の粗い紙やすりで約20分磨き、その後粗さの違う紙やすりでさらに約10分、つやを出してできあがります。
めのう体験は2種類あり、今回はめのう磨きをやってみました。(体験時間 約35分で900円)
まずは、自分が磨く、めのうの石を選びます。
めのう職人の上西先生が丁寧に磨き方を教えてくださいました。
ではさっそくめのう磨き開始!紙やすりにめのうの面をあて、ひたすら、ただひたすら磨きこみます。単純で根気の要る動作ですが、これをやっていると不思議と気持ちが落ち着いてくる、というかなんだか心地よい気分になってきました。何も考えず、目の前のめのうをひたすら磨くという動きが集中力を高め、ひとつのことに没頭できるというおそらくドーパミンホルモンが分泌されているのではないかと思います。
こちらがビフォーアフターです。右が磨く前で、左が磨いた後。どうですか、輝きが違うでしょう?一度磨くとつやは消えないそうです。
ペンダントにしてでき上がりです。
→御食国若狭おばま食文化会館の体験メニューはこちら
福井の伝統工芸 その2 若狭塗箸 研ぎ出し体験(小浜)
続いて若狭おばま食文化会館の同フロアにて、若狭塗箸の研ぎ出し体験をしました。(体験時間 約40分 1,000円)
ん?研ぎ出し体験?なにそれ?
研ぎだす箸はこちらです。
こちらの体験も、職人の先生が丁寧にやり方を教えてくださいます。
紙やすりが張られた立方体の木で、箸の表面をこすっていきます。
めのうに比べてこちらの作業は簡単で力も要りません。でき上がりはこちらです。
上が研ぎだした後の箸で、下が研ぎだす前の箸です。
よくご覧ください。箸の表面にキラキラした模様が見えます。これは貝殻や卵の殻なのです。これらを箸に埋め込み、樹脂でコーティングしたその表面を紙やすりで削りだしていくことで美しい模様が表れる、ということです。「研ぎだす」という意味がおわかりになったでしょうか。削りすぎると模様が剥がれてしまうので、その微妙な加減が大事です。
若狭塗箸は高貴な人々が使う高級箸として発展しました。箸の素材は、もともとは竹でしたが、現在はマラスという外材を使っているそうです。外材といっても、強くてしなりがあって箸に向いている木材なのだそうです。
→御食国若狭おばま食文化館の体験メニューはこちら
福井の伝統工芸 その3 越前和紙 紙漉き体験(越前)
3つめの体験は、越前和紙の紙漉きです。場所は越前市にある越前和紙の里「パピルス館」という所です。ちなみにパピルスとは、古代エジプトで文字が書かれた紙の元祖と言われているものです。
日本全国に紙漉き体験ができるところはいくつかありますが、越前和紙の特徴は、体験で作れる紙の種類がたくさんあることです。
色紙、はがき、コースター、名刺、しおり、うちわ、あかり(ランプシェード)などを作ることができます。
こちらが紙の原料、こうぞです。学校の教科書に出てきましたね。
こちらでも紙漉き職人の佐々木先生が丁寧にやさしく面白く教えてくださいました。子供たちにも大人気だそうです。今回行った3つの体験とも、先生はとても親切で優しかったのが印象的でした。
今回は、はがき(2枚)作りに挑戦です。(体験 30分500円)
紙の模様として入れる(埋め込む)素材を選びます。
イチョウとモミジを選びました。個人のセンスが光ります(笑)水分を抜いて乾燥させたら出来上がり、30分程度で体験終了です。
でき上がった作品は、こちらのカバーに入れてもらえます。お土産や記念にとってもいいですね。ちなみに大相撲の番付表に使われているのは、越前和紙だそうです。
伝統工芸体験を通して感じたこと
今回、3つの体験をしましたが、想像以上に楽しかったです。30分程度でその土地で昔から脈々と受け継がれてきた伝統工芸に触れることができます。
匠の作られた作品を展示館でただ見るだけよりは、親近感が増して思い出に残ります。しかも体験料金が安い!1,000円前後で、作った製品も思い出として持って帰ることができるので、おすすめです。私的に今回の体験の中ではめのう磨きが一番大変でした。でも一番ハマったのも、めのう磨きだったかもしれません。次機会があればまた磨いてみたいと思います。無心で(笑)
福井の伝統工芸 その4 越前箪笥 三崎タンス店(越前)
越前市(旧武生市)にタンス町という通りがあります。武生は昔、国府が置かれていた文化、経済の中心地でお金持ちの旦那衆の家に出入りしていた指物職人が暮らす通りがありました。明治時代になるとそうした腕のよい職人がタンスを作るようになり、全国的にも珍しいタンス町が生まれました。
<タンス町>
奈良の法隆寺の大宝蔵院に国宝の橘夫人厨子が安置してあります。この厨子の台座に「越前」の文字が墨書きされています。このことから8世紀には既に越前に優れた木工技術があったことを示しています。
タンス町には最盛期には数十軒のタンス店がありましたが、時代の趨勢で今では数軒を残すのみになっています。その中のひとつが越前箪笥 三崎タンス店です。
こちらが8代目社長の三崎 俊幸さんです。
越前タンスは大きく2種類に分けられます。ひとつは金庫としての役割を持つタンス。
すべての引き出しに鍵がかかり、金具で補強、装飾された重厚な造りです。もうひとつが衣装を入れる桐タンス。桐が呼吸しているため、湿気がこもらず、衣類を守ります。
上と下を見比べてみてください。古くなった桐タンスも洗い、表面を薄く削ることで、新品同様に生まれ変わります。一生ものとして、親子代々受け継がれるものとして、価値の高いタンスです。
→三崎タンス店の詳細記事はこちら
「全国的にも珍しい「タンス町」がある街<三崎タンス店の思い>」
福井の伝統工芸 その5 越前打刃物 タケフナイフビレッジ(越前)
越前の打刃物には、約750年の歴史があります。京都の刀匠・千代鶴国安(チヨヅルクニヤス)が刀を作るために、良質な水を求めて府中(現・越前市)にたどり着き、その土地の農民のために「鎌」を作ったことが、ここで打刃物が盛んになったきっかけだと言われています。
タケフナイフビレッジは共同工房として構成されており、7社の刃物会社、43名の職人が在籍しています。タケフナイフビレッジは単なる古い伝統を守るだけでなく、越前打刃物の技術と、現代デザインとの出会いによって生まれたブランドです。職人さんたちは、「切るモノ」「切るコト」を考え、現代生活の中で新しい刃物のあり方を提示していく、というコンセプトで歩まれているそうです。
工房は作業風景を上から一望できるスロープがあり、無料で見学することができます。
見学スロープから見下ろした作業場の様子です。
まるで、SF映画のワンシーンのようですね。
伝統を守るだけでなく、「切る」ということへのたゆまぬ挑戦の姿勢を感じました。こんな切れ味の刃物、ひとつは持っていたいですね。
福井の伝統工芸 その6 越前焼 越前陶芸村(越前)
越前焼は日本六古窯(ろっこよう)のひとつです。六古窯とは、平安時代から鎌倉時代に始まり、現在まで生産が続けられている6つの窯のことで、越前焼の他に、瀬戸焼、常滑焼、備前焼、信楽焼、丹波焼があります。
越前焼の特徴は、素朴でありながら、力強く個性的な美しさを持つ点で、土のぬくもりを感じさせる焼き締め技法、釉薬を使わない自然釉の黄緑色の美しさも魅力です。壺、甕、すり鉢などの生活雑貨、や宗教用途(骨壺など)のものが多く作られます。越前の土には鉄分が多く含まれ、耐火性も強いため、表面が赤黒、赤褐色の焼き上がりになります。土が焼締められ、絵付けもない、素朴な風合いです。堅く、水に強いので大きい壺や甕、酒器や茶器など日常生活で使う製品が多いです。
越前陶芸村には、鎌倉時代に使われていた「穴窯」の実物大復元模型も展示されています。
<福井県陶芸館内の様子>
<穴窯の復元模型>
越前焼は、堅く、水に強いのが特徴なので、壺や甕に向いています。
越前焼と呼ぶことができるのは、越前の土を使っていること、越前の土地で作ること、のふたつのみで、ルール規則はそれほど厳しくありません。そのため、伝統に縛られず、製作者の感性、デザインで自由に作ることができ、作品にもバリエーションがあるのが魅力です。
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福井の伝統工芸 その7 越前漆器 うるしの里会館(鯖江)
越前漆器の誕生は、1500年前まで遡ります。第26代継体天皇が皇子だった頃、壊れた冠の修理を片山(現在の鯖江市片山町)の塗師に命じ、塗師は漆で冠を修理するとともに黒塗りの三ツ椀を献上したところ、皇子はそのできばえに感動し、漆器づくりを奨励したのが発祥とされています。それ以来、椀の生産を中心におこなってきました。
<うるしの里会館>
<越前塗山車>
職人さんの緻密な技を近くから拝見することが出来ます。
素人の発想で恥ずかしいですが、「漆」ときくと「かぶれる」ということが思い浮かぶのではないでしょうか。実は、漆職人は漆にかぶれないそうです。日々修行しているうちにかぶれなくなるそうです。体内に免疫ができるということなのでしょうか。ちなみに全国の漆掻き職人の50%は福井県出身だそうです。
改めて見ると、漆器というのは美しいつやと品格を感じる素敵な器だなぁと思いました。外国のお客さまが驚かれるのも納得です。
伝統工芸に続いて、福井のグルメをご紹介しましょう。
福井は食材が豊かな場所です。水が良く、米が良く、酒が良い。そして、日本海で獲れる新鮮な魚介類が豊富です。今回はその中で実際に食べた二つの料理についてレポートします。
福井のグルメ 酔っ払い鯖(小浜)
鯖は鯛などと比べると、大衆魚のイメージがあるかもしれません。しかし、鯖は最も旨い魚のひとつとして朝廷に献上されていました。日本海から京都まで運ばれた道がいわゆる「鯖街道」です。その鯖街道の出発点となるのが若狭です。
今回民宿「佐助」さんで鯖づくしの料理をいただきました。
<酔っぱらい鯖。刺身で食べてもまったく臭みのないうまみたっぷりの味>
<鯖を塩づけした「へしこ(生)」酒のつまみとしてもごはんのお供としても最高の料理です>
<こちらは、焼きへしこ。合わせるのは、日本酒で決まりです>
<へしこを塩抜きし、米と米麹で漬け発酵させた「なれ寿司」。鮒寿司のような刺激臭はせず、とてもまろやかで甘みが引き立ちます>
<なれ寿司の断面。お米と麹の豊かなうまみが鯖とマリアージュした高級珍味です>
<鯖の竜田揚げ>
<鯖の歴史、文化を熱く語ってくれる民宿「佐助」のご主人 森下さん>
酔っ払い鯖は驚きの味でした。鯖がこれほど美味しくうまみの深い魚だと知りました。
鯖と聞いて、正直あまり期待せずに訪れたところ、森下さんのお話を聴いて、鯖を食べて驚嘆するお客さんも多いのだとか。酔っ払い鯖に関するお話は別の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。
福井のグルメ 越前がに(越前)
冬の福井のグルメ、と聞いてこれを外すわけにはいかないでしょう。そう「越前がに」。旬の越前がにを料理旅館「平成」さんでご馳走になりました。
越前がにづくしの御膳です。
先ずは、かにの刺身。身が花咲いたように開いています。瑞々しい食感です。
続いて焼きがに。香ばしさと熱々感が食欲をそそります。
出たっ!かにみそ。お姉さーん、日本酒おかわり、熱燗で!
茹でがに。黄色いタグが越前がにの証です。このタグ制を始めたのが越前がにだそうです。黒い粒が甲羅についている方が美味しいのだとか。味は・・・どんな表現も言葉足らずです。無言で食すのみ!
かに鍋です。かにって淡泊なのにどうしてこんなにいい出汁がでるんでしょうねえ。
ごはんにも、かにの身が乗っています。
白身魚の煮つけ。脂がのって芳醇な味です。かにばかりでも飽きてしまう(なんと贅沢な!)こういう一皿が嬉しいです。
福井といえば、おろしそば。真冬でも冷たくして食べるのが福井流。そばは太めで、殻ごと挽きぐるみ。野趣溢れ、食感、香りともこの食べ方がベストでしょう。大根おろしが胃をさっぱりとしてくれます。
福井の観光地 レインボーライン(若狭)
若狭には、三方五湖(みかたごこ)という風光明媚な場所があります。ケーブルで上がった山頂公園からは360度、湖と日本海を見渡す絶景と出会えます。その山頂公園が2020年4月リニューアルしました。
今回は残念ながら雪が降っていい写真が撮れませんでしたが、こういう景色を観ることができます。(写真:株式会社レインボーライン提供)
2020年のリニューアルで、テラス席が5ヵ所に新設され、より快適に景色を楽しめるようになりました。
山頂へはケーブルか、リフトで上がることができます。かなりの急角度を登ります。
絵になります。映えます。大切な人と来たい場所。ここでは時間を忘れてしまいそうです。
そしてなんとリニューアルで、足湯(無料)が登場!今回は天候不良のため、私は生で絶景を見ることができなかったのが残念ですが、ぜひ再訪したい、そう思いました。
訪れたお客さんからこう言われたそうです。「三方五湖なんて聞いたことなかったけど、いいところだねぇ~。今回の旅行は京都にも行ってきたけど、●●(京都北部にあるあの超有名な観光地)よりも、こっちの方がよかったわ」と。
福井県人の気質
福井の伝統工芸、グルメ、リニューアルした観光地をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。食材が豊か、脈々と受け継がれる伝統工芸が素晴らしい、など福井の魅力を知りましたが、そこにもうひとつ付け加えるとしたら「人」ではないかと思います。
福井の方は最初はとっつきにくい印象を受けるかもしれません。人見知りと言い換えられるかも。それは、商人の町ではなく、職人の町という気質があるからかもしれません。しかし、一度うちとけるととても親切で優しい人が多いように感じました。伝統工芸を教えていただいた匠の先生しかり、よっぱらい鯖の民宿「佐助」の森下さん、三崎タンス店の三崎さん、その他多くの方が、真面目で真摯で誠実な方々でした。たった二日間の滞在でしたが、そんな印象を受け、私は福井が、福井の人たちが大好きになりました。
福井県の魅力まとめ
福井に触れた私は、以前駐在員として住んでいたイタリアを思い出しました。
イタリアに住んでいる日本人の方から聞いた話を、今も鮮明に覚えています。
「イタリア人ってさ、日本人に比べると、怠惰で、特に男は、女性と、サッカーにしか興味がない、ほんとどうしようもない、だめだめなところがあるんだけどね、ここだけは日本人はかなわないなって思うことがあるんだよ。それはね、【本物を見る目】なんだ。彼らは小さな頃から遺跡や建物、絵画など超一級の芸術品を見て育ってる。だから本物を見る目は確かなんだ。逆にエセをすごく嫌う。そんなものは価値がないという。日本人は、見てくれだけ似せた張りぼて(施設等)にありがたがってすぐ飛びつくだろう?彼らはそういう偽物に振り回されない。ここだけは(笑)日本人も見習うべきだと思う」
脈々と受け継がれている伝統工芸はまさに本物でした。それに価値を見出し、守り続けている姿にイタリアの人たちが重なりました。
人間は、自分が住んでいるところの良さを、意外に気づいていないものです。今回、福井で生まれ育って一旦外に出てまた福井に戻ってこられた方に福井の魅力を訊いてみました。「いったん外に出てみてわかった福井の良さってなんですか?」と。そうするとある方からこう教えていただきました。
「そうですね。いろいろありますが、一番衝撃だったのは【水】かな?都会は水がぜんぜん美味しくない。福井は水が旨いです。そして風呂入った時も感じました。私の友達なんて都会で風呂入って具合悪くなったって言ってました。たぶんカルキか塩素の影響かもしれませんけどね。福井は水が旨い。水が旨いから酒が旨い、米が旨い、食べるものすべてが旨い。中にいる時は気づかなかったけど、福井はそういう豊かな土地だったんだってことを教えてもらいました」
福井にもじきに北陸新幹線がやってきます。どうか、福井が他の地方都市のような、リトル東京にならないことを祈っています。
福井、いいとこだったなぁ~
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。