パレスチナ自治区、アイーダ難民キャンプに潜入

本日は、イスラエルの中にあるパレスチナ自治区のお話です。「パレスチナ問題」は、多くの人が世界史で触れたことがあるのではないでしょうか?

目次

パレスチナ自治区の中にあるパレスチナ難民キャンプ

今回は、パレスチナ自治区にある、パレスチナ人の難民キャンプについてお話しします。

難民キャンプというと、母国を離れた難民の方が集まって住んでいるところ。パレスチナ難民の難民キャンプは、レバノンなどの国外にもありますが、実はパレスチナ自治区の中にもあるのです。

なぜでしょう?

イスラエル国が建国されたのは、1948年。建国に当たって、周辺のアラブ諸国とイスラエルは何度も衝突します。その際に、現在のイスラエルの領土とされているエリアに住んでいたアラブ系のイスラム教徒やキリスト教徒の人たちの多くは難民となってその地を追われてしまったのです。

そのため、パレスチナ自治区のなかにも、数多くの難民キャンプがあります。国連が運営している(していた)学校があるところも多いです。

難民キャンプというと、一時的に住むところというイメージが強いかもしれませんが、イスラエル建国前後から、2-3世代にわたって難民キャンプに住んでいる方たちがいます。

ベツレヘムのアイーダ難民キャンプ

私自身、いくつかの難民キャンプを訪問させていただいたのですが、その中の一つ、ベツレヘムにあるアイーダ難民キャンプを紹介します。

ベツレヘムは、イエス・キリストが生まれた町といわれていて、日々多くの観光客や巡礼客が訪れます。ここに住むパレスチナ人も、キリスト教を信仰している人がたくさんいます。

また、ベツレヘムと言えば、分離壁と呼ばれる、イスラエル人の住むエリアとパレスチナ自治区を分断するように建てられたコンクリート壁に描かれた抵抗のアートが話題になることがあります。イギリスを中心に活躍する世界的に有名な覆面アーティストのバンクシーのアート作品や、バンクシーがプロデュースしたホテルもあります。

そんなバンクシーのホテルから徒歩で無理なく歩けるエリアに、アイーダ難民キャンプがあります。

シンボルの鍵

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アイーダ難民キャンプに着いたとき、一番初めに目につくのは、大きな鍵の形をしたゲートです。

なぜ大きな鍵があるのでしょうか?

実は、中東戦争の末、今のイスラエル側に住む家を追われた人たちは、いつかは家に帰れる!と思い、家に鍵をかけ、鍵をもって逃げてきたと言います。難民キャンプに住む人の中には、その昔の家の鍵を、今でも大切に保管している人もいると言います。

イスラエルに行ったことがある人であれば、イメージがつくかもしれませんが、イスラエルは先進国クラブといわれるOECDにも入る先進国。テルアビブやハイファ、エルサレムの西側などは、開発がどんどん進んでいます。

おそらくその鍵がぴったりはまる家は、もうすでに取り壊されているでしょう。それでも、いつか故郷に帰ることができる、と希望を捨てずに生きているのでしょうか。

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また、鍵モチーフのゲートのそばの壁には、抵抗活動によって犠牲になった人たちの名前が連なっていたり、イスラエルに逮捕された人たちが、投獄に反対してハンガーストライキをしている日数を数えていたりします。

難民キャンプが建設されてから、いったいどんなことが起こってきたのでしょうか。

パレスチナ問題に想いを馳せる

難民キャンプというと、トタンで作られていたり、簡易的なつくりをしているイメージを持つ人がいるかもしれません、パレスチナの難民キャンプは、作られてから60~70年ほど経っているものがほとんどです。

このアイーダ難民キャンプも1950年に作られたそうです。そうすると、建物はコンクリートで作られています。人口が増加して居住スペースが足りなくなったような建物は、2階部分が後から増築されていたりすることも。

また、70年経てば、ほとんどの人は、故郷の地すら知りません。難民キャンプで生まれ、難民キャンプで生涯を終える人がどのくらいいるだろう、と思うと、なんだかやるせない気持ちになりました。

アイーダ難民キャンプは、観光地に近いこともあり、ちょっとしたお土産ものを売ったりしているひともいます。抵抗のデモなどを行うと、イスラエル軍から投げ込まれることがある催涙弾の鉄の破片を溶かして作ったピアスなどのアクセサリーもありました。

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子どもが多いので、キャンプの中を歩いていると、外で遊んでいる子どもたちをたくさん見かけます。限られた資源、限られた機会の中、この子たちはどんな人生を過ごすのだろう。

パレスチナという場所は、行くたびに何か考えさせられます。

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ばん

南アフリカヨハネスブルグ在住。コワーキングスペースでリモートワークをしながら、南アフリカ人のパートナーとの南アライフを満喫中。

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